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閑話⑤ ぬいぐるみの秘密②
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私の一番上の兄であり、カンチス王国を滅亡寸前まで追いやった張本人のシャベールお兄様がお父様に呼び出され、アンドリエ家へやってきた。
「父上、シャベールです。お呼びとお聞きし参りました。」
シャベールお兄様は固くるしい挨拶をし、部屋に入ってきた。
王宮からすぐに来たのであろう、軍服を来ていた。シャベールお兄様が所属している魔術団は、白地をベースした制服だ。右の胸元には国旗の刺繍が施されてあり、左の胸元には階級が分かる勲章が付けられている。シャベールお兄様は魔術団のトップなのでそれは立派で大きな勲章だ。勲章が存在感を出すようにキラリを光る。そして白色のマントを羽織っている姿は本当にカッコいいですわ!
ですが、シャベールお兄様の美貌の方が制服より勝っている。父親譲りのキリッとした二重瞼の瞳。髪の毛は銀髪色で長い。もう30歳は越えているが、言われなくては分からない。
白をベースにした制服は良く似合っていた。
シャベールお兄様は私を姿を見たら嬉しそうにして、ハグをしてきた。
「フレアも来ていたんだね。」
苦しいですわ!シャベールお兄様!
シャベールお兄様はかなりシスコンのようで、いまだに私とお風呂に入りたがる、ちょっと変態チックな残念なイケメンなのです。
御姉様曰く、私限定らしいのですが·····。
そんな兄もちゃんと結婚もして子供もいるのです·······。
なかなか妹離れしなくて困ってしまう。
よくこういう風に私に構うので、シャベールお兄様の親友でありライバルの私の旦那様が焼きもちを焼いて困るのだ。
··················。
ところでシャベールお兄様はいつまでハグをするのかしら······。
シャベールお兄様は待てど待てど、私を離す気配がない。
それを見ていたお母様は微笑み、お父様はため息をついて立ち上がり、シャベールお兄様を私からひっぺ剥がして、襟首を持ってシャベールお兄様を引きずりながら部屋から出ていきました。
やっと解放されたわ。ありがとう!お父様!
部屋の外側から「フレア~!」と叫び声が聞こえても無視ですわ!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
私とお母様は中庭へ行き、子供たちの相手をしていた。
お父様とシャベールお兄様は、お父様の書斎からなかなか出て来なかった。夕方くらいにやっと部屋から出てきて、私とお母様はお父様に呼ばれて応接間へと来ていた。
子供たちはメイドやピィーちゃんたちに再びお願いをした。
シャベールお兄様はゆっくりと話しを始めた。
「フレア、お前の友達を襲ったのは空を翔べる、赤色の瞳以外は分からないのか?」
「シャベールお兄様、お友達が襲われたのではなく、お友達の主である皇太子妃様が襲われたのですわ。」
「あまり変わらないじゃないか。」
いえ!これは凄く大切なことですわ!
「お友達が言うには、賊は全身黒の服を着ていて、顔も目以外は布で覆われてたそうですわ。」
「······そうか····。純粋なカンチス人は赤い目が特徴だ。とは言え赤い目をしたものは他国にもいる。あとは空が翔べるのは珍しい。」
そう。魔法の国でも人間で空を飛べたりするのは、居ないことはないけれどものすごく珍しい。かなり限られている。
「実はカンチス王国との戦いで一人だけ飛べた奴がいる。そいつは空を飛べるからか凄い自信家だったよ。」
まあ·····希少な魔法スキルですから····。てか、空が飛べるって反則だと思うけど!
「私はその自信をへし折ってやったけどね。」
へし折るって·····。
「その方はカンチス王国の重鎮だった方ですの?」
シャベールお兄様はフフンと鼻で笑って教えてくれた。
「そうだな。確か魔術騎士団の総督と言っていた。」
なかなかの重鎮ですね!
