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第22話 私に何ができるのか
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慌てて、紫紋に連絡した。
驚愕でうまく回らない口を動かし、状況を説明すると、紫紋はすぐにやってきた。
アルベルトに肩を貸し、その間に千夏がタクシーを呼ぶ。
黒い羽は消えていたが、その分、顔色が一層悪くなり、見ているだけ胸が詰まりそうだった
いったい、どういうことなのかわからない。
ただ思うのはアルベルトが無事であるかどうかだった。
アルベルトが倒れて、二時間が経った。
すっかり夜となった窓の外をながめていた千夏の元に、紫紋がやってきた。
「千夏さん……何か羽織らないと風邪ひいてしまいますよ」
自分のことなどすっかり忘れていた千夏はハッとして、紫紋の方に体を向ける。
「紫紋さん、アル君は……!」
開口一番にアルベルトのことを聞くと、紫紋は目を伏せた。
「とりあえず、無事です……同時に、彼が何者かも分かりました」
千夏は怪訝な顔をする。
「天使じゃないんですか? 黒くなっちゃったけど、あんな白い羽をもってたんですよ」
「白い羽を持つのは、別に天使だけじゃないですよ、ただ彼には自覚がなかったようなので……私が天使じゃない別の存在でないかと思ったことは伏せてました」
紫紋は確認するように尋ねてきた。
「千夏さん、アルベルト君は教会の敷地に入ろうとしたら、羽が黒くなって倒れたんですよね」
「はい……すごく痛そうな顔で……」
「……だとしたら彼は神に拒まれたもの、堕天使です。堕天使は人を堕とすために、天使を装う時、白い羽になるんです」
「そんな……」
真面目な顔で現実的に信じがたい事実を突きつけられる。
嘘だと思えなかった。紫紋は悪魔のくせに優しくて、ちゃんと言う人だったから。
千夏はどう言えばいいか分からず眉尻を下げた。
「アル君は、このことを知ってるんですか」
紫紋は頷いた。
「さっき、起きて……伝えました。けれど、記憶は戻らなかったようです……どうして自分が堕天したのかわかってないようでした」
「そうですか……」
「正直かなりショックをうけているようで、一人になりたいそうで……なにか言うのも負担でしょうから、ここに来ました」
「カウンセラーなのに……紫紋さん」
「カウンセリングは相手がカウンセリングしたいという意思がともなって、はじめて成立するものですよ」
「そうなんですね……」
沈みそうな自分がいる。
衝撃的すぎる事実に、アルベルトはいつもの調子が取り戻せないだろう。
そんな時、どうすればいいのか……自分は何ができるのか。
「……紫紋さん」
「どうしました」
「キッチン貸してください、私達三人とも、全然食べてないじゃないですか。食べなきゃ、駄目です」
お腹が空けば空くほどマイナスにふりきってしまうものだ。
体は正直だから、心に大きく影響する。料理を食べると、イライラや気分の沈みが落ち着いたり
ホッとしたりする人は。ハウスキーパーをして何人も知っている。
もちろん何も解決できないかもだけど、このまま何もしないなんて、嫌だった。
「ありがたいですが、アル君が食べるかどうかは……」
たしかにそのとおりである。しかし……
千夏は拒絶されるかもという自身の不安を殺すために、ニコッと笑った。
「わからないじゃないですか、そんなの。私はただ、やりたいだけです」
千夏はやる気を奮い起こすために、袖をまくった。
驚愕でうまく回らない口を動かし、状況を説明すると、紫紋はすぐにやってきた。
アルベルトに肩を貸し、その間に千夏がタクシーを呼ぶ。
黒い羽は消えていたが、その分、顔色が一層悪くなり、見ているだけ胸が詰まりそうだった
いったい、どういうことなのかわからない。
ただ思うのはアルベルトが無事であるかどうかだった。
アルベルトが倒れて、二時間が経った。
すっかり夜となった窓の外をながめていた千夏の元に、紫紋がやってきた。
「千夏さん……何か羽織らないと風邪ひいてしまいますよ」
自分のことなどすっかり忘れていた千夏はハッとして、紫紋の方に体を向ける。
「紫紋さん、アル君は……!」
開口一番にアルベルトのことを聞くと、紫紋は目を伏せた。
「とりあえず、無事です……同時に、彼が何者かも分かりました」
千夏は怪訝な顔をする。
「天使じゃないんですか? 黒くなっちゃったけど、あんな白い羽をもってたんですよ」
「白い羽を持つのは、別に天使だけじゃないですよ、ただ彼には自覚がなかったようなので……私が天使じゃない別の存在でないかと思ったことは伏せてました」
紫紋は確認するように尋ねてきた。
「千夏さん、アルベルト君は教会の敷地に入ろうとしたら、羽が黒くなって倒れたんですよね」
「はい……すごく痛そうな顔で……」
「……だとしたら彼は神に拒まれたもの、堕天使です。堕天使は人を堕とすために、天使を装う時、白い羽になるんです」
「そんな……」
真面目な顔で現実的に信じがたい事実を突きつけられる。
嘘だと思えなかった。紫紋は悪魔のくせに優しくて、ちゃんと言う人だったから。
千夏はどう言えばいいか分からず眉尻を下げた。
「アル君は、このことを知ってるんですか」
紫紋は頷いた。
「さっき、起きて……伝えました。けれど、記憶は戻らなかったようです……どうして自分が堕天したのかわかってないようでした」
「そうですか……」
「正直かなりショックをうけているようで、一人になりたいそうで……なにか言うのも負担でしょうから、ここに来ました」
「カウンセラーなのに……紫紋さん」
「カウンセリングは相手がカウンセリングしたいという意思がともなって、はじめて成立するものですよ」
「そうなんですね……」
沈みそうな自分がいる。
衝撃的すぎる事実に、アルベルトはいつもの調子が取り戻せないだろう。
そんな時、どうすればいいのか……自分は何ができるのか。
「……紫紋さん」
「どうしました」
「キッチン貸してください、私達三人とも、全然食べてないじゃないですか。食べなきゃ、駄目です」
お腹が空けば空くほどマイナスにふりきってしまうものだ。
体は正直だから、心に大きく影響する。料理を食べると、イライラや気分の沈みが落ち着いたり
ホッとしたりする人は。ハウスキーパーをして何人も知っている。
もちろん何も解決できないかもだけど、このまま何もしないなんて、嫌だった。
「ありがたいですが、アル君が食べるかどうかは……」
たしかにそのとおりである。しかし……
千夏は拒絶されるかもという自身の不安を殺すために、ニコッと笑った。
「わからないじゃないですか、そんなの。私はただ、やりたいだけです」
千夏はやる気を奮い起こすために、袖をまくった。
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