それでもあなたは銀行に就職しますか 第4巻~彰司と佳奈子の勉強会~「不渡り手形」

リチャード・ウイス

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(これまでのお話)

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 西都銀行に勤める東郷彰司(三十二才 独身)は、初任店の高谷支店から監査部などを経て、現在は本店七階にある広報部に勤務している。
 一方、西村佳奈子は、取締役だった父親のコネで西都銀に入行し、現在は、東郷と同じ本店ビルの一階にある本店営業部で、内務業務である送金や預金係を担当中。だがスキルアップをして「将来は支店長になりたい」と人事関連のアンケートにも答えていた積極的で優秀な女子行員だった。

 佳奈子の父親はすでにこの銀行を数年前に、営業本部長を最後に退職し、今はグループ会社の社長をしている。銀行の本部長時代は、支店長会議の場で、ひな壇の机をバンバンこぶしで叩きながら、二百人を超える支店長を前に「今期の目標は必達である。そのためには、支店長諸君にはこれまでの倍の仕事をやっていただきたい!」と檄を飛ばしており、ある意味、銀行内では鬼と恐れられていた存在だった。

 そうしたなかで、そろそろ初任店の本店営業部から支店へ転勤も近い西村佳奈子が、これまでに様々な融資業務や不祥事寸前の案件を上手くさばいてきた入行四年先輩の東郷から、銀行業務のキモである融資案件処理の仕方や、不良債権処理方法などを教わりたいために、東郷と勉強会を実施していた。とはいっても、二カ月に一度ほど、お酒を交えながら時に楽しく、しかし時にはお金にまつわる現実を知り辛い思いもしていたのだった。

 二人の出会いは佳奈子が入行したばかりの頃の、職員組合主催のスポーツ大会と食事会。

 佳奈子は、過去数回の、この二人だけの勉強会のあいだに、東郷に次第に心を寄せて行った。但し、東郷は、入行してからずっと聞き及んでいる西村本部長の恐ろしさを先に頭にインプットしてしまっていたせいか・・・佳奈子には、特別な感情をあえて押し殺して接していた・・・・。
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