お兄様はその方をバカにしたように話しを続けた。
「相手が空を飛んで攻撃しながら『やれるもんならやってみろ!』というから、風魔法で砲弾を連発して、すぐさま雷を一発当ててちょびっと大きい火玉をお見舞いしてやったよ。ふふふ。」
シャベールお兄様エゲツイですわ······。しかも今、かなり悪どい顔をしているし!
さすがですわね!
「余程、空が飛べるから過信していたのだろうな。かなり高い所にいたそいつは、私が砲撃をして自分の所に届いた時点で驚いていたよ。上には上がいると分からせなければね。空が飛べるのは希少だがそれだけでは勝利というのものを勝ち取るには無理だ。」
「シャベールお兄様、その方の攻撃魔法はどうでしたの?」
「そうだな·····ファイヤーボールくらいしかなかった気がするな。威力はそこそこあったけどね。」
「その方はどうなったのですか?」
私がそう聞くと、シャベールお兄様は眉間にシワを寄せた。
「火だるまになって、空から落ちたんだが·····落ちた先が湖だったんだ。」
ひっ!火だるま!やはり鬼ですわ!シャベールお兄様!
でも運がいい方。落ちた先が湖なんて。それにしても雷を直撃したから生きてないわよね、きっと。
「カンチス王国の湖にはシャーククラッシュという魔物が棲んでいる。かなり狂暴な魔物なんだ。死んでいても生きていても、そいつに食べられるだろうからと私はそいつのことを死亡と判断して放置していたんだが·····」
「が?」
「その湖はカンチス王国にある湖の中で唯一、海に繋がっている。」
私は、ハッとした。もしかしたら·····。
シャベールお兄様は私の反応を見て頷いた。
「万が一、命をとりとめて、運よくシャーククラッシュに見つからず食べられていなくて海まで流されていたのなら·····あちらの大陸に行っている可能性も否定はできない。」
可能性·····確かにあるわ。色んなことが重なり「運」がその人に味方をしたのなら。
それまで黙って聞いていたお父様が口を開いた。
「もしそうだとしたら、あちらの大陸には居るべき人物ではない。それにこちらでは罪人になる。シャベールは数日内にカンチス王国に向かい捜査をすること。あちらの大陸のフレアのお友達が命を狙われているということだが「お父様!!」」
私はお父様の言葉を遮った。お父様は驚いた顔をしている。
「違いますわ!命を狙われたのは私のお友達の主の皇太子妃様です!」
これは大事!訂正しとかないとね!
「·····まあ、そのフレアのお友達の主が危険だということだが、魔法がない国では直ぐに殺られてしまうだろう。」
まっ!お父様!なんてことを不吉なことを!
「どっちせよ、こちらでそいつを捕まえるか、殺すしかないだろう。」
「·····お父様はそれは可能なのだとお思いですか?」
「·······それは分からぬが、出来ないこともないだろう。やってみるしかない。何を····だが。」
お父様は腕を組んで考えている。
私もどうすればいいか考えた。できれば罪人だから捕まえたい。
ふと、前世でラノベというか架空世界の物語のことを思い出した。
「お父様!お人形にお父様の魔力を込めてお人形を動かして捕らえるとかは出来ませんか?もしくはボディーガードとか!」
「ボディーガードとはなんだ?」
あっ、そうか、この世界にはボディーガードという言葉はないんだわ。
「近衛みたいに皇太子妃様のそばにいてお守りすることは出来ませんか?」
「······できないことはないと思うが·····膨大な魔力が必要となる。たがあちらの国のことが少しでも分かるかもしれない。」
???どういうことかしら?
お父様が言うには、お人形と一体化というか繋がって透視が出来るかもしれないとのこと。ただずっと意識をお人形に向けとかなければいけないので、自分の仕事にも支障が出るし、体力と魔力の消耗が激しいらしい。
さすがのお父様でもかなり疲れそうな感じだった。
そして疑問に思う?
