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廃墟編
閑話 〈大臣の末路〉
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――レアがダマランの手で追放された後、帝都は大混乱に陥った。勇者召喚によって訪れた異界人の一人が姿を消し、同日に帝国のダマランが倒れた事が原因だった。彼はレアが転移した直後、謎の病に陥って昏睡状態に陥り、今現在も城の医療室で集中治療を受けている。
「ううっ……くれ……許して……」
「大臣!!儂の声が聞こえぬのか!!返事をしろ!!」
「陛下、落ち着いてください!!大臣はもう……」
「ぬううっ……やはり伝承は正しかったというのか、あの異界人を追放したせいでこんなことになるとは」
ベッドで枯れ木のようにやせ細ったダマランに皇帝は声を掛けるが、彼はうわ言のように謝罪を行うだけで反応を示さず、意識を取り戻す様子はない。そんな彼の姿に皇帝は頭を抑え、大臣が衰弱した理由を彼は「異界人」のレアを追放した事が原因だと推察した。
「異界人を無碍に扱えば大きな災いが陥るという伝承が本当だったとは……医療長よ、大臣の容態をもう一度説明してくれぬか?」
「はい。検査の結果、大臣は極度の魔力の枯渇状態に陥っています。低レベルの魔術師が無理に高度な魔法を使用した時のように肉体と精神が披露し、現在の姿に変わったとしか考えられません」
「信じられんな。大臣は若い頃は我が国でも一番のの魔術師だったのぞ……それがこの有様とは」
「普通ならば身体を休ませれば魔力は回復します。しかし、どういう事なのか大臣の現在のレベルは1に低下しており、魔力の回復速度が極端に落ちています。意識が目覚めないのは魔力の回復に時間が掛かり過ぎているせいかと思われます」
「レベルが低下するなど普通ならば有り得ん。そんな話、聞いた事もない。他の者はどうだ?」
「大臣に従っていた兵士の方々には特に変化はありません。しかし、今の大臣の姿を見た者は怖がるように陽光教会に訪れては行方不明の異世界人の少年が生きていることを祈っています。最近では大臣の衰弱の原因は例の少年に危険に遭わせた事だと信じ切っています」
「うむ。そのせいで民衆の間にも大臣の凶行が知れ渡っておる……何という事だ」
ダマランの仕出かした行為は許されるはずがなく、召喚に巻き込まれた異世界人を理不尽に追放し、危険な転移魔法で外部に送り届けようとした事は既に帝都中に広まっていた。
ダマランに従っていた人間達は今の彼の姿を見て次は自分の番ではないかと考え、災いが降りかかる前に皇帝に白状した。皇帝は急いでレアの捜索を命じたが、未だに進展はない。
「他の勇者の様子はどうだ?」
「少年の件は彼等の耳にも既に届いています。自分達に巻き込まれただけの少年が行方不明と聞いて相当に衝撃を受けたようです。特にダイチ様は自分達も捜索に参加したいと申し出ていますが……」
「あの少年は彼等の知り合いではなかったのでは?」
「私もそう申したのですが、自分達のせいで召喚に巻き込まれた彼を見捨てることはできないと言っています。バルト将軍が説得してどうにか現在は訓練に励んでいますが、少年の安全を祈っています」
「そうか。例の噂を勇者達に知られないようにしなければ……」
レアをダマランが追い出した一件で他の勇者たちが帝国に不信感を抱くのではないかと皇帝は恐れており、彼等が国を見限った場合、帝国は大きな損失を負う。
異界人を召喚するために貴重な召喚石を利用し、更に異界人である彼等に危害を与えれば現在のダマランのように無事では済まなくなることが判明した以上、彼等は決してぞんざいに扱ってはいけない人材であり、どうにか友好的な関係を築かねばならない。
「どうにか例の少年の行方は分からないのか?」
「現在、帝都の兵士を総動員して捜索を行っていますが未だに成果はありません。そもそも少年の容姿を詳しく覚えている者がいないので……」
「むうっ……写生の能力を持っている人間がいれば良かったのだが……」
勇者ならばともかく、あくまでも彼等に巻き込まれた存在であるレアの容姿を詳しく覚えている者がいない事も仇となり、彼がこの城の中に存在した時間は意外と短い。この世界にはカメラは存在しないので似顔絵で手配書を行っている。
厄介なのは大臣がレアに使用した転移魔法が「無作為転移」と呼ばれる危険な魔法であり、この魔法を受けた人間は世界中の何処かに飛ばされてしまう。その何処かというのが特定する手段が存在せず、もしかしたら他国に転移している可能性もあった。
「どうにか見つけ出さなければ……しかし、少年が追放されたと思い込んでいたら我々を警戒しているかもしれん。すぐに国境に連絡を送り、国外に出向こうとする人間の中に少年がいれば何としても引き留めるのだ!!」
「既に連絡済みです。しかし……そもそも生きているのでしょうか?」
「……そこが一番の問題だな」
二人は大きなため息を吐き出し、そして騒動の原因であるダマランを睨みつけ、衰弱状態でなければ殴り飛ばしていた所だった。仮にダマランが元気になったところで罰則は免れず、少なくとも現在の役職のままでいられる事はない。
「ともかく、少年の捜索を続けろ。そして今回の一件は全てダマランの独断行動だと情報操作を行え」
