33 / 260
5、北の大地と黒歴史編
25、不思議な穴
しおりを挟む
泥だらけで帰宅して、お母様に叱られた夜。邸宅内にしばらく泊まる事になったヴァルターが農業用地向けの栄養剤、成長促進剤――魔法薬のレシピをくれた。
「珍しい材料もない。レシピ通りに調合すれば赤子にも作れる」
「赤子には流石に無理だと思いますわ」
ネネツィカはつい突っ込みをしつつ、ヴァルターに頭を下げ、翌日は大人しく家庭教師の先生や礼儀作法の先生に囲まれてお勉強を頑張り、その翌日になってようやく材料を集めに出かけたのだった。
「お命じくだされば調達致しましたのに」
執事のティミオスが呟くから、ネネツィカは首を振った。
「それが効率がよくて貴族らしさもあるとアタクシも思いましたわ。でも、アタクシ最初のお薬は自分で材料集めから挑戦したかったの」
家から持ってきた植物図鑑を片手に、農地近くの自然の山のふもとの森を逍遥する足取りは軽い。空気は澄んでいて、土と葉っぱの匂いがする。周りは背の高い木が並んで、緑の天蓋の隙間から差す木漏れ日が光の美しさを教えてくれる。
鳥の囀りが木霊する中にほんの小さなさりげない虫の鳴き声が混ざっていて、この土と緑の世界に沢山の生き物が生きているのだと感じさせてくれた。
「あ、見てティミオス! 材料のヤマギタケじゃありませんこと!?」
木の表面に生えるキノコをみつけて、ネネツィカは走り寄った。柔らかくて茶色い肉厚のカサが、木を登る階段みたいに上向きに並んでいる。
「間違いないかと存じます」
「そうよね、これよね!」
二人でいそいそとキノコを採り、袋に詰めていく。周辺にはキノコを生やした木が群れていて、袋にはたくさんのキノコが集まった。
「あとは、スプラサヌ草とこけら石ね」
「こけら石は、少し西に行った所に流れる小川で採れますよ」
ティミオスが森に慣れている足取りで迷いなく道を進む。大きく頼もしく見える背中で、茶色い髪がさらさらと揺れて、木漏れ日の中で艶をはなつのが綺麗で、ネネツィカはつい指を絡めて触り心地を堪能したくなってしまう。
「いけませんよ」
「アタクシ、口に出してたかしら?」
前を歩く肩が揺れた。言葉を連ねようと唇を開きかけたネネツィカは、耳に水のせせらぎが感じられる事に気づいて青い宝石めいて瞳をかがやかせた。
「川ですわー!」
「あっ、お嬢様」
猪突猛進、ティミオスを追い越し、さあ川へ!
茂みをかき分けてダッシュしたネネツィカは――「あら?」「お嬢様!!」
一瞬の喪失感は足元から。フッと景色が上に流れて、真っ直ぐに下に落ちる感覚と喉から無意識に叫ばれる自分の悲鳴につつまれて、暗い穴の中をネネツィカは一気に落ちて、底に着く前に意識を失った。
◇◇◇
ご機嫌よう、アタクシ、ネネツィカ。今アナタの脳内に直接実況レポートを語りかけていますの。
アタクシ、魔法薬を作るために材料をゲットしようと森に出かけたら、よくわからないけど足元に穴が空いていてスポーンと落ちてしまいましたの。
「みぎゃぁああああ!!?」
落ちている最中、酷い悲鳴が聞こえましたわ。カエルを潰しちゃったみたいな――えっ、今のアタクシの悲鳴? まさかそんな。アタクシの悲鳴はもっとお嬢様らしくて可憐ですわ!
