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4『ルール』のための『ルール』
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太陽がジリジリと、肌を突き抜けるような強さを見せつける季節。一面緑に染まった水田の中に『彼』はいた。
この『セカイ』に来てからもうすぐで2年が経とうとしていた。2年といっても、この『セカイ』の1年は153日であるので、2年で306日である。
『彼』は『カチカチオバケ』に、ある『ルール』をもらうはず…だった。
「それで、僕の『ルール』とは何でしょうか?」
「まぁそんなに焦らないで。焦っても良いことはないのよ」
暫くの沈黙の後、それを破ったのはカチカチオバケだった。
「あのね、『ルール』をあたしがあげるって言ったけど、今すぐあげられる訳じゃないのよ」
「それは…どういう意味ですか? 」
困ったような顔をしながら、カチカチオバケは続けた。
「あたしに『ルール』をもらうにはある条件をクリアしないといけないの。でも大丈夫。誰でもできるような簡単なことだから。根気さえあればね」
『彼』は何か嫌な予感がしたが、その先を聞かなければ前には進めないことにも、承知をしていた。
「僕、『ルール』を貰うためならなんだってやります。だってそれがこの『セカイ』の『ルール』なんでしょ? 」
「良くわかっているじゃない。じゃあ早速なんだけど、朝食を片付けたら外へ出ましょうか」
「え…外に出て一体何をするんですか? 」
「それはお楽しみ」
そう言うとカチカチオバケは家の外へ出て行った。
すでに20分は歩いただろうか。彼は昨日の二の舞になるのは嫌だったので、こう問いかけた。
「『カチカチオバケ』さん、あとどれくらいで着きますか? 僕もう疲れてきちゃいました…」
「あら、男の子なのに体力が無いのね。あたしなんて全然平気よ、あと1時間は歩けるわ」
カチカチオバケは得意げではあるが、あざとくもとれる顔で『彼』に言った。
「でももうすぐだから頑張って! ほら、『男の子』でしょ? 」
やけに男の子を強調してきたので、『彼』は少しイラっときたが、綺麗な女の人の手に引っ張られているこの状況が好ましくもあり、余計なことは言わないことに決めた。
「着いたよ! 」
そう言われてふと顔を上げると、そこには一面、『緑』が広がっていた。
初めの3秒間は色を認識しただけであったが、4秒目に『彼』の視界は一挙に鮮明となった。
そこには、確かに『水田』が広がっていた。見渡す限り、一体どこまであるのだろうか。地平線の色が緑に見えるので、あそこまで広がっているのだろうか。
勝手に想像していた『彼』を遮るように、カチカチオバケは言った。
「ここで2年と1ヶ月の間、働いて貰います! 」
「は? …」
呆気に取られている『彼』には目もくれず、カチカチオバケは両手にゴム手袋をはめ始めた。
「あの…どういうことでしょうか? 」
「どうもこうもないの。これが『ルール』を貰うための『ルール』だから」
この時からおよそ2年間、気が付けばあっという間だった。嫌だったり、身体がついていかなかったのは初めの1週間くらいで、不思議と仕事を楽しんでいる自分もいた。
「もうすぐで『ルール』が貰えるんだ…。」
そう確信している『彼』の足元を何かが横切った。
この『セカイ』に来てからもうすぐで2年が経とうとしていた。2年といっても、この『セカイ』の1年は153日であるので、2年で306日である。
『彼』は『カチカチオバケ』に、ある『ルール』をもらうはず…だった。
「それで、僕の『ルール』とは何でしょうか?」
「まぁそんなに焦らないで。焦っても良いことはないのよ」
暫くの沈黙の後、それを破ったのはカチカチオバケだった。
「あのね、『ルール』をあたしがあげるって言ったけど、今すぐあげられる訳じゃないのよ」
「それは…どういう意味ですか? 」
困ったような顔をしながら、カチカチオバケは続けた。
「あたしに『ルール』をもらうにはある条件をクリアしないといけないの。でも大丈夫。誰でもできるような簡単なことだから。根気さえあればね」
『彼』は何か嫌な予感がしたが、その先を聞かなければ前には進めないことにも、承知をしていた。
「僕、『ルール』を貰うためならなんだってやります。だってそれがこの『セカイ』の『ルール』なんでしょ? 」
「良くわかっているじゃない。じゃあ早速なんだけど、朝食を片付けたら外へ出ましょうか」
「え…外に出て一体何をするんですか? 」
「それはお楽しみ」
そう言うとカチカチオバケは家の外へ出て行った。
すでに20分は歩いただろうか。彼は昨日の二の舞になるのは嫌だったので、こう問いかけた。
「『カチカチオバケ』さん、あとどれくらいで着きますか? 僕もう疲れてきちゃいました…」
「あら、男の子なのに体力が無いのね。あたしなんて全然平気よ、あと1時間は歩けるわ」
カチカチオバケは得意げではあるが、あざとくもとれる顔で『彼』に言った。
「でももうすぐだから頑張って! ほら、『男の子』でしょ? 」
やけに男の子を強調してきたので、『彼』は少しイラっときたが、綺麗な女の人の手に引っ張られているこの状況が好ましくもあり、余計なことは言わないことに決めた。
「着いたよ! 」
そう言われてふと顔を上げると、そこには一面、『緑』が広がっていた。
初めの3秒間は色を認識しただけであったが、4秒目に『彼』の視界は一挙に鮮明となった。
そこには、確かに『水田』が広がっていた。見渡す限り、一体どこまであるのだろうか。地平線の色が緑に見えるので、あそこまで広がっているのだろうか。
勝手に想像していた『彼』を遮るように、カチカチオバケは言った。
「ここで2年と1ヶ月の間、働いて貰います! 」
「は? …」
呆気に取られている『彼』には目もくれず、カチカチオバケは両手にゴム手袋をはめ始めた。
「あの…どういうことでしょうか? 」
「どうもこうもないの。これが『ルール』を貰うための『ルール』だから」
この時からおよそ2年間、気が付けばあっという間だった。嫌だったり、身体がついていかなかったのは初めの1週間くらいで、不思議と仕事を楽しんでいる自分もいた。
「もうすぐで『ルール』が貰えるんだ…。」
そう確信している『彼』の足元を何かが横切った。
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