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魔法学園編
第59話 獣人族の魔法使い
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「……それが本物だという証拠は?」
「マリア先生に直接聞きに行ってもいいよ。何だったら今すぐ確認しに行くかい?あんたが会いたいと言えば先生も会ってくれるだろう?」
「その必要はない、その文字は間違いなく学園長の文字」
「えっ?」
二人から10メートルほど離れた距離にいるにも関わらず、ミイナはバルが持っている羊皮紙に記されたマリアの文字を直に確認したかのように語る。そんな彼女の言葉にマオは驚くと、バルルが彼の耳元で説明した。
「あいつは獣人族だからね、人よりも目が良いのさ」
「そ、そうなんですか?」
「ついでに言うと耳もいい」
「ええっ!?」
バルルがマオの耳元で小声で話しかけたにも関わらず、ミイナは猫耳をぴくぴくと動かして二人の会話が聞こえている事を話す。もしかしたらマオ達が屋上に出る前から二人の話を聞いていたかもしれず、獣人の人間離れした視覚と聴覚にマオは驚かされる。
「それで本当に勝負をして私が勝てば授業に出なくていいの?」
「ああ、嘘は言わない。こいつを貰うのにこっちも大分苦労したからね……」
「でも、戦うのは貴女じゃない」
「分かってるさ、流石にあたしが戦うのはあれだからね。という事でマオ、あんたの出番だよ!!」
「ほ、本当に戦うんですか……」
指名されたマオは緊張した様子で小杖を取り出し、離れた場所に存在するミイナと向かい合う。一応は事前にマオはバルルから自分が戦うように言われているが、それでも初めて他の魔術師と戦う事を意識すると緊張してしまう。
人と戦う事は初めてではないが、獣人族のしかも魔術師と戦う羽目になるとは夢にも思わなかった。だが、バルルは事前に一週間の間に調べ上げたミイナの情報を纏め、事前にマオには彼女の対抗策を授けている。
(いいかい、練習通りにやればあんたなら勝てる。自分を信じて戦うんだよ)
声で話しかけるとミイナに気付かれてしまうため、バルルは心の中で彼に語り掛ける。勿論、マオには彼女の心の声は聞こえないが、それでも今日のために練習はしてきた。
「……可愛い後輩が相手でも容赦はしない」
「後輩って、あんたとマオはそんなに年齢は変わらないだろう?」
「そんな事はない、私の方が一才も年上……それにその子の魔法は前に見た事がある」
ミイナは何処からか魔法腕輪と思わしき腕輪を取り出し、自分の腕に装着を行う。それを見たマオは冷や汗を流し、彼女がバルルやリンダと同じく「魔拳士」である事は事前に聞いている。
バルルが集めた情報ではミイナは二年生の魔拳士の中では一番の実力者らしく、上級生からも一目置かれている。そんな彼女を相手にマオは本当に勝てるのか不安を抱くが、バルルは彼の事を信じていた。
「緊張するんじゃないよ、勝負事に大事なのは気合と根性さ!!あんたなら勝てる!!」
「が、頑張ります……」
「……手加減はしない。でも、自分が勝てないと思ったらすぐに降参して。そうしたら私も戦いを辞める」
自分が負けるとは微塵も思っていないミイナはマオが準備を整えても警戒心すら抱かず、バルルに決闘の開始の合図を促す。
「早くして」
「よし、二人とも準備はいいね?それじゃあ……決闘開始!!」
バルルが開始の合図を繰り出すと、即座に二人はお互いに距離を取るために後ろに下がる。マオは小杖を構えて魔法の準備を行う中、ミイナは両腕を横に広げた。この時にミイナの両手に赤色の光が放たれ、やがて彼女の両手を包み込む。
「――炎爪」
ミイナの両手に獣の爪を想像させる炎が纏い、それを見たマオは驚愕した。彼女は両手が炎に包まれても顔色一つ変えず、炎が彼女の身体を焼く様子もない。
名前の通りに炎の爪を纏ったミイナはマオに目掛けて突っ込み、人間離れした脚力で距離を一瞬で詰める。それを見たマオは咄嗟に杖を構え、名前を叫ぶ暇もなく無詠唱で魔法を発動させる。
「にゃあっ!!」
「くっ……うわぁっ!?」
「馬鹿、何やってんだい!?」
マオは咄嗟に自分の前方に氷塊を作り上げ、それを円盤の形に変化させて範囲を広げて身を守る。しかし、ミイナの振り翳した炎の爪が触れた瞬間に氷塊は溶けてしまう。
氷を炎の爪で溶かしたミイナはマオが無詠唱で魔法を使用した事に驚き、彼女が追撃を加える前にマオは後ろに下がると小杖を構えて魔法を放つ。
「このっ!!」
「おっと」
「こら、無暗に撃つんじゃないよ!!ちゃんと距離を取りな!!」
放たれた氷塊に対してミイナは持ち前の身軽さを生か、状態を軽く反らして氷塊を避ける。それを見たバルルは焦った声を上げ、一方で魔法を放った直後で隙を生んだマオの元にミイナは向かおうとした。
(これならっ……えっ!?)