――とにかく。
目が覚めると、そこは虹色の橋の上でしたの。ヴァニラみたいな、すっごい良い匂いがする場所でしたわ。
空は上の方が薄いピンク色で、下に行くほど黄色になっていて、ふわふわの雲から逆さに空から生えたお城がありました。透明な薄い膜に虹色の艶を見せるシャボン玉がふわふわーっと舞っていて、橋の下にはカラフルな大輪のお花を浮かべた透明な水がたぷたぷしていました。
「ここは……」
アタクシは頬をつねつね、アイタタタでそこが夢じゃないのだと理解しましたわ。そして、呆然と座り込んで、シャボン玉に手を伸ばしたのです。
すると。
パチーン!
「ひゃぁっ!?」
指先で触れたシャボン玉はぱちーんと弾けて消えて、同時に、ころんころんと上の方から鐘の音が聞こえて来ましたの!
「なんかダメでしたかしら!? ごめんなさいですわっ!?」
ふるふると震えるアタクシ。その目の前に、ふわぁーっとふたつの影が現れたのです。
ひとつは、以前夢で見た白いうさぎさん。
もうひとつは――銀色の人の形をした幽霊みたいなおぼろな影――「エリック王子殿下?」アタクシはその時、一眼でそう思いましたの。
うさぎさんはぴょこんと跳ねて、アタクシの肩に乗り――ふわふわのモフモフな体を頬にすりすりしてくれましたの。かっわいい……! ここが楽園でしたのね!? たぶん違うと思いますけど!
「うふふ、くすぐったいですわ! ふわふわ……!」
そんなヘヴン状態のアタクシに銀色の影はふわふわと近寄ってきて、手らしきものを差し出したのです。
その手を取ろうとして――、
「お嬢様! ネネツィカお嬢様!」
ぐらぐらっ、世界が揺れましたわ。アタクシは手を掴んで、きゃーって叫んで彼に抱きついたのです。すると、きゃーって声がすごくはっきりと耳に聞こえて、抱きついた彼が「お嬢様!」と慌てた声をあげて……アタクシ、そこで夢から覚めてティミオスに抱き抱えられた自分に気付いたのですの。
「ティミオス……アタクシ、穴から落ちましたわね?」
ぼんやりと周りを見ると、さらさら流れる小川がすぐ近くにありましたわ。
「穴……?」
ティミオスは戸惑いがちに、アタクシが全力ダッシュで茂みをかき分けて、急な斜面を滑り落ちていって気を失っていたのだと教えてくれましたの。
「わたくしがついていながら申し訳ございません」
ティミオスが申し訳なさそうに頭を下げて、アタクシに謝るのでアタクシは慌てて「アタクシが走ったのが悪かったのですわ!」と謝りましたの。
「そしてアタクシは手を取って、たぶんふぁーって空を飛びましたの! ふぁーって!」
そのあと、残りの材料を集めながら、アタクシは夢のお話に脚色を加えて、冒険活劇風にティミオスに教えてあげました。ティミオスが少し残念そうに「わたくしもお供したかったのですが、夢の中ではお供出来なかったようですね」と呟いたので、アタクシはちょっぴり申し訳なくなっちゃいましたのよ。
「今度は一緒に冒険するのですわ! ちゃんと夢の中にもついてきてね!」
そう言って小指を差し出したら、ティミオスは「かしこまりました」と笑って、自分の小指を絡めて約束してくれましたの。小指と小指を絡めて約束するのは、ヘレナが教えてくれたのですわ。
でも、アタクシ本当は思うのです。
――アタクシ、本当にあの時、ぽっかり開いた不思議な穴に落ちましたのよ。スポーンって。
それで、すごく良い匂いがして、つねつねしたらちゃんとイタタタってなりましたの。
服だって汚れていませんもの。
――だから、アタクシは「嘘をついてもハリセンボンは許してあげますわ」と付け足して指を離したのです。
