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第2話 剣士、力試しをする
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シュージリア山頂上に存在する広い草原でネイムはこう言った。
――君は私から見たらただの年下。だから、まずは私に君の、アルム君の力を見せて欲しいな?
彼女にとって至極素朴な疑問と言えば疑問であった。自分がいくら宣おうが、彼女からしてみれば年下の戯言。
故に、アルムは前向きな考えになれた。逆に“ここまで”来たのだ。ならばあとは力を示せさえすればそれで終わり。
木剣の感触を確かめながら、彼は言った。
「わざわざ俺の実力を確かめる必要なんてあるのか?」
「あるよ? 少なくとも私が君を拾った時点でね」
アルムは改めて彼女の立ち振る舞いに着目した。
全く隙が見当たらない。自分が相対してもなお、なのだ。構えなど何もない自然体。だからこそ付け入る隙がない。相当戦い慣れして、相当強い、というのがアルムの見立てである。
「いまいち記憶が怪しい俺に対して、ずいぶんといきなりなことで……」
「えー、そう? でも私は階級持ちの魔族に会おうとする方がいきなりだと思うけどなー」
“今”の自分の身体をどこまで動かせるのかは最優先で確認しておきたかっただけに、この提案はアルムにとってありがたいことではあった。
だが、少しばかりこのタイミングの悪さを呪わざるを得なかった。
アルムの視線が一瞬、両腰と背中へ移る。
(……どう見ても本腰入れてやらなきゃいけない相手だっていうのに、あと三本足りない)
アルム・ルーベンの戦闘スタイルは剣一本だけでは未完成だ。本領を発揮するには両腰と背中に得物が必要不可欠なのである。
しかし、すぐにその考えはどこかへ追いやり、ないものねだり抜きで思考を切り替える。
「……なるほど」
「何か言ったか?」
「ううん! なんにも! じゃあそろそろ始めるよ! 私が良いって言うまでとりあえず戦って欲しいな!」
「ああ、もう気の済むまでやってくれ――!?」
アルムが反応出来たのはまさしく幸運だったと思う。既に木剣と木剣が交わっていた。妙な予感がして、防御行動を選択したら案の定。
初撃を仕掛けて来たネイムは感心したように目を細めた。即座に、突き、下段斬り、もう一度突き。一呼吸の間の連撃に、アルムを以てしても反撃の光明が見えなかった。
「おおっ、受け止めてくれると思ってた! これは嬉しいなー!」
「速いけど、まだ視えるぞ……!」
たった一歩でネイムはアルムの間合いに入って来る。いくら距離を離そうとしても仕切り直しすらさせてもらえない。
比較的振りの甘い下段からの切り上げを弾き飛ばすことで、ようやく彼女から距離を離すことに成功した。すぐに気持ちを落ち着かせ、再び目の前に現れたネイムの剣を迎撃する。
――この世界の剣士、皆このレベルじゃないだろうな!
