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9、裏切りの勇者と妖精王の復活
130、妖精城、11時の部屋、拒絶
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妖精の輪に滑り込むと、虹色の橋の上にいた。優しい花の匂いがする。
空は地平側が金色で、上にいくにつれ春花の色にグラデーションがかって、ふわふわの綿菓子みたいな雲から逆さに生えた妖精のお城があった。
「わあ、メルヘン」
ヘレナが無邪気な風情で言うからネネツィカはふふんと笑んだ。
「我がラーフルトン伯爵家の誇る妖精世界ですわ」
「大丈夫? それ妖精怒らない?」
黒ローブたちは呪術を使い、城へと飛んでいく。ふむん、と考えて、ネネツィカはゴレ男君を呼んだ。
「ゴレ男君、久しぶりだね」
ヘレナがニコニコすると、ゴレ男君はちょっとモジモジくねくねした。
「ゴレ男君、貴方まさかヘレナの事が……」
種族を超えた新たな恋が発覚した瞬間であった。
ゴレ男君に乗って城に飛びつくと、視界がパァッと光に染まり――「予告してくれないと目に悪い」ヘレナが文句を言っていた。
気づけば、城の中にいた。
妖精たちがたくさんいて、床に置かれた大きな時計が左回りに時間を刻んでいる。
「人間、また来た」
「ラーフルトンだよ」
「ほんとだ、ラーフルトンだ」
妖精たちがサワサワしている。ネネツィカは淑女らしくスカートの裾を摘んで挨拶をした。
「皆さま、ごきげんよう。アポイントもなく急にお訪ねした失礼をお詫びしますわ。わたくしはワイストン・ラーフルトンの末裔、ネネツィカです」
ヘレナが「ヘレナ・マッキントンです……」とおずおずとした声を寄り添わせると、妖精たちは歓迎してくれるようだった。
「わたくし、大切なお友達がここに飛んでいかれるのを見ましたの。今どこにいらっしゃるかしら」
問えば、妖精たちは時計を見て一斉に喋り出す。
「この時計の針で1時の部屋に行った」
「3時の部屋だよ」
「いいや、9時さ」
大きな時計がカチカチ動く。困惑していると、ティミオスが後ろから声をかけてきた。
「ここでは、この時計の上に手をかざして『~時に移動』と言う事で、時計の針が指す位置の部屋に転移するのです」
ティミオスは実家のような顔をして妖精たちに混ざっている。本当に実家なのかもしれない――ネネツィカは、そっと頷いた。
「わたくしは、お友達に先回りするためのご助言を申し上げる事ができますが」
ティミオスが言うので、ネネツィカは「では、ヘルプよ」と助言を引き出した。
「彼の目的の部屋は11時にございます」
何もかも知ってる風に言うから、ネネツィカは微笑んで時計に手をかざし、魔法の言葉を唱えた。
「11時に移動」
すると、一種の暗闇ののち――ネネツィカとヘレナは広い空間にいた。装飾過多な柱が直立して並び、けれど天井はない。空は半分が昼で半分が夜だった。
床は毛足の長い赤絨毯で、数段の階段の上に棺が置かれている。
「あれは、この前の劇に出てきた棺に似てる……」
ネネツィカは勇者の劇を思い出した。第三幕、妖精たちが嘆くシーン。ワイストンがやってくるシーン。
「行ってみよう」
ヘレナがワクワクと言って、手をひいてくれるから、ネネツィカは怖くなかった。友達の手の温度が頼もしくて、怖いよりワクワクが優ってくる。
「この中にデミルはいないはずね」
「そうね!」
確かめ合うように囁きを交わして、蓋に手をかける。
「せーの」
二人で一緒に持ち上げると、ちょっとだけ重い――くすくすと笑ってティミオスが手伝ってくれた。蓋が開いて、中の空っぽの棺の中にあるそれにネネツィカは「あら」と手を差し伸べた。
そこにあったのは――「それをこちらへ」少年の声がした。ティミオスが魔法の障壁を張り巡らせてくれている――声の主は、数段の階段の下、先ほどまでネネツィカたちがいた場所に立っていた。
今ようやくやってきた、という様子の黒ローブたち。
その真ん中から進み出て、フードを外した少年――クレイがまっすぐにネネツィカを見上げて、言ったのだった。
「その勇者の剣を、僕に」
それは必要なのだと、アメジストの瞳が訴えかけていた。
「劇の通りだと仮定しましたら、これは勇者の相棒ワイストンが此処に封じた――我が家に伝わる剣と申せるのではないでしょうか? クレイ様」
ネネツィカはちょっと距離を取るように名を呼んだ。
いつの間にか、なんとなく呼び捨てでいたけれど。
「それは、そう」
少年は素直に頷いた。
「先程の騒ぎを起こして、盗みにいらした……」
「それも、そう」
少年は笑った。
「理由は?」
