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久しぶりの蜜夜 ※
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「やっと、取り戻せた…」
夕飯もお風呂も終え、リビングのソファでぼんやりしていた美緒は、お風呂から戻って来た小林に後ろからふわりと抱き込まれた。風呂上がりのせいか接する身体はいつもよりも熱く、シャンプーやボディソープの匂いが強く香った。小林は美緒の肩に顔を埋め少し大きめの深呼吸をしてから、また一層抱きしめる力を強めた。少し痛いくらいの抱擁は言葉よりもずっと小林の気持ちが表れているように感じられ、美緒は素直に身を委ねるくらいには絆されていた。不本意な形ではあったがプロポーズされて、イエスと答えたのだ。今更逃げようなどとはさすがの美緒も思わなかった。
「暫くは何もしなくていい…ゆっくり、美緒のペースで過ごして欲しい。だから…いなくならないでくれ…」
絞り出す様に告げられた言葉に、美緒は小林もずっと苦しんでいたのだと感じて胸が痛くなった。暴力的に襲い掛かった早川達の凶行は、美緒だけでなく小林の心にも大きな傷跡を残していたのだ。
彼女たちは、自分達が別れるのを望んでいたのだろう…それはあと一歩のところまで迫っていたが、実際には結婚する方に話は向かい、彼女たちの目論見は達成しなかった。今は別れを選ばなくてよかった…としみじみと思う。
そして美緒は、これまで感じていなかった彼女たちへの怒りを自覚した。暴力的に目的を遂げようとした彼女たちの行為に一番傷ついたのは、もしかしたら小林かもしれないと感じたからだ。傷ついた度合いなど数値化しようがないから比べようもないが、小林が深く傷ついたのは間違いないだろう。自分が戻るまでの間、小林はこの部屋で一人、何を思っていたのだろう…それを思うと、あの二人を許す事は出来そうになかった。
「…きっと…お荷物になる、と思う…」
「それでいい。いないよりずっといい」
「その内…邪魔だって思うか…」
「それは絶対にない!」
「……」
言い終わる前にそれはないと断言されてしまって、美緒はその先の言葉を手放した。言うだけ無駄だったな…と言ってから思ったのだ。今の小林にそんな問いかけは愚問だ。でも、それでいいか…と美緒は思った。今はまだ、一人で立てる自信がないから、甘えさせて貰おう。邪魔だと思われるまでに一人で立てるようになればいい。昔、お前達など負担でしかなかった、と実父に言われて以来、誰かに寄りかかる事に抵抗を感じていた美緒には大きな変化だった。全くこの男は、人を散々振り回しながらも、無自覚に救ってくれるらしい…
「何もしなくていいし、むしろしなくていい。出来れば…ずっと一緒にいて美緒の世話だけしていたい」
「いや、さすがにそれは…」
余計な心配だった…と美緒は呆れたが、心のどこかでそんな風に言って貰えることに安堵している自分がいた。こんな風に無条件に受け入れて貰えるのは、何て心が楽になるのだろう…
「ここに、いてくれるだけで…」
その言葉の先はなかった。何と言いたかったのだろう…「十分だ」だろうか、それとも「安心する」だろうか…それとも…美緒は色々思い浮かべたが、小林は何も言わずにずっと自分を抱きしめたままだったため、わからなかった。でも、確信した事がある。それは決してネガティブな言葉ではないという事だ。そう思えるほどに真っすぐで大きな熱量を持った想いなのは間違いなかった。
「…たい…」
「…なに?」
「したい…」
「は?」
「…抱きたい…」
「…」
「…ダメか?」
「…ダメかって…」
「まだ、無理なら…諦める…」
「…」
そっちの展開があると思っていなかった美緒は、どう返せばいいのか途方に暮れた。嫌…ではないけれど、どうなのだろう…小林の傷の具合がわからないのが一番の不安材料だった。美緒の傷はもう塞がっていて問題ないが、小林のそれは美緒とは比べ物にならないほど深かったのだ。見た目では傷も塞がって何ともないように見えるが、出血も多かったと聞く。でも、本人がそう言ってくるなら、大丈夫なのだろうか…
「…け、怪我は…」
「そっちは大丈夫だから気にするな。それより、お前の気持ちの方が心配だ」
「…」
「…だから…まだ無理そうだったら…遠慮なく言って欲しい」
