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「ティアラ、アイゼンから手紙だよ」
「え、お父様から?」
自分で釣ったアジーを夕食で食べて満足した私は、ゆったりとお茶を飲んでいた。やっぱり自分で釣った魚は美味しいわね!!一味も二味も違ったわ!!でも、お父様からの手紙って…あんまり良い知らせじゃない気がする。
「…なかなか面白い事になってるみたいだよ」
「えぇ…何か見たくないわ…それ…」
私はそっと手紙を開き、内容を確認した。読み進めていく度に、頭痛が増してくる。はぁ、と溜息を吐いた所でモニカがそっとお菓子を置いてくれた。あぁ、糖分を補給して頭を動かせって事ね。
「…リュダールは何をやってるのかしら…?」
思わず呆れて呟いた。手紙には、サイラス殿下がリュダールと共にアリーシャに求婚をしに来たと書いてあった。いくら第二王子で臣籍降下が決まっているとは言え、王族だ。思いつきで護衛もそこそこに我が家に求婚に来るなんてどうかしている。
リュダールはそれを止める役割を担っているのでは?と疑問に思った。それに、婚約破棄すら発表していないのに、求婚ですって?
「……え、もう、何?みんな馬鹿なの?」
思わず本音がダダ漏れた。背後で「ぷっ…」とモニカが笑っている。いやいやいや、だって!!
言いたくなるでしょうよ、そんなの。アリーシャに求婚して来たって事は婚約解消、または破棄は成立したんでしょうけれど。
だからってすぐに求婚する!?早過ぎない!?ていうか、ブランシュ様の事を何も考えてないし、シュバルツ侯爵家の事も下手すればアリーシャの事も適当すぎない!?
「え?何なの?クズなの?」
「ぶっふ…!クズ…」
「だって!モニカ…婚約破棄したからってすぐに違う人に求婚する男ってどう?」
「ふ…ふふ…、クズです、かなりの」
「よね!?」
ブランシュ様との婚約破棄のそれらしい理由を周知しつつ、周りの貴族達の反応を見ながら婚約者のいない数人の令嬢達と茶会などを設けた後にアリーシャに話を持っていった風にしないとダメじゃない?じゃないとアリーシャにも批判が殺到するわよね?婚約者を横取りした非常識女って。もっと酷いと尻軽、阿婆擦れなどなど聞くに堪えない言葉で罵られるのに。
「…サイラス殿下は社交界なめてるの?」
「くっあはは!!その通りだね、全く!」
「それに…円満に婚約破棄でも、シュバルツ家にも影響があるわよね」
「…そうだね」
こんな時期に殿下がシュバルツ家に来た事は、悪い風にしか取られない。時期が被らないように細工するならまだしも…これじゃ不貞してました!って言ってるような物よ!サイラス殿下は物静かで理知的な方だと思ってたけど、頭に春が来たお猿さんだったのね。
「リュダールが手を貸していた事は明らかですけど、止めるという選択肢すらなかったのかしら…」
「…なかったみたいだね」
「どうかしてるわ…」
きっとこの件でリュダールは任を解かれるだろう。憧れの王立騎士団に入る為に、すごく努力をしていたのを知っている。何度も吐きながら訓練をしていたのも、悔しくて泣きながら剣を振っていたのも…。私には絶対見に来るなって言ってたけど…こっそり見に行ってた。
「そんな簡単に捨てれるものじゃないはずなのに…」
騎士も、私も。
それだけサイラス殿下とアリーシャの為に何かしたかったのかしら?不貞ではないのだろうけど、余計に軽く扱われた事に納得がいかなくなってくる。嘘というのは、相手を完璧に騙してこそなのよ。簡単にバレる嘘…それはもう侮辱だわ。
「そうだねぇ、初めて仕えたのが殿下だから妙に感情移入したのかもしれないねぇ」
「…脳筋はこれだから…」
「ははっ!確かに!やり方としては悪手だね」
お父様は、殿下に今は時期ではないと伝えたと書いてあった。それは同時に現段階では婚約はさせられないという拒否をした事になる。殿下はなかなか引き下がらなかったし、アリーシャも泣いていたらしいが当然の結果だ。
「周りが全く見えていないのね…」
「そうだねぇ…ブランシュ様は良いかもしれないが、ノールダム公爵家は娘を傷物にされて不満しかないだろうしね」
「そうですよね、今まで殿下に嫁ぐと思っていたのに、ある日突然婚約が無くなるなんて…」
ブランシュ様に過失があるなら仕方ないだろうが、彼女は真面目にその立場を守って来た。そんな彼女の婚約が無くなった原因がアリーシャだと知られた日にはブランシュ様の周りが黙ってはいないだろう。社交界に居場所がなくなったら、アリーシャは夫人の義務すら果たせなくなる。
「お父様が断るのは仕方のない事だわ…」
少なくとも、今は。
時期が悪すぎるわ。
耳元で、お父様の盛大な溜息が聞こえた気がした。
「え、お父様から?」
自分で釣ったアジーを夕食で食べて満足した私は、ゆったりとお茶を飲んでいた。やっぱり自分で釣った魚は美味しいわね!!一味も二味も違ったわ!!でも、お父様からの手紙って…あんまり良い知らせじゃない気がする。
「…なかなか面白い事になってるみたいだよ」
「えぇ…何か見たくないわ…それ…」
私はそっと手紙を開き、内容を確認した。読み進めていく度に、頭痛が増してくる。はぁ、と溜息を吐いた所でモニカがそっとお菓子を置いてくれた。あぁ、糖分を補給して頭を動かせって事ね。
「…リュダールは何をやってるのかしら…?」
思わず呆れて呟いた。手紙には、サイラス殿下がリュダールと共にアリーシャに求婚をしに来たと書いてあった。いくら第二王子で臣籍降下が決まっているとは言え、王族だ。思いつきで護衛もそこそこに我が家に求婚に来るなんてどうかしている。
リュダールはそれを止める役割を担っているのでは?と疑問に思った。それに、婚約破棄すら発表していないのに、求婚ですって?