「珍しい材料もない。レシピ通りに調合すれば赤子にも作れる」
「赤子には流石に無理だと思いますわ」
ネネツィカはつい突っ込みをしつつ、ヴァルターに頭を下げ、翌日は大人しく家庭教師の先生や礼儀作法の先生に囲まれてお勉強を頑張り、その翌日になってようやく材料を集めに出かけたのだった。
「お命じくだされば調達致しましたのに」
執事のティミオスが呟くから、ネネツィカは首を振った。
「それが効率がよくて貴族らしさもあるとアタクシも思いましたわ。でも、アタクシ最初のお薬は自分で材料集めから挑戦したかったの」
家から持ってきた植物図鑑を片手に、農地近くの自然の山のふもとの森を逍遥する足取りは軽い。空気は澄んでいて、土と葉っぱの匂いがする。周りは背の高い木が並んで、緑の天蓋の隙間から差す木漏れ日が光の美しさを教えてくれる。
鳥の囀りが木霊する中にほんの小さなさりげない虫の鳴き声が混ざっていて、この土と緑の世界に沢山の生き物が生きているのだと感じさせてくれた。
「あ、見てティミオス! 材料のヤマギタケじゃありませんこと!?」
木の表面に生えるキノコをみつけて、ネネツィカは走り寄った。柔らかくて茶色い肉厚のカサが、木を登る階段みたいに上向きに並んでいる。
「間違いないかと存じます」
「そうよね、これよね!」
二人でいそいそとキノコを採り、袋に詰めていく。周辺にはキノコを生やした木が群れていて、袋にはたくさんのキノコが集まった。
「あとは、スプラサヌ草とこけら石ね」
「こけら石は、少し西に行った所に流れる小川で採れますよ」
ティミオスが森に慣れている足取りで迷いなく道を進む。大きく頼もしく見える背中で、茶色い髪がさらさらと揺れて、木漏れ日の中で艶をはなつのが綺麗で、ネネツィカはつい指を絡めて触り心地を堪能したくなってしまう。
「いけませんよ」
「アタクシ、口に出してたかしら?」
前を歩く肩が揺れた。言葉を連ねようと唇を開きかけたネネツィカは、耳に水のせせらぎが感じられる事に気づいて青い宝石めいて瞳をかがやかせた。
「川ですわー!」
「あっ、お嬢様」
猪突猛進、ティミオスを追い越し、さあ川へ!
茂みをかき分けてダッシュしたネネツィカは――「あら?」「お嬢様!!」
一瞬の喪失感は足元から。フッと景色が上に流れて、真っ直ぐに下に落ちる感覚と喉から無意識に叫ばれる自分の悲鳴につつまれて、暗い穴の中をネネツィカは一気に落ちて、底に着く前に意識を失った。
◇◇◇
ご機嫌よう、アタクシ、ネネツィカ。今アナタの脳内に直接実況レポートを語りかけていますの。
アタクシ、魔法薬を作るために材料をゲットしようと森に出かけたら、よくわからないけど足元に穴が空いていてスポーンと落ちてしまいましたの。
「みぎゃぁああああ!!?」
落ちている最中、酷い悲鳴が聞こえましたわ。カエルを潰しちゃったみたいな――えっ、今のアタクシの悲鳴? まさかそんな。アタクシの悲鳴はもっとお嬢様らしくて可憐ですわ!
――とにかく。
目が覚めると、そこは虹色の橋の上でしたの。ヴァニラみたいな、すっごい良い匂いがする場所でしたわ。
空は上の方が薄いピンク色で、下に行くほど黄色になっていて、ふわふわの雲から逆さに空から生えたお城がありました。透明な薄い膜に虹色の艶を見せるシャボン玉がふわふわーっと舞っていて、橋の下にはカラフルな大輪のお花を浮かべた透明な水がたぷたぷしていました。
「ここは……」
アタクシは頬をつねつね、アイタタタでそこが夢じゃないのだと理解しましたわ。そして、呆然と座り込んで、シャボン玉に手を伸ばしたのです。
すると。
パチーン!
