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「リオ姉様!今日はコレ食べようよ!!」
「え?苺パフェ?珍しいわね」
「今日は絶対にリオ姉様にあーんってしてもらうんだ!」
「まぁ、ダメよ、ジュエル。人の目があるんだから」
「いいじゃん、一回だけ!!」
胸の前で手を組みおねだりポーズを決めるジュエルは、やはり昨日と変わらず天使のように可愛い。
とても何人もの女性を食い散らかしてるようには見えない。
あぁ、こんなに可愛いのに…何て事なの…!
メニューを見ている他の生徒も、ほっこりと微笑ましげにジュエルを見つめている。
「まぁ、可愛い天使は今日は何を食べるのかしら?」
「ミリオネア様、是非可愛い義弟にあーんってしてあげて!」
そんな声まで聞こえて来るけれど。
それは良いの?
ジャスティンがマナカ様とやったらみんな怒り狂うヤツじゃない?
私はみんなの対応があまりに違うことに驚いてしまった。
「ね、リオ姉様。みんながしてあげてって言ってるよ?」
「ダメよ。みんながどう言ってたってダメなものはダメ」
「リオ姉様は真面目だなぁ…」
ぷぅと頬を膨らませるジュエルに、ご令嬢達はみんな優しい。
最早、みんなの愛され弟枠じゃないか。
「一回でいいのになぁ…」
呟くジュエルを横目に、私は、どう計画を進めるかを考えていた。
いつも通りにしておいて、ジャスティン達を見たらジュエルを好きなように振る舞う…。
出来るかしら…恋愛経験0の私に。
「また今度ね」
「ちぇっ!でも美味しそうだから、食べよう」
「ふふ…ジュエルは食いしん坊さんねぇ」
「甘い物は別腹だってクラスの子が言ってたよ!」
「それもそうね」
いつもと同じ席に移動している時、ジャスティン達が現れた。
カタギリ様と笑顔で談笑しながら歩いてる姿に、演技だとわかっているのにじわりと不快な気分になる。
「あ…」
「リオ姉様…本当…兄上はやめときなよ…」
「……そう…ね…」
じっとジャスティンを見ていたら、ジュエルにぐっと腕を引かれていつもの席に座らされる。
「リオ姉様はどうしてあんな兄上がいいの?他の女を側に置くような…あんな奴が…」
ギリッと音がするくらい歯を噛み締めるジュエルは、本当に納得いかないという表情を隠しもしない。
下衆っぷりはあなたが上よ、と思いつつ悲しげな笑顔を作って見せた。
「俺…俺なら…絶対にリオ姉様を泣かせたりしないのに…」
「ジュエル…」
「昨日も言ったけど…俺と…俺と婚約してよ…」
切なげな目が…彼の演技なのか、本心なのかを見極められない。
でも…こんな風に懇願されたら。
絶望の淵に立っている時にこんな顔をされたら、ころりといってしまうかも知れないと思った。
「…ジュエルは…私をいつまで好きでいてくれる?」
計画でも、演技でもない問いかけが、ぽつりと落ちた。
ジャスティンにでさえ、これは聞いた事がない。
ジャスティンには聞けない。
答えを聞くのが怖すぎて。
「そんなの…死んでも好きだよ…」
「ジュエルは一途なのね」
「そうだよ、だから俺の婚約者になって?」
ぱっと明るくなる雰囲気が、妙に陳腐な演劇みたいで。
死んでも好き…軽々しく口にできる思い。
一途なはずなのに、何人も抱けるらしいその腕をどうやっても信じる事が出来ない。
「私…ジュエルにしておけばよかったわ…」
この嘘が、自分で嫌になる。
計画、演技、これは罠。
わかっていても吐きそうだ。
ジャスティンも、こんな気持ちだったのかしら。
「ほ、本当…?リオ姉様…俺の婚約者に…なってくれる?」
「そうね…でも、こんなに人の多い所じゃゆっくり話も出来ないわね。放課後にでも、二人で話がしたいわ」
「リオ姉様…いや、リオ…二人でゆっくり話をしよう。何時間でも…リオの気持ちを全部教えて…?」
にっこりと惚けたように笑うジュエルは、先程までの純粋無垢なイメージをがらりと変え、むわりとした色気を纏う。
怪しげな色彩の色を出す彼からは、狂気が感じられた。
この子は、悪魔に魂を売ってしまったのだろうか…。
「えぇ…ジュエルに全て教えるわ。さ、食べましょ」
「うん。リオの全てを知りたいな」
そうやって、何事も無かったかのように食事は開始された。
最後のデザートにあの苺パフェが登場して、ジュエルはご機嫌でそれを口にする。
「兄上達、もうどこかに行くみたいだね」
「え?」
ふとジャスティン達を見ると、席を立って移動しているようだ。
死角になる位置に行くのだろう。
私はそれを目で追って、またジュエルの方に視線を戻した。
「はい、あーん」
「え?あっ…」
ぱくり、と口に入れられた甘い苺とアイスクリームが滑らかに舌の上で踊る。
ジュエルの不意打ちについ食べてしまったけれど、誰かに見られたりしていないだろうか。
あぁ、後でジャスティンに何を言われるやら…!!
