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第10話 空(うつほ)なる真実
閑話休題、孤島にて Episode:18
しおりを挟む「言葉が過ぎましたかね……」
タシュアが言って、私の隣に席を移した。
子供のように頭を抱き寄せられて、また撫でられる。
「先に死んだりしないと、言えればよいのですけどね……できない約束に意味はありませんから」
言われて、必死に首を振る。
「意味がなくても、いい……」
言葉が欲しかった。だがタシュアは、何も言わない。
「独りに……しないでくれ……」
「シルファ、今のあなたなら、独りではないでしょう?」
やっと返ってきたのは、思っていたのとは違う答え。
「私以外にも一緒にいてくれる友人、慕ってくれる後輩……見えているのに、目を閉じていませんか?」
そうじゃない。私が欲しいのは……。
「そして何より、今まで頑張ってきた自分自身を、もっと評価――」
言葉の途中で、泣きながら抱きつく。
勢いでタシュアまでバランスを崩し、2人で椅子から落ちて、床へ倒れこんだ。
私がどこもぶつけなかったのは、タシュアがかばってくれたのだろう。
いつもそうやって、気を使ってくれる。
どうしても必要なときは、必要なだけ助けてくれる。
なのに、今はどうして……。
それからどのくらい、腕の中で泣いていただろう?
はっと気づくと、ベッドの上だった。
――夢?
一瞬そうも思ったが、すぐ違うと思い直す。
たぶんあのまま、泣きながら寝てしまったのだろう。
「おやすみなさい。私が言うのなんですが、良い夢を」。
タシュアのそんな言葉を、夢うつつに聞いた気がする。
テーブルクロスには染みがあったが、割れたはずのカップはなかった。
きっと、片付けてくれたのだろう。
そして代わりに、書き置きがあった
『新学期が始まるので、一足先に学院に戻ります』
丁寧に書かれた文字。
タシュアは何を思いながら、これを書いたのだろう?
『私が一言言えば、もしかしたらそれでよいのかもしれません。
ただ、その時点でおそらくあなたは他の可能性を考慮しなくなるでしょう。
今回の旅行中、色々な人や土地に触れたのではありませんか?
時間をかけて、よく考えてみてください。自分のやりたいこと、そして自分の生きる道を。
あなた自身が持つもの、周りにあるもの……気づいていない何かがあるかもしれませんよ』
言葉を選んで、彼の言いたかったことが書かれている。
ただ私の心に浮かんだのは、違うことだった
――行ってしまった。
これから私は、何をどう考えてどうすればいいのだろう……。
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