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魔法学園編

第254話 決戦の刻

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徐々に縮小化していく火球を見てマオは三又の杖を握りしめ、一方でリオンは魔剣に手を伸ばす。マオはリオンに狙いを定め、彼が動く前に魔法を発動させて捕える準備を行う。そして下級が消え去った瞬間、マオは杖を突き出して魔法を放つ。


「はああっ!!」
「っ!?」


三又の杖を繰り出してマオは三つの氷塊を同時に発現させると、それを確認したリオンは警戒するように魔剣を引き抜く。この時にマオはリオンが近付く前に次々と氷塊を作り出し、それらを繋ぎ合わせて鎖の形へと変えていく。


「できた!!」
「何をっ……!?」


数秒ほどでマオは氷の鎖を完成させると、リオンは氷塊の形状を見て驚いた表情を浮かべる。意表を突かれた事でリオンはマオの行動を止める事ができず、マオは氷鎖を放つ。

空中に浮かぶ氷鎖はリオンの元に目掛けて突っ込み、それを見たリオンは咄嗟に魔剣を振り払う。しかし、鋼鉄以上の強度を誇る氷鎖は簡単には壊れず、逆に蛇のように刀身に巻き付く。


「よし!!」
「ちぃっ!?」
「おっしゃっ!!そのまま武器を奪え!!」
「杖を失っても負けなら武器を失っても負け……でしょ?」
「ええ、そうね」
「そうなのかい!?」


魔剣に氷鎖が絡みついたのを見てマオは思わず歓喜の声を上げ、本来であればリオンを拘束するために作り出した魔法だが、武器を奪ってもマオの勝利となる。魔剣を奪われればリオンであろうと魔法は扱えず、彼は対抗手段を失う。

氷鎖を操作してマオは魔剣を彼から奪い取ろうとすると、リオンは力を込めて引き剥がそうとした。しかし、マオの意思に応じて動く氷鎖は並大抵の力では引き剥がせず、徐々に魔剣はマオの元に引き寄せられていく。


「リオン、手を離せ!!」
「ふざけるな!!この程度の事で……俺に勝ったつもりか!?」
「なっ!?」
「お、おい!?何が起きてるんだ!?」


魔剣を手にしたリオンは目を見開くと、刀身部分に風の魔力が纏う。それを見たバルトは驚きの声を上げ、一方でマリアとバルルは目つきを鋭くさせる。


「これは……」
「マオ、調子に乗るんじゃないよ!!そいつは只の剣じゃないんだ!!」
「はぁあああっ!!」
「くっ……うわっ!?」


リオンは魔剣の刀身部分に風の魔力を纏わせる事でまとわりついていた氷鎖を引き剥がそうとするが、それに気づいたマオは負けじに氷鎖の拘束力を強める。しかし、刀身から吹き溢れる風圧に耐え切れずに氷鎖は吹き飛ぶ。

氷鎖は元々は複数の氷塊を繋ぎ合わせた代物のため、風圧を受けた事で分離して散らばってしまう。氷鎖が離れるとリオンは魔剣を振りかざし、マオに目掛けて刃を振り下ろす。


「スラッシュ!!」
「うわっ!?」


刃を振り下ろした方向に魔剣に纏っていた風の魔力が解き放たれ、風の斬撃と化してマオの元へ向かう。それを見たマオは咄嗟に横に飛んで回避すると、風の斬撃は結界に衝突して周囲に風圧が広がる。


(今のはスラッシュ!?まさか、あの剣から魔法が撃てるのか!?)


スラッシュの魔法は何度も見た事があるマオだったが、まさか杖からではなく剣から繰り出されるとは想像もした事なかった。一方でリオンは風の魔力を再び刀身に纏わせると、マオに目掛けて今度は連続で風の斬撃を放つ。


「ふっ、はっ、やああっ!!」
「やべぇっ!?マオ、避けろ!!」
「動いて!!止まらないで!!」
「くっ!?」


威力を弱める事でリオンは風の斬撃を連続で繰り出し、その攻撃に対してマオは試合場を走り回って攻撃を避ける。次々と風の斬撃が試合場を取り囲む結界に衝突し、四散する際に風圧が広がる。


(まずい、このままだと逃げ切れない……うわっ!?)


結界に衝突した風の斬撃が風圧とかしてマオに襲い掛かり、彼は後ろから風圧を受けて転んでしまう。それを見たリオンは魔剣を振りかざして止めの一撃を繰り出そうとした。


「これで終わりだ!!」
「くぅっ……まだだ!!」
「何っ!?」


迫りくる風の斬撃に対してマオは杖を振り払うと、先ほど分離した氷鎖の破片を引き寄せる。氷鎖は先ほどリオンの魔剣に破壊されたわけではなく、あくまでも結合部分が引き剥がされただけに過ぎない。

無数の氷塊が重なり合って氷の盾と化すと、リオンの繰り出した風の斬撃を受けて吹き飛ぶ。どうにか受け切る事に成功したが、マオは風の斬撃を受けて粉々に砕け散った氷塊を見てリオンに杖を繰り出す。


「散弾《ショット》!!」
「ぐっ!?」


氷の礫と化した無数の氷塊を操作してリオンに放つと、彼は迫りくる氷の欠片から身を守るために魔剣を構えた。彼は迫りくる氷の礫を見て魔剣を振りかざし、その力を遂に解放した。


「烈火斬!!」
「うわっ!?」
「な、何だと!?」
「炎!?」
「そんな馬鹿なっ……!?」


刀身に炎を纏わせるとリオンは魔剣を振り払って無数の氷の礫を蒸発させる。その光景を見ていた者達は驚き、彼とは古い付き合いであるバルルでさえも目の前の光景が信じられなかった。
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