380 / 743
第8話 言葉ではなく
証拠 Episode:11
しおりを挟む
「ったく、いらんこと言いやがって。
ほら、別にいいんだよ。死んだ娘を思い出しただけなんだ。あの子もこれが好きでね、よく欲しがってたもんだから」
「そんな……」
話を聞いて、よけい悲しくなってしまった。
あたしと同じくらいで死んでしまっただなんて、ボスはとても辛かったはずだ。
なのに、そんなことを思い出させてしまうなんて。
「こりゃ困ったな。頼むから泣き止んでくれないか?」
「――ごめんなさい」
泣きながら謝る。
泣くのもやめたほうがいいのだろうけど……自分でも情けないけれど、申し訳なくて可哀想で、涙が止まらない。
隣でイマドが、笑いながら立ち上がった。
「すいませんこいつ、メチャクチャ泣き虫なんですよ」
「ありゃ、そうだったのか」
なんだかヒドいことを言われる。
「もー、かなりすごくて、学院でもしょっちゅうこうなんです。それに一回泣き出したら、そう簡単に止まんないですし」
「イマド、ひどい……」
さすがに抗議する。ホントのことだけど、人前で言われるのはさすがにイヤだ。
「なら泣くなって」
「ごめん……」
思わず謝ったけど、まだ涙は止まらなかった。
そのようすを見ていたボスが、笑い出す。
「けど、泣いてるのも可愛いなぁ。うんうん、可愛い」
この人まで、母さんみたいな言い方だ。
「いまどきこの辺じゃ、そうやって泣く子もいないしな。いいじゃないか、子供らしくて」
「そですかね?」
イマドが答えてる横で、必死に涙をぬぐう。
泣いてるのが「可愛い」なんて、言われるあたしは面白くない。
「よしよし、可愛いからやっぱり、何かあげよう」
「い、いいです……」
断って、それ以上泣かないようにガマンした。
イマドやボスや他の人がまた笑ったけど……ここで泣いたらまた言われるだろう。
「とりあえずこいつ、向こう連れてきますね。つか、俺ら寝たいですし」
「おう、悪かったな。お嬢ちゃんのこと、慰めてやってくれ」
「はい」
イマドがあたしの腕を引っ張った。
「ほら、行くぞ」
「――うん」
あたしも立ち上がって続く。
後ろからレニーサさんもそっとついてきてくれて、いちばん奥の部屋にベッドを用意してくれた。
「さ、これで寝られるわよ。
そんなに泣いて疲れたでしょう? ゆっくり寝なさいね」
「――はい」
その言葉に甘えてベッドへもぐりこむ。
ほら、別にいいんだよ。死んだ娘を思い出しただけなんだ。あの子もこれが好きでね、よく欲しがってたもんだから」
「そんな……」
話を聞いて、よけい悲しくなってしまった。
あたしと同じくらいで死んでしまっただなんて、ボスはとても辛かったはずだ。
なのに、そんなことを思い出させてしまうなんて。
「こりゃ困ったな。頼むから泣き止んでくれないか?」
「――ごめんなさい」
泣きながら謝る。
泣くのもやめたほうがいいのだろうけど……自分でも情けないけれど、申し訳なくて可哀想で、涙が止まらない。
隣でイマドが、笑いながら立ち上がった。
「すいませんこいつ、メチャクチャ泣き虫なんですよ」
「ありゃ、そうだったのか」
なんだかヒドいことを言われる。
「もー、かなりすごくて、学院でもしょっちゅうこうなんです。それに一回泣き出したら、そう簡単に止まんないですし」
「イマド、ひどい……」
さすがに抗議する。ホントのことだけど、人前で言われるのはさすがにイヤだ。
「なら泣くなって」
「ごめん……」
思わず謝ったけど、まだ涙は止まらなかった。
そのようすを見ていたボスが、笑い出す。
「けど、泣いてるのも可愛いなぁ。うんうん、可愛い」
この人まで、母さんみたいな言い方だ。
「いまどきこの辺じゃ、そうやって泣く子もいないしな。いいじゃないか、子供らしくて」
「そですかね?」
イマドが答えてる横で、必死に涙をぬぐう。
泣いてるのが「可愛い」なんて、言われるあたしは面白くない。
「よしよし、可愛いからやっぱり、何かあげよう」
「い、いいです……」
断って、それ以上泣かないようにガマンした。
イマドやボスや他の人がまた笑ったけど……ここで泣いたらまた言われるだろう。
「とりあえずこいつ、向こう連れてきますね。つか、俺ら寝たいですし」
「おう、悪かったな。お嬢ちゃんのこと、慰めてやってくれ」
「はい」
イマドがあたしの腕を引っ張った。
「ほら、行くぞ」
「――うん」
あたしも立ち上がって続く。
後ろからレニーサさんもそっとついてきてくれて、いちばん奥の部屋にベッドを用意してくれた。
「さ、これで寝られるわよ。
そんなに泣いて疲れたでしょう? ゆっくり寝なさいね」
「――はい」
その言葉に甘えてベッドへもぐりこむ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる