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廃墟編
草原での一夜
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「……駄目だ眠れない。イリス、悪いけど子守歌か昔話してくれない?」
「子供ですかっ?歌は得意ですけど、夜に騒いでいたら魔物が引き寄せちゃいますから我慢してください」
「しょうがないな……じゃあ、やっぱり俺が先に起きて置くからリリスが休んでよ」
「良いんですか?それなら遠慮なく……あ、襲わないでくださいよ」
「朝、起きた時に俺と馬車と荷物が無くなってるかもしれないな」
「それだけは辞めてくださいっ」
見張り役を交代してイリスが先に横になり、レアが見張り役として身体を起こす。見張りを行いがてらにステータス画面を開き、今の内に役立ちそうなスキルを探す。
「大分魔物を倒したからな……レベルも上昇してるな」
廃墟を抜け出す際にゴブリンメイジやホブゴブリンを倒していたので彼のレベルも上昇していた。
――霧崎レア――
職業:剣士
性別:男性
レベル:10
SP:100
――――――――
能力値
体力:10000
魔力:10000
腕力:15000
脚力:15000
魔法威力:10000
魔法耐性:10000
幸運値:10000
――――――――
ここまでの道中でそれなりに魔物を倒してきたつもりだが、レアのレベルは10のままに固定されており、能力値も改竄した数字のままだった。ホブゴブリンやゴブリンメイジは普通の魔物よりも強敵だったので経験値も多く手に入ったのではないかと思ったが、特に変わりがない事にレアは疑問を抱く。
「あれ?レベルが上がってないな。まだ経験値が足りないのかな……まあ、別にいいか」
レベルが上昇した所で上昇する能力値は限られており、それぐらいならば文字変換の能力で数値を変化させた方が効率が良い。あまりレベルに関しては気にしない事に決め、レアは寝息を立てているイリスに視線を向ける。彼女と行動を共にしている間はイリスが危機に陥らないように気を配る必要があり、実際に彼女自身も戦闘では役に立てないと宣言しているため、魔物が現れた時はイリスの身を守らなければならない。
「絶対に守らないと……」
もう何人も人間の死体を目撃しており、レアは自分の目の前でゴブリンに殺された男性を思い出す。もう二度と目の前で人を死なせないため、彼は意を決して自分の力を強化するためにSPを消費してスキルの習得を行う。
「慎重に選ばないとな。お、これは便利そうだな」
『地図製作(固有)――今までに訪れた場所を記録し、地図の画面を任意で表示させる。感知系のスキルを所持していた場合、画面上に生物の反応も表示される』
『気配感知(技能)――生物の位置を把握する』
『魔力感知(技能)――魔力を所有する生物の位置を把握できる』
未収得スキル一覧からこの状況で役立ちそうなスキルを発見し、慎重に説明文を確認してレアはスキルを習得する。
「えっと、どう使うんだろう……地図製作」
スキルを習得した後に彼が能力名を唱えた瞬間、視界にステータス画面とは異なる画面が表示され、地図というよりは「レーダー」を想像させる画面だった。画面の中央にはレアの現在地を表示していると思われる「黄色」の点が存在し、少し離れた位置にリリスと馬車の傍で待機している馬達と思われる「青色」の点が表示されていた。
「おお、これは便利だな。説明文通りなら感知系の能力を覚えた事でマークが表示されているんだな」
画面に表示された地図の範囲をレアは自分とイリスと馬達の反応の位置から予測し、自分を中心とした半径10メートル範囲の範囲が画面に表示されている事に気付く。また、画面を指先で操作する事が可能であり、範囲外の場所も表示する事は出来るが、まだ訪れていない場所は白色の空間で覆われており、まだ訪れていない場所は把握できない事を知る。
「これがあれば見張りも便利だな……少なくとも他の魔物はいないみたいだな」
「むにゃごろすぴきゅ~……」
「うわ、びっくりした。魔物の鳴き声だと思った……どんな寝言だ」
レアは地図製作の画面を確認しながら見張りを行い、仮に敵が現れた場合は地図の画面に敵反応が表示されるため、定期的に確認しながら拳銃と狙撃銃の手入れを行い、序に弾丸を利用して様々な製作を行う。
「薬品はこれぐらいで十分かな。これだけあれば万が一の場合は大丈夫だろうし……」
イリスのために拳銃の弾丸を利用して作り出した「魔力回復薬」に視線を向け、レアは合計で10本の薬品を作り出す。回復には多少の時間が掛かるが魔力を回復させる事が出来る貴重な薬品らしく、村や町に赴いた時に売却して金銭に換えられる可能性も十分に高い。元手は只と言うのが素晴らしく、どんな値段だろうとレアが損する事はない。
「拳銃はホルスターに収めて持ち帰れるけど、狙撃銃は運ぶと目立つし面倒だな」