「なにかな。僕が欲しいと思ったから、かも」
少年は、すこし面倒そうに言った。
「君に理解などは求めないとも。それをくれたら、それだけでよい。理由なんて、『欲しい』でよい……手荒なことは、あまりしたくないので、良い子にして渡してくれたら僕は嬉しいのだけれど」
「エリック様と喧嘩しないで仲直りすると約束してくださるなら、差し上げますわ」
少し考えてそう言えば、ティミオスが背中に寄り添ってくれる温かさを感じる。ヘレナがそっと二人を見比べている。
「それは向こうに頼む事で、僕に約束させてもどうしようもない」
クレイは当たり前じゃないかと目を見開いた。
「僕を嫌って、隙有れば僕の駒を奪っていって、殺そうとしているのは――あちらではないか」
それは一見その通りで、けれどとネネツィカは首を振った。
「そうかしら……本当に、片方だけが原因で今みたいに拗れてしまったのかしら。何もなさっていない?」
具体的に何をした、とかは言わなかった。証拠を並べることもできないし。けれど、ドレスを使ってエリックを挑発したのは見たし、聖女を掲げる公爵家なら竜に対抗する創造多神教の聖句を広めるのもやりやすかっただろうし、人を使って如何にも竜が怒りそうな台詞を市井で言わせれば、暴走竜の出現率を意図して上げる事も可能だったと思う。黒塗りの新聞は、竜が黒く塗ったわけでもなかっただろう――言論統制がされている、竜が恐怖政治している、と事実をつくり、世論を誘導することだって――やろうと思えばできてしまうように思えるのだ。
「ゲームは、もうおやめください。迷惑です」
剣を抱きしめてそう告げれば、少年は意外に素直に頷いた。
「やめる。あとワンゲームで」
そして、いじけたように微笑んだのだ。
「現実と虚構の区別はついてるよ。ゲームだけど、遊びじゃないんだ」
前だってそうだった。そう呟いて、寂しそうに手を伸ばすのだ。
「それは、必要なんだ。頼む。……僕は、」
キャンディも何もない手がいつかのそれと重なって、けれどネネツィカは首を振った。
「いいえ。ちゃんと何のために何を具体的になさるのかを教えてくださり、エリック様と仲直りして、それからじゃないと渡してあげません。絶対、絶対です」
ティミオスが微笑み、魔法を使ってくれる。
「――僕は、『クイーンを獲りたい』! 『キングなんていらない』! それだけだよ!」
声が遠くなる。声が遮断される。元の世界に戻っていく――その日、ネネツィカは少年を拒絶したのだった。
空は地平側が金色で、上にいくにつれ春花の色にグラデーションがかって、ふわふわの綿菓子みたいな雲から逆さに生えた妖精のお城があった。
「わあ、メルヘン」
ヘレナが無邪気な風情で言うからネネツィカはふふんと笑んだ。
「我がラーフルトン伯爵家の誇る妖精世界ですわ」
「大丈夫? それ妖精怒らない?」
黒ローブたちは呪術を使い、城へと飛んでいく。ふむん、と考えて、ネネツィカはゴレ男君を呼んだ。
「ゴレ男君、久しぶりだね」
ヘレナがニコニコすると、ゴレ男君はちょっとモジモジくねくねした。
「ゴレ男君、貴方まさかヘレナの事が……」
種族を超えた新たな恋が発覚した瞬間であった。
ゴレ男君に乗って城に飛びつくと、視界がパァッと光に染まり――「予告してくれないと目に悪い」ヘレナが文句を言っていた。
気づけば、城の中にいた。
妖精たちがたくさんいて、床に置かれた大きな時計が左回りに時間を刻んでいる。
「人間、また来た」
「ラーフルトンだよ」
「ほんとだ、ラーフルトンだ」
妖精たちがサワサワしている。ネネツィカは淑女らしくスカートの裾を摘んで挨拶をした。
「皆さま、ごきげんよう。アポイントもなく急にお訪ねした失礼をお詫びしますわ。わたくしはワイストン・ラーフルトンの末裔、ネネツィカです」
ヘレナが「ヘレナ・マッキントンです……」とおずおずとした声を寄り添わせると、妖精たちは歓迎してくれるようだった。
「わたくし、大切なお友達がここに飛んでいかれるのを見ましたの。今どこにいらっしゃるかしら」
問えば、妖精たちは時計を見て一斉に喋り出す。
「この時計の針で1時の部屋に行った」
「3時の部屋だよ」
「いいや、9時さ」
大きな時計がカチカチ動く。困惑していると、ティミオスが後ろから声をかけてきた。
「ここでは、この時計の上に手をかざして『~時に移動』と言う事で、時計の針が指す位置の部屋に転移するのです」
ティミオスは実家のような顔をして妖精たちに混ざっている。本当に実家なのかもしれない――ネネツィカは、そっと頷いた。
「わたくしは、お友達に先回りするためのご助言を申し上げる事ができますが」
ティミオスが言うので、ネネツィカは「では、ヘルプよ」と助言を引き出した。
