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魔法学園編
第196話 師の伝えたい事
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――バルルが冒険者狩りと呼ばれる犯罪者に殺されかけたという話はマオ達の耳にも届き、特別に学園長の許可を貰って治療中のバルルと面会を許された。
「師匠、起きてください!!」
「バルル……目を覚まして」
「落ち着きなさい、今はゆっくり寝かせてあげなさい」
ベッドに横たわるバルルは胸元と左腕に包帯を巻いた状態で横たわり、切り落とされた右腕の方はどうにか繋ぎ合わせる事に成功した。幸いにも治療自体は既に終わっており、治癒魔導士の魔法と回復薬のお陰で傷の方は殆ど治っていた。
しかし、警備兵が駆けつけて治療を行うまでにバルルは血を流しすぎたらしく、未だに意識が戻る様子がない。マオとミイナはバルルに縋りつくが、二人の声にもバルルは反応しない。
「どうして師匠がこんな目に……」
「許せない……犯人はまだ捕まってないの?」
「ええ、今も捜索中らしいわ」
バルルの残した手がかりを参考に現在は警備兵が調査を行い、冒険者ギルドの方も協力して犯人の捜索を行っていた。しかし、手がかりがエルフの女性というだけでは調査は難航し、そもそも王都にはエルフは滅多に見かけられない。
「師匠はすぐに目を覚ますんですよね!!そうですよね!?」
「……そうだと言いたい所だけど、はっきり言って何とも言えないわ。もしかしたら明日には起きているかもしれないし、下手をしたら一か月経過しても目を覚まさないかもしれないらしいわ」
「そんな……」
「……どうにもならないの?」
「残念ながら私でもどうにもできないわ」
ミイナはマリアに縋りつくが、そんな彼女にマリアは首を振る。マリアとしてもバルルの事は心配だが、いくら彼女がこの国一番の魔術師だとしてもどうしようもできない事もある。
マオはベッドに横たわったまま目を覚まさないバルルに歯を食いしばり、彼女をここまで追い詰めた犯人が許せなかった。冒険者狩りだか何だか知らないが、自分の師をここまで追い詰めた相手に激しい怒りを抱く。
(師匠……必ず、仇は取ります!!)
意識が戻らないバルルに対してマオは彼女をこんな姿にした相手を許せず、弟子として師匠の仇を取る事を誓う。そんな彼に対してマリアは思い出したように言葉をかけた。
「そういえば……現場に残っていたのは犯人の手掛かりを示した文章だけじゃないそうよ。多分、貴方達に当てた言葉も書き記されていたわ」
「えっ!?」
「バルルが私達に……?」
「内容は「しくじった、あんたらは無茶するんじゃないよ」と書かれていたそうよ……」
バルルが手がかりの他に書き残した文章を知らされたマオとミイナは顔を合わせ、自分が怪我を負いながらも最後に弟子である自分達に伝言を残した彼女に二人は決意する。
(すいません、師匠……その言葉だけは聞き入れられません)
普段のマオならば師匠であるバルルの命令には素直に従っていた。しかし、今回ばかりはいくらバルルの言葉でも従えられない。彼女を傷つけた犯人を許せるはずがなく、例えバルルの意思に反するとしてもマオは犯人を見つけ出して捕まえる事を誓う――
――担当教師であったバルルが入院したため、一時的にマオとミイナは各学年の生徒と共に授業を受ける事になった。マオの場合は一年生の担当教師であるカマセの元で他の一年生と共に授業を受ける事になり、二年生のミイナは二年生の担当教師の元で授業を受ける事に決まった。
もしもバルルが目を覚まさなかった場合、二人は今後は別々の教室で各学年の教師の元で勉強を受ける事になる。だが、二人にとって師と呼べる存在はバルルだけだった。
(……今は我慢するしかないんだ。勝手に学園の外に出れば問題になる)
他の生徒と共にマオは授業を受け、表向きは真面目に授業に取り組む。しかし、彼はバルルを傷つけた犯人を必ず捕まえるため、これからの計画を練る。
(きっとミイナも犯人を捕まえようとするはずだ。でも、勝手に学園を抜け出せば謹慎処分かあるいは退学になるかもしれない。なら、学校の人間にバレないように行動するには……夜しかない)
明るい間はマオは真面目な生徒として振舞い、他の生徒や教師から怪しまれないように行動する。気のせいかもしれないがマオは授業中に視線を感じる事が多々あった。もしかしたら学園長の指示で教師たちがマオ達の動向を監視しているのかもしれない。
学園長であるマリアはバルルが残した伝言を把握しており、彼女のためにもマオとミイナには勝手な行動をさせないように教師達に見張りをさせている可能性があった。しかし、マオはその程度の事で諦めるつもりはなく、彼は何としても犯人を見つけ出して捕まえるためにミイナと協力して学園の脱出方法を模索する。
