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王都編
第21話 通り魔、再び
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マオは魔法学園に向けて出発し、地図を頼りに王都を渡り歩く。昨日の通り魔事件のせいか街道では巡回する兵士が数多く見られ、その中にマオは昨日顔を合わせた兵士の姿を発見する。
「あ、昨日の……」
「ん?君は……ああ、思い出した!!昨日、通り魔に襲われた子じゃないか!!」
マオが兵士に話しかけると相手も彼に気付き、どうやら顔を覚えられていたらしい。兵士はマオが一人で街道を歩いている事に気付き、困った風に眉をしかめる。
「君、もしかして今は一人かい?駄目じゃないか、昨日も襲われたばかりだというのに一人で行動するなんて……」
「す、すいません。でも、どうしても用事があって……」
「悪い事は言わないから早めに帰りなさい。昨日の事件のせいでこの地区に回される兵士は増員されたけど、それでも絶対に安全というわけじゃないんだ。僕達の目が届かない場所に連れ出された助ける事はできないからね」
「あ、はい……すいません」
「さあ、早く用事を済ませて帰りなさい。勿論、帰る時も気を付けるんだよ」
兵士に叱られたマオは頭を下げてその場を立ち去り、彼の話から察するに通り魔はまだ捕まっていない様子だった。通り魔が捕まっていればマオも安心して外に出られるのだが、仕方なく彼は兵士の言う通りに魔法学園に向かう事にした。
地図を確認しながらマオは魔法学園までの道のりを歩き、遂に魔法学園らしき建物を発見した。魔法学園は四方を鉄柵に取り囲まれ、マオがこれまで王都で見てきた建物の中でも一番の大きさを誇る(王都の城を除いて)。
「うわぁっ……こ、ここが魔法学園なのか」
魔法学園の出入口の門の前にマオは立ち止まり、改めて驚かされる。魔法学園はマオが暮らしていた村がすっぽりと入るぐらいの敷地の広さを誇り、しかも門の前には見張りの兵士まで経っていた。
国の兵士がわざわざ配置されている事から魔法学園がヒトノ王国にとってどれほど重要な施設なのか思い知らされる。マオは緊張しながらも魔法学園に近付くと、門番の兵士がマオを引き留めた。
「ん?ちょっと待った!!君は……この学園の生徒かい?」
「え、いや……」
「それなら近付いたら駄目だよ。ここに入れるのは学園の関係者だけだからね」
「さあ、早く行った行った!!こっちは忙しいんだ!!」
「おい、子供相手にきつい事を言うなよ」
門番の兵士は二人存在し、どちらも年若い男性だった。片方の兵士はマオに優しく語り掛けるが、もう片方の男性は渋い表情を浮かべてマオを追い払おうとする。しかし、ここまで来た以上はマオも引き下がるわけにはいかない。
「あの、実は僕は……」
「きゃあああっ!?」
「と、通り魔だぁっ!?」
「何だと!?」
「通り魔だって!?」
マオが自分が魔法学園に入学するために訪れた事を伝える前に街道に悲鳴が響き渡り、門番の兵士達は声のした方に顔を向ける。そこには街道で逃げ惑う人々の姿が見え、慌てて兵士達は駆け出す。
「通り魔は何処だ!!」
「ええい、退け!!」
「あ、ちょっと!?」
兵士達は通り魔を探すために駆け出し、慌ててマオはそれを追いかけようとした。しかし、通り魔が現れたのならばマオはここに居るのは危険であり、通り魔に見つかれば今度こそ殺されるかもしれない。
昨日にマオは通り魔に襲われた時の事を思い出し、恐怖を抱いたマオはその場から逃げるために駆け出す。一刻も早くこの場を逃げるためにマオは駆け出し、街道を逃げ惑う人々に巻き込まれないように気を付けながら移動する。
(こんな時に通り魔が現れるなんて……くそっ!!)
やっと念願の魔法学園に辿り着いたというのに通り魔が現れたせいでマオは入学手続きが行えず、だんだんと通り魔に対して恐怖の他に怒りを抱く。しかし、この状況で通り魔が現れた事にマオは違和感を抱く。
(でも、どうして急に通り魔がここに?)
昨日の時点では通り魔は人目を避けて路地裏で子供を攫って犯行に及ぼうとした。だが、今回は街道に通り魔が現れたという事にマオは違和感を抱き、彼は足を止めて考え込む。
自分が魔法学園に入ろうとした瞬間に通り魔が現れた事にマオは嫌な予感を抱き、もしも通り魔が現れたのが偶然ではなかった場合、考えられるのはマオを狙って通り魔が現れたという事になる。
(そんな馬鹿な……有り得えない!!)
マオは緊張しながらも後方を振り返り、人込みの中から怪しい人物がいないのかを探す。そして彼は人込みに紛れて自分に近付こうとする全身をローブで包み隠した人物を見つけた。
(あれは……まさか!?)