「え!?ですがそれは……」
「それ以外に方法はない。そもそも儂の忠告を無視して勝手に行動を取ったのはこやつの責任だ!!」
「わ、分かりました!!」
今回の事件は全てダマランの責任に負わせ、皇帝は即刻にダマランを大臣から解任させた――
「ううっ……くれ……許して……」
「大臣!!儂の声が聞こえぬのか!!返事をしろ!!」
「陛下、落ち着いてください!!大臣はもう……」
「ぬううっ……やはり伝承は正しかったというのか、あの異界人を追放したせいでこんなことになるとは」
ベッドで枯れ木のようにやせ細ったダマランに皇帝は声を掛けるが、彼はうわ言のように謝罪を行うだけで反応を示さず、意識を取り戻す様子はない。そんな彼の姿に皇帝は頭を抑え、大臣が衰弱した理由を彼は「異界人」のレアを追放した事が原因だと推察した。
「異界人を無碍に扱えば大きな災いが陥るという伝承が本当だったとは……医療長よ、大臣の容態をもう一度説明してくれぬか?」
「はい。検査の結果、大臣は極度の魔力の枯渇状態に陥っています。低レベルの魔術師が無理に高度な魔法を使用した時のように肉体と精神が披露し、現在の姿に変わったとしか考えられません」
「信じられんな。大臣は若い頃は我が国でも一番のの魔術師だったのぞ……それがこの有様とは」
「普通ならば身体を休ませれば魔力は回復します。しかし、どういう事なのか大臣の現在のレベルは1に低下しており、魔力の回復速度が極端に落ちています。意識が目覚めないのは魔力の回復に時間が掛かり過ぎているせいかと思われます」
「レベルが低下するなど普通ならば有り得ん。そんな話、聞いた事もない。他の者はどうだ?」
「大臣に従っていた兵士の方々には特に変化はありません。しかし、今の大臣の姿を見た者は怖がるように陽光教会に訪れては行方不明の異世界人の少年が生きていることを祈っています。最近では大臣の衰弱の原因は例の少年に危険に遭わせた事だと信じ切っています」
「うむ。そのせいで民衆の間にも大臣の凶行が知れ渡っておる……何という事だ」
ダマランの仕出かした行為は許されるはずがなく、召喚に巻き込まれた異世界人を理不尽に追放し、危険な転移魔法で外部に送り届けようとした事は既に帝都中に広まっていた。
ダマランに従っていた人間達は今の彼の姿を見て次は自分の番ではないかと考え、災いが降りかかる前に皇帝に白状した。皇帝は急いでレアの捜索を命じたが、未だに進展はない。
「他の勇者の様子はどうだ?」
「少年の件は彼等の耳にも既に届いています。自分達に巻き込まれただけの少年が行方不明と聞いて相当に衝撃を受けたようです。特にダイチ様は自分達も捜索に参加したいと申し出ていますが……」
「あの少年は彼等の知り合いではなかったのでは?」
「私もそう申したのですが、自分達のせいで召喚に巻き込まれた彼を見捨てることはできないと言っています。バルト将軍が説得してどうにか現在は訓練に励んでいますが、少年の安全を祈っています」
「そうか。例の噂を勇者達に知られないようにしなければ……」
レアをダマランが追い出した一件で他の勇者たちが帝国に不信感を抱くのではないかと皇帝は恐れており、彼等が国を見限った場合、帝国は大きな損失を負う。
異界人を召喚するために貴重な召喚石を利用し、更に異界人である彼等に危害を与えれば現在のダマランのように無事では済まなくなることが判明した以上、彼等は決してぞんざいに扱ってはいけない人材であり、どうにか友好的な関係を築かねばならない。
「どうにか例の少年の行方は分からないのか?」
「現在、帝都の兵士を総動員して捜索を行っていますが未だに成果はありません。そもそも少年の容姿を詳しく覚えている者がいないので……」
「むうっ……写生の能力を持っている人間がいれば良かったのだが……」
勇者ならばともかく、あくまでも彼等に巻き込まれた存在であるレアの容姿を詳しく覚えている者がいない事も仇となり、彼がこの城の中に存在した時間は意外と短い。この世界にはカメラは存在しないので似顔絵で手配書を行っている。
厄介なのは大臣がレアに使用した転移魔法が「無作為転移」と呼ばれる危険な魔法であり、この魔法を受けた人間は世界中の何処かに飛ばされてしまう。その何処かというのが特定する手段が存在せず、もしかしたら他国に転移している可能性もあった。
「どうにか見つけ出さなければ……しかし、少年が追放されたと思い込んでいたら我々を警戒しているかもしれん。すぐに国境に連絡を送り、国外に出向こうとする人間の中に少年がいれば何としても引き留めるのだ!!」
「既に連絡済みです。しかし……そもそも生きているのでしょうか?」
「……そこが一番の問題だな」
二人は大きなため息を吐き出し、そして騒動の原因であるダマランを睨みつけ、衰弱状態でなければ殴り飛ばしていた所だった。仮にダマランが元気になったところで罰則は免れず、少なくとも現在の役職のままでいられる事はない。
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「それ以外に方法はない。そもそも儂の忠告を無視して勝手に行動を取ったのはこやつの責任だ!!」
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