「お父様、その賊を捕まえるのにはお人形にかなりの魔力を必要としますよね?大量の魔力はどうやって入れるのですか?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お父様が言うには、自分の一部を埋め込めればいいとのことだった。
そして······
「かなり魔力を使うことになる。仕事ができなくなるかもしれぬ。」
それは困りますわ!
どうしましょう·····と思った時にお父様はとんでもないことを言った。
「宰相を辞めようか。」
「「「え?」」」
お母様、シャベールお兄様と一緒にハモっちゃいましたわ!
「そろそろ引退をし、次世代に讓らなければな。私も歳を取った····。そろそろミチルダと二人でゆっくりと過ごしても良いと思う。」
お父様は目を閉じてうんうんと頷いている。
お父様!貴方はまだ引退するようなそんな歳ではありませんわ!
次世代とか言ってますが、実際はお母様と一緒にいたいだけでしょすよね?!
これはいい機会だと思って引退する気ですわね!
ダシャンのことは忘れているようですが。
他国の、しかも違う大陸の全然知らない皇太子妃様を救う為に引退なんてしたら、私が国王様だけでなく全国民に私が恨まれてしまいますわ!
何とか思いとどめようとしましたが、
「いや、辞める。決めた」
と言って聞く耳持たない。
それにはお兄様慌てていました。
二人して説得してますが、お父様は頑として考えを改めてない。
そんなときにお母様が笑顔で一言。
「わたくしはダンの宰相として、凛としている姿が好きですわ。」
そのあとはどうなったのかって?
勿論、お父様は即効で引退宣言を撤回しましたわ!
良かったけれど、どれだけお母様が好きなのですか!お父様!
と、まあそんなやり取りもありました。
話し合った結果、シャベールお兄様も責任を取り(まだカンチス王国の人物と同じなのか分からないのに、断定されているシャベールお兄様)、お父様と二人で交代でお人形にシンクロすることになりました。
それにより、2つのお人形を作ることになりました。どうせなら守護神のこどく、お父様とシャベールお兄様に似せたお人形を作ることにしました。
お母様がお裁縫が上手なので2つとも頼むつもりでしたが、シャベールお兄様が
「私のお人形はフレアに作って欲しい!」
と懇願をしてきました。
上手く縫えるか分からないので嫌でしたが、私のお友達の主あるじのことですもの。私も協力しなくちゃと思い承諾しました。
お人形に埋め込むというか付ける、お父様とシャベールお兄様の一部ですが、何と!髪の毛を付けることになりました。
その為にお二人ともに髪の毛は長いのですが、それをバッサリと切りました!
私が物心がついた時から髪の毛が長かったお父様とシャベールお兄様。それには理由があったらしいのです。髪の毛には魔力を蓄積させることができるからとのこと。
初耳ですわ!
だから魔力が強い人ほど髪の毛が長いらしいのです。
お人形に強い魔力を籠めるには髪の毛が最適だとのこと。
だったら、そんなことをして大丈夫なのかと聞いたら
「髪の毛が短くても一つの街を半壊くらいには出来るくらいの魔力があるから大丈夫だよ。」
と、シャベールお兄様。因みにお父様に関しては一つの街を全滅くらいは出来るだろうとのことだった。
どれくらいの規模の街ですか?······とは怖くて聞けませんでした。
私はその時思いました。お父様、シャベールお兄様、本当に人間ですか?と········。
ともあれ、髪の毛が短くなり二人ともに、若返りました!
特にお父様!ますますモテますわ!
お兄様も!前は色気みたいなのがありましたが、今はさっぱりして、しかも軍の制服を着ているので、おとぎ話に出てくる王子様みたいですわ!
お母様と私は急いでお人形を作りました。
お母様は1日で作業を終了。私はお母様に「フレアやり直しね。」と笑顔で言われながらでも3日で何とか終了。
ネネさん!待っててね!最強の守護神人形を贈るから!