「ひゃぁっ!?」
指先で触れたシャボン玉はぱちーんと弾けて消えて、同時に、ころんころんと上の方から鐘の音が聞こえて来ましたの!
「なんかダメでしたかしら!? ごめんなさいですわっ!?」
ふるふると震えるアタクシ。その目の前に、ふわぁーっとふたつの影が現れたのです。
ひとつは、以前夢で見た白いうさぎさん。
もうひとつは――銀色の人の形をした幽霊みたいなおぼろな影――「エリック王子殿下?」アタクシはその時、一眼でそう思いましたの。
うさぎさんはぴょこんと跳ねて、アタクシの肩に乗り――ふわふわのモフモフな体を頬にすりすりしてくれましたの。かっわいい……! ここが楽園でしたのね!? たぶん違うと思いますけど!
「うふふ、くすぐったいですわ! ふわふわ……!」
そんなヘヴン状態のアタクシに銀色の影はふわふわと近寄ってきて、手らしきものを差し出したのです。
その手を取ろうとして――、
「お嬢様! ネネツィカお嬢様!」
ぐらぐらっ、世界が揺れましたわ。アタクシは手を掴んで、きゃーって叫んで彼に抱きついたのです。すると、きゃーって声がすごくはっきりと耳に聞こえて、抱きついた彼が「お嬢様!」と慌てた声をあげて……アタクシ、そこで夢から覚めてティミオスに抱き抱えられた自分に気付いたのですの。
「ティミオス……アタクシ、穴から落ちましたわね?」
ぼんやりと周りを見ると、さらさら流れる小川がすぐ近くにありましたわ。
「穴……?」
ティミオスは戸惑いがちに、アタクシが全力ダッシュで茂みをかき分けて、急な斜面を滑り落ちていって気を失っていたのだと教えてくれましたの。
「わたくしがついていながら申し訳ございません」
ティミオスが申し訳なさそうに頭を下げて、アタクシに謝るのでアタクシは慌てて「アタクシが走ったのが悪かったのですわ!」と謝りましたの。
「そしてアタクシは手を取って、たぶんふぁーって空を飛びましたの! ふぁーって!」
そのあと、残りの材料を集めながら、アタクシは夢のお話に脚色を加えて、冒険活劇風にティミオスに教えてあげました。ティミオスが少し残念そうに「わたくしもお供したかったのですが、夢の中ではお供出来なかったようですね」と呟いたので、アタクシはちょっぴり申し訳なくなっちゃいましたのよ。
「今度は一緒に冒険するのですわ! ちゃんと夢の中にもついてきてね!」
そう言って小指を差し出したら、ティミオスは「かしこまりました」と笑って、自分の小指を絡めて約束してくれましたの。小指と小指を絡めて約束するのは、ヘレナが教えてくれたのですわ。
でも、アタクシ本当は思うのです。
――アタクシ、本当にあの時、ぽっかり開いた不思議な穴に落ちましたのよ。スポーンって。
それで、すごく良い匂いがして、つねつねしたらちゃんとイタタタってなりましたの。
服だって汚れていませんもの。
――だから、アタクシは「嘘をついてもハリセンボンは許してあげますわ」と付け足して指を離したのです。
0
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。
◆お友達の花々緒さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。
◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。
限界オタクだった俺が異世界に転生して王様になったら、何故か聖剣を抜いて勇者にクラスチェンジした元近衛騎士に娶られました。
篠崎笙
BL
限界ヲタクだった来栖翔太はトラックに撥ねられ、肌色の本を撒き散らして無惨に死んだ。だが、異世界で美少年のクリスティアン王子として転生する。ヲタクな自分を捨て、立派な王様になるべく努力した王子だったが。近衛騎士のアルベルトが勇者にクラスチェンジし、竜を退治した褒美として結婚するように脅され……。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年の乙女ゲー転生BLです。
異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました
水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。
世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。
「見つけた、俺の運命」
敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。
冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。
食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。
その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。
敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。
世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる