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⑥
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みのり
「……何でですか?」
みのりが冷静に聞き返すと、誠也は「言う必要あるか?」とあからさまに彼女を拒絶した。
みのり
「言ったはずですよ。あなたには何らかの形で責任を取ってもらうって……。つべこべ言わずにさっさと戻ってください」
誠也は自分の意志でこの場所に留まり、ずっと何かと戦い続けている。
みのりが〝その正体〟に気付いたのは、彼の今までの言動を振り返ったときだった。
誠也
「これとそれとは話が別だろ? 何でお前にそこまで指示されなきゃなんねえんだ?」
みのり
「ここに居座られちゃままじゃ出来ない相談があるんです。それくらい察してください」
誠也はこの場に留まると言いつつ、初対面のみのりに声をかけた。
それは彼自身が他者との関りを無意識に求めているからだ。
つまり本心では彼も元の生活に戻りたいと思っている。
誠也
「知るかよ、んなこと……。俺のどうこうをお前が勝手に決めんな」
しかし、彼の中に存在する〝自責の念〟が彼の心を戒めていた。
みのりは事故の発生原因が誠也にもあったのではないかと推測しているのだ。
誠也
「お前、もうここには来んな。さっきの話はお前を助けた件でチャラだ」
みのり
「なっ――⁉ それはさすがに――」
誠也
「いいからっ‼ 〝今日は〟もう帰れ……」
みのり
「…………」
誠也はみのりのことが嫌いになって追い返そうとしているわけではない。
これは彼自身の問題だ。
彼の抱えた闇は思ったよりも深い。
みのりは一度帰る素振りを見せるが、彼に背中を見せただけで彼女に帰る気は一切なかった。
みのり
「……最後にもう一つだけ聞いてもいいですか?」
誠也
「……何だよ?」
みのり
「もう怒ってない……。これってどういう意味ですか?」
誠也
「ああ?」
みのり
「あなたのお母さんが病院で言ってたんです。もう怒ってないから、早く戻って来なさいって……」
誠也
「……」
みのり
「別に答えなくてもいいですよ。あなたのお母さんに直接聞けば済む話ですから」
みのりの思わぬ反撃に誠也は戸惑う。
彼の両親は数年経った今でも病院に通い続けている。
これは遅いか早いかの違いでしかない。
誠也
「はあ……」
誠也はようやく観念したのか、煙草の火を消しておもむろに真相を語り始めた。
誠也
「俺は昔から兄貴に憧れてた。俺の兄貴ってすげえ面倒見の良いヤツでさ……。バイクでよく色んなところに連れてってもらってた」
みのり
「…………」
誠也
「けど〝あの日〟は違った……。あの日だけは……」
彼が手に持っていた煙草の箱を握り潰す。
誠也
「16になってバイクの免許を取った俺は初めて自分から兄貴を誘ったんだ」
事故の真相を聞かされたみのりが両目を見開く。
誠也
「あの日は午後から一時的に雨が降る予報だった。俺は初乗りだったから、親父と兄貴は『今日は止めとけ』って言ったんだ」
誠也は崩れ落ちるように地面に尻もちを着く。
誠也
「けど、テンション上がりまくってた俺は親父に内緒で無理やり兄貴を連れ出した……。あのとき親父たちの忠告を聞いてりゃ、あんなことには……」
彼は右手で髪を引っ掴み、足の裏を地面に叩き付けた。
誠也
「俺が……、俺が兄貴を殺したようなもんだ!」
誠也が兄の死を知ったのは、ついさっきである。
しかし、彼は自分がこの場所に囚われている理由をなんとなく察していた。
もし龍也が生きているなら、自分だけがこの場所に囚われているのはおかしい。
今も無事に過ごしているのだとしたら、必ずバイクでこの場所を通っているはずだからだ。
誠也は自分だけがのうのうと生き延びるなど許されないと思っている。
自分に対する戒めと生への欲求……。
その相反する二つの思いが彼を葛藤させていた。
つまり彼はずっと自分自身と戦い続けていたのだ。
みのり
「…………」
みのりは誠也の側まで歩み寄り、彼の顔を胸の中に優しく抱き締めた。
この行動には彼女自身もびっくりしている。
誠也
「……何やってんだよ?」
みのり
「すいません……。だけど何となくこうするべきだと思いました」
今の彼を見ていると、何やら胸に込み上げて来るものがある。
今だけは他の誰でもない――自分だけに甘えてほしいと彼女は思った。
――――――――――――
みのり
「藤波さん。やっぱり戻る気にはなれませんか?」