瞬きするたびにやってくるネイムの剣撃を受け止めつつ、背筋を凍らせるアルム。でも剣には多少の自信があったのだが、こうまで捌くのがやっとだと少しばかり挫かれそうになる。
「五連撃! これはどう捌いてくれる!? アルム君!!」
明確な危険を感じ、再び大きく弾こうとするが、ネイムの方が一手早かった。ネイムの木剣がブレた。その軌跡、五つ。
剣士にとっては必殺の間合い、避けることは諦めていた。この剣速ならば防御しきれるかも怪しい。
故に――。
(下手な防戦は止めだ。――斬り込んでやる)
その決意を読み取ったのか、ネイムは少しだけ微笑み――――刃が瞬いた。
◆ ◆ ◆
「いやーまさか私の十八番が良い感じに捌かれるとは思わなかったよー! しかもお返しもされちゃったし」
反撃に打ち込まれた方の肩を擦りながら、ネイムはあっけらかんと笑っていた。
対するアルムは今しがたの攻防を振り返っていた。
あまりの剣速に、もしや全く同時に五回振ったのかと思った。しかもタチが悪い事に斬撃全てにフェイントを織り交ぜられていたのだから尚のことである。
いかに捌いたかと問われば、“集中に集中を重ねて全部の攻撃を視たから”としか答えられない。その返しを受けたネイムはまだまだ知らない世界が存在することの感動にただただ笑っていた。
「私ってちょっとだけ剣には自信あったんだけど、自惚れてたみたいだね! アルム君、気づかせてくれてありがとう! おかげで一から修業し直すことに決めたよ!」
ただでさえ底冷えするほどの脅威を感じたのに、これで修業のやり直しをするとなったらいったいどれほどの化物剣士へと生まれ変わるのだろう。喉元まで出かかっていた言葉を何とか飲み込み、ようやくお預けとなっていた話題を口にする。
「うーん……結論から言えば、魔族……しかも階級付きとなったらどこ探しても見つからないと思うよ」
続けてネイムは知っていると思うけど、という前置きで昔の事について触れる。
一昔前、人族と最上級の階級である“公爵”の魔族が率いる軍勢がぶつかり合った事があるらしい。目的は人間の支配。宣戦を布告して早々に各地で大暴れを始めたというそのやり口は、前世で死闘を繰り広げた魔王ガルガディアと良く似ている。
どこの世界でも魔族と言う存在は似たようなものなのか、とこの先、誰とも分かち合えないであろう小さな発見であった。
「それで、その中でも《魔王》を名乗っていた公爵級の魔族であるヴァイフリングが打倒され、そして封印されちゃったから皆、再起を狙って隠れちゃったの」
「魔王……」
不意に出て来た単語にどきりとした。魔を統べる者を魔王とするなら、どこの世界にいても何ら不思議ではないのだが、それでも血みどろにして、そしてされた相手の名が出てくるのは決して穏やかな気持ちになれなかった。
魔王ヴァイフリングは全ての魔族の同胞を相手に戦って七度勝利して余りある戦力を持つ魔族なんだよ、とネイムは補足した。
「どうしたの? アルム君? もしかして魔王って聞いたことない?」
「……ああ、記憶がいまいちごちゃごちゃとしていてな。それで一体どこの誰が倒したんだ、そんな魔族」
「えっと……『暁の四英雄』って四人組だね。まあ、誰がそう言ったのか分からないんだけどね」
苦笑しながらネイムは指で自宅を指さした。これからの事を喋りたいとのことだったので、アルムはそれに従う。
家に入るなり、彼女はまた大量に武具が入っているクローゼットを開いた。何回見ても、この武器庫のインパクトはそうそう慣れるものではない。
その内の何本かを手に取り、彼女はテーブルに広げた。
「はいこれ!」
「これは――」
小ぶりな剣二本、大剣、それに青い剣の計四本。実は剣には目が無いアルムは順番に手に取った。
どれもが実に好みであった。華美な装飾が一切無い質実剛健な造り。見て楽しむコレクションなんかではない、超実戦用の武器。
アルムはその中でも青い鞘に入った剣に目がいった。
「青い……」
「抜いてみて!」
鞘から抜いてみると刀身まで青かった。元居た世界でも見た事の無い一振りについアルムは食い入るように見つめてしまった。
ただの剣ではないことは手のひらを通して伝わってくる。これはそう、魔剣や聖剣といった類の――。