「…」
遠慮なく言えって…そんな恥ずかしい事を言えというのか…美緒は体調うんぬんよりもその返事のハードルの高さに慄いた。小林が初めての相手な上、潔癖な美緒にとっては、そんな事を言う方がずっと心的負担が大きく感じられたのだ。まずい…今の自分の顔は真っ赤になっている自信がある…
「…そ、その…」
「ああ、じゃ、嫌だったら嫌って言ってくれ。そこで止める」
「…」
これは…小林なりの気遣いなのだろうか…確かにそれなら返事はしなくて済むし、出来るところまで付き合うのは出来る気がした。とは言え…恥ずかしさは何も変わらないのだが…
「ほ、んとうに、嫌って言ったら、やめてくれるの?」
「…善処はする」
「それって…」
「嫌って即答されないだけでも…すげー嬉しい…」
「…っ!」
そんな言い方ないだろう…そんな事でそんなに喜ぶなんてずる過ぎる…美緒はどこまでも自分に甘い小林に呆れながらも喜びを感じている自分を自覚した。そして、もういいか…と観念した。別に嫌ってわけじゃないのだ。どうしようもなく恥ずかしくはあるが。でも、それなら条件がある…
「…この前みたいなのは…困る、から…」
「この前?」
「…」
「美緒?」
「…前に…会社、休んだ時、みたいな…」
「…あ、ああ…」
「…体力ないし…あんなのは…勘弁、して欲しい…」
「…」
羞恥心をこらえて必死にそう告げた美緒だったが、小林からの返事がなかった。不審に思って視線を向けると、そこには目元を赤く染めて自分を見つめる小林がいた。
「…な、なに?」
「…お前…」
「…何よ?」
「…煽るの、天才的だな」
「…は?」
「…心配するな…俺も、まだ本調子じゃないから」
ため息を付きながらそう答える小林に、ああ、やっぱりそうなのか…と思ったが、とりあえず酷い事にはならないか…と少しだけ気が軽くなった。抱きつぶされて動けなくなるのだけは勘弁して欲しかったからだ。今は体調がメンタルに直結しているから、そうなるとまた不安に陥りそうなのが怖かった。特に今はマンションに移ったばかりで、それだけでも不安要素なのだ。
「今日は…一回で済ませる」
それならまだマシか…そう思った美緒は、降りてきた口づけを受け入れた。
「美緒…はぁ…やっと…俺のだ…」
「んっ…ぁ、あ、っ…んんっ…」
この日の小林の愛撫は、いつもの激しさは鳴りを潜めて、ひたすら甘やかに感じられた。いつもよりも優しく包み込むような愛撫は、美緒の不安や緊張を取り払い、嫌だと言えば止めるとの言葉も保険になったらしい。名を繰り返し呼びながら、小林は美緒の存在そのものを確かめるように熱を注ぎ込んでいった。
それだけではない。美緒はいつも以上に身体が敏感になっているのを自覚して戸惑っていた。久しぶりだからだろうか…それとも…小林の想いを受け入れたせいだろうか…いつもよりも優しく手加減されているのに、美緒は身体はいつも以上に感じ、濡れているのを自覚した。
「…っ…ふっ、ぁあ…だ、ダメ…っ…」
声が恥ずかしくて抑えようとすればするほど、甘い声が溢れて室内を満たした。全身が小林の熱を求めているようで、そんな自分がはしたなく恥ずかしく感じられるのに止められない。
一方の小林も、美緒の名をうわ言のように呼びながら、全身を確認するかのように唇を這わせ、舐め、甘噛みし、時折きつく吸い上げて花を散らしていった。チリっとした痛みすらもお腹の奥に痺れを生み出した。
くちゅり…と、太くて骨ばった指が蜜壺に辿り着いた時、そこは既に甘い香りを発する蜜で溢れかえっていた。
「すっげ…トロっトロ…」
「…っ!」
感動したように、嬉しそうに小林が声を上げ、美緒はそれに激しく羞恥を感じて泣きたくなった。でも、そこにはこれまで感じていた怒りはなかった。今までなら、恥ずかしい事を言うな!と一喝したくなっただろう…なのに今は、かわりにこの先に起きる事への期待が美緒の中に膨らんでいった。
「ん…っ…」
「はぁ…でも…きっつ…」
奥へと侵入してきた指に、美緒の中の期待感が一層増した。お腹の奥に生まれた疼きを何とかして欲しい…もっと中で暴れて、奥まで満たして欲しい…生まれて初めて感じた飢えは、美緒の中で急速に大きくなっていった。
「ひっ…!」
蜜壺の上にある敏感な突起を唇で挟まれ、美緒はその強い刺激にのけぞった。今日は控えめにとお願いしたはずなのに…と思ったが、直ぐに与えられる刺激にそんな考えは霧散した。蜜壺を指で、秘豆を舌で同時に責められてしまえば、抵抗できる筈もない。