「こら、ジュエル。ダメって言ったでしょう?」
「仕方ないだろ?リオと間接でもキスしたいんだもん」
「もう…!」
あぁ…天使が…天使では無くなっていく。
か、間接キスなんてどこで覚えてくるのかしらね!!?
そこでふとジャスティンと間接キスした時の事を思い出した。
かぁっと頬に赤みが差すのがわかって、ジュエルに見られないようにふいと顔を背ける。
「リオ照れてるの?可愛い」
「あ、暑いだけよ」
「ふふ…素直じゃないなぁ…」
結果オーライなのかしら。
ジュエルはチョコレートが溶けたみたいにとろとろに甘い雰囲気を醸し出している。
私は罪悪感に溺れそうになった。
…良いのだろうか…。
いくらミランダ王女を探す為とはいえ…騙してるんだよなぁ…。
しかも恋心を利用して。
これ、最低じゃない?
もう私がクズじゃない?
「リオ、どうしたの?黙り込んで…俺とランチは…楽しくない?」
「いいえ、楽しいわよ?ちょっと考え事をしてたの」
「兄様の事…?」
ひゅっとジュエルの顔から甘さが抜ける。
丸一日煮出した紅茶みたいに苦そうな表情に思わず苦笑する。
「違うわ、私達の今後の事よ」
「ふふ…リオは心配しないで。俺が守ってみせるから」
「まぁ、頼もしいのね」
…心に冷たい風が吹く。
どれだけ強くとも、護れない時はある。
ジャスティンの「護る」とジュエルの「守る」では、私にとって重みが違う。
どうやっても、ジュエルでは未来は想像出来ない。
「リオ、そろそろ昼休みが終わるね。教室まで送るよ」
「ありがとう」
「ね、手繋いでいい?」
「ダメよ、私達は秘密の関係なんだから」
「あぁ…早くリオと手を繋いで歩きたい…」
「そうね」
…そんな時が、来れば…だけれど。
隣ではしゃいで色んな話をするジュエルに笑顔を向けながら、ごめんねと思う。
全てが明らかになった後、騙されたとか、裏切られたと私を罵り嫌いになってくれていい。
あなたがこのまま迷い道から出てきてくれるなら。
私はいくらでも受け止めるから。
このままミランダ王女を隠していたら、あなたは咎人になってしまう。
「…リオ、もうすぐ教室だね…。放課後まで寂しいから、ぎゅってしてもいい…?」
「え…それは…」
人はいないけど、ジャスティンがどこかから見ていると言うのにそれはしたくないなぁ…。
私はやんわりと断るために、ジュエルの方を向いた。
…つもりだった。
揺れる視界、突然重くなる身体に目を見開く。
「あ…どうして…」
ふらりと重心がジュエルに傾く。
私の身体はジュエルに受け止められて、周りから見れば抱き締められているように見えるだろう。
「リオ…二人になれる所に行こっか」
「え…ジュエル…どういう…」
「ちょっとだけ寝ていて?俺のお姫様」
「あ…」
足元に魔法陣が浮き上がる。
これは…移動魔法具…?
「ミリオネア!!」
遠く離れた所から、ジャスティンが必死の形相で走って来るのが見えた。
そのすぐ後ろに慌てた様子のマナカ様が見えて、定位置の胸ポケットには天京様が。
「はっ…浮気してるくせに今更…」
ジュエルが吐き捨てた瞬間、魔法陣は強い光を放つ。
「ミリオネア!!!ジュエルから離れろ!!」
ジャスティンの声が聞こえて、ジュエルから離れようとしても身体に力が入らない。
どうして、突然こんな…何かがおかしい…。
「ジュエル?…何か…飲ませ…」
「リオ…愛してるから許して?」
ジャスティンの言葉を思い出す。
過去に何度か薬を盛られかけていた、と。
今になって、あの苺パフェに薬が仕込まれていたのだと知る。
「ミリオネア!!」
さっきよりも近くなったジャスティンの声に反応して、薄らいだ意識で彼を見る。
何かを投げた彼は今にも泣きそうな表情で。
あの時よりもいくらかマシな顔色に安心して、目を閉じた。
こうして、まんまとジュエルの術中にハマった私は、どうにでもなれと意識を手放した。
「え?苺パフェ?珍しいわね」
「今日は絶対にリオ姉様にあーんってしてもらうんだ!」
「まぁ、ダメよ、ジュエル。人の目があるんだから」
「いいじゃん、一回だけ!!」
胸の前で手を組みおねだりポーズを決めるジュエルは、やはり昨日と変わらず天使のように可愛い。
とても何人もの女性を食い散らかしてるようには見えない。
あぁ、こんなに可愛いのに…何て事なの…!
