54 / 82
第五章
優しい腕の中で 3
しおりを挟む
嘉月はビクビクと身体を震わせて達した。二回も欲を吐き出したためか、ヒートの熱は幾分かましになったようだ。しかし、目の前で自身を導いてくれた青木の顔を見るのが怖かった。
(呆れられたら、どうしよう。)
「・・・・嘉月先生?」
呼ばれたので反射的に顔を上げてしまう。けれども自分の頭を優しく撫でたままの青木は、穏やかに微笑んでいた。
「どうして、呆れないの・・・・?」
「・・・・呆れる?あなたは、可愛いですよ。」
青木は生真面目に応えると、彼の熱くなったペニスを再び嘉月の腰に押し付けた。ジワッと自身の後孔からも、僅かに愛液が滲み出てきたようだった。もう、ローションと混ざって何が何だか分からないけれども。
「ンッ、あ・・・・きて、いいよ?」
嘉月は身体を捻って四つん這いになると、少しだけ腰を浮かせた。それから、自身の指で後孔を押し広げて彼の前に晒した。それだけでも恥ずかしすぎて、顔は枕に埋める。青木の大きなものが自身を貫くことを想像したら、トロッと後孔に入っていたローションが溢れ出し、内股を伝った。
「あっ、はずかしい・・・・」
「・・・・とても、可愛くて、俺もどうにかなりそうです。」
バサッと何かが落ちる音がした。恐らく彼も、着ていた服を脱いだのだろう。その証拠に、背後から抱きついてきた彼の身体が、自身と同じくらい熱くなっていて、それが泣きそうになるくらい嬉しかった。
「もう、もっ・・・・いれてぇ」
「大丈夫、ここまできて抱かないなんてこと、ありませんから。」
ゆるゆると尻の間を彼のペニスが行き来するが、すぐには入ってこない。我慢ができなくなって後ろを見たら、彼はスキンを取り出していた。
「あ、だめ、つけないで、そのまま、いい」
スキンの袋を切ろうとした青木の手を止める。
「それだと、嘉月先生の負担が」
「いや、いやだ、いやだぁ・・・・」
至極まともなことを言う彼に、駄々をこねる子どものように首を振ると、彼は分かりましたと笑った。それから嘉月の内股からだらだらと流れるローションと愛液が混ざったものを指で掬い、そのまま後孔に押し戻した。
「ヒッ、う、アンッ」
少し大きな声を上げてしまったと嘉月が羞恥に襲われているところに、ズンと大きくて熱い彼のペニスが奥まで挿入ってきた。
「アァッ!」
「はぁ、きつい」
彼も自分の身体で感じてくれているようで、涙が滲んだ。こんな風に誰かと心まで繋いだセックスを、嘉月は知らなかった。
こんなの自分が知っているセックスじゃない。セックスはもっと一方的で、もっと痛くて、もっと怖いものだった。こんなの知らない。
「ん、ん、あ、あぁ、あ、あ、んぅ・・・・」
ゆっくりと入り口のところまで引き抜かれて、浅く突かれる緩やかな快感によって、身体から力が抜けた時、奥まで一気に貫かれる。単に激しすぎたり、痛みだけの行為しか知らなかった嘉月は、青木から与えられる快楽にすぐに翻弄されてしまった。
「あっ、イっちゃう・・・・また、イっちゃうよぉ・・・・」
これから襲ってくるであろう、とんでもない快楽に備えて、ぎりっとシーツを握りしめる力を強くすると、くるりと身体を反転させられた。目の前に余裕を無くした青木の顔が映り、行き場を失い彷徨っていた嘉月の両腕は、無意識に彼の背中へとまわっていた。
「俺も、もう限界です。」
深く深く口付けられたまま、更に奥を一際強く突き上げられて、目の前が真っ白になる。自分のものからドクッと精液が出た感覚を知るのと同時に、腹の中が暖かくなった。
中に出してもらえた安心感に浸りながら、嘉月はゆっくりと意識を手放した。
(呆れられたら、どうしよう。)
「・・・・嘉月先生?」
呼ばれたので反射的に顔を上げてしまう。けれども自分の頭を優しく撫でたままの青木は、穏やかに微笑んでいた。
「どうして、呆れないの・・・・?」
「・・・・呆れる?あなたは、可愛いですよ。」
青木は生真面目に応えると、彼の熱くなったペニスを再び嘉月の腰に押し付けた。ジワッと自身の後孔からも、僅かに愛液が滲み出てきたようだった。もう、ローションと混ざって何が何だか分からないけれども。
「ンッ、あ・・・・きて、いいよ?」
嘉月は身体を捻って四つん這いになると、少しだけ腰を浮かせた。それから、自身の指で後孔を押し広げて彼の前に晒した。それだけでも恥ずかしすぎて、顔は枕に埋める。青木の大きなものが自身を貫くことを想像したら、トロッと後孔に入っていたローションが溢れ出し、内股を伝った。
「あっ、はずかしい・・・・」
「・・・・とても、可愛くて、俺もどうにかなりそうです。」
バサッと何かが落ちる音がした。恐らく彼も、着ていた服を脱いだのだろう。その証拠に、背後から抱きついてきた彼の身体が、自身と同じくらい熱くなっていて、それが泣きそうになるくらい嬉しかった。
「もう、もっ・・・・いれてぇ」
「大丈夫、ここまできて抱かないなんてこと、ありませんから。」
ゆるゆると尻の間を彼のペニスが行き来するが、すぐには入ってこない。我慢ができなくなって後ろを見たら、彼はスキンを取り出していた。
「あ、だめ、つけないで、そのまま、いい」
スキンの袋を切ろうとした青木の手を止める。
「それだと、嘉月先生の負担が」
「いや、いやだ、いやだぁ・・・・」
至極まともなことを言う彼に、駄々をこねる子どものように首を振ると、彼は分かりましたと笑った。それから嘉月の内股からだらだらと流れるローションと愛液が混ざったものを指で掬い、そのまま後孔に押し戻した。
「ヒッ、う、アンッ」