「あ、ぁあ、やっ…それ…っ、だめ…ぇ…!」
頭を振って強すぎる刺激を逃そうとした美緒だったが、迫りくる絶頂ははそれくらいではどうにもならなかった。あっという間に高みに押し上げられた美緒は、背をしならせて涙を散らした。
夕飯もお風呂も終え、リビングのソファでぼんやりしていた美緒は、お風呂から戻って来た小林に後ろからふわりと抱き込まれた。風呂上がりのせいか接する身体はいつもよりも熱く、シャンプーやボディソープの匂いが強く香った。小林は美緒の肩に顔を埋め少し大きめの深呼吸をしてから、また一層抱きしめる力を強めた。少し痛いくらいの抱擁は言葉よりもずっと小林の気持ちが表れているように感じられ、美緒は素直に身を委ねるくらいには絆されていた。不本意な形ではあったがプロポーズされて、イエスと答えたのだ。今更逃げようなどとはさすがの美緒も思わなかった。
「暫くは何もしなくていい…ゆっくり、美緒のペースで過ごして欲しい。だから…いなくならないでくれ…」
絞り出す様に告げられた言葉に、美緒は小林もずっと苦しんでいたのだと感じて胸が痛くなった。暴力的に襲い掛かった早川達の凶行は、美緒だけでなく小林の心にも大きな傷跡を残していたのだ。
彼女たちは、自分達が別れるのを望んでいたのだろう…それはあと一歩のところまで迫っていたが、実際には結婚する方に話は向かい、彼女たちの目論見は達成しなかった。今は別れを選ばなくてよかった…としみじみと思う。
そして美緒は、これまで感じていなかった彼女たちへの怒りを自覚した。暴力的に目的を遂げようとした彼女たちの行為に一番傷ついたのは、もしかしたら小林かもしれないと感じたからだ。傷ついた度合いなど数値化しようがないから比べようもないが、小林が深く傷ついたのは間違いないだろう。自分が戻るまでの間、小林はこの部屋で一人、何を思っていたのだろう…それを思うと、あの二人を許す事は出来そうになかった。
「…きっと…お荷物になる、と思う…」
「それでいい。いないよりずっといい」
「その内…邪魔だって思うか…」
「それは絶対にない!」
「……」
言い終わる前にそれはないと断言されてしまって、美緒はその先の言葉を手放した。言うだけ無駄だったな…と言ってから思ったのだ。今の小林にそんな問いかけは愚問だ。でも、それでいいか…と美緒は思った。今はまだ、一人で立てる自信がないから、甘えさせて貰おう。邪魔だと思われるまでに一人で立てるようになればいい。昔、お前達など負担でしかなかった、と実父に言われて以来、誰かに寄りかかる事に抵抗を感じていた美緒には大きな変化だった。全くこの男は、人を散々振り回しながらも、無自覚に救ってくれるらしい…
「何もしなくていいし、むしろしなくていい。出来れば…ずっと一緒にいて美緒の世話だけしていたい」
「いや、さすがにそれは…」
余計な心配だった…と美緒は呆れたが、心のどこかでそんな風に言って貰えることに安堵している自分がいた。こんな風に無条件に受け入れて貰えるのは、何て心が楽になるのだろう…
「ここに、いてくれるだけで…」
その言葉の先はなかった。何と言いたかったのだろう…「十分だ」だろうか、それとも「安心する」だろうか…それとも…美緒は色々思い浮かべたが、小林は何も言わずにずっと自分を抱きしめたままだったため、わからなかった。でも、確信した事がある。それは決してネガティブな言葉ではないという事だ。そう思えるほどに真っすぐで大きな熱量を持った想いなのは間違いなかった。
「…たい…」
「…なに?」
「したい…」
「は?」
「…抱きたい…」
「…」
「…ダメか?」
「…ダメかって…」
「まだ、無理なら…諦める…」
「…」
そっちの展開があると思っていなかった美緒は、どう返せばいいのか途方に暮れた。嫌…ではないけれど、どうなのだろう…小林の傷の具合がわからないのが一番の不安材料だった。美緒の傷はもう塞がっていて問題ないが、小林のそれは美緒とは比べ物にならないほど深かったのだ。見た目では傷も塞がって何ともないように見えるが、出血も多かったと聞く。でも、本人がそう言ってくるなら、大丈夫なのだろうか…
「…け、怪我は…」
「そっちは大丈夫だから気にするな。それより、お前の気持ちの方が心配だ」
「…」
