最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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戦姫編

伝説の大蛇

――ウオォオオオオッ……!!


森の中に獣の咆哮が響き渡り、レナとワルキューレ騎士団、そしてバジリスクすらも硬直する。雄叫びの発生源は石像と化したバイコーンであり、額の二本角が削岩機のように高速回転を始め、全身に亀裂が走り、バイコーンの肉体を覆い尽くしていた石が剥がれ落ちる。


『オオオオオオオオッ!!』
「嘘だろおい!?自力で復活したよ!?」
「……あの額が本体?」
「そんな馬鹿な……」


バイコーンは完全に石化から解除されるとバジリスクを睨み付け、石像と化した時に拘束は逃れており、その場を駆けだして煙幕に覆われているバジリスクの最後の瞳に狙いを定める。


『ウオオオオオッ……!!』
『シャアァアアアアアアッ!?』


煙幕の中から現れたバイコーンに対し、バジリスクは驚愕と共に最後の魔眼を角で貫かれ、悲鳴を上げる。その直後にレナの魔弓術から放たれた黒煙が消失し、バイコーンはバジリスクの首に噛みついて力尽くで叩きつける。


「今だ!!バイコーンに続きな!!」
「全員!!弓を構えろっ!!魔法部隊は砲撃魔法だ!!」
『はっ!!』


弓矢を所持した人間は矢を放ち、砲撃魔法を扱える人間は次々と各属性の魔弾を放つ。レナも魔弓術と浮揚魔術を同時に発動させ、バジリスクに叩き込む。


「サンダーランス!!」
「ファイヤアロー!!」
「ウィンドブレット!!」
「……水圧砲」
「螺旋弾!!螺旋刃!!あとおまけを喰らえっ!!」


無数の魔法がバジリスクの頭部に放たれ、バイコーンは危険を察知して跳躍を行った瞬間、無数の魔法の魔弾がバジリスクの頭部に衝突した。



――シャアァアアアアアアアッ……!!



バジリスクの悲鳴が響き渡り、複数の魔法が衝突した事で反発作用も引き起こされたらしく、光の衝撃波が生じる。レナ達は吹き飛ばされないように耐え抜くが、やがて閃光が収まり、残されたのは頭部を黒煙で覆われた状態で地面に伏したバジリスクの姿だけだった。その光景に全員が息を飲み、テンが渋い表情を浮かべて大剣を握りしめる。


「……やったのかい」
「いや……まだだっ!!」
『シャオォオオオオッ!!』


倒れていたはずのバジリスクが起き上がり、鳴き声を変化させて頭部の黒煙を振り払う。先ほどの攻撃を受けても致命傷には至らず、顔面の鱗が剥がれ落ちて血塗れの状態になりながらもバジリスクの戦意は衰えず、レナ達に向けて大顎を開いて接近する。


「やばいっ!?」
「飲み込まれる!?」
『ウォオオオオンッ!!』


だが、バジリスクがレナ達を飲み込む前に別方向からバイコーンが突進を行い、顎の部分に角を突き刺す。バジリスクは下顎を突かれて悲鳴を上げるが、あまりの怒りで痛覚が麻痺しており、角を突き刺された状態のままバイコーンの巨体を持ち上げ、逆に地面に押し潰す。


『アァアアアアアッ……!!』
『ウオオッ……!?』
「バイコーン!?」


バイコーンの肉体がバジリスクの顎の下敷きとなり、相手は巨体を利用して何度も叩きつける。地面に衝撃が走る度に顎に突き刺さった角が奥に食い込むが、バジリスクは構わずに何度も叩きつける。


「やばい!!このままだとバイコーンが……」
「人の心配している暇はないよ!!」
『シャオォオオオオオッ!!』


レナが助け出そうと動く前にバジリスクが先に胴体を動かし、巨木をすり抜けて尾を放つ。咄嗟にテンはポチ子とリノンを庇うために大剣を身構え、他の団員は回避行動に移るが、レナの肉体にコトミンが抱き付く。


「うわっ、コトミン!?」
「吸収」


次の瞬間、コトミンがスライムに変化を果たしてレナの全身を飲み込んだ瞬間、バジリスクの尾が鞭のように放たれ、地面を抉りながらレナ達を吹き飛ばす。


『うわぁあああああああっ!?』
「がああっ!?」
「わうっ!?」
「うわぁっ!?」


ワルキューレ騎士団の団員達が吹き飛び、運が悪い人間は巨木に身体を衝突させる。テンもポチ子とリノンの身体を抱き寄せて吹き飛ばされ、自分の身を犠牲にして地面に墜落する。その一方でレナだけは身体に衝撃が走るが予想以上に小さく、身体に張り付いたコトミンのお蔭で衝撃を和らげる事に成功し、彼だけは空中に放り出される。


『レナ!!』
『分かってる!!両手を出させて!!』


レナの肉体に張り付いているコトミンが両手の部分だけを開放し、レナは浮揚魔術を利用して短剣を引き寄せ、足場として利用するために短剣の柄の部分に両足を着地させる。この状況下で新しい戦法を身に着けた事にレナは気付かず、バジリスクに攻撃を仕掛ける為、魔弓を構えて魔術痕を発動させた。
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