「ただの剣じゃないな」
「すごいよねそれー! どういう効果なんだろうね!」
「ネイムさんの物じゃないのか?」
「ううん? いつの日だったか忘れちゃったけどなんかクローゼットに入ってたんだよね」
「……呪われた魔剣っていう可能性は」
「だったら面白いよねー!」
何も危機感無く笑うネイムを見て、だんだん彼女の人柄が分かって来たアルムは思わず天井を見上げてしまった。突拍子も無い事を言う彼女は、苦手なタイプである。
それはともかく、青い剣を鞘に入れ、返そうとしたら彼女は手で制した。
「この一式はアルム君にあげるよ!」
「良いのか? 持ち合わせなんて無いぞ」
当たり前と言えば当たり前だが、この世界の通貨が一切ないので金銭を要求されても困ってしまう。
テーブルの上にある四本は間違いなく逸品揃い。適当に武器を集めるつもりだったアルムにとっては喉から手が出るほど欲しいのもまた間違いない。
そこまで来て、彼はふと気づいた。
「というか、何で四本なんだ?」
その質問に、彼女は極めて不思議そうに、逆質問してきた。
「え、だってアルム君って武器四つ使うと思ってたんだけど、違うの?」
ほぼ確信に近い語気の彼女にアルムは参ったとばかりに手を挙げた。
「どうして分かった?」
《剣持ち》。それが、アルム・ルーベンの前世での異名であった。
様々な状況に対して、性質の違う剣を使うことでたった一人で対応出来るようにする、というのがアルムの最初の出発点。試行錯誤こそしたものの、自分の戦闘スタイルを十全に発揮するのに最適な剣こそが、長剣、短剣二本、大剣の計四本なのだ。
そういった特異なスタイルなので初見で看破は不可能、と思っていただけに、言葉にこそ出さなかったものの、本気で驚いていた。
「私と戦う寸前、アルム君両腰と背中見てたから、かな? もう剣握っているのにその三か所見てたからもしかしていつも四本使ってたのかなーって!」
全くその通りだ、とアルムは頷いた。ただテンションが高いだけだと思っていたのだが、認識を改めざるを得なかった。
何故分かった、と彼女の顔を見ていると自分の剣をおもむろに見せた。なんてことの無い剣であるように見えるが、この言いようのない雰囲気は何だろうか。だが、それとは別に、邪魔にならないほどの装飾が、個人的には好みである。
「私も似たような戦闘スタイルだからかなー」
「この剣は?」
「『千差剣フェアンデルグ』って名前のちょっと特殊な剣でね! 何にでもなれるんだよ!」
「何にでも……? 槍とか弓に、か?」
「うん! すごいでしょ!」
えっへん、と大きな胸を逸らすネイムとは裏腹にその答えにますます剣への興味が湧いたアルムであった。
それは魔剣とか聖剣といった類の名剣。しかもそのような『固有能力』が存在するなんて誰が分かろうか。
「とにかく! 私はアルム君の事が気に入ったの! だからその剣達は私のプレゼント! ……じゃ、駄目?」
「会って間もない俺が、ネイムさんに気に入られる理由が全く分からないぞ……」
「私が気に入った理由はたった一つ!」
ずびし、と指さす彼女は高らかに、だけどちょっぴり悔し気に言ってのけた。
「私の剣を完璧に受け止めたばかりか反撃してきたからでしょー! 今度は絶対やっつけるからね!」
どうやらとんでもない相手に目を付けられてしまったようだ。返事はせずに、ただ苦笑で返しておいた。
ひとまず武器はありがたく頂くことにした。経緯はどうあれ、これほどの質の良い武器は店で手に入れることはまず厳しいだろう。
恩は必ず返す、とそうアルムが言うと彼女は“じゃあまた戦ってね!”と笑って返した。命のやり取り無しとは言え、このレベルの相手とそう何度も戦いたくはないと心から思うアルムである。
「さ、武器も渡したし、これからの事を話そっか!」
そう言い、彼女はいそいそとお茶の用意を始め出した。
黙って突っ立っているのも間が持たないので、アルムも手伝うために席を立った。
「まず目的なんだけど、アルム君のご両親を殺した正体不明……まあたぶん魔族だけど、そいつを探し出して仇を討つ。これでいいね?」
「間違いないな」
「さて、ずばり聞くけどアルム君って一文無しだよね?」
「……一切ないな」