逃げ惑う人々を巧みに避けながらマオに近付く人物が存在し、その人物が身に包んでいるローブの隙間から顔を覗かせると、そこには左眼に眼帯を付けて右目は血走らせた男の顔がマオの視界に映し出される。
「あ、昨日の……」
「ん?君は……ああ、思い出した!!昨日、通り魔に襲われた子じゃないか!!」
マオが兵士に話しかけると相手も彼に気付き、どうやら顔を覚えられていたらしい。兵士はマオが一人で街道を歩いている事に気付き、困った風に眉をしかめる。
「君、もしかして今は一人かい?駄目じゃないか、昨日も襲われたばかりだというのに一人で行動するなんて……」
「す、すいません。でも、どうしても用事があって……」
「悪い事は言わないから早めに帰りなさい。昨日の事件のせいでこの地区に回される兵士は増員されたけど、それでも絶対に安全というわけじゃないんだ。僕達の目が届かない場所に連れ出された助ける事はできないからね」
「あ、はい……すいません」
「さあ、早く用事を済ませて帰りなさい。勿論、帰る時も気を付けるんだよ」
兵士に叱られたマオは頭を下げてその場を立ち去り、彼の話から察するに通り魔はまだ捕まっていない様子だった。通り魔が捕まっていればマオも安心して外に出られるのだが、仕方なく彼は兵士の言う通りに魔法学園に向かう事にした。
地図を確認しながらマオは魔法学園までの道のりを歩き、遂に魔法学園らしき建物を発見した。魔法学園は四方を鉄柵に取り囲まれ、マオがこれまで王都で見てきた建物の中でも一番の大きさを誇る(王都の城を除いて)。
「うわぁっ……こ、ここが魔法学園なのか」
魔法学園の出入口の門の前にマオは立ち止まり、改めて驚かされる。魔法学園はマオが暮らしていた村がすっぽりと入るぐらいの敷地の広さを誇り、しかも門の前には見張りの兵士まで経っていた。
国の兵士がわざわざ配置されている事から魔法学園がヒトノ王国にとってどれほど重要な施設なのか思い知らされる。マオは緊張しながらも魔法学園に近付くと、門番の兵士がマオを引き留めた。
「ん?ちょっと待った!!君は……この学園の生徒かい?」
「え、いや……」
「それなら近付いたら駄目だよ。ここに入れるのは学園の関係者だけだからね」
「さあ、早く行った行った!!こっちは忙しいんだ!!」
「おい、子供相手にきつい事を言うなよ」
門番の兵士は二人存在し、どちらも年若い男性だった。片方の兵士はマオに優しく語り掛けるが、もう片方の男性は渋い表情を浮かべてマオを追い払おうとする。しかし、ここまで来た以上はマオも引き下がるわけにはいかない。
「あの、実は僕は……」
「きゃあああっ!?」
「と、通り魔だぁっ!?」
「何だと!?」
「通り魔だって!?」
マオが自分が魔法学園に入学するために訪れた事を伝える前に街道に悲鳴が響き渡り、門番の兵士達は声のした方に顔を向ける。そこには街道で逃げ惑う人々の姿が見え、慌てて兵士達は駆け出す。
「通り魔は何処だ!!」
「ええい、退け!!」
「あ、ちょっと!?」
兵士達は通り魔を探すために駆け出し、慌ててマオはそれを追いかけようとした。しかし、通り魔が現れたのならばマオはここに居るのは危険であり、通り魔に見つかれば今度こそ殺されるかもしれない。
昨日にマオは通り魔に襲われた時の事を思い出し、恐怖を抱いたマオはその場から逃げるために駆け出す。一刻も早くこの場を逃げるためにマオは駆け出し、街道を逃げ惑う人々に巻き込まれないように気を付けながら移動する。
(こんな時に通り魔が現れるなんて……くそっ!!)
やっと念願の魔法学園に辿り着いたというのに通り魔が現れたせいでマオは入学手続きが行えず、だんだんと通り魔に対して恐怖の他に怒りを抱く。しかし、この状況で通り魔が現れた事にマオは違和感を抱く。
(でも、どうして急に通り魔がここに?)
昨日の時点では通り魔は人目を避けて路地裏で子供を攫って犯行に及ぼうとした。だが、今回は街道に通り魔が現れたという事にマオは違和感を抱き、彼は足を止めて考え込む。
自分が魔法学園に入ろうとした瞬間に通り魔が現れた事にマオは嫌な予感を抱き、もしも通り魔が現れたのが偶然ではなかった場合、考えられるのはマオを狙って通り魔が現れたという事になる。
(そんな馬鹿な……有り得えない!!)
マオは緊張しながらも後方を振り返り、人込みの中から怪しい人物がいないのかを探す。そして彼は人込みに紛れて自分に近付こうとする全身をローブで包み隠した人物を見つけた。
(あれは……まさか!?)
逃げ惑う人々を巧みに避けながらマオに近付く人物が存在し、その人物が身に包んでいるローブの隙間から顔を覗かせると、そこには左眼に眼帯を付けて右目は血走らせた男の顔がマオの視界に映し出される。
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