私は、ネネさんも、ネネさんも主であるアリア様の無事を願ってハヤバトを飛ばした。
○◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆○
後書き
次から本編に戻ります。
「父上、シャベールです。お呼びとお聞きし参りました。」
シャベールお兄様は固くるしい挨拶をし、部屋に入ってきた。
王宮からすぐに来たのであろう、軍服を来ていた。シャベールお兄様が所属している魔術団は、白地をベースした制服だ。右の胸元には国旗の刺繍が施されてあり、左の胸元には階級が分かる勲章が付けられている。シャベールお兄様は魔術団のトップなのでそれは立派で大きな勲章だ。勲章が存在感を出すようにキラリを光る。そして白色のマントを羽織っている姿は本当にカッコいいですわ!
ですが、シャベールお兄様の美貌の方が制服より勝っている。父親譲りのキリッとした二重瞼の瞳。髪の毛は銀髪色で長い。もう30歳は越えているが、言われなくては分からない。
白をベースにした制服は良く似合っていた。
シャベールお兄様は私を姿を見たら嬉しそうにして、ハグをしてきた。
「フレアも来ていたんだね。」
苦しいですわ!シャベールお兄様!
シャベールお兄様はかなりシスコンのようで、いまだに私とお風呂に入りたがる、ちょっと変態チックな残念なイケメンなのです。
御姉様曰く、私限定らしいのですが·····。
そんな兄もちゃんと結婚もして子供もいるのです·······。
なかなか妹離れしなくて困ってしまう。
よくこういう風に私に構うので、シャベールお兄様の親友でありライバルの私の旦那様が焼きもちを焼いて困るのだ。
··················。
ところでシャベールお兄様はいつまでハグをするのかしら······。
シャベールお兄様は待てど待てど、私を離す気配がない。
それを見ていたお母様は微笑み、お父様はため息をついて立ち上がり、シャベールお兄様を私からひっぺ剥がして、襟首を持ってシャベールお兄様を引きずりながら部屋から出ていきました。
やっと解放されたわ。ありがとう!お父様!
部屋の外側から「フレア~!」と叫び声が聞こえても無視ですわ!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
私とお母様は中庭へ行き、子供たちの相手をしていた。
お父様とシャベールお兄様は、お父様の書斎からなかなか出て来なかった。夕方くらいにやっと部屋から出てきて、私とお母様はお父様に呼ばれて応接間へと来ていた。
子供たちはメイドやピィーちゃんたちに再びお願いをした。
シャベールお兄様はゆっくりと話しを始めた。
「フレア、お前の友達を襲ったのは空を翔べる、赤色の瞳以外は分からないのか?」
「シャベールお兄様、お友達が襲われたのではなく、お友達の主である皇太子妃様が襲われたのですわ。」
「あまり変わらないじゃないか。」
いえ!これは凄く大切なことですわ!
「お友達が言うには、賊は全身黒の服を着ていて、顔も目以外は布で覆われてたそうですわ。」
「······そうか····。純粋なカンチス人は赤い目が特徴だ。とは言え赤い目をしたものは他国にもいる。あとは空が翔べるのは珍しい。」
そう。魔法の国でも人間で空を飛べたりするのは、居ないことはないけれどものすごく珍しい。かなり限られている。
「実はカンチス王国との戦いで一人だけ飛べた奴がいる。そいつは空を飛べるからか凄い自信家だったよ。」
まあ·····希少な魔法スキルですから····。てか、空が飛べるって反則だと思うけど!
「私はその自信をへし折ってやったけどね。」
へし折るって·····。
「その方はカンチス王国の重鎮だった方ですの?」
シャベールお兄様はフフンと鼻で笑って教えてくれた。
「そうだな。確か魔術騎士団の総督と言っていた。」
なかなかの重鎮ですね!
