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魔法学園編
第120話 俺は認めない
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「リンダ、邪魔をするな!!」
「邪魔をするに決まっているでしょう!!いったい何を考えているんですか、こんな子供達に手を出そうとするなんて……」
「ちっ……」
リンダはマオとミイナの元に向かうと自分の背中に隠し、二人を庇うように立つ。そんなリンダを見てバルトは面倒くさそうな表情を浮かべて彼女に手を差し出す。
「俺の杖を返せ」
「お断りします。下級生に危害を加えるような輩に杖を渡す事はできません」
「てめえ、何様のつもりだ!?」
「私は生徒会の副会長です。学園の秩序を正すため、下級に乱暴を行う生徒を見逃すわけにはいきません」
「え、生徒会……?」
バルトの要求をリンダは堂々と拒否すると、この時にマオは「生徒会」や「副会長」という単語を始めて耳にした。その一方でバルトの方は杖の返却を拒否されて怒りのままに立ち上がろうとするが、リンダが拳を握り締めると彼の顔面に目掛けて構える。
「これ以上に私の前で下手な真似をしたら……どうなるか覚悟はできていますね?」
「うっ……!?」
「あ、あの……」
「……怖い」
あまりのリンダの迫力に先ほどまで怒り心頭だったバルトも後退り、冷や汗を流しながら焦った表情を浮かべる。そんな二人のやり取りを見てマオも緊張し、ミイナに至っては怖がるように彼の背中に隠れてしまう。
少しは落ち着いたのかバルトは頭を掻きながら3人に視線を向け、やがて何も言わずに背中を向ける。彼は杖を受け取らずに屋上の扉に向かい、別れ際に一言だけ告げた。
「……今日の事は忘れねえぞ」
それは誰に対しての言葉なのかは分からなかったが、一方的にそれだけを告げるとバルトは屋上から立ち去る。その様子を見てマオとミイナは安堵すると、リンダは困った表情を浮かべてバルトから回収した杖を見下ろす。
「全く、バルトには困りましたね……」
「あの……リンダさん、ありがとうございます」
「いいえ、気にしないでください。先輩として当然の事をしたまでです」
「……あいつ、何だったの?」
マオがお礼を告げるとリンダは微笑みながら彼の頭を撫でやり、その一方でミイナは立ち去ったバルトに対して不満そうな表情を浮かべて尋ねる。するとリンダは困った表情を浮かべ、彼の代わりに謝罪を行う。
「ごめんなさい、二人とも怖い思いをさせましたね……その、彼は前に月の徽章を持つ生徒と揉め事を起してしまい、それ以来あのような横暴な態度を取るようになったんです」
「それって……もしかして一年生の生徒とですか?」
「……御存じだったのですか?」
マオの言葉にリンダは驚いた表情を浮かべるが、マオはバルトと先ほどの会話で彼が月の徽章を持つ一年生の生徒の事を知っているような事を口にしていた。その事からマオはバルトと揉め事を起こしたという生徒が一年生の生徒ではないかと推測し、見事に予想は的中した。
「バルトは元々は成績優秀な生徒でしたが、彼は常日頃から月の徽章を持つ生徒に憧れを抱いていました。だから彼は一年生の時から誰よりも勉強して好成績を残していたのですが、結局は三年生に上がっても月の徽章を手にする事はできませんでした」
「えっ……そんなに月の徽章を手に入れるのは難しいんですか?」
「マオ、それは他の人の前では言ったら駄目。皆は口にしないけど、月の徽章を欲しと思っている人はたくさんいる」
月の徽章の重要性を伝えられてマオは驚くが、魔法学園の生徒の中には月の徽章を欲している者も大勢いる事を知る。その中でもバルトは月の徽章を欲しており、彼は月の徽章を手に入れるために一年生と二年生の頃は学年上位の成績を残してきた。
しかし、月の徽章を手に入れるのは相当に難しく、学業で優秀な成績を残すだけでは駄目だった。月の徽章を与えられるのは学園長のみであり、学園長が認めた人物にしか月の徽章を渡す事は許されない。そのためにバルトは学園長の目に留まるために頑張ってきたが、約二か月前に彼にとっては屈辱的な出来事が起きたという。
「入学式の時、今年の新入生の中に月の徽章を持つ生徒が現れました。一年生の中で月の徽章を持つ生徒が現れたのは今の学園長の代に変わってからは初めての出来事です。それを知ったバルトの衝撃は大きく、自分がどれだけ頑張っても手に入らなかった月の徽章をよりにもよって一年生の生徒が手に入れた事に悔しく思い、そして事件を起こしました」
「事件?」
「その話、私も知っている……あの時は凄かった」
あまり学校で真面目に授業を受けていなかったミイナでさえもバルトが引き起こした事件の事は知っているらしく、いったいどんな事件が起きたのかとマオは尋ねると、リンダは神妙な表情を浮かべて答える。
「……バルトは月の徽章を持つ一年生に絡み、そして決闘を行いました」
「決闘……!?」
