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第3話 葛藤

苦悩 Episode:05

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「ちょっとマテ、だってあいつ、俺らと同い年だろ?」
「あの可愛くて優しいルーちゃんが、そんな、そんなの……」

 言いたいことは分かる。
 黙って座ってたらルーフェイアのヤツ、誰がどう見ても、おとなしいお嬢さんだ。
 太刀振るって人を殺せるとか、思いつくヤツのほうがおかしいだろう。

「3つの頃から戦地にいて、5歳の頃にはもう、伝令とかやってたらしい。
 ここ来る直前とか、ホンキで最前線にいたしな」

「マジかよ……」

 重苦しい沈黙。
 いくらMeSのAクラスったって、実戦経験のあるヤツなんてこの年じゃ、いるわけない。

 その中に混ざる、「殺す」プロ。異質なんてもんじゃなかった。

「じゃぁ、ルーちゃんが本校へ、直接入学したのって……」
「ああ」

 悪友たちが顔を見合わせる。

「少年兵あがりじゃ、分校とかじゃハナシにならんよな」
「ルーちゃん……気の毒すぎるよ」

 ルーフェイアのヤツが顔を上げた。
 話の流れから、部屋の奥でぼけっとしてるあいつに視線が集まったから、それを感じたらしい。

 何か思うとこがあったらしくて、ふわりと立ってこっちへ来る。
 金糸の髪。碧玉の瞳。白磁の肌。

 ――妖精のような雰囲気の、華奢な美少女。

 その手が血に染まってるとか、まったく信じらんねぇ。

「……?」

 俺らの注目あびて、ルーフェイアが不思議そうに首をかしげた。

「えっと……どうしたの?」
「――あのさ、戦場にいたってホントなのか?」
「このバカっ!」

 とっさに口ふさいだけど、間に合わない。
 ルーフェイアの顔が曇った。

「……話しちゃった……の?」

 寂しげな瞳。
 なんかどきっとする。

「――すまねぇ」
「いや、俺らが聞いたんだし。イマドがわざと言ったとかじゃないから」
「ゼッタイ喋らないって」

 口々に言う俺らに、ルーフェイアのヤツが儚い微笑みを向けた。
 その瞳には、涙。

(おい、ちょっといいか?)

 悪友2人にささやいて、俺はルーフェイアから少し離れた。
 状況が状況だから、こいつらもすぐ分かって、目配せしあってこっちへ来る。

「――あの通り、あいつもう、ボロボロなんだよ。だから……お前ら、頼むわ」
「分かったよ」

 悪友二人がうなずいた。

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