お兄様はその方をバカにしたように話しを続けた。
「相手が空を飛んで攻撃しながら『やれるもんならやってみろ!』というから、風魔法で砲弾を連発して、すぐさま雷を一発当ててちょびっと大きい火玉をお見舞いしてやったよ。ふふふ。」
シャベールお兄様エゲツイですわ······。しかも今、かなり悪どい顔をしているし!
さすがですわね!
「余程、空が飛べるから過信していたのだろうな。かなり高い所にいたそいつは、私が砲撃をして自分の所に届いた時点で驚いていたよ。上には上がいると分からせなければね。空が飛べるのは希少だがそれだけでは勝利というのものを勝ち取るには無理だ。」
「シャベールお兄様、その方の攻撃魔法はどうでしたの?」
「そうだな·····ファイヤーボールくらいしかなかった気がするな。威力はそこそこあったけどね。」
「その方はどうなったのですか?」
私がそう聞くと、シャベールお兄様は眉間にシワを寄せた。
「火だるまになって、空から落ちたんだが·····落ちた先が湖だったんだ。」
ひっ!火だるま!やはり鬼ですわ!シャベールお兄様!
でも運がいい方。落ちた先が湖なんて。それにしても雷を直撃したから生きてないわよね、きっと。
「カンチス王国の湖にはシャーククラッシュという魔物が棲んでいる。かなり狂暴な魔物なんだ。死んでいても生きていても、そいつに食べられるだろうからと私はそいつのことを死亡と判断して放置していたんだが·····」
「が?」
「その湖はカンチス王国にある湖の中で唯一、海に繋がっている。」
私は、ハッとした。もしかしたら·····。
シャベールお兄様は私の反応を見て頷いた。
「万が一、命をとりとめて、運よくシャーククラッシュに見つからず食べられていなくて海まで流されていたのなら·····あちらの大陸に行っている可能性も否定はできない。」
可能性·····確かにあるわ。色んなことが重なり「運」がその人に味方をしたのなら。
それまで黙って聞いていたお父様が口を開いた。
「もしそうだとしたら、あちらの大陸には居るべき人物ではない。それにこちらでは罪人になる。シャベールは数日内にカンチス王国に向かい捜査をすること。あちらの大陸のフレアのお友達が命を狙われているということだが「お父様!!」」
私はお父様の言葉を遮った。お父様は驚いた顔をしている。
「違いますわ!命を狙われたのは私のお友達の主の皇太子妃様です!」
これは大事!訂正しとかないとね!
「·····まあ、そのフレアのお友達の主が危険だということだが、魔法がない国では直ぐに殺られてしまうだろう。」
まっ!お父様!なんてことを不吉なことを!
「どっちせよ、こちらでそいつを捕まえるか、殺すしかないだろう。」
「·····お父様はそれは可能なのだとお思いですか?」
「·······それは分からぬが、出来ないこともないだろう。やってみるしかない。何を····だが。」
お父様は腕を組んで考えている。
私もどうすればいいか考えた。できれば罪人だから捕まえたい。
ふと、前世でラノベというか架空世界の物語のことを思い出した。
「お父様!お人形にお父様の魔力を込めてお人形を動かして捕らえるとかは出来ませんか?もしくはボディーガードとか!」
「ボディーガードとはなんだ?」
あっ、そうか、この世界にはボディーガードという言葉はないんだわ。
「近衛みたいに皇太子妃様のそばにいてお守りすることは出来ませんか?」
「······できないことはないと思うが·····膨大な魔力が必要となる。たがあちらの国のことが少しでも分かるかもしれない。」
???どういうことかしら?
お父様が言うには、お人形と一体化というか繋がって透視が出来るかもしれないとのこと。ただずっと意識をお人形に向けとかなければいけないので、自分の仕事にも支障が出るし、体力と魔力の消耗が激しいらしい。
さすがのお父様でもかなり疲れそうな感じだった。
そして疑問に思う?
