【完】愛が重いNo.1ホストに追いかけられています

由汰のらん

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重量オーバーのその先に

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本浪さんにもシュンヤさんからメッセージが入ってきていたようで、2人でタクシーに乗って総合病院へと向かった。

「あいつ、ホストやってるって言ってましたけど、成世さんも知ってたんですね。」

タクシーの後部座席で、ドクドクと鈍い音が胸を打ち付ける。心ばかりが焦る緊張感の中、本浪さんが呟いた。 

「はい。」

「実はプリカフェ時代も、晚のやつ、刺されそうになったことがあったんです。涼羽に……。」

「⋯…うそ。涼羽さんに?」

「たまたま居合わせた店長とシュンヤさんが取り押さえて未遂に終わったんですけど。まさか、本当に刺されるなんて。」

シュンヤさんは電話で、七三倉は磨白さんに刺されたと言っていた。キラと磨白さんのライン画面は恋人のようなやり取りで、仕事だと分かっている私でも嫉妬してしまったのを思い出す。

そういえばサクラ君に個室で襲われそうなった時も、磨白さんと他のお客さんが喧嘩になったとシュンヤさんが言っていた気がする。


どうしよう。どうしたらいい?馬鹿なんて言った私が馬鹿だ。もう今から想いを伝えても遅いということなのだろうか。

どうか、無事でいて。好きだと伝えさせて。

両手で祈るようにぎゅっと絡み合わせる。隣で本浪さんが手をそっと握ってくれた。

「大丈夫。成世さんのような人を置いていくような男じゃありません。」

本浪さんの声は、こんな時でも柔らかだ。私を落ち着かせようとしてくれているのかもしれない。 

「本浪さん、私、本浪さんが思っているような女じゃありません。」

「え?」

「ぜんぜん。誠実でも、真面目でもないんです。」

ごめんなさい本浪さん。私なんかにあなたは勿体無さすぎる。

もう頭の中はキラと七三倉晚のことでいっぱいだった。
  
QUONで働いていた時、何度か突っかかってきたキラ君。今思えば、私に元気がない時や、何かに落ち込んでいる時にばかり話かけにきていた。

初めから彼の何気ない優しさに絆されていたのは私の方だ。処女を捧げるなら彼ならいいと思ったから。この人に抱かれるなら、絶対に後悔しないと思ったから―――。


「私……どうしてもお金が必要だったから、キャバクラで働いていた時期があったんです。」

「……え?」

「それに、涼羽さんと一緒で。お金で七三倉に抱かれたこともありました。」

こんなことをこの状況で告げられても、きっと空気の読めない女と思わることだろう。 

本浪さんは何を言わないまま微動だにせず。私の手を握ったままだ。
 
私は何を口走っているのか。

でも言わずにはいられなかった。散々七三倉とは違う世界の人間だと差別してきた自分が、今になって愚かだと気付いたのだ。

私だって七三倉と同じだ。端からみれば同じ世界の人間だ。

「すみません本浪さん。私は、七三倉晚が好きです。」

もう迷うことはない。

本浪さんが、ぎゅっと強く私の手を握った。

「俺も、どんな成世さんであれ、成世さんが好きです。」     

  

