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第8話 言葉ではなく

戦闘 Episode:13

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「さ、行こうぜ」
「うん」

 二人で最前線へ飛び込んで、目に付いた人形を順番に叩いていく。
 振り下ろされる腕をかいくぐって懐で魔法を放つと、中の思考石が暴走して、次々と動きが止まった。

 もっと効率がいいのはイマドだ。
 間合いに入り込んだ人形を、あっという間に暴走させて片付けている。
 しかも慣れてきたみたいで、視線さえ向けずに倒してた。

 シーモアたちも上手く弾幕を張ってくれていて、部隊は完全に足止めされた格好だ。

「なんだ、何がどうなっている!」
「それがよく……」

 混乱する治安維持部隊のやり取りが耳に入る。

「ははっ、慌ててやがる。正規軍のくせにしょうがねぇな」
「普通……びっくりするわよ……」

 大規模な軍隊と遭遇したならともかく、相手はこれ以上ないくらいの小人数だ。

「けどよ、シエラの先輩たちなんてたいてい、この程度の人数で任務行くぜ?」
「治安維持部隊は、傭兵隊と戦ったり、しないもの」

 言いながらもう一体潰した。
 隣でイマドが、真後ろから切りかかってきた兵士を躱して、振り向きざまに魔法を放つ。

「ったく、後ろから来るなんざ卑怯なやつだよな」
「………」

 そう言うイマド自身もよく同じ事をしてるから、どう答えていいか分からない。

「にしても次から次へとよく――今度はなんだ?」
「最新型。無機物じゃなくて生体人形、要するに合成獣で……」
「説明、サンキュ。で、どうすりゃいい?」

 イマドが途中を省略した。

「弱点はね……ウィペラ・ツァンナっ!」

 毒の呪文に、トカゲの親玉のような合成獣が、苦しげな咆哮をあげた。

「へぇ、毒に弱いのか」

 今も毒の苦しさに暴れて、周囲の兵士を巻き添えにしてて、慌ててロデスティオの兵たちが銃口を向けてる。

――ごめんね。

 本当だったら一撃で倒せればいいけど、今はさすがにその余裕がない。

「っと、いい大人がムキになるなって」

 向かってきた兵士の剣を、イマドが跳ね飛ばす。
 まだ構え方もおぼつかないから、きっと新人なんだろう。

 敵のいる方向から、焦ったような怒号が聞こえた。
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