「だよねー」
地図を広げた彼女は指を三本立てて見せた。
「アルム君に今必要なのは“お金”と“働き口”、そして“拠点”。大きく分けてこの三つだね」
「魔物はいるんだろ? 最悪その辺で野宿でもする――」
「だーめ! 生活の質は充実した衣食住にこそあるんだよ!」
なまじ本気で心配してくれているのが分かっているので、そこまで強くも言い返せないアルムは押し黙るしかなかった。
それに彼女は一度頷いた後、『シュージリア山』と書かれた所を指さし、そこからつーっと大きな塀に囲まれた城と街へと移った。
「私達がここにいるシュージリア山から南下して、一日半くらい歩くとここ『王都サイファル』に辿り着くんだ。そこで君は『冒険者』という職業になってもらう」
「『冒険者』……依頼を受けて、達成し、報酬をもらうって奴か?」
「あ、そこは分かってたんだね! 話が早くて助かるよ」
アルムが元居た世界でも似たような名称の職業があったので、これだけはピンと来ることが出来た。
自分は冒険者ではなかったものの、旅の最中に困った人と出会っては正当な報酬を貰って何かをするという、何でも屋まがいの事をしていた経験がある。
この冒険者と言うのはそういった行動にしっかりと責任を持たせた職業、という認識で間違いないはず。
「冒険者になるには? 何か試験とか必要なのか?」
「そうだね。王都サイファルに着いたら、まずは冒険者ギルドっていう所に行って、そこで試験官から戦闘能力を確かめられることになるよ」
「戦闘能力……」
「昔はそんな試験なんて無かったんだけど、ちょっと前くらいに剣も槍も見たことも握ったことも無いような素人未満の人がお金の為に沢山冒険者になって、ことごとく死んでいっちゃったんだよね」
「無駄死にさせるのが憚られるから、そう言った見込みがない奴は門前払いするって寸法か」
指を鳴らして答える彼女は、そこから少しばかり悲しげに目を伏せた。
「要は自分のあらゆる選択肢に命を懸けられるかどうかを見られるんだよね。命を懸けられないのに、とりあえずでなっちゃう人が出てこないように」
「そういう事なら、俺はとりあえず大丈夫そうだな」
「うん! アルム君は文句ないと思うよ。どんとこい、だね!」
一度お茶で喉を潤してから、彼女が次の話題へと進む。
「宿はギルドに言えば、手ごろな場所を手配してくれると思うから、そこを拠点に足場を固めていくと良いと思うな!」
続けて、教えてくれたのはこの辺りの魔物のこと。食べられる魔物、毒のある魔物、近づかない方がいいヤバい魔物などなど。非常に実用的な情報であった。
その後も色々な貴重な情報を教えてくれた後の締めくくりに、彼女は懐からネックレスを取り出して、アルムへ差し出した。
小さな宝石に簡素な装飾を施されており、派手な物を好まないアルムだったので、これは素直にありがたく受け取れた。
「このネックレスは私からの追加プレゼント! 身に着けていればもしかしたら役に立つかもね!」
「何か魔法の効果でもあるのか?」
「ううん! ただ、分かる人には分かるからとりあえず着けておいてー」
「……まあ、良いか。ありがたく受け取っておく」
いまいち釈然としないアルムであったが、彼女が“役に立つかも”と言うからには身に着けておかない手はなかった。
それで全てに区切りがついた、とばかりに彼女は立ち上がる。
「これでとりあえず頭に入れておいた方が良い事は全部言ったかな? 渡す物も全部渡したし……うん、大丈夫」
「ネイムさん」
アルムも立ち上がり、そして頭を下げた。
「得体の知れない俺に、ここまで良くしてくれて本当にありがとうございます。この恩は必ず返します」
「おお~やったぁ~! じゃあいつか必ず返して――ね?」
テンションこそ合わない所もあるが、ふわりと微笑みを浮かべる彼女はとても綺麗に思えて。
(ここから始まるんだ。俺の目的を果たすための旅が)
魔王ガルガディア・ニーヴァの滅殺。
死の直前だったアルムがこの世界に転生してきた意味にして目的。し損ねた大敵を求める最強の剣士の小さくて大きな一歩がとうとう踏み出された。
――君は私から見たらただの年下。だから、まずは私に君の、アルム君の力を見せて欲しいな?