「…だから…まだ無理そうだったら…遠慮なく言って欲しい」
「…」
遠慮なく言えって…そんな恥ずかしい事を言えというのか…美緒は体調うんぬんよりもその返事のハードルの高さに慄いた。小林が初めての相手な上、潔癖な美緒にとっては、そんな事を言う方がずっと心的負担が大きく感じられたのだ。まずい…今の自分の顔は真っ赤になっている自信がある…
「…そ、その…」
「ああ、じゃ、嫌だったら嫌って言ってくれ。そこで止める」
「…」
これは…小林なりの気遣いなのだろうか…確かにそれなら返事はしなくて済むし、出来るところまで付き合うのは出来る気がした。とは言え…恥ずかしさは何も変わらないのだが…
「ほ、んとうに、嫌って言ったら、やめてくれるの?」
「…善処はする」
「それって…」
「嫌って即答されないだけでも…すげー嬉しい…」
「…っ!」
そんな言い方ないだろう…そんな事でそんなに喜ぶなんてずる過ぎる…美緒はどこまでも自分に甘い小林に呆れながらも喜びを感じている自分を自覚した。そして、もういいか…と観念した。別に嫌ってわけじゃないのだ。どうしようもなく恥ずかしくはあるが。でも、それなら条件がある…
「…この前みたいなのは…困る、から…」
「この前?」
「…」
「美緒?」
「…前に…会社、休んだ時、みたいな…」
「…あ、ああ…」
「…体力ないし…あんなのは…勘弁、して欲しい…」
「…」
羞恥心をこらえて必死にそう告げた美緒だったが、小林からの返事がなかった。不審に思って視線を向けると、そこには目元を赤く染めて自分を見つめる小林がいた。
「…な、なに?」
「…お前…」
「…何よ?」
「…煽るの、天才的だな」
「…は?」
「…心配するな…俺も、まだ本調子じゃないから」
ため息を付きながらそう答える小林に、ああ、やっぱりそうなのか…と思ったが、とりあえず酷い事にはならないか…と少しだけ気が軽くなった。抱きつぶされて動けなくなるのだけは勘弁して欲しかったからだ。今は体調がメンタルに直結しているから、そうなるとまた不安に陥りそうなのが怖かった。特に今はマンションに移ったばかりで、それだけでも不安要素なのだ。
「今日は…一回で済ませる」
それならまだマシか…そう思った美緒は、降りてきた口づけを受け入れた。
「美緒…はぁ…やっと…俺のだ…」
「んっ…ぁ、あ、っ…んんっ…」
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それだけではない。美緒はいつも以上に身体が敏感になっているのを自覚して戸惑っていた。久しぶりだからだろうか…それとも…小林の想いを受け入れたせいだろうか…いつもよりも優しく手加減されているのに、美緒は身体はいつも以上に感じ、濡れているのを自覚した。
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一方の小林も、美緒の名をうわ言のように呼びながら、全身を確認するかのように唇を這わせ、舐め、甘噛みし、時折きつく吸い上げて花を散らしていった。チリっとした痛みすらもお腹の奥に痺れを生み出した。
くちゅり…と、太くて骨ばった指が蜜壺に辿り着いた時、そこは既に甘い香りを発する蜜で溢れかえっていた。
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「…っ!」
感動したように、嬉しそうに小林が声を上げ、美緒はそれに激しく羞恥を感じて泣きたくなった。でも、そこにはこれまで感じていた怒りはなかった。今までなら、恥ずかしい事を言うな!と一喝したくなっただろう…なのに今は、かわりにこの先に起きる事への期待が美緒の中に膨らんでいった。
「ん…っ…」
「はぁ…でも…きっつ…」
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「ひっ…!」
蜜壺の上にある敏感な突起を唇で挟まれ、美緒はその強い刺激にのけぞった。今日は控えめにとお願いしたはずなのに…と思ったが、直ぐに与えられる刺激にそんな考えは霧散した。蜜壺を指で、秘豆を舌で同時に責められてしまえば、抵抗できる筈もない。
「あ、ぁあ、やっ…それ…っ、だめ…ぇ…!」
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