「お父様、その賊を捕まえるのにはお人形にかなりの魔力を必要としますよね?大量の魔力はどうやって入れるのですか?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お父様が言うには、自分の一部を埋め込めればいいとのことだった。
そして······
「かなり魔力を使うことになる。仕事ができなくなるかもしれぬ。」
それは困りますわ!
どうしましょう·····と思った時にお父様はとんでもないことを言った。
「宰相を辞めようか。」
「「「え?」」」
お母様、シャベールお兄様と一緒にハモっちゃいましたわ!
「そろそろ引退をし、次世代に讓らなければな。私も歳を取った····。そろそろミチルダと二人でゆっくりと過ごしても良いと思う。」
お父様は目を閉じてうんうんと頷いている。
お父様!貴方はまだ引退するようなそんな歳ではありませんわ!
次世代とか言ってますが、実際はお母様と一緒にいたいだけでしょすよね?!
これはいい機会だと思って引退する気ですわね!
ダシャンのことは忘れているようですが。
他国の、しかも違う大陸の全然知らない皇太子妃様を救う為に引退なんてしたら、私が国王様だけでなく全国民に私が恨まれてしまいますわ!
何とか思いとどめようとしましたが、
「いや、辞める。決めた」
と言って聞く耳持たない。
それにはお兄様慌てていました。
二人して説得してますが、お父様は頑として考えを改めてない。
そんなときにお母様が笑顔で一言。
「わたくしはダンの宰相として、凛としている姿が好きですわ。」
そのあとはどうなったのかって?
勿論、お父様は即効で引退宣言を撤回しましたわ!
良かったけれど、どれだけお母様が好きなのですか!お父様!
と、まあそんなやり取りもありました。
話し合った結果、シャベールお兄様も責任を取り(まだカンチス王国の人物と同じなのか分からないのに、断定されているシャベールお兄様)、お父様と二人で交代でお人形にシンクロすることになりました。
それにより、2つのお人形を作ることになりました。どうせなら守護神のこどく、お父様とシャベールお兄様に似せたお人形を作ることにしました。
お母様がお裁縫が上手なので2つとも頼むつもりでしたが、シャベールお兄様が
「私のお人形はフレアに作って欲しい!」
と懇願をしてきました。
上手く縫えるか分からないので嫌でしたが、私のお友達の主あるじのことですもの。私も協力しなくちゃと思い承諾しました。
お人形に埋め込むというか付ける、お父様とシャベールお兄様の一部ですが、何と!髪の毛を付けることになりました。
その為にお二人ともに髪の毛は長いのですが、それをバッサリと切りました!
私が物心がついた時から髪の毛が長かったお父様とシャベールお兄様。それには理由があったらしいのです。髪の毛には魔力を蓄積させることができるからとのこと。
初耳ですわ!
だから魔力が強い人ほど髪の毛が長いらしいのです。
お人形に強い魔力を籠めるには髪の毛が最適だとのこと。
だったら、そんなことをして大丈夫なのかと聞いたら
「髪の毛が短くても一つの街を半壊くらいには出来るくらいの魔力があるから大丈夫だよ。」
と、シャベールお兄様。因みにお父様に関しては一つの街を全滅くらいは出来るだろうとのことだった。
どれくらいの規模の街ですか?······とは怖くて聞けませんでした。
私はその時思いました。お父様、シャベールお兄様、本当に人間ですか?と········。
ともあれ、髪の毛が短くなり二人ともに、若返りました!
特にお父様!ますますモテますわ!
お兄様も!前は色気みたいなのがありましたが、今はさっぱりして、しかも軍の制服を着ているので、おとぎ話に出てくる王子様みたいですわ!
お母様と私は急いでお人形を作りました。
お母様は1日で作業を終了。私はお母様に「フレアやり直しね。」と笑顔で言われながらでも3日で何とか終了。
ネネさん!待っててね!最強の守護神人形を贈るから!
私は、ネネさんも、ネネさんも主であるアリア様の無事を願ってハヤバトを飛ばした。
○◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆○
後書き
次から本編に戻ります。
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