彼女にとって至極素朴な疑問と言えば疑問であった。自分がいくら宣おうが、彼女からしてみれば年下の戯言。
故に、アルムは前向きな考えになれた。逆に“ここまで”来たのだ。ならばあとは力を示せさえすればそれで終わり。
木剣の感触を確かめながら、彼は言った。
「わざわざ俺の実力を確かめる必要なんてあるのか?」
「あるよ? 少なくとも私が君を拾った時点でね」
アルムは改めて彼女の立ち振る舞いに着目した。
全く隙が見当たらない。自分が相対してもなお、なのだ。構えなど何もない自然体。だからこそ付け入る隙がない。相当戦い慣れして、相当強い、というのがアルムの見立てである。
「いまいち記憶が怪しい俺に対して、ずいぶんといきなりなことで……」
「えー、そう? でも私は階級持ちの魔族に会おうとする方がいきなりだと思うけどなー」
“今”の自分の身体をどこまで動かせるのかは最優先で確認しておきたかっただけに、この提案はアルムにとってありがたいことではあった。
だが、少しばかりこのタイミングの悪さを呪わざるを得なかった。
アルムの視線が一瞬、両腰と背中へ移る。
(……どう見ても本腰入れてやらなきゃいけない相手だっていうのに、あと三本足りない)
アルム・ルーベンの戦闘スタイルは剣一本だけでは未完成だ。本領を発揮するには両腰と背中に得物が必要不可欠なのである。
しかし、すぐにその考えはどこかへ追いやり、ないものねだり抜きで思考を切り替える。
「……なるほど」
「何か言ったか?」
「ううん! なんにも! じゃあそろそろ始めるよ! 私が良いって言うまでとりあえず戦って欲しいな!」
「ああ、もう気の済むまでやってくれ――!?」
アルムが反応出来たのはまさしく幸運だったと思う。既に木剣と木剣が交わっていた。妙な予感がして、防御行動を選択したら案の定。
初撃を仕掛けて来たネイムは感心したように目を細めた。即座に、突き、下段斬り、もう一度突き。一呼吸の間の連撃に、アルムを以てしても反撃の光明が見えなかった。
「おおっ、受け止めてくれると思ってた! これは嬉しいなー!」
「速いけど、まだ視えるぞ……!」
たった一歩でネイムはアルムの間合いに入って来る。いくら距離を離そうとしても仕切り直しすらさせてもらえない。
比較的振りの甘い下段からの切り上げを弾き飛ばすことで、ようやく彼女から距離を離すことに成功した。すぐに気持ちを落ち着かせ、再び目の前に現れたネイムの剣を迎撃する。
――この世界の剣士、皆このレベルじゃないだろうな!
