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第10話 空(うつほ)なる真実
ノネ湖にて Episode:06
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「先輩?」
呆然としている先輩に、声をかけてみる。
先輩が頭を振りながら答えた。
「あ、いや……驚いたな。ルーフェイアが本校に直接入ったのは、そのせいだったのか。
あぁでも、よく考えればタシュアもそうだな。その前例を見れば分かることなのに、気づかないとは僕もボケたな」
とても頭がいい人だから、だいたいの事情をこれだけで察してしまったらしい。
「そしたら悪いんだが、装備を整えて、明日にでも出られないか?
僕も補助や支援ならできるから、一緒に行くよ」
「はい」
目撃情報や遭遇場所のデータはもうまとまっているだろうが、そこへ行ったからといって、首尾よく出会えるとは限らない。
それに追い詰めても、取り逃がすことだってある。
ここに滞在中に片付けることを考えると、明日でも遅いくらいだ。
とはいえ、村には村の事情があるだろう。
今日の今日というのが難しいのは、当たり前の話だ。
「装備なんかで、必要なものはあるかな? 完璧にとはいかないけど、僕のツテで出来るかぎり揃えるよ」
「すみません、助かります」
シエラの傭兵隊は、装備の代わりに魔法でかなりを補うから、戦闘力のわりに軽装だ。
だがさすがに旅行に来たままで、出るわけにはいかなかった。
「何が要るだろう? 武器はあるだろうから、戦闘服かな? あとは念のための魔石か。
あ……ルーフェイアの戦闘服は、さすがに用意できないかもしれないな」
「えっと、あります」
こんどは先輩だけでなく私まで、唖然として言葉が出なかった。
「ルーフェイア、あるってその……戦闘服を、持って来てるのか?」
「はい」
当たり前、そんな涼しい表情でルーフェイアが答える。
「魔石はあんまり使わないから、少しですけど……ツールキットなんかは、いつも持ってます」
「……」
二の句が次げなくなる。
この子が戦闘向きなのはよく知っているが、ここまでとは思わなかった。
「そ、そういうことなら、わりとすぐ出られそうだね。僕も急いで戻って、いろいろ頼んでくるよ」
「はい」
先輩が立ち上がる。
が、出て行くことはできなかった。
「先生っ! 先生いますかっ!」
勢いよく管理棟のドアが開いて、男の人が飛び込んでくる。
「どうしたんです、慌てて」
「竜がっ、竜が出たんです! それでロマグのダンナが噛まれちまって!」
室内に緊張が走る。
呆然としている先輩に、声をかけてみる。
先輩が頭を振りながら答えた。
「あ、いや……驚いたな。ルーフェイアが本校に直接入ったのは、そのせいだったのか。
あぁでも、よく考えればタシュアもそうだな。その前例を見れば分かることなのに、気づかないとは僕もボケたな」
とても頭がいい人だから、だいたいの事情をこれだけで察してしまったらしい。
「そしたら悪いんだが、装備を整えて、明日にでも出られないか?
僕も補助や支援ならできるから、一緒に行くよ」
「はい」
目撃情報や遭遇場所のデータはもうまとまっているだろうが、そこへ行ったからといって、首尾よく出会えるとは限らない。
それに追い詰めても、取り逃がすことだってある。
ここに滞在中に片付けることを考えると、明日でも遅いくらいだ。
とはいえ、村には村の事情があるだろう。
今日の今日というのが難しいのは、当たり前の話だ。
「装備なんかで、必要なものはあるかな? 完璧にとはいかないけど、僕のツテで出来るかぎり揃えるよ」
「すみません、助かります」
シエラの傭兵隊は、装備の代わりに魔法でかなりを補うから、戦闘力のわりに軽装だ。
だがさすがに旅行に来たままで、出るわけにはいかなかった。
「何が要るだろう? 武器はあるだろうから、戦闘服かな? あとは念のための魔石か。
あ……ルーフェイアの戦闘服は、さすがに用意できないかもしれないな」
「えっと、あります」
こんどは先輩だけでなく私まで、唖然として言葉が出なかった。
「ルーフェイア、あるってその……戦闘服を、持って来てるのか?」
「はい」
当たり前、そんな涼しい表情でルーフェイアが答える。
「魔石はあんまり使わないから、少しですけど……ツールキットなんかは、いつも持ってます」
「……」
二の句が次げなくなる。
この子が戦闘向きなのはよく知っているが、ここまでとは思わなかった。
「そ、そういうことなら、わりとすぐ出られそうだね。僕も急いで戻って、いろいろ頼んでくるよ」
「はい」
先輩が立ち上がる。
が、出て行くことはできなかった。
「先生っ! 先生いますかっ!」
勢いよく管理棟のドアが開いて、男の人が飛び込んでくる。
「どうしたんです、慌てて」
「竜がっ、竜が出たんです! それでロマグのダンナが噛まれちまって!」
室内に緊張が走る。
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