「彼の目的の部屋は11時にございます」
何もかも知ってる風に言うから、ネネツィカは微笑んで時計に手をかざし、魔法の言葉を唱えた。
「11時に移動」
すると、一種の暗闇ののち――ネネツィカとヘレナは広い空間にいた。装飾過多な柱が直立して並び、けれど天井はない。空は半分が昼で半分が夜だった。
床は毛足の長い赤絨毯で、数段の階段の上に棺が置かれている。
「あれは、この前の劇に出てきた棺に似てる……」
ネネツィカは勇者の劇を思い出した。第三幕、妖精たちが嘆くシーン。ワイストンがやってくるシーン。
「行ってみよう」
ヘレナがワクワクと言って、手をひいてくれるから、ネネツィカは怖くなかった。友達の手の温度が頼もしくて、怖いよりワクワクが優ってくる。
「この中にデミルはいないはずね」
「そうね!」
確かめ合うように囁きを交わして、蓋に手をかける。
「せーの」
二人で一緒に持ち上げると、ちょっとだけ重い――くすくすと笑ってティミオスが手伝ってくれた。蓋が開いて、中の空っぽの棺の中にあるそれにネネツィカは「あら」と手を差し伸べた。
そこにあったのは――「それをこちらへ」少年の声がした。ティミオスが魔法の障壁を張り巡らせてくれている――声の主は、数段の階段の下、先ほどまでネネツィカたちがいた場所に立っていた。
今ようやくやってきた、という様子の黒ローブたち。
その真ん中から進み出て、フードを外した少年――クレイがまっすぐにネネツィカを見上げて、言ったのだった。
「その勇者の剣を、僕に」
それは必要なのだと、アメジストの瞳が訴えかけていた。
「劇の通りだと仮定しましたら、これは勇者の相棒ワイストンが此処に封じた――我が家に伝わる剣と申せるのではないでしょうか? クレイ様」
ネネツィカはちょっと距離を取るように名を呼んだ。
いつの間にか、なんとなく呼び捨てでいたけれど。
「それは、そう」
少年は素直に頷いた。
「先程の騒ぎを起こして、盗みにいらした……」
「それも、そう」
少年は笑った。
「理由は?」
「なにかな。僕が欲しいと思ったから、かも」
少年は、すこし面倒そうに言った。
「君に理解などは求めないとも。それをくれたら、それだけでよい。理由なんて、『欲しい』でよい……手荒なことは、あまりしたくないので、良い子にして渡してくれたら僕は嬉しいのだけれど」
「エリック様と喧嘩しないで仲直りすると約束してくださるなら、差し上げますわ」
少し考えてそう言えば、ティミオスが背中に寄り添ってくれる温かさを感じる。ヘレナがそっと二人を見比べている。
「それは向こうに頼む事で、僕に約束させてもどうしようもない」
クレイは当たり前じゃないかと目を見開いた。
「僕を嫌って、隙有れば僕の駒を奪っていって、殺そうとしているのは――あちらではないか」
それは一見その通りで、けれどとネネツィカは首を振った。
「そうかしら……本当に、片方だけが原因で今みたいに拗れてしまったのかしら。何もなさっていない?」
具体的に何をした、とかは言わなかった。証拠を並べることもできないし。けれど、ドレスを使ってエリックを挑発したのは見たし、聖女を掲げる公爵家なら竜に対抗する創造多神教の聖句を広めるのもやりやすかっただろうし、人を使って如何にも竜が怒りそうな台詞を市井で言わせれば、暴走竜の出現率を意図して上げる事も可能だったと思う。黒塗りの新聞は、竜が黒く塗ったわけでもなかっただろう――言論統制がされている、竜が恐怖政治している、と事実をつくり、世論を誘導することだって――やろうと思えばできてしまうように思えるのだ。
「ゲームは、もうおやめください。迷惑です」
剣を抱きしめてそう告げれば、少年は意外に素直に頷いた。
「やめる。あとワンゲームで」
そして、いじけたように微笑んだのだ。
「現実と虚構の区別はついてるよ。ゲームだけど、遊びじゃないんだ」
前だってそうだった。そう呟いて、寂しそうに手を伸ばすのだ。
「それは、必要なんだ。頼む。……僕は、」
キャンディも何もない手がいつかのそれと重なって、けれどネネツィカは首を振った。
「いいえ。ちゃんと何のために何を具体的になさるのかを教えてくださり、エリック様と仲直りして、それからじゃないと渡してあげません。絶対、絶対です」
ティミオスが微笑み、魔法を使ってくれる。
「――僕は、『クイーンを獲りたい』! 『キングなんていらない』! それだけだよ!」
声が遠くなる。声が遮断される。元の世界に戻っていく――その日、ネネツィカは少年を拒絶したのだった。
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