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前線レッドウォール6
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「こりゃまた……異世界の中に異世界って感じだなぁ。」
「私知ってる、こういうのオアシスって言うんでしょ?」
『いろいろといいたいことあるとおもうが、ここが僕のなかまがいる森だ。』
目の前に広がるは完全なる森林。しかもちょっとやそこらの雑木林ではなくて、木、と言うよりも樹木って感じである。それが一区間にブワァッと拡がっているのだ。
この森林の周りは他のレッドウォールと同じで木々なんてものはなく砂漠化しかけてる乾いた大地があるだけだ。
この区間だけが異常なのである。
「やっぱりというか、この区間だけ魔力が濃いみたい。壁みたいな強い結界?に囲まれてるっぽいよ。」
「そういう事か……ドラゴンの魔力でこの深い森は出来てるのか。」
『これからあってもらいたい竜がここをまもっている。とてもつよいからきをつけてくれ。いくぞ。』
「まぁ、何とかなるでしょー。」
「……ちょ、待って!!!」
ドラゴンに対してどう気をつければいいのだろう。アトラに追い掛けられた時だってやばかったのに。
……なんて思っていたが、目の前に颯爽とサッサと歩いていく二人が目に入ってしまい急いで追い掛けたのだった。
「えーっと、あの。」
「おぉぉぉにいちゃん……。」
『しょうかいしよう、この森の頭領であり僕の母……ブリトラだ。』
『御機嫌よう、郵便局の方々。……いや、【聖女様方】』
森に踏み込み、数分すると木で出来た住居のような物が木の上に点々と見受けられた。アスレチックの様な、ツリーハウスと言う奴だろうか。だが見るからに地面から登るための足場は無く、あぁ……ここの者達の住処なのだと理解した。飛ぶ事が出来るもの出なければ出入りが無理な構造だ。
そしてここの森は何だかとても息がしやすい、空気がとても澄んでいる気がした。人の手で整備された様なものではなく、所謂原生林なのだろう。人の気配を感じられない雰囲気であった。
グリーンヴァルドには見当たらない。あそこは確かに自然は多いが、自分達で扱い易いように最低限整えられている環境である。共存している、と言えば良いだろうか。
そんな風にキョロキョロと辺りを見渡しながら歩いていたらこの仕打ちだ。
いきなりボスを出すかよ……。心の準備も何も出来てないんだぞ。頼りの義妹も大分吃驚している。
俺達の目の前には数十頭のブラッドドラゴンに、数十名の人。恐らく人型になっているドラゴンだと思われる。瞳がアトラと同じ爬虫類の様な紋様だ。
そして、アトラの二倍位大きなドラゴンが俺達を見定めるかのように凝視していた。
「ぶ、ブリトラ様急な訪問となってしまい申し訳ございません。我々、グリーンヴァルド郵便局の者でございます。私、奏多と申します。」
「す、涼と言います!!!」
『母様、ごぞんじのとおり二人とも聖女というやつです。すうこくまえに僕をたすけてくれたのです。』
『ほぉ……これはこれは、となりますと。少し前にエルフの者を一体討伐したあの【聖女様型】であると?』
「……如何にも。」
『素直で結構です。……私の大切な息子を助けて下さったようで、それに……色々とお世話になったようですね?』
ば、バレてる。
助けただなんて、正直最後の血をあげるからもうじゃれてこないで、っていうついでだし。何なら攻撃してましたし!!!絶対にこのお母様知ってるんだが!!アトラは何故俺達をその様に紹介してるんだ。
「ア、アトラ……。俺達は一体何を……?」
「お手紙は確かにあるけど。」
『僕は、きょかをとりにきたんだ。かってにあまりうごけないから。』
「「?」」