         
病院までは1時間近くかかった。

総合病院ほどの大きさはないものの、病室は50床ほど確保されているらしい。

シュンヤさんに電話で聞いた病室へと急げば、そこには茂道さんとシュンヤさん、そしてベッドに横たわる七三倉がいた。

「ミウちゃん!?来ちゃったの??」

目を丸くする茂道さんが慌てたように言う。するとシュンヤさんが茂道さんに言った。

「俺が呼んだんです。」

「はあ。てか、この子はなに?相当なイケメンだけど完全な部外者じゃない?!」

「そいつも、俺が連絡入れました。」

「もうシュンヤぁ。これ以上口外しないで頂戴!ただでさえ大事になるのを防ぐのにいっぱいいっぱいなんだから!!」
  
茂道さんのスマホが鳴って、茂道さんが忙しなく病室から出ていく。さすがに刺された事件となればお店の沽券に関わるのか。

 
「って。え?なんで2人して一緒に来てんの。意味不明なんだけど。」

ピルクルに細いストローを挿して吸っている七三倉が、私と本浪さんを交互に見ながら言った。こらこのヤロウ。

「~~~~っ……」  
 
「はあ。散々人を心配させておいて、随分と元気そうだな晩!」

本浪さんが七三倉の頭を軽く叩く。

「いて。怪我人叩くなよ。」 
       
普通だ。何の変哲もない、いつもの七三倉がそこにいる。私は拍子抜けしてその場にしゃがみ込んだ。
      
「もう!!あんたが刺されたっていうから!」

「え?うん、後ろの腰あたり?果物ナイフで刃がかすった。」

「そんな、蚊に刺されたみたいなトーンで何いってんの!!」

「てかなんで一斗まで来んの?ほんと邪魔なんだけど。」

本浪さんが呆れた様子で腕を組み七三倉を睨む。

「そうかよ!心配して損した。」     
 
「ウソだって。あ、一斗もピルクル飲む?ここの自販、150円でピルクル2本ついてくるんだわ。」

「いらん。」

とても刺された人間とは思えないほどくつろいでいる。ベッドの横のテーブルには菓子パンが並んでいるし、イヤホンやタブレットまで用意してアマプラ観てるし。

「で?刺されたって、刺した相手はどうなったんです?」

「警察に引き取られてる。晩が繁華街歩いてる途中で、麿白が後ろから刺そうとしたらしい。でも実際はかすめた程度だったんだけど。」

「ホストの出勤中だったってことですか?」

「うん。」

本浪さんがシュンヤさんと話し込む中、私はピルクルを飲む七三倉と見つめ合って……いや、じっと睨み合っていた。

「俺が刺されたって聞いて心配した?」

「した。」

「どれくらい?ちゃんとわかり易く何かに例えて言ってみ?」

「ヨヨヨ総本店の、あんかけ焼きそばに入ってるキクラゲぐらい。」

「規模がちっせーな。」

吸い終わった空のピルクルを1滴残らず吸い上げる音がズズズッと病室に響く。怪我人がやめろ厚かましい。 

「っ⋯⋯」

本当はね、死にそうなくらい心配したよ。   

心臓が止まりそうなくらい、ずっとどうしようどうしようって。頭の中であんたとの思い出ばかりが渦巻いてたよ。

怖かったよ。このまま、なにも伝えられないままいなくなったらって思ったら。
    
怖かったんだから―――――


「一斗、ちょっと外行こうか。」

「そ、そうですね。」

シュンヤさんが、わざとらしく本浪さんを誘って病室を出て行く。

私はすでに涙が頬を濡らしている状態だった。

七三倉が私の顔を覗く。
 
「泣くほど心配した?」

「あ、当たり前じゃんっ。」

「そっか。じゃあキクラゲの規模じゃ足らないね。」

「うん。何にも例えようがないくらい、不安だった。怖かったよ。すごく、こわかった。」

良かった。七三倉がちゃんとここにいる。

上半身を起こして、腕を広げる七三倉晩が、ここに―――。

「かんたんに、刺されてんじゃないわよバカ!」

「ごめん。謝るから、早く俺の胸に飛び込んでくれねえかなあ俺の秋奈ちゃん。」

私は七三倉の胸に飛び込んだ。首に手を回してぎゅっとしがみついて、「痛い」って言っても首絞めるくらいしがみついてやるし。

もう離してやらないんだから。

「好きだよ。大好き。」

「キクラゲ?」

「違う、晚のこと!」

「俺が、どれだけその言葉を待ってたかわかる?」

七三倉が私の頬に手を添え、親指で涙を拭う。反対側の頬は生温かい舌で舐めて涙を拭き取られた。

そして、頬にキスをくれた。
 
「ごめん。もっと早く伝えれば良かった。」

「うん。もう逃げらんないし、逃さねえし。」

下唇にキスをされれば、ピルクルの味がした。

久々に感じたピルクルの味は、酸味よりも甘さが勝っている乳酸菌飲料だ。

「ピルクルの風味が、強い」

「じゃあ、七三倉晩に味変する?」

「……する。」

「ほほ~う珍しく素直じゃん。」

唇ごと食べられたかと思えば、すぐに離されて。またすぐに舌の入るねちっこいキスをされた。

どちらとも分からない舌先が熱い。角度を変えても尚離されないそれは、まさしく七三倉晩の味がした。私の中が七三倉菌に侵食されていく。


「どれくらいで退院できるの?」

「1週間だって。」

「早すぎない?!」

「所詮果物ナイフだし。大したことねえって。」

止血して数針は縫ったようで、入院はたったの1週間。刃が腰をかすめて深く入り込んだものの、貫通したわけではないらしい。

七三倉には茂道さん紹介の弁護士がつくことになっている。会社にはストーカー被害に巻き込まれたということで報告がいくらしい。具体的なことは伏せられるそうだ。

七三倉にとっても今の会社での体裁を守るため、ホス業がばれずに済むに越したことはない。 

でも実際裁判では、殺人未遂になるのか、傷害罪になるのかで話が分かれることとなる。


この事件で一番大きな変化といえば、七三倉がついにホストから足を洗えたということだった。

さすがに茂道さんも、これ以上キラが刺された事実を蔓延させないためにも、七三倉がホストを辞めることを認めたのだ。

