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しおりを挟むある日庭で育てていた薔薇を、お母さんが学校に持って行けと言って、リオはいやいや薔薇の花束を抱えて登校したそう。
すると案の定、いじめっ子たちにからかわれて、薔薇を取り上げられ、「男なのに気持ち悪い」と道端に投げつけられたのだ。
そこにたまたま通りかかった私が、そのいじめっ子たちに後ろから飛び蹴りをしたのだとか。
『ふざけんじゃないわよこの悪党ども!薔薇に謝んなさいよ!!』
『そーだそーだ、マキ団長の言う通りだ!!』
『薔薇に土下座しろ!!』
私には取り巻きがいて、私はマキ団長と呼ばれていたらしい。
そういえば昔、私はガキ大将のような存在だった。さすがに中学入って女らしくしようと思ったけれど。
「その時、俺もマキみたいになりたいって思って、でも結局話しかけることができずに転校したんだ。」
リオはお母さんの病気を治すために転校を繰り返しており、治療してくれる入院先が見つかったらしく、わずか2年で同じ小学校を転校した。
ごめん、そこは全く覚えてない。
「マキに憧れて、中学上がって合気道習い始めてさ。3年生の時、たまたま不良の喧嘩を止めたら、皆が俺についてくるようになって。高校生になる頃にはステラってチームが出来てた。」
「凄いね、リオ。」
「でも、そんな時またマキに出会ったんだ。」
私は実家から遠方の高校に入学し、1人暮らしをしていた。そこでヤマトと出会ったのだ。
「マキは1人でつまんなそうに柵から下の川を覗いててさ。俺もすぐに声かければいいのに、上手くかけられなくて。」
しばらく私を見ていたら、向こうから歩いて来たメロウのヤマトが「マキ!」と私を呼びつけた。でも走り寄る私とヤマトがキスしているのを見て、リオの闘争本能に火がついたらしい。
つまりメロウとステラが犬猿の仲だった原因は私にあったというわけだ。
「あのメロウの総長がマキの彼氏だって知って、それから何度も抗争を挑んだ。でもマキはほとんど抗争には現れなかったよな?」
「…うん。」
「だからマキを人質に取ったんだ。少しでも話したかったから。」
レオは、「ごめん」と言って俯いた。
でも人質に取った私は小学生の頃と変わらず相当なじゃじゃ馬で、しかも黒いオーラを纏うリオに平然と悪態をつくものだから心底驚いたのだとか。
「この世界に転生してからも、すぐには話しかけれなかった。もうゾイとシシルは婚約してたし。情けない話だよな…。」
「そんなことない。」
レオは私がダンスの練習や王族のマナーを学園の先生たちから学んでいるのをずっと見ていたらしい。あと、庭園の薔薇を育てていたことも。
「騎士団に入って、シシルが眠らせた森の魔獣を担いで運んだって聞いた時は笑ったよ。あんたが変わってなくて安心した。」
初めて会った時に私のことを怪力女だと言っていたのは、あのことだったのね!
…色々見られているって恥ずかしい。これからは自分の行動に気を付けよう。。
「俺はかっこ悪いし度胸もない男だけど、誰よりもシシルのことが好きだって言える自信はある。」
私を真っ直ぐに見つめるレオ。
馬車が平坦な道を歩き出したのか、少し車輪の音が静かになった。
「レオは、とってもかっこいいわ。それに私が学園を爆破した時だってすぐに助けてくれた。
"騎士団長"っていう立派な肩書があるのに、私をかくまう様に保護してくれたじゃない。私の無実を証明するために動いてくれて、度胸だってある。」
そう、あの時レオは騎士団長という地位があるのに、私を最後まで助けてくれた。
きっと爆破を"不慮の事故"として片づけた承認文書なんて、容易に承諾されるはずがない。レオが頑張ってくれたのだろう。
「…度胸でも何でもないよ、シシル。」
レオの綺麗な瞳が揺らいで、吸い込まれるのではないかと思うほどに見つめ返した。
「好きだよ。シシルのためなら全てを捨てられる。」
その言葉が、何よりも嬉しくて、
私は涙を流し、レオに伝えた。
「ありがとう。私も好きよ。」
おわり
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