『母様!僕はこの者たちにおれいをしたいのです。お仕事があるらしく、それの手伝いをしようとおもってます。きょかをもらえませんか?』
『なるほど。ですが、アトラ。私の宝物。』
フワッと、見覚えのある薄桃色の煙が一瞬辺りを包んだと思えば、瞬く間にそれが消え去ってしまった。発生源と思われる場所から涼ちゃん位の背丈の女性がアトラに向かい歩いてきていた。
この方は……。
『母様。』
やはり。
彼と同じ赤黒い髪色、足元に着きそうなほど長く、毛先が微風に揺れていた。真っ白な長くシンプルなワンピースを身にまとっていた。
『この者達は初めはお前を攻撃していたのですよ?』
『それは僕がはじめにカナタにじゃれてしまったからです。僕が悪いんです。だからそれのおれいもこめて、お手伝いですよ。僕は、しょうらいここの頭領になります。いまのうちにいろんなことをしてみたいのです。』
頭領……。
そうか、現頭領の息子だもんな。大物と知り合ってしまって大分ヤバいのでは。ヨハンに怒られる。
アトラとブリトラ様は話し合いが白熱してきてしまっているらしく、俺達はただただそれを見守ることしか出来なかった。他のお仲間様達も同じ反応の様で、動揺していた。
この森の騎士的な方々が気を使って少し離れるように促してくれたのが、何気に一番嬉しかった。
「お兄ちゃん……大丈夫かな?」
「わ、わからん。俺達の命はアトラ次第だろう。」
「アトラも言ってたけど、何かあったら私達が護るから……。お兄ちゃんは私とアトラの事だけを考えててね?」
「…分かってる。」
そう言うと、左手に温もりを感じた。指と指の間にそっとゆっくりと自分よりも細い指が絡まってきた。若干気恥ずかしいけど、微妙に荒み始めそうだった心が和らいだ気がする。
「……私達がお兄ちゃんを護ってるみたいに、お兄ちゃんも私やアトラ……班のみんなを護ってること、忘れないでね。」
「涼……バレてた。」
「えへへ。自信もって、お兄ちゃんの力は本当に凄いんだから。」
だから安心して私を一番に護ってくれていいんだからね?とちゃっかりお願いしてきていた。抜かりないヤツめ。
「私知ってる、こういうのオアシスって言うんでしょ?」
『いろいろといいたいことあるとおもうが、ここが僕のなかまがいる森だ。』
目の前に広がるは完全なる森林。しかもちょっとやそこらの雑木林ではなくて、木、と言うよりも樹木って感じである。それが一区間にブワァッと拡がっているのだ。
この森林の周りは他のレッドウォールと同じで木々なんてものはなく砂漠化しかけてる乾いた大地があるだけだ。
この区間だけが異常なのである。
「やっぱりというか、この区間だけ魔力が濃いみたい。壁みたいな強い結界?に囲まれてるっぽいよ。」
「そういう事か……ドラゴンの魔力でこの深い森は出来てるのか。」
『これからあってもらいたい竜がここをまもっている。とてもつよいからきをつけてくれ。いくぞ。』
「まぁ、何とかなるでしょー。」
「……ちょ、待って!!!」
ドラゴンに対してどう気をつければいいのだろう。アトラに追い掛けられた時だってやばかったのに。
……なんて思っていたが、目の前に颯爽とサッサと歩いていく二人が目に入ってしまい急いで追い掛けたのだった。
「えーっと、あの。」
「おぉぉぉにいちゃん……。」
『しょうかいしよう、この森の頭領であり僕の母……ブリトラだ。』
『御機嫌よう、郵便局の方々。……いや、【聖女様方】』
森に踏み込み、数分すると木で出来た住居のような物が木の上に点々と見受けられた。アスレチックの様な、ツリーハウスと言う奴だろうか。だが見るからに地面から登るための足場は無く、あぁ……ここの者達の住処なのだと理解した。飛ぶ事が出来るもの出なければ出入りが無理な構造だ。
そしてここの森は何だかとても息がしやすい、空気がとても澄んでいる気がした。人の手で整備された様なものではなく、所謂原生林なのだろう。人の気配を感じられない雰囲気であった。