代わりに茂道さんは本浪さんをスカウトしていたけれど、当然本浪さんは全力で断っていた。



◆◆◆◆◆



キャバ嬢とホストから、どこにでもいる普通のOLとサラリーマンになった私たち。
  
晚が刺されてからおよそ3ヶ月が経とうとしている日だった。

今日も残業で、オフィスの電灯が消え始めた19時。

私もようやくPCをシャットダウンしてロッカールームに入った時だった。誰もいない女史専用ロッカールームで、このモンスターは後ろから襲いかかってきたのだ。

相変わらず神出鬼没なのは変わっていない。
    
「お疲れアッキーナ!よっ、この居残り番長!」        
          
「ちょっ、なっ、こんなとこでなにやってんのあんた?!」

「ずっとロッカーん中に隠れてたんじゃねえよ?秋奈が入った瞬間にスッと気配消して入り込んだだけだから。」

「っもう!なんであんたは会社でも平気で抱きついてくんの?いい年した男が信じらんない!」       
   
「アイス食べる?新作芳醇ミルクバー。」

「食べる食べる~。」

本日も七三倉のペースに乗せられている私。 

頬にヒヤリとつけられた新作アイスを手渡される。しかしどうやらアイスは一つしかないらしい。晩が口を開け、私に食べさせろと指示する。

「ほらよ、もっと大きく口開けな?」

「秋奈様が新境地を築いていらっしゃる。」

私の命令通り、大きく口を開けて大きな一口をかじった晚。「知覚過敏!」と叫びながらも、唇についたミルクを自身の舌で舐め取る姿が艶めかしい。

見惚れそうな自分は首を振って飛ばし、私もミルクバーにかじりついた。

「今日この後なに食べる?」

「んー。ラーメン?」

「えーラーメンかあ。カロリーがなあ。」

「出た。アイスは食べるのにラーメンは躊躇う女子特有の謎理論。」

「俺女子違うし。」      

自分の口についたアイスを指で拭おうとすれば、すぐに晚に舐め取られる。犬か。

「じゃあ晩は何食べたいの?」

「スイパラ行きたい。」

「出た!人になに食べたいか聞いておきながら、結局自分の食べたいものが決まっている女子特有の質問。」

「うるせえよ?」

晩が残りのアイスを全て食べてしまい、棒だけ咥えたまま私をベンチに押し倒す。    

「俺が女子かどうか試してみる?」

「……もう刺されたとこは完治したの?」  

「あれ?俺を脱がしたいの?」

「あ"ーあんたと話してたら日が暮れる!」

ロッカーの中にある鞄を手に取り、晩を無視してロッカールームを出た。

すでに消灯された事務室の壁には、先月の営業成績が貼り出されている。
      
「刺されても1位って、超人なの?」

「秋奈だって、ついに西條さん抜いたじゃん。」

「1位の人に言われても嬉しくありませーん。てかいつまで1位取り続けるの?もういい加減飽きたんじゃない?」

営業で1位を取ったなら、もう自分のやりたいことに専念した方がいいんじゃない?

私はむしろ、同じ営業職にいてくれるよりも、本当にやりたいことをやってもらった方がいいと思っている。

「……SEに、戻らないの?」

本浪さんも、晩はソフトやアプリを開発できるほどの実力があると言っていたのだ。
 
「戻ろうかなって思った時もあったよ?」

「うん。」

「でもね?営業部には俺の敵が多いってことも思い出したんだよね。」

「敵?1位なのに?」

「仕事の敵じゃなくってね?秋奈にいちいちちょっかいかける敵。」

「………。」

「俺が知らないとでも思ってんの?なんだかんだ、秋奈だってけっこういい先輩として慕ってたりすんじゃない?」

壁に貼られた営業成績表の名前部分を、「これとか?あとこれとか??」と2箇所叩いた晩。いや西條さんと野口さんはさ、誰がどうみたってただのお笑い要因じゃん。

「ってことなんで、もうしばらく営業部で監視させてもらいますね?成世サン。」

「か、かんしって。プールの監視員じゃないんだから。」

「それを言うなら“愛”だわ。監視という名の愛と呼びな。」 
 
晩が不貞腐れたように事務室を出ていくので、私も慌てて後を追いかけた。

でもエレベーターの前に差しかかれば、目をつむり、大きく両手を広げる晩の姿があった。

私はその中に勢いよく飛び込んだ。刺されたことなどお構いなしだ。

「どうよ!?脇腹に響くでしょ?」    
           
「この鬼畜め。」

晩がぎゅうっと私を抱きしめて、さらに固く腕で閉ざす。

なぜかそれは体感5分ほどに感じた。 

「ちょ、…さ、さすがにもう離してよ。」

「離してやれない。」
 
「ほら、エレベーター来たから!」

エレベーターのドアが両側に開いたにも関わらず、晚はまだ離してくれない。そしてエレベーターのドアが閉じても抱きしめられたままだった。

甘えたい時間帯なのだろうか。すでにアフター7は回っているはずだ。

「ねえ。どしたの?大丈夫?」
 
「もう、離れたくない。」

「……」 
      
「一緒に住んでくれるなら、俺もSEに戻るし。」

「え?」

何度か瞬きをして、そっと晩の耳元で質問を投げかけた。 
   
「あの、同棲ってやつ?」

「むしろ、婚姻ってやつ。」

「ぬあ」

七三倉晚から305万の婚約指輪を渡されるのは、エレベーターに乗るあと数秒後のことだ。  

「305万の指輪探すの大変だったんだからな?」 
  
軽く手渡されたそれは、見たこともないような輝きを放つ大きなダイヤが施されたリングだ。

自分が何に絶句しているのか分からない。これを素直に“幸せ”と受け取ってしまっていいのだろうか。 
 
しかしながら、私はシュンヤさんの言った言葉の本当の意味を知らないままでいる。

きっと、一生知らないままでいるのだ。


  

  

   
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