少し大きな声を上げてしまったと嘉月が羞恥に襲われているところに、ズンと大きくて熱い彼のペニスが奥まで挿入ってきた。
「アァッ!」
「はぁ、きつい」
彼も自分の身体で感じてくれているようで、涙が滲んだ。こんな風に誰かと心まで繋いだセックスを、嘉月は知らなかった。
こんなの自分が知っているセックスじゃない。セックスはもっと一方的で、もっと痛くて、もっと怖いものだった。こんなの知らない。
「ん、ん、あ、あぁ、あ、あ、んぅ・・・・」
ゆっくりと入り口のところまで引き抜かれて、浅く突かれる緩やかな快感によって、身体から力が抜けた時、奥まで一気に貫かれる。単に激しすぎたり、痛みだけの行為しか知らなかった嘉月は、青木から与えられる快楽にすぐに翻弄されてしまった。
「あっ、イっちゃう・・・・また、イっちゃうよぉ・・・・」
これから襲ってくるであろう、とんでもない快楽に備えて、ぎりっとシーツを握りしめる力を強くすると、くるりと身体を反転させられた。目の前に余裕を無くした青木の顔が映り、行き場を失い彷徨っていた嘉月の両腕は、無意識に彼の背中へとまわっていた。
「俺も、もう限界です。」
深く深く口付けられたまま、更に奥を一際強く突き上げられて、目の前が真っ白になる。自分のものからドクッと精液が出た感覚を知るのと同時に、腹の中が暖かくなった。
中に出してもらえた安心感に浸りながら、嘉月はゆっくりと意識を手放した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ちゃんちゃら
三旨加泉
BL
軽い気持ちで普段仲の良い大地と関係を持ってしまった海斗。自分はβだと思っていたが、Ωだと発覚して…?
夫夫としてはゼロからのスタートとなった二人。すれ違いまくる中、二人が出した決断はー。
ビター色の強いオメガバースラブロマンス。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
忘れられない君の香
秋月真鳥
BL
バルテル侯爵家の後継者アレクシスは、オメガなのに成人男性の平均身長より頭一つ大きくて筋骨隆々としてごつくて厳つくてでかい。
両親は政略結婚で、アレクシスは愛というものを信じていない。
母が亡くなり、父が借金を作って出奔した後、アレクシスは借金を返すために大金持ちのハインケス子爵家の三男、ヴォルフラムと契約結婚をする。
アレクシスには十一年前に一度だけ出会った初恋の少女がいたのだが、ヴォルフラムは初恋の少女と同じ香りを漂わせていて、契約、政略結婚なのにアレクシスに誠実に優しくしてくる。
最初は頑なだったアレクシスもヴォルフラムの優しさに心溶かされて……。
政略結婚から始まるオメガバース。
受けがでかくてごついです!
※ムーンライトノベルズ様、エブリスタ様にも掲載しています。
白銀の城の俺と僕
片海 鏡
BL
絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの高度かつ不可思議な医療技術による治療を願う者達が日々海を渡ってやって来る。白銀の髪と紺色の目を持って生まれた子供は聖徒として神殿に召し上げられる。オメガの青年エンティーは不遇を受けながらも懸命に神殿で働いていた。ある出来事をきっかけに島を統治する皇族のαの青年シャングアと共に日々を過ごし始める。 *独自の設定ありのオメガバースです。恋愛ありきのエンティーとシャングアの成長物語です。下の話(セクハラ的なもの)は話しますが、性行為の様なものは一切ありません。マイペースな更新です。*
【完結】選ばれない僕の生きる道
谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。
選ばれない僕が幸せを選ぶ話。
※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです
※設定は独自のものです
※Rシーンを追加した加筆修正版をムーンライトノベルズに掲載しています。
【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜
みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。
自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。
残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。
この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる――
そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。
亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、
それでも生きてしまうΩの物語。
痛くて、残酷なラブストーリー。
もう殺されるのはゴメンなので婚約破棄します!
めがねあざらし
BL
婚約者に見向きもされないまま誘拐され、殺されたΩ・イライアス。
目覚めた彼は、侯爵家と婚約する“あの”直前に戻っていた。
二度と同じ運命はたどりたくない。
家族のために婚約は受け入れるが、なんとか相手に嫌われて破談を狙うことに決める。
だが目の前に現れた侯爵・アルバートは、前世とはまるで別人のように優しく、異様に距離が近くて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる