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魔法学園編
第126話 氷属性
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「あんたの扱う氷属性は水属性と風属性の中間に位置する。だけど、多分だけどあんたの場合は風属性よりも水属性の方に偏っているんだね」
「偏る?」
「場所を変えるよ、口で説明するのは難しいからね……」
バルルはマオ達を連れて屋上から教室に移動を行うと、彼女は黒板に五芒星の魔法陣を描き、それぞれの角に「風」「火」「水」「雷」「地」という文字を書き込む。この時に風の文字が一番上の角に書き込まれ、風の左側の角に水の文字を記す。
「この黒板に描いた魔法陣が各属性の関係性を現わしてると考えな」
「はい」
「それでもってあたしとミイナは……この魔法陣だとここに位置する」
水の反対側の角に記された火の文字の隣にバルルは自分の名前とミイナを書き込み、二人が火属性の魔法の使い手である事を示す。
「あたし達は生粋に火属性の適性持ちだからね。だからあたし達はここに位置する」
「なるほど」
「ふむふむ」
「それでもってあんたの場合は……ここだね」
バルルは風と水と記された角の間にある隙間に「氷」という文字を書き込み、更にマオは水の文字の近くのほうに名前を書き込まれる。こうして魔法陣を見るとマオは五芒星の隙間に位置しており、しかも風よりも水の属性の方が近い位置に記されていた。
「おそらくだがあんたの氷属性は風よりも水の方が性質が高いんだよ。だから風耐性持ちの魔物を倒しても魔力量は伸びない……つまりはあんたが魔力量を伸ばす方法があるとしたら水耐性持ちの魔物を倒すしかないんだね」
「な、なるほど……」
「あんたの魔法は風と水の魔力を合わせた性質を持っているけど、人によっては風属性寄りか水属性寄りに分かれるんだろうね。そしてあんたの場合は水属性に寄っていた……と思う」
「思う?」
「確証なんてないんだよ!!あたしだって氷属性の奴と出会ったのは初めてだからね!!」
バルルの話した事はあくまでも彼女の仮説の領域を出ず、実際の所は本当にマオが水属性に耐性を持つ魔物を倒せば魔力量が伸びるかどうかは分からない。だが、風耐性を持つファングを倒してもマオに一切変化が感じられない以上、他に魔力量を伸ばす方法は考えられない。
自分の魔力量が普通の魔術師の半分かそれ以下だと知らされて衝撃を受けたマオだったが、それでも自分の魔力量を伸ばせる可能性があるのであればそれに賭けて見たかった。早速彼は水耐性を持つ魔物の居場所を尋ねる。
「師匠!!水耐性を持つ魔物は何処に生息しているんですか!?」
「……さあ」
「さあ!?」
「そんな事を言われても知らないよ!!けど、少なくともここいらには住んでいないのは確かだよ。デカい湖や海に行けばいるかもしれないけど……そんな場所に行く時間は今のあんたにはないだろ?」
元冒険者のバルルでも水耐性を持つ魔物の居場所は心当たりがないらしく、少なくとも王都近辺に水耐性持ちの魔物は生息していない。折角希望が見出したのに倒すべき魔物が王都の近くにはいない事にマオは落胆しかけるが、バルルは話題を変えてマオの意識を反らす。
「それよりも今のあんたがするべき事は魔石を使いこなす事だよ!!魔石を完全に操れるようになれば今まで以上の魔法を繰り出せるんだからね!!」
「え?でも僕が魔石を使うと出費が大変な事になるんじゃ……」
「安心しな、あたしが学園長に頼んで今年分のボーナスを前借りさせて貰った。これを使ってあんたの魔石を買うよ」
「ええっ!?それ、いいんですか!?」
「そこまでする?」
「いいんだよ!!あたしが一番気に喰わないのはあの爺の生徒にあたしの弟子が負ける事なんだからね!!マオ、あたしがこれだけするんだから絶対に負けるんじゃないよ!!もしも負けたらあんたは破門だ!!」
「えええええっ!?」
自分のボーナスを犠牲にしてまでバルルはマオのために必要な魔石を購入し、もしも彼がタンに負けようものならばバルルはマオを弟子として認めるつもりはないとはっきりと告げた。
ここまでバルルが力を貸すのは自分を退学に追いやった教師の一人であるタンを敵視し、彼が指導する生徒《バルト》に自分の弟子《マオ》が勝利すれば間接的にバルルはタンに復讐を果たせる。彼の鼻っ柱を折るためならばバルルは手段を択ばず、何が何でもマオにバルトを倒すように言い放つ。
「期限は三日、それまでにあんたは魔石の扱い方を覚えて今以上の魔法を磨きな!!もしもバルトとやらに負けるようならあんたはあたしの弟子じゃない!!カマセの教室に放り込むからね!!」
「そ、そんな事を言われても……」
「大丈夫、負けても私が慰めてあげる。よしよし……」