瞬きするたびにやってくるネイムの剣撃を受け止めつつ、背筋を凍らせるアルム。でも剣には多少の自信があったのだが、こうまで捌くのがやっとだと少しばかり挫かれそうになる。
「五連撃! これはどう捌いてくれる!? アルム君!!」
明確な危険を感じ、再び大きく弾こうとするが、ネイムの方が一手早かった。ネイムの木剣がブレた。その軌跡、五つ。
剣士にとっては必殺の間合い、避けることは諦めていた。この剣速ならば防御しきれるかも怪しい。
故に――。
(下手な防戦は止めだ。――斬り込んでやる)
その決意を読み取ったのか、ネイムは少しだけ微笑み――――刃が瞬いた。
◆ ◆ ◆
「いやーまさか私の十八番が良い感じに捌かれるとは思わなかったよー! しかもお返しもされちゃったし」
反撃に打ち込まれた方の肩を擦りながら、ネイムはあっけらかんと笑っていた。
対するアルムは今しがたの攻防を振り返っていた。
あまりの剣速に、もしや全く同時に五回振ったのかと思った。しかもタチが悪い事に斬撃全てにフェイントを織り交ぜられていたのだから尚のことである。
いかに捌いたかと問われば、“集中に集中を重ねて全部の攻撃を視たから”としか答えられない。その返しを受けたネイムはまだまだ知らない世界が存在することの感動にただただ笑っていた。
「私ってちょっとだけ剣には自信あったんだけど、自惚れてたみたいだね! アルム君、気づかせてくれてありがとう! おかげで一から修業し直すことに決めたよ!」
ただでさえ底冷えするほどの脅威を感じたのに、これで修業のやり直しをするとなったらいったいどれほどの化物剣士へと生まれ変わるのだろう。喉元まで出かかっていた言葉を何とか飲み込み、ようやくお預けとなっていた話題を口にする。
「うーん……結論から言えば、魔族……しかも階級付きとなったらどこ探しても見つからないと思うよ」
続けてネイムは知っていると思うけど、という前置きで昔の事について触れる。
一昔前、人族と最上級の階級である“公爵”の魔族が率いる軍勢がぶつかり合った事があるらしい。目的は人間の支配。宣戦を布告して早々に各地で大暴れを始めたというそのやり口は、前世で死闘を繰り広げた魔王ガルガディアと良く似ている。
どこの世界でも魔族と言う存在は似たようなものなのか、とこの先、誰とも分かち合えないであろう小さな発見であった。
「それで、その中でも《魔王》を名乗っていた公爵級の魔族であるヴァイフリングが打倒され、そして封印されちゃったから皆、再起を狙って隠れちゃったの」
「魔王……」
不意に出て来た単語にどきりとした。魔を統べる者を魔王とするなら、どこの世界にいても何ら不思議ではないのだが、それでも血みどろにして、そしてされた相手の名が出てくるのは決して穏やかな気持ちになれなかった。
魔王ヴァイフリングは全ての魔族の同胞を相手に戦って七度勝利して余りある戦力を持つ魔族なんだよ、とネイムは補足した。
「どうしたの? アルム君? もしかして魔王って聞いたことない?」
「……ああ、記憶がいまいちごちゃごちゃとしていてな。それで一体どこの誰が倒したんだ、そんな魔族」
「えっと……『暁の四英雄』って四人組だね。まあ、誰がそう言ったのか分からないんだけどね」
苦笑しながらネイムは指で自宅を指さした。これからの事を喋りたいとのことだったので、アルムはそれに従う。
家に入るなり、彼女はまた大量に武具が入っているクローゼットを開いた。何回見ても、この武器庫のインパクトはそうそう慣れるものではない。
その内の何本かを手に取り、彼女はテーブルに広げた。
「はいこれ!」
「これは――」
小ぶりな剣二本、大剣、それに青い剣の計四本。実は剣には目が無いアルムは順番に手に取った。
どれもが実に好みであった。華美な装飾が一切無い質実剛健な造り。見て楽しむコレクションなんかではない、超実戦用の武器。
アルムはその中でも青い鞘に入った剣に目がいった。
「青い……」
「抜いてみて!」
鞘から抜いてみると刀身まで青かった。元居た世界でも見た事の無い一振りについアルムは食い入るように見つめてしまった。
ただの剣ではないことは手のひらを通して伝わってくる。これはそう、魔剣や聖剣といった類の――。
「ただの剣じゃないな」
「すごいよねそれー! どういう効果なんだろうね!」