馬車の中に横たわる狙撃銃にレアは視線を向け、性能は優れているが持ち運びが不便であり、先程作り出したばかりの魔力回復薬に関しても能力で作り出した木箱に収めているが、運ぶのは面倒である。
「鞄とかリュックでも作ろうかな……あ、そうだ。俺もアイテムボックスを覚えればいいか」
何もない空間から物体の収納を行える先程のイリスの能力を思い出し、ステータス画面を開く。彼女の話では「アイテムボックス」を覚える事が出来るのは魔術師の職業の人間だけだと説明したため、職業の項目を「剣士」から「魔術師」に変更させてスキルの習得を行う。
「あれ?疾風剣と剣術のスキルの表示の色が変わってる……職業を変更したせいか?」
職業を変更した影響なのか一部のスキルの色表示が変化してしまい、試しにレアは日本刀を引き抜き、疾風剣の戦技を発動させようとする。
「疾風剣!!あれ、疾風剣!!」
普段ならば名前を呟くだけで発動する戦技が扱えず、何度か剣を振るが結局は失敗に終わり、どうやら剣士の職業でなくなった事から剣の戦技と技能が扱えなくなったらしい。
「しまった……まあ、別にいいか。あんまり使う機会なかったし……それよりもアイテムボックスだ」
『アイテムボックス(固有)――異空間に物体を収納する魔法。液体は不可能だが個体の場合も収納可能であり、制限重量はレベルの数に応じて変化する。現在の制限重量は「100kg」 使用条件:魔術師の職業を習得』
無事に「アイテムボックス」を習得するとレアは使用条件の項目の文章に視線を向け、即座に文字変換の能力を発動させて条件を書き換える事が出来ないのかを試す。
『使用条件:魔術師の職業を習得』
「これでいいかな」
『使用条件:特になし』
「よしっ……やった。問題なさそうだ」
文章を変更した瞬間、レアは即座に職業を「剣士」に戻してステータス画面を確認すると、先ほどまで赤色で表示されていた「疾風剣」と「剣術」のスキルが元の色に戻り、新しく覚えた「アイテムボックス」も特に変色はしていなかった。恐らくはこれで問題なく、レアは掌を前に差し出して先ほどのイリスが魔法を使用していた光景を思い返し、魔法名を告げた。
「アイテムボックス……お、成功か?」
レアの目の前に「黒色の渦巻き」が誕生し、試しに魔力回復薬を詰めた木箱を渦巻きの中に近づけると、まるで水の中に落としたようにゆっくりと木箱が沈んだ。
「へえ、これは便利だな。お、収納した物も分かるのか」
――リスト――
・木箱――木造製の木箱 ×1
・魔力回復薬 ×10
―――――――
視界に「リスト」という名前の新しい画面が表示され、アイテムボックスに収納した物体を調べられる事が判明する。
「子供ですかっ?歌は得意ですけど、夜に騒いでいたら魔物が引き寄せちゃいますから我慢してください」
「しょうがないな……じゃあ、やっぱり俺が先に起きて置くからリリスが休んでよ」
「良いんですか?それなら遠慮なく……あ、襲わないでくださいよ」
「朝、起きた時に俺と馬車と荷物が無くなってるかもしれないな」
「それだけは辞めてくださいっ」
見張り役を交代してイリスが先に横になり、レアが見張り役として身体を起こす。見張りを行いがてらにステータス画面を開き、今の内に役立ちそうなスキルを探す。
「大分魔物を倒したからな……レベルも上昇してるな」
廃墟を抜け出す際にゴブリンメイジやホブゴブリンを倒していたので彼のレベルも上昇していた。
――霧崎レア――
職業:剣士
性別:男性
レベル:10
SP:100
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能力値
体力:10000
魔力:10000
腕力:15000
脚力:15000
魔法威力:10000
魔法耐性:10000
幸運値:10000
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ここまでの道中でそれなりに魔物を倒してきたつもりだが、レアのレベルは10のままに固定されており、能力値も改竄した数字のままだった。ホブゴブリンやゴブリンメイジは普通の魔物よりも強敵だったので経験値も多く手に入ったのではないかと思ったが、特に変わりがない事にレアは疑問を抱く。
「あれ?レベルが上がってないな。まだ経験値が足りないのかな……まあ、別にいいか」
レベルが上昇した所で上昇する能力値は限られており、それぐらいならば文字変換の能力で数値を変化させた方が効率が良い。あまりレベルに関しては気にしない事に決め、レアは寝息を立てているイリスに視線を向ける。彼女と行動を共にしている間はイリスが危機に陥らないように気を配る必要があり、実際に彼女自身も戦闘では役に立てないと宣言しているため、魔物が現れた時はイリスの身を守らなければならない。
「絶対に守らないと……」
もう何人も人間の死体を目撃しており、レアは自分の目の前でゴブリンに殺された男性を思い出す。もう二度と目の前で人を死なせないため、彼は意を決して自分の力を強化するためにSPを消費してスキルの習得を行う。