しかし、彼に攻撃を加えようとした瞬間、ミイナは嫌な予感を抱いて咄嗟に後方へ振り返る。そこには先ほど避けたはずの氷塊が彼女の背後に迫っており、それに気づいたミイナは咄嗟に炎の爪で氷塊を破壊した。
「マリア先生に直接聞きに行ってもいいよ。何だったら今すぐ確認しに行くかい?あんたが会いたいと言えば先生も会ってくれるだろう?」
「その必要はない、その文字は間違いなく学園長の文字」
「えっ?」
二人から10メートルほど離れた距離にいるにも関わらず、ミイナはバルが持っている羊皮紙に記されたマリアの文字を直に確認したかのように語る。そんな彼女の言葉にマオは驚くと、バルルが彼の耳元で説明した。
「あいつは獣人族だからね、人よりも目が良いのさ」
「そ、そうなんですか?」
「ついでに言うと耳もいい」
「ええっ!?」
バルルがマオの耳元で小声で話しかけたにも関わらず、ミイナは猫耳をぴくぴくと動かして二人の会話が聞こえている事を話す。もしかしたらマオ達が屋上に出る前から二人の話を聞いていたかもしれず、獣人の人間離れした視覚と聴覚にマオは驚かされる。
「それで本当に勝負をして私が勝てば授業に出なくていいの?」
「ああ、嘘は言わない。こいつを貰うのにこっちも大分苦労したからね……」
「でも、戦うのは貴女じゃない」
「分かってるさ、流石にあたしが戦うのはあれだからね。という事でマオ、あんたの出番だよ!!」
「ほ、本当に戦うんですか……」
指名されたマオは緊張した様子で小杖を取り出し、離れた場所に存在するミイナと向かい合う。一応は事前にマオはバルルから自分が戦うように言われているが、それでも初めて他の魔術師と戦う事を意識すると緊張してしまう。
人と戦う事は初めてではないが、獣人族のしかも魔術師と戦う羽目になるとは夢にも思わなかった。だが、バルルは事前に一週間の間に調べ上げたミイナの情報を纏め、事前にマオには彼女の対抗策を授けている。
(いいかい、練習通りにやればあんたなら勝てる。自分を信じて戦うんだよ)
声で話しかけるとミイナに気付かれてしまうため、バルルは心の中で彼に語り掛ける。勿論、マオには彼女の心の声は聞こえないが、それでも今日のために練習はしてきた。
「……可愛い後輩が相手でも容赦はしない」
「後輩って、あんたとマオはそんなに年齢は変わらないだろう?」
「そんな事はない、私の方が一才も年上……それにその子の魔法は前に見た事がある」
ミイナは何処からか魔法腕輪と思わしき腕輪を取り出し、自分の腕に装着を行う。それを見たマオは冷や汗を流し、彼女がバルルやリンダと同じく「魔拳士」である事は事前に聞いている。
バルルが集めた情報ではミイナは二年生の魔拳士の中では一番の実力者らしく、上級生からも一目置かれている。そんな彼女を相手にマオは本当に勝てるのか不安を抱くが、バルルは彼の事を信じていた。
「緊張するんじゃないよ、勝負事に大事なのは気合と根性さ!!あんたなら勝てる!!」
「が、頑張ります……」
「……手加減はしない。でも、自分が勝てないと思ったらすぐに降参して。そうしたら私も戦いを辞める」
自分が負けるとは微塵も思っていないミイナはマオが準備を整えても警戒心すら抱かず、バルルに決闘の開始の合図を促す。
「早くして」
「よし、二人とも準備はいいね?それじゃあ……決闘開始!!」
バルルが開始の合図を繰り出すと、即座に二人はお互いに距離を取るために後ろに下がる。マオは小杖を構えて魔法の準備を行う中、ミイナは両腕を横に広げた。この時にミイナの両手に赤色の光が放たれ、やがて彼女の両手を包み込む。
「――炎爪」
ミイナの両手に獣の爪を想像させる炎が纏い、それを見たマオは驚愕した。彼女は両手が炎に包まれても顔色一つ変えず、炎が彼女の身体を焼く様子もない。
名前の通りに炎の爪を纏ったミイナはマオに目掛けて突っ込み、人間離れした脚力で距離を一瞬で詰める。それを見たマオは咄嗟に杖を構え、名前を叫ぶ暇もなく無詠唱で魔法を発動させる。
「にゃあっ!!」
「くっ……うわぁっ!?」
「馬鹿、何やってんだい!?」
マオは咄嗟に自分の前方に氷塊を作り上げ、それを円盤の形に変化させて範囲を広げて身を守る。しかし、ミイナの振り翳した炎の爪が触れた瞬間に氷塊は溶けてしまう。
氷を炎の爪で溶かしたミイナはマオが無詠唱で魔法を使用した事に驚き、彼女が追撃を加える前にマオは後ろに下がると小杖を構えて魔法を放つ。
「このっ!!」
「おっと」
「こら、無暗に撃つんじゃないよ!!ちゃんと距離を取りな!!」
放たれた氷塊に対してミイナは持ち前の身軽さを生か、状態を軽く反らして氷塊を避ける。それを見たバルルは焦った声を上げ、一方で魔法を放った直後で隙を生んだマオの元にミイナは向かおうとした。
(これならっ……えっ!?)
しかし、彼に攻撃を加えようとした瞬間、ミイナは嫌な予感を抱いて咄嗟に後方へ振り返る。そこには先ほど避けたはずの氷塊が彼女の背後に迫っており、それに気づいたミイナは咄嗟に炎の爪で氷塊を破壊した。
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