メニューを見ている他の生徒も、ほっこりと微笑ましげにジュエルを見つめている。
「まぁ、可愛い天使は今日は何を食べるのかしら?」
「ミリオネア様、是非可愛い義弟にあーんってしてあげて!」
そんな声まで聞こえて来るけれど。
それは良いの?
ジャスティンがマナカ様とやったらみんな怒り狂うヤツじゃない?
私はみんなの対応があまりに違うことに驚いてしまった。
「ね、リオ姉様。みんながしてあげてって言ってるよ?」
「ダメよ。みんながどう言ってたってダメなものはダメ」
「リオ姉様は真面目だなぁ…」
ぷぅと頬を膨らませるジュエルに、ご令嬢達はみんな優しい。
最早、みんなの愛され弟枠じゃないか。
「一回でいいのになぁ…」
呟くジュエルを横目に、私は、どう計画を進めるかを考えていた。
いつも通りにしておいて、ジャスティン達を見たらジュエルを好きなように振る舞う…。
出来るかしら…恋愛経験0の私に。
「また今度ね」
「ちぇっ!でも美味しそうだから、食べよう」
「ふふ…ジュエルは食いしん坊さんねぇ」
「甘い物は別腹だってクラスの子が言ってたよ!」
「それもそうね」
いつもと同じ席に移動している時、ジャスティン達が現れた。
カタギリ様と笑顔で談笑しながら歩いてる姿に、演技だとわかっているのにじわりと不快な気分になる。
「あ…」
「リオ姉様…本当…兄上はやめときなよ…」
「……そう…ね…」
じっとジャスティンを見ていたら、ジュエルにぐっと腕を引かれていつもの席に座らされる。
「リオ姉様はどうしてあんな兄上がいいの?他の女を側に置くような…あんな奴が…」
ギリッと音がするくらい歯を噛み締めるジュエルは、本当に納得いかないという表情を隠しもしない。
下衆っぷりはあなたが上よ、と思いつつ悲しげな笑顔を作って見せた。
「俺…俺なら…絶対にリオ姉様を泣かせたりしないのに…」
「ジュエル…」
「昨日も言ったけど…俺と…俺と婚約してよ…」
切なげな目が…彼の演技なのか、本心なのかを見極められない。
でも…こんな風に懇願されたら。
絶望の淵に立っている時にこんな顔をされたら、ころりといってしまうかも知れないと思った。
「…ジュエルは…私をいつまで好きでいてくれる?」
計画でも、演技でもない問いかけが、ぽつりと落ちた。
ジャスティンにでさえ、これは聞いた事がない。
ジャスティンには聞けない。
答えを聞くのが怖すぎて。
「そんなの…死んでも好きだよ…」
「ジュエルは一途なのね」
「そうだよ、だから俺の婚約者になって?」
ぱっと明るくなる雰囲気が、妙に陳腐な演劇みたいで。
死んでも好き…軽々しく口にできる思い。
一途なはずなのに、何人も抱けるらしいその腕をどうやっても信じる事が出来ない。
「私…ジュエルにしておけばよかったわ…」
この嘘が、自分で嫌になる。
計画、演技、これは罠。
わかっていても吐きそうだ。
ジャスティンも、こんな気持ちだったのかしら。
「ほ、本当…?リオ姉様…俺の婚約者に…なってくれる?」
「そうね…でも、こんなに人の多い所じゃゆっくり話も出来ないわね。放課後にでも、二人で話がしたいわ」
「リオ姉様…いや、リオ…二人でゆっくり話をしよう。何時間でも…リオの気持ちを全部教えて…?」
にっこりと惚けたように笑うジュエルは、先程までの純粋無垢なイメージをがらりと変え、むわりとした色気を纏う。
怪しげな色彩の色を出す彼からは、狂気が感じられた。
この子は、悪魔に魂を売ってしまったのだろうか…。
「えぇ…ジュエルに全て教えるわ。さ、食べましょ」
「うん。リオの全てを知りたいな」
そうやって、何事も無かったかのように食事は開始された。
最後のデザートにあの苺パフェが登場して、ジュエルはご機嫌でそれを口にする。
「兄上達、もうどこかに行くみたいだね」
「え?」
ふとジャスティン達を見ると、席を立って移動しているようだ。
死角になる位置に行くのだろう。
私はそれを目で追って、またジュエルの方に視線を戻した。
「はい、あーん」
「え?あっ…」
ぱくり、と口に入れられた甘い苺とアイスクリームが滑らかに舌の上で踊る。
ジュエルの不意打ちについ食べてしまったけれど、誰かに見られたりしていないだろうか。
あぁ、後でジャスティンに何を言われるやら…!!
