文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

量産化計画

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――ログハウスから抜け出したレアはアイテムボックスの画面を開き、まずは異空間に収納されている物体のリストを確認して不要な物を判断する。


「結構回収してるな、どれがいいかな?」


――リスト(制限重量:無限)――

・狙撃銃     ×1
・散弾銃     ×1
・弾丸(ハンドガン)×30
・日本刀     ×1
・鍋       ×1
・電灯      ×1
・寝袋      ×1
・スマートフォン ×2
・毛布      ×2
・魔力回復薬   ×10

・鉄貨      ×999
・銅貨      ×999
・銀貨      ×999
・金貨      ×999


―――――――――――――――


リスト画面にはこれまでに文字変換で作り出した物体名と個数が表示されており、その中で一番に不要な物と思われるのは「寝袋」で間違いない。既に家は手に入れており、移動の時もキャンピングカーを用意すれば毛布は必要はなく、これを利用してレアは戦力強化のために文字変換の能力を発動させた。


「こんな感じかな」


――リスト(制限重量:無限)――

・ロボ・ゴーレム ×100体

―――――――――――――――


ハンドガンの弾丸に解析の能力を発動させて画面を改造するよりも、アイテムリストの画面を利用して改造する方が効率的であると判断し、レアは寝袋の項目の文章を変換させると異空間からロボ・ゴーレムの大群を生み出す。


「よし、出てこい!!」
「これは……凄い」
『ゴロロッ!?』
『キュロロッ!?』


シルフィアとゴレム達の目の前でレアは黒色の渦巻きを想像させる異空間への出入口を作り出した瞬間、次元の狭間から列を為したロボ・ゴーレムの大群が続々と姿を現す。出現するロボ・ゴーレムのデザインは統一化されており、ゴレムとは同型のロボ・ゴーレムが街の広間に並ぶ。


「おおっ……凄い光景だな。本当になんでもありだなこの能力」
「素晴らしい!!まさかこれほどのロボ・ゴーレムを量産するなんて……早速、彼等は私の指揮下に入れます」


100体のロボ・ゴーレムを前にしたシルフィアは両手を広げ、掌にアンテナを想像させる紋様を浮かべる。すると全てのロボ・ゴーレムの両目が点滅し、彼女の指揮下に入ったのか跪く。


「……接続を完了しました。これで全てのロボ・ゴーレムはレア様に従います」
「え、もう?凄いなシルフィアは……」
「いえ、これほどのロボ・ゴーレムを生み出すレア様の方が素晴らしいと思います」
『ゴロンッ』
『キュロッ』


シルフィアの言葉に賛同するようにゴレムとマカセは頷き、一方でレアはゴレムと他のロボ・ゴーレムの区別をつきやすいようにするため、シルフィアに相談する。


「でもこれだとゴレムと区別がつかないから困るんだけど……どうにか出来ない?」
「そうですね。では、ゴレムには私が不在の間は他のロボ・ゴーレムの指揮権を与えましょう。外見で判別しにくいのならば常にマカセをゴレムの傍に控えさせるのはどうでしょうか?」
『キュロッ!?』
「あ、それなら分かりやすいね」


勝手にゴレムの目印扱いにされたマカセは驚きの声を上げるが、レアはその提案を採用し、今後は他のロボ・ゴーレムとゴレムを見分けるときはマカセが傍に控えている個体がゴレムだと判別できる。また、他のロボ・ゴーレムにもゴレムと同様に建物の建設や整備を任せる事にした。


「これだけの数がいれば魔王軍にも対抗できるかな?」
「十分だとは思いますが、念のために街を取り囲む防壁の修復を行いましょう。これだけのロボ・ゴーレムがいれば半日で修復は終えるはずです」
「じゃあ、任せるよ。何か必要になったら教えてよ。なんでも用意するから」
「分かりました。では言ってきます」
『ゴロロロロッ!!』


シルフィアが光の翼を生やして飛び立つと、ロボ・ゴーレムは足の裏のキャタピラを作動させ、移動を行う。残されたのはゴレムとマカセだけであり、レアは二人にも指示を与える。


「えっと……じゃあ、二人はイリスの様子を見てくれる?ちょっと心配だし……」
『ゴロンッ!!』
『キュロォッ……』


敬礼を行うゴレムに対してマカセは渋々という感じで頷き、二体も友人の家の様子を見に向かったイリスの元に向かう。一人だけ取り残されたレアはログハウスの中に戻り、一先ずは今後の計画を考える事にした。


「さてと……これで一応は魔王軍の対策は整ったかな。まあ、シルフィアが一人いるだけでなんとかなりそうだけど、いざとなれば俺がどうにかすればいいか」


魔王軍の軍勢の規模は不明だが、レアが文字変換の能力を利用すれば大抵の状況は切り抜けられるのは間違いなく、窮地に追い込まれれば強力な能力や武器を作り出せば良い話である。しかし、問題なのは魔王軍を撃退した後の行動であり、レアは帝国に戻るべきか悩む。


「あの人達が気になるな……無事なのかな」


自分と共にこちらの世界に召喚された高校生達の事を思い出し、レアは彼等の安否を心配する。帝国の大臣は最初は友好的に接していたが、レアが只の巻き込まれた一般人だと知ると態度を一変させて辺境の土地にまで転移させた。その事実を考えると残された彼等も無事である保証はなく、レアは彼等が帝国にどのように扱われているのか心配する。
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