「……え、もう、何?みんな馬鹿なの?」
思わず本音がダダ漏れた。背後で「ぷっ…」とモニカが笑っている。いやいやいや、だって!!
言いたくなるでしょうよ、そんなの。アリーシャに求婚して来たって事は婚約解消、または破棄は成立したんでしょうけれど。
だからってすぐに求婚する!?早過ぎない!?ていうか、ブランシュ様の事を何も考えてないし、シュバルツ侯爵家の事も下手すればアリーシャの事も適当すぎない!?
「え?何なの?クズなの?」
「ぶっふ…!クズ…」
「だって!モニカ…婚約破棄したからってすぐに違う人に求婚する男ってどう?」
「ふ…ふふ…、クズです、かなりの」
「よね!?」
ブランシュ様との婚約破棄のそれらしい理由を周知しつつ、周りの貴族達の反応を見ながら婚約者のいない数人の令嬢達と茶会などを設けた後にアリーシャに話を持っていった風にしないとダメじゃない?じゃないとアリーシャにも批判が殺到するわよね?婚約者を横取りした非常識女って。もっと酷いと尻軽、阿婆擦れなどなど聞くに堪えない言葉で罵られるのに。
「…サイラス殿下は社交界なめてるの?」
「くっあはは!!その通りだね、全く!」
「それに…円満に婚約破棄でも、シュバルツ家にも影響があるわよね」
「…そうだね」
こんな時期に殿下がシュバルツ家に来た事は、悪い風にしか取られない。時期が被らないように細工するならまだしも…これじゃ不貞してました!って言ってるような物よ!サイラス殿下は物静かで理知的な方だと思ってたけど、頭に春が来たお猿さんだったのね。
「リュダールが手を貸していた事は明らかですけど、止めるという選択肢すらなかったのかしら…」
「…なかったみたいだね」
「どうかしてるわ…」
きっとこの件でリュダールは任を解かれるだろう。憧れの王立騎士団に入る為に、すごく努力をしていたのを知っている。何度も吐きながら訓練をしていたのも、悔しくて泣きながら剣を振っていたのも…。私には絶対見に来るなって言ってたけど…こっそり見に行ってた。
「そんな簡単に捨てれるものじゃないはずなのに…」
騎士も、私も。
それだけサイラス殿下とアリーシャの為に何かしたかったのかしら?不貞ではないのだろうけど、余計に軽く扱われた事に納得がいかなくなってくる。嘘というのは、相手を完璧に騙してこそなのよ。簡単にバレる嘘…それはもう侮辱だわ。
「そうだねぇ、初めて仕えたのが殿下だから妙に感情移入したのかもしれないねぇ」
「…脳筋はこれだから…」
「ははっ!確かに!やり方としては悪手だね」
お父様は、殿下に今は時期ではないと伝えたと書いてあった。それは同時に現段階では婚約はさせられないという拒否をした事になる。殿下はなかなか引き下がらなかったし、アリーシャも泣いていたらしいが当然の結果だ。
「周りが全く見えていないのね…」
「そうだねぇ…ブランシュ様は良いかもしれないが、ノールダム公爵家は娘を傷物にされて不満しかないだろうしね」
「そうですよね、今まで殿下に嫁ぐと思っていたのに、ある日突然婚約が無くなるなんて…」
ブランシュ様に過失があるなら仕方ないだろうが、彼女は真面目にその立場を守って来た。そんな彼女の婚約が無くなった原因がアリーシャだと知られた日にはブランシュ様の周りが黙ってはいないだろう。社交界に居場所がなくなったら、アリーシャは夫人の義務すら果たせなくなる。
「お父様が断るのは仕方のない事だわ…」
少なくとも、今は。
時期が悪すぎるわ。
耳元で、お父様の盛大な溜息が聞こえた気がした。
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