「こら、ジュエル。ダメって言ったでしょう?」
「仕方ないだろ?リオと間接でもキスしたいんだもん」
「もう…!」
あぁ…天使が…天使では無くなっていく。
か、間接キスなんてどこで覚えてくるのかしらね!!?
そこでふとジャスティンと間接キスした時の事を思い出した。
かぁっと頬に赤みが差すのがわかって、ジュエルに見られないようにふいと顔を背ける。
「リオ照れてるの?可愛い」
「あ、暑いだけよ」
「ふふ…素直じゃないなぁ…」
結果オーライなのかしら。
ジュエルはチョコレートが溶けたみたいにとろとろに甘い雰囲気を醸し出している。
私は罪悪感に溺れそうになった。
…良いのだろうか…。
いくらミランダ王女を探す為とはいえ…騙してるんだよなぁ…。
しかも恋心を利用して。
これ、最低じゃない?
もう私がクズじゃない?
「リオ、どうしたの?黙り込んで…俺とランチは…楽しくない?」
「いいえ、楽しいわよ?ちょっと考え事をしてたの」
「兄様の事…?」
ひゅっとジュエルの顔から甘さが抜ける。
丸一日煮出した紅茶みたいに苦そうな表情に思わず苦笑する。
「違うわ、私達の今後の事よ」
「ふふ…リオは心配しないで。俺が守ってみせるから」
「まぁ、頼もしいのね」
…心に冷たい風が吹く。
どれだけ強くとも、護れない時はある。
ジャスティンの「護る」とジュエルの「守る」では、私にとって重みが違う。
どうやっても、ジュエルでは未来は想像出来ない。
「リオ、そろそろ昼休みが終わるね。教室まで送るよ」
「ありがとう」
「ね、手繋いでいい?」
「ダメよ、私達は秘密の関係なんだから」
「あぁ…早くリオと手を繋いで歩きたい…」
「そうね」
…そんな時が、来れば…だけれど。
隣ではしゃいで色んな話をするジュエルに笑顔を向けながら、ごめんねと思う。
全てが明らかになった後、騙されたとか、裏切られたと私を罵り嫌いになってくれていい。
あなたがこのまま迷い道から出てきてくれるなら。
私はいくらでも受け止めるから。
このままミランダ王女を隠していたら、あなたは咎人になってしまう。
「…リオ、もうすぐ教室だね…。放課後まで寂しいから、ぎゅってしてもいい…?」
「え…それは…」
人はいないけど、ジャスティンがどこかから見ていると言うのにそれはしたくないなぁ…。
私はやんわりと断るために、ジュエルの方を向いた。
…つもりだった。
揺れる視界、突然重くなる身体に目を見開く。
「あ…どうして…」
ふらりと重心がジュエルに傾く。
私の身体はジュエルに受け止められて、周りから見れば抱き締められているように見えるだろう。
「リオ…二人になれる所に行こっか」
「え…ジュエル…どういう…」
「ちょっとだけ寝ていて?俺のお姫様」
「あ…」
足元に魔法陣が浮き上がる。
これは…移動魔法具…?
「ミリオネア!!」
遠く離れた所から、ジャスティンが必死の形相で走って来るのが見えた。
そのすぐ後ろに慌てた様子のマナカ様が見えて、定位置の胸ポケットには天京様が。
「はっ…浮気してるくせに今更…」
ジュエルが吐き捨てた瞬間、魔法陣は強い光を放つ。
「ミリオネア!!!ジュエルから離れろ!!」
ジャスティンの声が聞こえて、ジュエルから離れようとしても身体に力が入らない。
どうして、突然こんな…何かがおかしい…。
「ジュエル?…何か…飲ませ…」
「リオ…愛してるから許して?」
ジャスティンの言葉を思い出す。
過去に何度か薬を盛られかけていた、と。
今になって、あの苺パフェに薬が仕込まれていたのだと知る。
「ミリオネア!!」
さっきよりも近くなったジャスティンの声に反応して、薄らいだ意識で彼を見る。
何かを投げた彼は今にも泣きそうな表情で。
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