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第6話 立ち上がる意思

浜辺 Episode:03

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「わりぃ、ちょっと行ってくるわ」
「いや待て、ルーちゃんのことなら僕も行くから」

 なんかなし崩しに、こいつらもついてくる。
 近づくとすぐ気配に気づいて、ルーフェイアのヤツが振り向いた。

「お前ら、なにやってんだ?」
「あー、イマド? それがさ、ルーフェったら海、ヤなんだって」
「え? なんでだ?」

 けど、こいつの足元を見て気づく。ルーフェイアの立ってる場所は、絶対に波が来ない位置だ。
 ってことは、まさかっては思うけど……。

「それがさ、ルーフェイア、泳げないんだってさ」
「あー、やっぱそうか。いまコイツの足元見て思った」

 ルーフェイアのヤツは、みんなに知られたくなかったんだろう。バツの悪そうな、泣き出しそうな顔だ。

 けどホントのこと言うと、俺も信じらんなかった。
 バトルとなれば上級生顔負けのくせに、泳げねぇってのは意外すぎる。

「あたし……海軍じゃなかったし……」
「いやそうだけど、そこじゃなくね?」
「いやぁ、でもいいんじゃないか? ルーちゃんに意外な弱点! いいなぁ、うん」

 ヴィオレイのヤツ、ぜんっぜんフォローになってねぇし。

「――あのさ、ルーフェよけい落ち込んでない?」
「わわ、ルーちゃんゴメン!」

 突っ込まれて、ヴィオレイが慌てて謝る。

 でもよく考えてみりゃ、ありうる話だった。ルーフェイアのヤツは戦場育ちだ。
 のんびり泳ぎを習う暇なんて、ありゃしなかったんだろう。

 当人はみんなにいろいろ言われて、かなり落ちこんでるっぽい。
 このまま放っとくとたぶん、また泣くだろう。

 こいつの泣き虫は筋金入りだ。一回泣き出したら、しばらくは泣きやまねぇし。

「おまえ、水には浮けんのか?」

 とりあえず助け舟、出してみる。

「そのくらいだったら……」

 どうにか間に合ったみたいでルーフェイアのヤツ、泣かねぇうちに顔を上げた。

「そしたら、俺が教えてやるよ。シーモア、俺ら置いてっていいぜ?」
「わかった、すまないね」
「そしたらあとでね~♪」

 シーモア、ナティエス、ミルの三人が、きゃぁきゃぁ騒ぎながら海へ入っていった。

「なんか……ごめん」
「ルーちゃん、気にしなくていいから! 僕たちも教えてあげるよ」

 行く気満々のヴィオレイの頭を、アーマルのヤツがぶん殴る。
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