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共鳴2

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まさかの二十代後半にして初めて誰かの前で正座を決め込むことは夢にまで思わなかった。
しかもパジャマ姿で。
その後ろにはまだまだうら若い女子がネグリジェ姿でスヤスヤと俺のベッドで眠りこけている。

目の前には俺の部屋に元からあったアンティークな木目調の椅子に腰掛けている同僚二人。

「それで?夜中いきなり聖女様がお前の部屋の中心部に召喚されていたと。」
「そ、そうなんだ。…と言うよりもそうとしか説明できないんだ。」
「と言ってもねぇ…。証拠も何も無いし信じようがないんだよね。」
「昨日別れたばかりだとしても、王宮とここまでは大分距離もあるから彼女一人でここまでこれるのも無理があるんだ…。」
「まぁでも、今頃王宮内…特にダニエル様が大慌てなのは間違いねぇな。間違いなくいの一番でここに突撃してくる…もうここに向かってる可能性があるだろうよ。」
「だよね…分かってる。はぁ…一番ダニエル様に説明するのが難しいんだよな。」
「こうなっちゃったのも仕方ないし。…いい加減起きたら?」
「え?」

モゾッと後ろから布が摺れる音がした。それを見ているアルフレッドの目線が厳しく鋭いものとなっている。

「えと…狸寝入りしててごめんなさい。起きるタイミングが分からなくて。」
「涼ちゃん…。」

彼女が言うには五分くらい前にはもう目が覚めきっていたらしく、俺達の話している内容も理解していた。

「ダニエル様には私が話をするから、お兄ちゃんは大丈夫だよ。…と言うよりも、何となく私が此処に移動してきたやり方もわかった気がするから。」
「そうなの!?」
「えへへ…多分またできるよ。」




「おい!!!スズは此処にいるか!!」

バァンと郵便局の出入り口扉を盛大に両開きし、一番の我々にとっては困惑してしまう人物がご到着された。
件の第一王子である。
俺達は間違いなくここに来ることは読めていたので、局内にあるホールにて立ち向かう事とした。

「スズ…やはり居たのか。何故脱走をした?そもそもこの距離をどうやって…。これも聖女の力の一つなのか?」
「…勝手に抜け出してしまってごめんなさいダニエル様。私もお兄ちゃんも故意にやった訳じゃないの、それだけは分かって欲しいです…。」
「俺も…流石に驚いてるんですよ。でも、どうやったらここまで涼ちゃんが来れたのかはちゃんと証明出来そうなので…それで勘弁して欲しいです。」
「証明…?どういう事だ。」
「俺達もさっき自覚したばかりなので…。」

ダニエル様に頼み込み護衛の騎士団の人たちを一旦この場から下げてもらい、俺と涼ちゃん、ダニエル様、ヨハンとアルフレッド、そしてダイナー局長の六名だけにしてもらった。

ホールの端と端に俺と涼ちゃんが対面する様に立ち、ほかの四人には好きな場所にたってもらうように指示を出した。

「今から行うことは手品とかそういうのは一切ないんで、そこだけは信じて下さいね。それじゃぁ、始めようか。」
「う、うん!」

二人して頷き合い、胸元で両手を組み祈る様にする。

「「リゾナンス!!」」

パァァと辺り一面が白く光輝いて瞬間に自分の胸元に痛い程の圧がかかった。

「せ、成功…だね。」
「流石に魔法素人の二人でも三連続移動出来ればこれは成功だ…。」

直線上、真逆の場所にいたにも関わらず今涼ちゃんは俺の胸元にいる。ダッシュしてきたのでは無い。息を荒くしている痕跡もないからそれは証明出来る。
では何故ここにいるか。

「瞬間移動…だと?」
「そうなります、かね。」
「だが、呪文が違う…リゾナンス…共鳴?」
「そうです、私とお兄ちゃんが【共鳴】したんです。」

緩く手の甲に蝶のような紋様が浮かび上がり、それが俺達を繋げていたのだった。
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