グリーンヴァルドには見当たらない。あそこは確かに自然は多いが、自分達で扱い易いように最低限整えられている環境である。共存している、と言えば良いだろうか。
そんな風にキョロキョロと辺りを見渡しながら歩いていたらこの仕打ちだ。
いきなりボスを出すかよ……。心の準備も何も出来てないんだぞ。頼りの義妹も大分吃驚している。
俺達の目の前には数十頭のブラッドドラゴンに、数十名の人。恐らく人型になっているドラゴンだと思われる。瞳がアトラと同じ爬虫類の様な紋様だ。
そして、アトラの二倍位大きなドラゴンが俺達を見定めるかのように凝視していた。
「ぶ、ブリトラ様急な訪問となってしまい申し訳ございません。我々、グリーンヴァルド郵便局の者でございます。私、奏多と申します。」
「す、涼と言います!!!」
『母様、ごぞんじのとおり二人とも聖女というやつです。すうこくまえに僕をたすけてくれたのです。』
『ほぉ……これはこれは、となりますと。少し前にエルフの者を一体討伐したあの【聖女様型】であると?』
「……如何にも。」
『素直で結構です。……私の大切な息子を助けて下さったようで、それに……色々とお世話になったようですね?』
ば、バレてる。
助けただなんて、正直最後の血をあげるからもうじゃれてこないで、っていうついでだし。何なら攻撃してましたし!!!絶対にこのお母様知ってるんだが!!アトラは何故俺達をその様に紹介してるんだ。
「ア、アトラ……。俺達は一体何を……?」
「お手紙は確かにあるけど。」
『僕は、きょかをとりにきたんだ。かってにあまりうごけないから。』
「「?」」
『母様!僕はこの者たちにおれいをしたいのです。お仕事があるらしく、それの手伝いをしようとおもってます。きょかをもらえませんか?』
『なるほど。ですが、アトラ。私の宝物。』
フワッと、見覚えのある薄桃色の煙が一瞬辺りを包んだと思えば、瞬く間にそれが消え去ってしまった。発生源と思われる場所から涼ちゃん位の背丈の女性がアトラに向かい歩いてきていた。
この方は……。
『母様。』
やはり。
彼と同じ赤黒い髪色、足元に着きそうなほど長く、毛先が微風に揺れていた。真っ白な長くシンプルなワンピースを身にまとっていた。
『この者達は初めはお前を攻撃していたのですよ?』
『それは僕がはじめにカナタにじゃれてしまったからです。僕が悪いんです。だからそれのおれいもこめて、お手伝いですよ。僕は、しょうらいここの頭領になります。いまのうちにいろんなことをしてみたいのです。』
頭領……。
そうか、現頭領の息子だもんな。大物と知り合ってしまって大分ヤバいのでは。ヨハンに怒られる。
アトラとブリトラ様は話し合いが白熱してきてしまっているらしく、俺達はただただそれを見守ることしか出来なかった。他のお仲間様達も同じ反応の様で、動揺していた。
この森の騎士的な方々が気を使って少し離れるように促してくれたのが、何気に一番嬉しかった。
「お兄ちゃん……大丈夫かな?」
「わ、わからん。俺達の命はアトラ次第だろう。」
「アトラも言ってたけど、何かあったら私達が護るから……。お兄ちゃんは私とアトラの事だけを考えててね?」
「…分かってる。」
そう言うと、左手に温もりを感じた。指と指の間にそっとゆっくりと自分よりも細い指が絡まってきた。若干気恥ずかしいけど、微妙に荒み始めそうだった心が和らいだ気がする。
「……私達がお兄ちゃんを護ってるみたいに、お兄ちゃんも私やアトラ……班のみんなを護ってること、忘れないでね。」
「涼……バレてた。」
「えへへ。自信もって、お兄ちゃんの力は本当に凄いんだから。」
だから安心して私を一番に護ってくれていいんだからね?とちゃっかりお願いしてきていた。抜かりないヤツめ。
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