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二章 黄昏インソムニア
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「いやー、白瀬ごめん、本っ当ごめん、あそこまで悪のりするとは知らなくて」
テニスサークルの新歓の翌々日、月曜一限の講義で顔を合わせた佐々木は、土下座せんばかりに謝罪をして来た。
正直、友哉とのいざこざが頭を締め、土日を屍のように過ごしていた凪には、最早どうでも良い事柄ではあったのだが、一応示しはつけておかなければならない。
「昼飯、二週間分な」
「はい、心得ております」
「で、目的の女の子とは仲良くなれたのかよ?」
「いやあー、それが、やっぱりあーいうサークルって一軍の連中が出張っててさあ……新入生の男子なんてお呼びじゃないっていうか」
俺には合わなかったです、と殊勝にうなだれる佐々木には、ふんと鼻を鳴らして許してやることにした。
全く、人を出汁にしようとした割には不甲斐ない。こっちはちゃんとお持ち帰りしたんだぞ、爆散したけれど。などとはとてもではないが口に出来ないが。
気を取り直したらしい佐々木は、いそいそと凪の隣に腰掛けると、おもむろに聞いて来た。
「なあ、あの経済学部経済学科一年の真壁とかいう奴、白瀬の知り合い?」
気軽に問う佐々木に、凪は瞬間言葉を詰まらせた。真壁友哉は今一番聞きたくない名である。
「いや……別に」
「だってお前、あん時呼んでたじゃん」
「……良く聞いてたな。ちゃんと見てたなら佐々木が助けてくれれば良かったのに」
「それについては謝ったろー。それより、あの真壁とかいう奴やばいって」
あれだけこっぴどく振られたので、正直友哉の話は今は聞きたくない。顔を引き攣らせる凪には構わず、佐々木は肩を竦める。
「あいつ、全部のサークル網羅すんじゃないかってくらい、あらゆる新歓に顔出してるって話だぜ」
驚いて凪は目を瞬かせる。凪の知っている友哉は、そうした関わりを避けていたのではなかったか。定着する場所を持たない友哉は、他人と深く関わらないようにしていて、部活や友人関係もなあなあで済ましていたのに。
「……何で……?」
「知らねーよ、でもタダ飯食われるからって一部サークルの間では要注意人物なってるってさ」
尚更不審に凪は眉を寄せる。貧乏学生なら飯代を浮かせようとする魂胆で複数の新歓に参加することもあるだろうが、叔父が著名作家で金銭援助に困ってない友哉にとってその線は薄いだろう。一人暮らしにしては立派なマンション住まいをしていることからも、それは伺える。
では何故、と考え始めた所で、凪は緩く首を振った。もう考えても仕方ないことだ。流石にあれだけこっぴどく振られて、追い縋る程には凪も神経が太くない。
「……俺には関係のない話だ」
「あそー? ま、怖い先輩に目え付けられないといいけど」
そんで次に入りたいサークルがさー。全然別の話を始める佐々木に適当に相槌を打つ内に、友哉のことは頭から、消えた。
テニスサークルの新歓の翌々日、月曜一限の講義で顔を合わせた佐々木は、土下座せんばかりに謝罪をして来た。
正直、友哉とのいざこざが頭を締め、土日を屍のように過ごしていた凪には、最早どうでも良い事柄ではあったのだが、一応示しはつけておかなければならない。
「昼飯、二週間分な」
「はい、心得ております」
「で、目的の女の子とは仲良くなれたのかよ?」
「いやあー、それが、やっぱりあーいうサークルって一軍の連中が出張っててさあ……新入生の男子なんてお呼びじゃないっていうか」
俺には合わなかったです、と殊勝にうなだれる佐々木には、ふんと鼻を鳴らして許してやることにした。
全く、人を出汁にしようとした割には不甲斐ない。こっちはちゃんとお持ち帰りしたんだぞ、爆散したけれど。などとはとてもではないが口に出来ないが。
気を取り直したらしい佐々木は、いそいそと凪の隣に腰掛けると、おもむろに聞いて来た。
「なあ、あの経済学部経済学科一年の真壁とかいう奴、白瀬の知り合い?」
気軽に問う佐々木に、凪は瞬間言葉を詰まらせた。真壁友哉は今一番聞きたくない名である。
「いや……別に」
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「……良く聞いてたな。ちゃんと見てたなら佐々木が助けてくれれば良かったのに」
「それについては謝ったろー。それより、あの真壁とかいう奴やばいって」
あれだけこっぴどく振られたので、正直友哉の話は今は聞きたくない。顔を引き攣らせる凪には構わず、佐々木は肩を竦める。
「あいつ、全部のサークル網羅すんじゃないかってくらい、あらゆる新歓に顔出してるって話だぜ」
驚いて凪は目を瞬かせる。凪の知っている友哉は、そうした関わりを避けていたのではなかったか。定着する場所を持たない友哉は、他人と深く関わらないようにしていて、部活や友人関係もなあなあで済ましていたのに。
「……何で……?」
「知らねーよ、でもタダ飯食われるからって一部サークルの間では要注意人物なってるってさ」
尚更不審に凪は眉を寄せる。貧乏学生なら飯代を浮かせようとする魂胆で複数の新歓に参加することもあるだろうが、叔父が著名作家で金銭援助に困ってない友哉にとってその線は薄いだろう。一人暮らしにしては立派なマンション住まいをしていることからも、それは伺える。
では何故、と考え始めた所で、凪は緩く首を振った。もう考えても仕方ないことだ。流石にあれだけこっぴどく振られて、追い縋る程には凪も神経が太くない。
「……俺には関係のない話だ」
「あそー? ま、怖い先輩に目え付けられないといいけど」
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