月の徽章に憧れを抱くバルトは自分よりも下の学年の生徒が月の徽章を手に入れた事が許せず、まだ入学したての新入生に決闘を申し込んだ事が事件の切っ掛けだった。
「邪魔をするに決まっているでしょう!!いったい何を考えているんですか、こんな子供達に手を出そうとするなんて……」
「ちっ……」
リンダはマオとミイナの元に向かうと自分の背中に隠し、二人を庇うように立つ。そんなリンダを見てバルトは面倒くさそうな表情を浮かべて彼女に手を差し出す。
「俺の杖を返せ」
「お断りします。下級生に危害を加えるような輩に杖を渡す事はできません」
「てめえ、何様のつもりだ!?」
「私は生徒会の副会長です。学園の秩序を正すため、下級に乱暴を行う生徒を見逃すわけにはいきません」
「え、生徒会……?」
バルトの要求をリンダは堂々と拒否すると、この時にマオは「生徒会」や「副会長」という単語を始めて耳にした。その一方でバルトの方は杖の返却を拒否されて怒りのままに立ち上がろうとするが、リンダが拳を握り締めると彼の顔面に目掛けて構える。
「これ以上に私の前で下手な真似をしたら……どうなるか覚悟はできていますね?」
「うっ……!?」
「あ、あの……」
「……怖い」
あまりのリンダの迫力に先ほどまで怒り心頭だったバルトも後退り、冷や汗を流しながら焦った表情を浮かべる。そんな二人のやり取りを見てマオも緊張し、ミイナに至っては怖がるように彼の背中に隠れてしまう。
少しは落ち着いたのかバルトは頭を掻きながら3人に視線を向け、やがて何も言わずに背中を向ける。彼は杖を受け取らずに屋上の扉に向かい、別れ際に一言だけ告げた。
「……今日の事は忘れねえぞ」
それは誰に対しての言葉なのかは分からなかったが、一方的にそれだけを告げるとバルトは屋上から立ち去る。その様子を見てマオとミイナは安堵すると、リンダは困った表情を浮かべてバルトから回収した杖を見下ろす。
「全く、バルトには困りましたね……」
「あの……リンダさん、ありがとうございます」
「いいえ、気にしないでください。先輩として当然の事をしたまでです」
「……あいつ、何だったの?」
マオがお礼を告げるとリンダは微笑みながら彼の頭を撫でやり、その一方でミイナは立ち去ったバルトに対して不満そうな表情を浮かべて尋ねる。するとリンダは困った表情を浮かべ、彼の代わりに謝罪を行う。
「ごめんなさい、二人とも怖い思いをさせましたね……その、彼は前に月の徽章を持つ生徒と揉め事を起してしまい、それ以来あのような横暴な態度を取るようになったんです」
「それって……もしかして一年生の生徒とですか?」
「……御存じだったのですか?」
マオの言葉にリンダは驚いた表情を浮かべるが、マオはバルトと先ほどの会話で彼が月の徽章を持つ一年生の生徒の事を知っているような事を口にしていた。その事からマオはバルトと揉め事を起こしたという生徒が一年生の生徒ではないかと推測し、見事に予想は的中した。
「バルトは元々は成績優秀な生徒でしたが、彼は常日頃から月の徽章を持つ生徒に憧れを抱いていました。だから彼は一年生の時から誰よりも勉強して好成績を残していたのですが、結局は三年生に上がっても月の徽章を手にする事はできませんでした」
「えっ……そんなに月の徽章を手に入れるのは難しいんですか?」
「マオ、それは他の人の前では言ったら駄目。皆は口にしないけど、月の徽章を欲しと思っている人はたくさんいる」
月の徽章の重要性を伝えられてマオは驚くが、魔法学園の生徒の中には月の徽章を欲している者も大勢いる事を知る。その中でもバルトは月の徽章を欲しており、彼は月の徽章を手に入れるために一年生と二年生の頃は学年上位の成績を残してきた。
しかし、月の徽章を手に入れるのは相当に難しく、学業で優秀な成績を残すだけでは駄目だった。月の徽章を与えられるのは学園長のみであり、学園長が認めた人物にしか月の徽章を渡す事は許されない。そのためにバルトは学園長の目に留まるために頑張ってきたが、約二か月前に彼にとっては屈辱的な出来事が起きたという。
「入学式の時、今年の新入生の中に月の徽章を持つ生徒が現れました。一年生の中で月の徽章を持つ生徒が現れたのは今の学園長の代に変わってからは初めての出来事です。それを知ったバルトの衝撃は大きく、自分がどれだけ頑張っても手に入らなかった月の徽章をよりにもよって一年生の生徒が手に入れた事に悔しく思い、そして事件を起こしました」
「事件?」
「その話、私も知っている……あの時は凄かった」
あまり学校で真面目に授業を受けていなかったミイナでさえもバルトが引き起こした事件の事は知っているらしく、いったいどんな事件が起きたのかとマオは尋ねると、リンダは神妙な表情を浮かべて答える。
「……バルトは月の徽章を持つ一年生に絡み、そして決闘を行いました」
「決闘……!?」
月の徽章に憧れを抱くバルトは自分よりも下の学年の生徒が月の徽章を手に入れた事が許せず、まだ入学したての新入生に決闘を申し込んだ事が事件の切っ掛けだった。
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