37才にして遂に「剣神」の称号を得ましたが、20年前に自分を振った勇者のパーティのエルフの女剣士に今更求婚されました。

カタナヅキ

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親子の和解

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「――うう、ドキドキしてきたね。アリアちゃん」
「あ、ああ……そうだな」


レオの方から会いたいという連絡を受けたアリアは内心嬉しく思いながらも冒険者ギルドの方へと立ち寄ると、何故かそこにはバルカン王国の姫であるマリアも存在した。しかも彼女だけではなく、自分の母親であるアトラス大森林の女王とバルトロス王国の国王の姿まであった。

いったい何がどうなってこの面子が集まったのかアリアは戸惑うが、まずは先ほどからチラチラと見つめてくる母親に話しかける事にした。一応は最初に部屋に入ってきたときに話しかけたのだが、考え事をしているようだったので挨拶もそこそこにアリアはレオが来るのを待っていたのだが、流石に沈黙に耐え切れずに母親と話し合う。


「あ、あの……母上」
「……アリア、少し貴女と話があります」
「は、はい!!」


以前に別れた時は国から追い出された時だったため、彼女は背筋を伸ばして女王と向かい合う。まさか自分が未だにレオとの関係が進展していない事を知られ、説教をしに来たのかと思ったが、女王はため息を吐き出すと最初に謝罪を行う。


「色々と考えましたが、私も少し冷静ではなかったようです。貴女の気持ちもよく考えずにレオ殿の元へ向かえなどといった事は謝りましょう」
「えっ……?」
「貴女は王女という立場でありながら自分勝手な生き方をしようとした事は許される事ではありません。ですが、私も母親として貴女の事が心配だったのです……強い子に育てようと貴女に剣の修行を課したのも私の判断、貴女がそのように育ってしまったのは私の責任でもあります」
「母上……」
「アリア、正直に答えなさい。貴方は今でもレオ殿の事を愛しているのですか?20年の月日を重ねて年老いた彼を見ても愛していると言えますか?」
「勿論です!!」


女王の言葉にアリアは即答し、どれほどの年月が経過しようと彼女が自分が愛する相手はレオである事を決めていた。仮にレオが老人になっていようと彼女は彼以外を愛する事など有り得ず、もしもレオが他の人物と結婚したとしても彼女がレオ以上に愛する人間などいないことは間違いない。

娘の言葉を聞いて女王は頷き、国を纏める王としてではなく、一人の母親として娘の恋路を応援する事を決めた。それに相手が勇者と呼ばれていた人物ならば女王としても反対する理由がなかった。


「分かりました。ではこれからは貴女の好きにしなさい、彼と共に生きるか、あるいは剣の道を貫くか……もう貴女は自由です」
「本当ですか母上!?」
「但し、もしもレオ殿と結婚する場合は当然ですが私にも報告しなさい。その時は貴方達の子供を我が国の世継ぎとして迎え入れましょう。貴女と彼が我が国に戻るのであれば私はいつでも歓迎します」
「は、はい!!」


思いもよらぬ女王の言葉にアリアは頭を下げると、女王は自分もまだまだ甘いと考えながらも娘の意思を尊重する。一方でマリアの方も国王と何事か話し合っている様子らしく、傍には大臣の姿も存在した。


「の、のうマリア……その、レオの奴とこれから会うのは嬉しい事は分かっているが、せめてもっとちゃんとした服を着ないか?」
「え~!?この服、お父さんが可愛いって言ってくれたのに!!」
「だからといって見合い話の時にゴスロリを着るのはどうかと……」
「もう、お父さんはいつもわがままばっかり!!私を誰とも結婚させないとか言ってたくせに、最近は男の人ばっかり紹介してきて!!」
「お、落ち着いてください姫様!!」
「……あちらはあちらで大変そうですね。まあ、自業自得ですが」


実年齢の割には精神年齢が未だに10代の頃のままであるマリアに国王と大臣は手を焼いており、その様子を見て女王はため息を吐き出す。マリアの性格があのままなのは親ばかである国王の責任であるため、決して同情はしないが。

一方でアリアの方も母親と若い出来た事で嬉しく思う一方、彼女は思い悩む。レオと添い遂げたいという気持ちはあるが、剣士として生涯を全うしても構わないという言葉に彼女は悩む。20年前、アリアはレオを振ってしまった。その事が原因で彼女はレオに罪悪感を覚え、今更自分が交際を申し込むなど出来なかった。

しかし、この20年間の間にアリアはレオに会えない事で彼への想いが増々強くなり、今では剣士としての生き様を貫くか、女としての幸せを掴むかで悩んでいた。仮にレオが他の女性と結ばれていたのならばきっぱりと諦められたかもしれないが、そのレオは未だに誰と結婚していない。


(よし……こうなったら正直に思いを打ち明けよう。レオが受け入れてくれるのならばそれで良し、断れたのならば……もう諦めよう)


仮に自分が降られたとしてもレオ以外の男性を愛する日が来るとは思えないが、それでも彼女はけじめをつけるためにレオに告白する事を決意した。




※半年以上更新を空けてしまい、申し訳ありません……
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