「師匠、起きてください!!」
「バルル……目を覚まして」
「落ち着きなさい、今はゆっくり寝かせてあげなさい」
ベッドに横たわるバルルは胸元と左腕に包帯を巻いた状態で横たわり、切り落とされた右腕の方はどうにか繋ぎ合わせる事に成功した。幸いにも治療自体は既に終わっており、治癒魔導士の魔法と回復薬のお陰で傷の方は殆ど治っていた。
しかし、警備兵が駆けつけて治療を行うまでにバルルは血を流しすぎたらしく、未だに意識が戻る様子がない。マオとミイナはバルルに縋りつくが、二人の声にもバルルは反応しない。
「どうして師匠がこんな目に……」
「許せない……犯人はまだ捕まってないの?」
「ええ、今も捜索中らしいわ」
バルルの残した手がかりを参考に現在は警備兵が調査を行い、冒険者ギルドの方も協力して犯人の捜索を行っていた。しかし、手がかりがエルフの女性というだけでは調査は難航し、そもそも王都にはエルフは滅多に見かけられない。
「師匠はすぐに目を覚ますんですよね!!そうですよね!?」
「……そうだと言いたい所だけど、はっきり言って何とも言えないわ。もしかしたら明日には起きているかもしれないし、下手をしたら一か月経過しても目を覚まさないかもしれないらしいわ」
「そんな……」
「……どうにもならないの?」
「残念ながら私でもどうにもできないわ」
ミイナはマリアに縋りつくが、そんな彼女にマリアは首を振る。マリアとしてもバルルの事は心配だが、いくら彼女がこの国一番の魔術師だとしてもどうしようもできない事もある。
マオはベッドに横たわったまま目を覚まさないバルルに歯を食いしばり、彼女をここまで追い詰めた犯人が許せなかった。冒険者狩りだか何だか知らないが、自分の師をここまで追い詰めた相手に激しい怒りを抱く。
(師匠……必ず、仇は取ります!!)
意識が戻らないバルルに対してマオは彼女をこんな姿にした相手を許せず、弟子として師匠の仇を取る事を誓う。そんな彼に対してマリアは思い出したように言葉をかけた。
「そういえば……現場に残っていたのは犯人の手掛かりを示した文章だけじゃないそうよ。多分、貴方達に当てた言葉も書き記されていたわ」
「えっ!?」
「バルルが私達に……?」
「内容は「しくじった、あんたらは無茶するんじゃないよ」と書かれていたそうよ……」
バルルが手がかりの他に書き残した文章を知らされたマオとミイナは顔を合わせ、自分が怪我を負いながらも最後に弟子である自分達に伝言を残した彼女に二人は決意する。
(すいません、師匠……その言葉だけは聞き入れられません)
普段のマオならば師匠であるバルルの命令には素直に従っていた。しかし、今回ばかりはいくらバルルの言葉でも従えられない。彼女を傷つけた犯人を許せるはずがなく、例えバルルの意思に反するとしてもマオは犯人を見つけ出して捕まえる事を誓う――
――担当教師であったバルルが入院したため、一時的にマオとミイナは各学年の生徒と共に授業を受ける事になった。マオの場合は一年生の担当教師であるカマセの元で他の一年生と共に授業を受ける事になり、二年生のミイナは二年生の担当教師の元で授業を受ける事に決まった。
もしもバルルが目を覚まさなかった場合、二人は今後は別々の教室で各学年の教師の元で勉強を受ける事になる。だが、二人にとって師と呼べる存在はバルルだけだった。
(……今は我慢するしかないんだ。勝手に学園の外に出れば問題になる)
他の生徒と共にマオは授業を受け、表向きは真面目に授業に取り組む。しかし、彼はバルルを傷つけた犯人を必ず捕まえるため、これからの計画を練る。
(きっとミイナも犯人を捕まえようとするはずだ。でも、勝手に学園を抜け出せば謹慎処分かあるいは退学になるかもしれない。なら、学校の人間にバレないように行動するには……夜しかない)
明るい間はマオは真面目な生徒として振舞い、他の生徒や教師から怪しまれないように行動する。気のせいかもしれないがマオは授業中に視線を感じる事が多々あった。もしかしたら学園長の指示で教師たちがマオ達の動向を監視しているのかもしれない。
学園長であるマリアはバルルが残した伝言を把握しており、彼女のためにもマオとミイナには勝手な行動をさせないように教師達に見張りをさせている可能性があった。しかし、マオはその程度の事で諦めるつもりはなく、彼は何としても犯人を見つけ出して捕まえるためにミイナと協力して学園の脱出方法を模索する。
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