「ネイムさんの物じゃないのか?」
「ううん? いつの日だったか忘れちゃったけどなんかクローゼットに入ってたんだよね」
「……呪われた魔剣っていう可能性は」
「だったら面白いよねー!」
何も危機感無く笑うネイムを見て、だんだん彼女の人柄が分かって来たアルムは思わず天井を見上げてしまった。突拍子も無い事を言う彼女は、苦手なタイプである。
それはともかく、青い剣を鞘に入れ、返そうとしたら彼女は手で制した。
「この一式はアルム君にあげるよ!」
「良いのか? 持ち合わせなんて無いぞ」
当たり前と言えば当たり前だが、この世界の通貨が一切ないので金銭を要求されても困ってしまう。
テーブルの上にある四本は間違いなく逸品揃い。適当に武器を集めるつもりだったアルムにとっては喉から手が出るほど欲しいのもまた間違いない。
そこまで来て、彼はふと気づいた。
「というか、何で四本なんだ?」
その質問に、彼女は極めて不思議そうに、逆質問してきた。
「え、だってアルム君って武器四つ使うと思ってたんだけど、違うの?」
ほぼ確信に近い語気の彼女にアルムは参ったとばかりに手を挙げた。
「どうして分かった?」
《剣持ち》。それが、アルム・ルーベンの前世での異名であった。
様々な状況に対して、性質の違う剣を使うことでたった一人で対応出来るようにする、というのがアルムの最初の出発点。試行錯誤こそしたものの、自分の戦闘スタイルを十全に発揮するのに最適な剣こそが、長剣、短剣二本、大剣の計四本なのだ。
そういった特異なスタイルなので初見で看破は不可能、と思っていただけに、言葉にこそ出さなかったものの、本気で驚いていた。
「私と戦う寸前、アルム君両腰と背中見てたから、かな? もう剣握っているのにその三か所見てたからもしかしていつも四本使ってたのかなーって!」
全くその通りだ、とアルムは頷いた。ただテンションが高いだけだと思っていたのだが、認識を改めざるを得なかった。
何故分かった、と彼女の顔を見ていると自分の剣をおもむろに見せた。なんてことの無い剣であるように見えるが、この言いようのない雰囲気は何だろうか。だが、それとは別に、邪魔にならないほどの装飾が、個人的には好みである。
「私も似たような戦闘スタイルだからかなー」
「この剣は?」
「『千差剣フェアンデルグ』って名前のちょっと特殊な剣でね! 何にでもなれるんだよ!」
「何にでも……? 槍とか弓に、か?」
「うん! すごいでしょ!」
えっへん、と大きな胸を逸らすネイムとは裏腹にその答えにますます剣への興味が湧いたアルムであった。
それは魔剣とか聖剣といった類の名剣。しかもそのような『固有能力』が存在するなんて誰が分かろうか。
「とにかく! 私はアルム君の事が気に入ったの! だからその剣達は私のプレゼント! ……じゃ、駄目?」
「会って間もない俺が、ネイムさんに気に入られる理由が全く分からないぞ……」
「私が気に入った理由はたった一つ!」
ずびし、と指さす彼女は高らかに、だけどちょっぴり悔し気に言ってのけた。
「私の剣を完璧に受け止めたばかりか反撃してきたからでしょー! 今度は絶対やっつけるからね!」
どうやらとんでもない相手に目を付けられてしまったようだ。返事はせずに、ただ苦笑で返しておいた。
ひとまず武器はありがたく頂くことにした。経緯はどうあれ、これほどの質の良い武器は店で手に入れることはまず厳しいだろう。
恩は必ず返す、とそうアルムが言うと彼女は“じゃあまた戦ってね!”と笑って返した。命のやり取り無しとは言え、このレベルの相手とそう何度も戦いたくはないと心から思うアルムである。
「さ、武器も渡したし、これからの事を話そっか!」
そう言い、彼女はいそいそとお茶の用意を始め出した。
黙って突っ立っているのも間が持たないので、アルムも手伝うために席を立った。
「まず目的なんだけど、アルム君のご両親を殺した正体不明……まあたぶん魔族だけど、そいつを探し出して仇を討つ。これでいいね?」
「間違いないな」
「さて、ずばり聞くけどアルム君って一文無しだよね?」
「……一切ないな」
「だよねー」
地図を広げた彼女は指を三本立てて見せた。
「アルム君に今必要なのは“お金”と“働き口”、そして“拠点”。大きく分けてこの三つだね」
