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指定大都市アクア5
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「となると、凄く不服ではあるがそこの...カナタとやらと行動を共にすることを許可するしかないのだな。」
「問題ないのかよ?」
「問題しかない。だが、スズがここまで疲弊してしまっているのであれば、魔獣討伐、瘴気の浄化も困難だろう...。」
「そんな事やってたんだ...。」
「【聖女様】のやるべき事、みたいです。歴代の聖女様達はやり切ったみたいで...。」
「歴代の聖女様と夜桐さんは違う人なんだから、一緒に考えないんだよ。」
「!!!はい!」
「......そういうものなのか。」
ポツリとダニエル様は呟いた。きっとヨハン辺りはその声を耳に響かせたのだろうが、俺も彼も敢えて何も触れることはしなかった。
「かといって直ぐに夜桐さんを俺に預けるというのも出来ないのでしょうし。」
「それは、そうだ。国賓としているのだから。」
「それじゃぁ、どうするんですー?」
「そうだな...。」
「奏多さんー!次はここですか?」
「そうだね。涼ちゃんあまり急ぐと転けるよ。」
「そうですね、奏多さんの横をちゃんと歩きます!」
結果、ダニエル様の考えとしては。
俺と涼ちゃんが一緒にいれる間は一緒にいるように務める、との事だった。
プラスアルファとして、極力涼ちゃんのご要望に添えるようにするということだった。
ダニエル王子から再度説明があったが、どうもこの国は数百年前から聖女伝説を信仰していたらしい。
この国にはどうやら瘴気が溜まりやすいらしく、それが溜まり続けると魔獣が生成されてしまう。それらを浄化するには、どこからともなく現れる光魔法を得意とした【聖女様】が必要不可欠なんだとか。
今までも数人ほど聖女様が召喚されたようなのだが、今回の聖女様は夜桐涼さん、その人だった、それだけなのだ。
それのイレギュラーとして俺がひと月早く召喚された。
ダニエル様は非常に不服そうではあるが、俺が召喚されたのは何かしらの理由があるのだろう、そう仰っていた。見掛けと態度に反して案外この人は思慮深いのかもしれない。良い意味で認識を改めさせていただいた。
そして現在。
先程のカフェから退店し、続きの配達を進めている常態だ。まさかの聖女様と第一王子を伴って。勿論護衛付き。
なんなら聖女様である夜桐さんからは下の名前で呼び合おうと強請られてしまった。
「奏多さんは前の世界でも郵便屋さんをやっていたんですよね。良いなぁ。」
「嫌な仕事ではなかったかな。」
「私は施設の都合でバイトは出来なかったんでお仕事をする人はとても憧れます...!」
「施設?」
「はい!私、親がいないので児童養護施設育ちなんですよ。」
「.........え。」
「奏多さんはご両親にちゃんと育てられましたか?」
「えっと...その......一昨年母を亡くして、そこからは親戚も分からないから。実施天涯孤独かな。」
「奏多...。」
「天涯孤独、か。」
「あはは、俺のいた世界では表に出ないだけで割と身近だと思うけどな。」
そういうと、少し先に歩んでいた涼ちゃんが真ん前にいて俺を真っ直ぐに見上げていた。
「奏多さん。」
「ん?」
「良ければ、私と家族になりませんか?」
「え?」
「問題ないのかよ?」
「問題しかない。だが、スズがここまで疲弊してしまっているのであれば、魔獣討伐、瘴気の浄化も困難だろう...。」
「そんな事やってたんだ...。」
「【聖女様】のやるべき事、みたいです。歴代の聖女様達はやり切ったみたいで...。」
「歴代の聖女様と夜桐さんは違う人なんだから、一緒に考えないんだよ。」
「!!!はい!」
「......そういうものなのか。」
ポツリとダニエル様は呟いた。きっとヨハン辺りはその声を耳に響かせたのだろうが、俺も彼も敢えて何も触れることはしなかった。
「かといって直ぐに夜桐さんを俺に預けるというのも出来ないのでしょうし。」
「それは、そうだ。国賓としているのだから。」
「それじゃぁ、どうするんですー?」
「そうだな...。」
「奏多さんー!次はここですか?」
「そうだね。涼ちゃんあまり急ぐと転けるよ。」
「そうですね、奏多さんの横をちゃんと歩きます!」
結果、ダニエル様の考えとしては。
俺と涼ちゃんが一緒にいれる間は一緒にいるように務める、との事だった。
プラスアルファとして、極力涼ちゃんのご要望に添えるようにするということだった。
ダニエル王子から再度説明があったが、どうもこの国は数百年前から聖女伝説を信仰していたらしい。
この国にはどうやら瘴気が溜まりやすいらしく、それが溜まり続けると魔獣が生成されてしまう。それらを浄化するには、どこからともなく現れる光魔法を得意とした【聖女様】が必要不可欠なんだとか。
今までも数人ほど聖女様が召喚されたようなのだが、今回の聖女様は夜桐涼さん、その人だった、それだけなのだ。
それのイレギュラーとして俺がひと月早く召喚された。
ダニエル様は非常に不服そうではあるが、俺が召喚されたのは何かしらの理由があるのだろう、そう仰っていた。見掛けと態度に反して案外この人は思慮深いのかもしれない。良い意味で認識を改めさせていただいた。
そして現在。
先程のカフェから退店し、続きの配達を進めている常態だ。まさかの聖女様と第一王子を伴って。勿論護衛付き。
なんなら聖女様である夜桐さんからは下の名前で呼び合おうと強請られてしまった。
「奏多さんは前の世界でも郵便屋さんをやっていたんですよね。良いなぁ。」
「嫌な仕事ではなかったかな。」
「私は施設の都合でバイトは出来なかったんでお仕事をする人はとても憧れます...!」
「施設?」
「はい!私、親がいないので児童養護施設育ちなんですよ。」
「.........え。」
「奏多さんはご両親にちゃんと育てられましたか?」
「えっと...その......一昨年母を亡くして、そこからは親戚も分からないから。実施天涯孤独かな。」
「奏多...。」
「天涯孤独、か。」
「あはは、俺のいた世界では表に出ないだけで割と身近だと思うけどな。」
そういうと、少し先に歩んでいた涼ちゃんが真ん前にいて俺を真っ直ぐに見上げていた。
「奏多さん。」
「ん?」
「良ければ、私と家族になりませんか?」
「え?」
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