みのりはベンチに腰かけ、隣に座っている誠也に話しかけた。
しかし、彼は無言を貫いている。
みのり
「だったらそれでいいです。あなたはそのままでいてください」
誠也
「……?」
誠也は彼女の考えが読めず、首を傾げた。
みのり
「藤波さん。私と勝負しませんか?」
誠也
「は……?」
みのり
「もし私が勝ったら、元の生活に戻ってください。あなたが勝ったら、私はもう何も言いません。先ほどの責任の話も、あなたが言った通りチャラでいいです」
みのりは彼に責任を取らせるべく、自分の体に戻ってほしいと思っている。
対して誠也は兄を殺した罪の意識から、ここに留まるべきだと思っている。
このまま話し合いが平行線で続くなら、いっそのこと勝負で決着をつけた方がお互いスッキリするだろう。
しかし、誠也は思いの外頑固だった。
誠也
「意味がわからん。俺がその勝負に付き合って何のメリットがある?」
みのり
「そうですね。これは私が一方的に申し込んでいる勝負です。勝負を受けるか否かはあなたが決めることです」
誠也
「……」
みのり
「……ですから、私はこれからの陸上人生も勝負に上乗せしたいと思います」
みのりはベンチから立ち上がり、彼に勝負内容を伝えた。
みのり
「藤波さん。私は今度の大会に出ようと思います」
誠也
「なっ――⁉」
みのり
「もし私がインターハイ出場を決めたら、この勝負は私の勝ちだと認めてください」
みのりは現在、足のケガで療養中である。
無理をしてケガが悪化すれば、この先どうなるかわからない。
誠也
「お前、今ケガしてんだろ?」
みのり
「……はい」
誠也
「大学でも陸上続けるんじゃねえのかよ?」
みのり
「そのつもりです」
その瞬間、誠也はベンチから勢いよく立ち上がり、彼女を怒鳴りつけた。
誠也
「誰も頼んでねえだろ、んなこと――‼ 何でお前がそこまですんだよ⁉」
例えみのりが勝負に勝ったとしても、走れなくなってしまっては元も子もない。
少しでも長く陸上を楽しみたいと思っている彼女が、ここまでする理由が彼にはわからなかった。
みのりは誠也に背を向け、背中越しに彼に言った。
みのり
「言いたくないです……。今はまだ……」
誠也
「は……?」
みのり
「とにかくイエスかノーか、それだけを答えてください」
誠也
「……」
みのりは日常生活のほとんどを陸上につぎ込んでいる。
今の彼女にとって陸上こそ全てのはずだ。
大した付き合いもない男なんかために、何でそこまでする必要が――――
誠也
「っ――⁉」
その瞬間、誠也はハッとした表情を浮かべた。
みのりがリスクを負ってまで責任を取らせようとする理由に気付いてしまったからだ。
誠也
「柳瀬……。お前、まさか……」
みのり
「それ以上は何も言わないでください。私が聞きたいのはさっきの返事だけです」
みのりは誠也に背を向けたまま彼にそう言った。
今、彼の顔を見てしまったら、まともに話せる気がしない。
誠也
「……」
誠也はドカッとベンチに腰を下ろし、潰れた箱から新しい煙草を取り出した。
しかし、口に咥えただけで火を点けず、空を見上げるようにベンチにもたれかかった。
誠也
「……好きにしろよ」
みのり
「え……?」
誠也
「その代わり、何があっても俺のせいにすんじゃねえぞ」
みのりの懸命で一途な想いが彼の心を動かした。
あれだけ頑なに意見を変えなかった彼が、みのりのために前に歩き出そうとしている。
しかし、彼はまだ勝負に応じただけに過ぎない。
本当に彼女のことしか見えていないなら、勝負に関係なく体に戻る選択を選んでいたはずだ。
彼はまだ自分の過去から完全に抜け出せたわけではない。
みのり
「嫌です」
誠也
「なっ――⁉」
みのり
「私にここまでさせたんですから、必ず責任は取ってもらいます。だから藤波さん――――」
顔を赤らめた彼女が誠也の方に振り返り、恥ずかし気に笑みを浮かべた。
みのり
「私から逃げられると思わないでください」
誠也
「っ――」
みのりの愛らしい笑顔に胸元を撃ち抜かれ、誠也の口から煙草が滑り落ちた。
自分で言って恥ずかしくなったのか、みのりは誠也が何かを言う前にその場から逃げるように去って行った。
残された彼は彼女を追いかける素振りすら見せず、ただただ呆然としていた。
誠也
「……」
すると誠也が両手で顔を覆い隠した。
誠也
「(さすがにズリぃだろ、今のは……)」
別れ際に見せられた彼女の笑顔が頭から離れない。
彼の心は、柳瀬みのりという一人の女の子にすっかり魅了されていた。