「魔物はいるんだろ? 最悪その辺で野宿でもする――」
「だーめ! 生活の質は充実した衣食住にこそあるんだよ!」
なまじ本気で心配してくれているのが分かっているので、そこまで強くも言い返せないアルムは押し黙るしかなかった。
それに彼女は一度頷いた後、『シュージリア山』と書かれた所を指さし、そこからつーっと大きな塀に囲まれた城と街へと移った。
「私達がここにいるシュージリア山から南下して、一日半くらい歩くとここ『王都サイファル』に辿り着くんだ。そこで君は『冒険者』という職業になってもらう」
「『冒険者』……依頼を受けて、達成し、報酬をもらうって奴か?」
「あ、そこは分かってたんだね! 話が早くて助かるよ」
アルムが元居た世界でも似たような名称の職業があったので、これだけはピンと来ることが出来た。
自分は冒険者ではなかったものの、旅の最中に困った人と出会っては正当な報酬を貰って何かをするという、何でも屋まがいの事をしていた経験がある。
この冒険者と言うのはそういった行動にしっかりと責任を持たせた職業、という認識で間違いないはず。
「冒険者になるには? 何か試験とか必要なのか?」
「そうだね。王都サイファルに着いたら、まずは冒険者ギルドっていう所に行って、そこで試験官から戦闘能力を確かめられることになるよ」
「戦闘能力……」
「昔はそんな試験なんて無かったんだけど、ちょっと前くらいに剣も槍も見たことも握ったことも無いような素人未満の人がお金の為に沢山冒険者になって、ことごとく死んでいっちゃったんだよね」
「無駄死にさせるのが憚られるから、そう言った見込みがない奴は門前払いするって寸法か」
指を鳴らして答える彼女は、そこから少しばかり悲しげに目を伏せた。
「要は自分のあらゆる選択肢に命を懸けられるかどうかを見られるんだよね。命を懸けられないのに、とりあえずでなっちゃう人が出てこないように」
「そういう事なら、俺はとりあえず大丈夫そうだな」
「うん! アルム君は文句ないと思うよ。どんとこい、だね!」
一度お茶で喉を潤してから、彼女が次の話題へと進む。
「宿はギルドに言えば、手ごろな場所を手配してくれると思うから、そこを拠点に足場を固めていくと良いと思うな!」
続けて、教えてくれたのはこの辺りの魔物のこと。食べられる魔物、毒のある魔物、近づかない方がいいヤバい魔物などなど。非常に実用的な情報であった。
その後も色々な貴重な情報を教えてくれた後の締めくくりに、彼女は懐からネックレスを取り出して、アルムへ差し出した。
小さな宝石に簡素な装飾を施されており、派手な物を好まないアルムだったので、これは素直にありがたく受け取れた。
「このネックレスは私からの追加プレゼント! 身に着けていればもしかしたら役に立つかもね!」
「何か魔法の効果でもあるのか?」
「ううん! ただ、分かる人には分かるからとりあえず着けておいてー」
「……まあ、良いか。ありがたく受け取っておく」
いまいち釈然としないアルムであったが、彼女が“役に立つかも”と言うからには身に着けておかない手はなかった。
それで全てに区切りがついた、とばかりに彼女は立ち上がる。
「これでとりあえず頭に入れておいた方が良い事は全部言ったかな? 渡す物も全部渡したし……うん、大丈夫」
「ネイムさん」
アルムも立ち上がり、そして頭を下げた。
「得体の知れない俺に、ここまで良くしてくれて本当にありがとうございます。この恩は必ず返します」
「おお~やったぁ~! じゃあいつか必ず返して――ね?」
テンションこそ合わない所もあるが、ふわりと微笑みを浮かべる彼女はとても綺麗に思えて。
(ここから始まるんだ。俺の目的を果たすための旅が)
魔王ガルガディア・ニーヴァの滅殺。
死の直前だったアルムがこの世界に転生してきた意味にして目的。し損ねた大敵を求める最強の剣士の小さくて大きな一歩がとうとう踏み出された。
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これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
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