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第2話 抱えきれぬ想い

学院 Episode:05

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「連絡をもらった時は驚きましたよ。なにしろ15年ぶりくらいでしたから」
「はぁ……」

 15年前なんて、あたしまだ生まれてない。

「まぁカレアナはあまり、変わってないようでしたけどね。
 でも向こうは、まさかわたしがシエラの学院長をやっているなど思っても見なかったようで、驚いてましたっけ」
「……そう、なんですか……」

 たしかあたし、ここに入学手続きにきたような……?

「それにしても音沙汰のないうちに、こんな可愛いお嬢さんが生まれてたとは」
「……ありがとうございます」

 なにをどう答えればいいか、分からなくなってくる。

「なんでも、カレアナがいろいろ言ってましたが……」
「!」

 瞬間、驚くより早く、目に入った映像に対して身体が反応した。
 とっさに小太刀を投げつけて隙を作り出し、逃さず一瞬で間合いを詰めた。
 そのまま間髪いれずに、学院長の右手首に手刀を叩きこむ。
 学院長の手から、銃が落ちた。

「いたた……はは、さすがシュマーの総領家ですね。
 話は嘘ではなかったようです。驚かせてすみませんでした」

 手首をさすりながら、学院長が笑って言った。
 どうやら試されたらしい。

「あ、えっと、その……すみません。骨、だいじょうぶ……ですか?」

 たぶん骨が砕けるほどの力は入ってないはずだけど……とっさだったから自信なかった。
 もしかしたら、ヒビくらい入ったかもしれない。

「ええ、どうやら大丈夫のようです。
 それにしてもこれでは……今までいろいろ、辛かったでしょう?」
「え?」

 言われた意味が分からず、そのまま考え込む。
 学院長がそっと手を伸ばして、あたしの頭を撫でた。

「もっと普通に、友だちと遊んだりしたかったでしょうに。
 でもこれからは、きっと出来ますよ」
「あ……」

 涙がこみ上げる。
 いちばん夢見ていたもの。
 けどいちばん遠いと諦めていたもの。
 それが今、目の前にあった。

 次々と涙がこぼれる。
 学院長が黙って、あたしを抱き寄せた。

「っつ……!」

 動かしたせいだろう、手首を押さえて顔をしかめる学院長に、血の気が引く思いになる。

「だいじょうぶですか?!」

 やっぱりヒビが、入ったかもしれない。

「あの、学院長、どこかで……診てもらったほうが」
「そうですね。一応、診療所へ行って、検査でもしてもらいますか」

 学院長の言葉に内心驚く。思ってた以上にこの学院、至れり尽くせりだ。
 まさか検査の出来る医療施設まで、あるとは思わなかった。

「ついでに寮まで案内しますよ。行きましょう」
「はい」

 いっしょに昇降台で一階まで降りる。
 廊下は変わらずにぎやかだった。
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