彼女からは本当に逃げ出せる気がしない。
「……何でですか?」
みのりが冷静に聞き返すと、誠也は「言う必要あるか?」とあからさまに彼女を拒絶した。
みのり
「言ったはずですよ。あなたには何らかの形で責任を取ってもらうって……。つべこべ言わずにさっさと戻ってください」
誠也は自分の意志でこの場所に留まり、ずっと何かと戦い続けている。
みのりが〝その正体〟に気付いたのは、彼の今までの言動を振り返ったときだった。
誠也
「これとそれとは話が別だろ? 何でお前にそこまで指示されなきゃなんねえんだ?」
みのり
「ここに居座られちゃままじゃ出来ない相談があるんです。それくらい察してください」
誠也はこの場に留まると言いつつ、初対面のみのりに声をかけた。
それは彼自身が他者との関りを無意識に求めているからだ。
つまり本心では彼も元の生活に戻りたいと思っている。
誠也
「知るかよ、んなこと……。俺のどうこうをお前が勝手に決めんな」
しかし、彼の中に存在する〝自責の念〟が彼の心を戒めていた。
みのりは事故の発生原因が誠也にもあったのではないかと推測しているのだ。
誠也
「お前、もうここには来んな。さっきの話はお前を助けた件でチャラだ」
みのり
「なっ――⁉ それはさすがに――」
誠也
「いいからっ‼ 〝今日は〟もう帰れ……」
みのり
「…………」
誠也はみのりのことが嫌いになって追い返そうとしているわけではない。
これは彼自身の問題だ。
彼の抱えた闇は思ったよりも深い。
みのりは一度帰る素振りを見せるが、彼に背中を見せただけで彼女に帰る気は一切なかった。
みのり
「……最後にもう一つだけ聞いてもいいですか?」
誠也
「……何だよ?」
みのり
「もう怒ってない……。これってどういう意味ですか?」
誠也
「ああ?」
みのり
「あなたのお母さんが病院で言ってたんです。もう怒ってないから、早く戻って来なさいって……」
誠也
「……」
みのり
「別に答えなくてもいいですよ。あなたのお母さんに直接聞けば済む話ですから」
みのりの思わぬ反撃に誠也は戸惑う。
彼の両親は数年経った今でも病院に通い続けている。
これは遅いか早いかの違いでしかない。
誠也
「はあ……」
誠也はようやく観念したのか、煙草の火を消しておもむろに真相を語り始めた。
誠也
「俺は昔から兄貴に憧れてた。俺の兄貴ってすげえ面倒見の良いヤツでさ……。バイクでよく色んなところに連れてってもらってた」
みのり
「…………」
誠也
「けど〝あの日〟は違った……。あの日だけは……」
彼が手に持っていた煙草の箱を握り潰す。
誠也
「16になってバイクの免許を取った俺は初めて自分から兄貴を誘ったんだ」
事故の真相を聞かされたみのりが両目を見開く。
誠也
「あの日は午後から一時的に雨が降る予報だった。俺は初乗りだったから、親父と兄貴は『今日は止めとけ』って言ったんだ」
誠也は崩れ落ちるように地面に尻もちを着く。
誠也
「けど、テンション上がりまくってた俺は親父に内緒で無理やり兄貴を連れ出した……。あのとき親父たちの忠告を聞いてりゃ、あんなことには……」
彼は右手で髪を引っ掴み、足の裏を地面に叩き付けた。
誠也
「俺が……、俺が兄貴を殺したようなもんだ!」
誠也が兄の死を知ったのは、ついさっきである。
しかし、彼は自分がこの場所に囚われている理由をなんとなく察していた。
もし龍也が生きているなら、自分だけがこの場所に囚われているのはおかしい。
今も無事に過ごしているのだとしたら、必ずバイクでこの場所を通っているはずだからだ。
誠也は自分だけがのうのうと生き延びるなど許されないと思っている。
自分に対する戒めと生への欲求……。
その相反する二つの思いが彼を葛藤させていた。
つまり彼はずっと自分自身と戦い続けていたのだ。
みのり
「…………」
みのりは誠也の側まで歩み寄り、彼の顔を胸の中に優しく抱き締めた。
この行動には彼女自身もびっくりしている。
誠也
「……何やってんだよ?」
みのり
「すいません……。だけど何となくこうするべきだと思いました」
今の彼を見ていると、何やら胸に込み上げて来るものがある。
今だけは他の誰でもない――自分だけに甘えてほしいと彼女は思った。
――――――――――――
みのり
「藤波さん。やっぱり戻る気にはなれませんか?」
みのりはベンチに腰かけ、隣に座っている誠也に話しかけた。
しかし、彼は無言を貫いている。
みのり
「だったらそれでいいです。あなたはそのままでいてください」