「慎重に選ばないとな。お、これは便利そうだな」
『地図製作(固有)――今までに訪れた場所を記録し、地図の画面を任意で表示させる。感知系のスキルを所持していた場合、画面上に生物の反応も表示される』
『気配感知(技能)――生物の位置を把握する』
『魔力感知(技能)――魔力を所有する生物の位置を把握できる』
未収得スキル一覧からこの状況で役立ちそうなスキルを発見し、慎重に説明文を確認してレアはスキルを習得する。
「えっと、どう使うんだろう……地図製作」
スキルを習得した後に彼が能力名を唱えた瞬間、視界にステータス画面とは異なる画面が表示され、地図というよりは「レーダー」を想像させる画面だった。画面の中央にはレアの現在地を表示していると思われる「黄色」の点が存在し、少し離れた位置にリリスと馬車の傍で待機している馬達と思われる「青色」の点が表示されていた。
「おお、これは便利だな。説明文通りなら感知系の能力を覚えた事でマークが表示されているんだな」
画面に表示された地図の範囲をレアは自分とイリスと馬達の反応の位置から予測し、自分を中心とした半径10メートル範囲の範囲が画面に表示されている事に気付く。また、画面を指先で操作する事が可能であり、範囲外の場所も表示する事は出来るが、まだ訪れていない場所は白色の空間で覆われており、まだ訪れていない場所は把握できない事を知る。
「これがあれば見張りも便利だな……少なくとも他の魔物はいないみたいだな」
「むにゃごろすぴきゅ~……」
「うわ、びっくりした。魔物の鳴き声だと思った……どんな寝言だ」
レアは地図製作の画面を確認しながら見張りを行い、仮に敵が現れた場合は地図の画面に敵反応が表示されるため、定期的に確認しながら拳銃と狙撃銃の手入れを行い、序に弾丸を利用して様々な製作を行う。
「薬品はこれぐらいで十分かな。これだけあれば万が一の場合は大丈夫だろうし……」
イリスのために拳銃の弾丸を利用して作り出した「魔力回復薬」に視線を向け、レアは合計で10本の薬品を作り出す。回復には多少の時間が掛かるが魔力を回復させる事が出来る貴重な薬品らしく、村や町に赴いた時に売却して金銭に換えられる可能性も十分に高い。元手は只と言うのが素晴らしく、どんな値段だろうとレアが損する事はない。
「拳銃はホルスターに収めて持ち帰れるけど、狙撃銃は運ぶと目立つし面倒だな」
馬車の中に横たわる狙撃銃にレアは視線を向け、性能は優れているが持ち運びが不便であり、先程作り出したばかりの魔力回復薬に関しても能力で作り出した木箱に収めているが、運ぶのは面倒である。
「鞄とかリュックでも作ろうかな……あ、そうだ。俺もアイテムボックスを覚えればいいか」
何もない空間から物体の収納を行える先程のイリスの能力を思い出し、ステータス画面を開く。彼女の話では「アイテムボックス」を覚える事が出来るのは魔術師の職業の人間だけだと説明したため、職業の項目を「剣士」から「魔術師」に変更させてスキルの習得を行う。
「あれ?疾風剣と剣術のスキルの表示の色が変わってる……職業を変更したせいか?」
職業を変更した影響なのか一部のスキルの色表示が変化してしまい、試しにレアは日本刀を引き抜き、疾風剣の戦技を発動させようとする。
「疾風剣!!あれ、疾風剣!!」
普段ならば名前を呟くだけで発動する戦技が扱えず、何度か剣を振るが結局は失敗に終わり、どうやら剣士の職業でなくなった事から剣の戦技と技能が扱えなくなったらしい。
「しまった……まあ、別にいいか。あんまり使う機会なかったし……それよりもアイテムボックスだ」
『アイテムボックス(固有)――異空間に物体を収納する魔法。液体は不可能だが個体の場合も収納可能であり、制限重量はレベルの数に応じて変化する。現在の制限重量は「100kg」 使用条件:魔術師の職業を習得』
無事に「アイテムボックス」を習得するとレアは使用条件の項目の文章に視線を向け、即座に文字変換の能力を発動させて条件を書き換える事が出来ないのかを試す。
『使用条件:魔術師の職業を習得』
「これでいいかな」
『使用条件:特になし』
「よしっ……やった。問題なさそうだ」
文章を変更した瞬間、レアは即座に職業を「剣士」に戻してステータス画面を確認すると、先ほどまで赤色で表示されていた「疾風剣」と「剣術」のスキルが元の色に戻り、新しく覚えた「アイテムボックス」も特に変色はしていなかった。恐らくはこれで問題なく、レアは掌を前に差し出して先ほどのイリスが魔法を使用していた光景を思い返し、魔法名を告げた。
「アイテムボックス……お、成功か?」
レアの目の前に「黒色の渦巻き」が誕生し、試しに魔力回復薬を詰めた木箱を渦巻きの中に近づけると、まるで水の中に落としたようにゆっくりと木箱が沈んだ。
「へえ、これは便利だな。お、収納した物も分かるのか」
――リスト――
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