「こら、甘やかすんじゃないよ!!」
不安がるマオをミイナが頭を撫でるとバルルが注意を行い、この日からマオは魔石を利用した訓練を行う事になった――
「偏る?」
「場所を変えるよ、口で説明するのは難しいからね……」
バルルはマオ達を連れて屋上から教室に移動を行うと、彼女は黒板に五芒星の魔法陣を描き、それぞれの角に「風」「火」「水」「雷」「地」という文字を書き込む。この時に風の文字が一番上の角に書き込まれ、風の左側の角に水の文字を記す。
「この黒板に描いた魔法陣が各属性の関係性を現わしてると考えな」
「はい」
「それでもってあたしとミイナは……この魔法陣だとここに位置する」
水の反対側の角に記された火の文字の隣にバルルは自分の名前とミイナを書き込み、二人が火属性の魔法の使い手である事を示す。
「あたし達は生粋に火属性の適性持ちだからね。だからあたし達はここに位置する」
「なるほど」
「ふむふむ」
「それでもってあんたの場合は……ここだね」
バルルは風と水と記された角の間にある隙間に「氷」という文字を書き込み、更にマオは水の文字の近くのほうに名前を書き込まれる。こうして魔法陣を見るとマオは五芒星の隙間に位置しており、しかも風よりも水の属性の方が近い位置に記されていた。
「おそらくだがあんたの氷属性は風よりも水の方が性質が高いんだよ。だから風耐性持ちの魔物を倒しても魔力量は伸びない……つまりはあんたが魔力量を伸ばす方法があるとしたら水耐性持ちの魔物を倒すしかないんだね」
「な、なるほど……」
「あんたの魔法は風と水の魔力を合わせた性質を持っているけど、人によっては風属性寄りか水属性寄りに分かれるんだろうね。そしてあんたの場合は水属性に寄っていた……と思う」
「思う?」
「確証なんてないんだよ!!あたしだって氷属性の奴と出会ったのは初めてだからね!!」
バルルの話した事はあくまでも彼女の仮説の領域を出ず、実際の所は本当にマオが水属性に耐性を持つ魔物を倒せば魔力量が伸びるかどうかは分からない。だが、風耐性を持つファングを倒してもマオに一切変化が感じられない以上、他に魔力量を伸ばす方法は考えられない。
自分の魔力量が普通の魔術師の半分かそれ以下だと知らされて衝撃を受けたマオだったが、それでも自分の魔力量を伸ばせる可能性があるのであればそれに賭けて見たかった。早速彼は水耐性を持つ魔物の居場所を尋ねる。
「師匠!!水耐性を持つ魔物は何処に生息しているんですか!?」
「……さあ」
「さあ!?」
「そんな事を言われても知らないよ!!けど、少なくともここいらには住んでいないのは確かだよ。デカい湖や海に行けばいるかもしれないけど……そんな場所に行く時間は今のあんたにはないだろ?」
元冒険者のバルルでも水耐性を持つ魔物の居場所は心当たりがないらしく、少なくとも王都近辺に水耐性持ちの魔物は生息していない。折角希望が見出したのに倒すべき魔物が王都の近くにはいない事にマオは落胆しかけるが、バルルは話題を変えてマオの意識を反らす。
「それよりも今のあんたがするべき事は魔石を使いこなす事だよ!!魔石を完全に操れるようになれば今まで以上の魔法を繰り出せるんだからね!!」
「え?でも僕が魔石を使うと出費が大変な事になるんじゃ……」
「安心しな、あたしが学園長に頼んで今年分のボーナスを前借りさせて貰った。これを使ってあんたの魔石を買うよ」
「ええっ!?それ、いいんですか!?」
「そこまでする?」
「いいんだよ!!あたしが一番気に喰わないのはあの爺の生徒にあたしの弟子が負ける事なんだからね!!マオ、あたしがこれだけするんだから絶対に負けるんじゃないよ!!もしも負けたらあんたは破門だ!!」
「えええええっ!?」
自分のボーナスを犠牲にしてまでバルルはマオのために必要な魔石を購入し、もしも彼がタンに負けようものならばバルルはマオを弟子として認めるつもりはないとはっきりと告げた。
ここまでバルルが力を貸すのは自分を退学に追いやった教師の一人であるタンを敵視し、彼が指導する生徒《バルト》に自分の弟子《マオ》が勝利すれば間接的にバルルはタンに復讐を果たせる。彼の鼻っ柱を折るためならばバルルは手段を択ばず、何が何でもマオにバルトを倒すように言い放つ。
「期限は三日、それまでにあんたは魔石の扱い方を覚えて今以上の魔法を磨きな!!もしもバルトとやらに負けるようならあんたはあたしの弟子じゃない!!カマセの教室に放り込むからね!!」
「そ、そんな事を言われても……」
「大丈夫、負けても私が慰めてあげる。よしよし……」
「こら、甘やかすんじゃないよ!!」
不安がるマオをミイナが頭を撫でるとバルルが注意を行い、この日からマオは魔石を利用した訓練を行う事になった――
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