誠也
「……?」
誠也は彼女の考えが読めず、首を傾げた。
みのり
「藤波さん。私と勝負しませんか?」
誠也
「は……?」
みのり
「もし私が勝ったら、元の生活に戻ってください。あなたが勝ったら、私はもう何も言いません。先ほどの責任の話も、あなたが言った通りチャラでいいです」
みのりは彼に責任を取らせるべく、自分の体に戻ってほしいと思っている。
対して誠也は兄を殺した罪の意識から、ここに留まるべきだと思っている。
このまま話し合いが平行線で続くなら、いっそのこと勝負で決着をつけた方がお互いスッキリするだろう。
しかし、誠也は思いの外頑固だった。
誠也
「意味がわからん。俺がその勝負に付き合って何のメリットがある?」
みのり
「そうですね。これは私が一方的に申し込んでいる勝負です。勝負を受けるか否かはあなたが決めることです」
誠也
「……」
みのり
「……ですから、私はこれからの陸上人生も勝負に上乗せしたいと思います」
みのりはベンチから立ち上がり、彼に勝負内容を伝えた。
みのり
「藤波さん。私は今度の大会に出ようと思います」
誠也
「なっ――⁉」
みのり
「もし私がインターハイ出場を決めたら、この勝負は私の勝ちだと認めてください」
みのりは現在、足のケガで療養中である。
無理をしてケガが悪化すれば、この先どうなるかわからない。
誠也
「お前、今ケガしてんだろ?」
みのり
「……はい」
誠也
「大学でも陸上続けるんじゃねえのかよ?」
みのり
「そのつもりです」
その瞬間、誠也はベンチから勢いよく立ち上がり、彼女を怒鳴りつけた。
誠也
「誰も頼んでねえだろ、んなこと――‼ 何でお前がそこまですんだよ⁉」
例えみのりが勝負に勝ったとしても、走れなくなってしまっては元も子もない。
少しでも長く陸上を楽しみたいと思っている彼女が、ここまでする理由が彼にはわからなかった。
みのりは誠也に背を向け、背中越しに彼に言った。
みのり
「言いたくないです……。今はまだ……」
誠也
「は……?」
みのり
「とにかくイエスかノーか、それだけを答えてください」
誠也
「……」
みのりは日常生活のほとんどを陸上につぎ込んでいる。
今の彼女にとって陸上こそ全てのはずだ。
大した付き合いもない男なんかために、何でそこまでする必要が――――
誠也
「っ――⁉」
その瞬間、誠也はハッとした表情を浮かべた。
みのりがリスクを負ってまで責任を取らせようとする理由に気付いてしまったからだ。
誠也
「柳瀬……。お前、まさか……」
みのり
「それ以上は何も言わないでください。私が聞きたいのはさっきの返事だけです」
みのりは誠也に背を向けたまま彼にそう言った。
今、彼の顔を見てしまったら、まともに話せる気がしない。
誠也
「……」
誠也はドカッとベンチに腰を下ろし、潰れた箱から新しい煙草を取り出した。
しかし、口に咥えただけで火を点けず、空を見上げるようにベンチにもたれかかった。
誠也
「……好きにしろよ」
みのり
「え……?」
誠也
「その代わり、何があっても俺のせいにすんじゃねえぞ」
みのりの懸命で一途な想いが彼の心を動かした。
あれだけ頑なに意見を変えなかった彼が、みのりのために前に歩き出そうとしている。
しかし、彼はまだ勝負に応じただけに過ぎない。
本当に彼女のことしか見えていないなら、勝負に関係なく体に戻る選択を選んでいたはずだ。
彼はまだ自分の過去から完全に抜け出せたわけではない。
みのり
「嫌です」
誠也
「なっ――⁉」
みのり
「私にここまでさせたんですから、必ず責任は取ってもらいます。だから藤波さん――――」
顔を赤らめた彼女が誠也の方に振り返り、恥ずかし気に笑みを浮かべた。
みのり
「私から逃げられると思わないでください」
誠也
「っ――」
みのりの愛らしい笑顔に胸元を撃ち抜かれ、誠也の口から煙草が滑り落ちた。
自分で言って恥ずかしくなったのか、みのりは誠也が何かを言う前にその場から逃げるように去って行った。
残された彼は彼女を追いかける素振りすら見せず、ただただ呆然としていた。
誠也
「……」
すると誠也が両手で顔を覆い隠した。
誠也
「(さすがにズリぃだろ、今のは……)」
別れ際に見せられた彼女の笑顔が頭から離れない。
彼の心は、柳瀬みのりという一人の女の子にすっかり魅了されていた。
彼女からは本当に逃げ出せる気がしない。
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