33 / 45
第32話 魔王、悶々とする その1
しおりを挟む
イーリス・シルバートンの自宅は王都サイファルの端っこの方にあった。木と石で作られたシンプルな外見の一軒家。父親が血を吐くほど地道に稼ぎ、その末にようやく勝ち取った結晶である。
月が綺麗な澄み切った夜。彼女の家の屋根をぷかぷかと浮かぶ存在がいた。上半身はあるが、下半身が無い。
そんな存在はたった一つ。何を隠そう魔王ヴァイフリングである。
『フハハハ。一人の夜は相変わらず良い』
イーリスひいては家族の者を起こさぬ程度の声量で一しきり笑った後、月見を楽しみ始めた。
時折ヴァイフリングはこうして月を眺めていた。もちろん現在、彼の本体とも言える部分は、イーリスの中にある。
浮いているのはそこから飛ばした意識を魔力で肉付けした仮初めの肉体なのだ。
『あまねく夜闇を切り裂く月光。そしてそれを眺める我輩は、七つの極魔を以て世界を切り裂く魔王ヴァイフリング。フフ、フハハハ。なんとも絶妙の組み合わせではないだろうか』
魔王ヴァイフリングにとって月とは、非常に特別な意味を持っていた。物心ついた時に見上げていた光景も、同類を屠り去り魔王の名乗りを上げたのも、そして――頭のおかしな四人組に敗北を喫したのも、月が綺麗な夜だったのだ。
『いつかは我輩が再び返り咲き世界に対して宣戦を布告する際は、またこのような月の綺麗な夜にでも……』
そこで、魔王は言葉を切る。
『…………なぁにをやってんだろうなぁ我輩』
何を、とはあの遺跡の一件である。正確には、遺跡の一件その全てに対してである。
『何故我輩は、あのシャロウとかいうド三流魔族が仕掛けた魔喰石を封印したのだ……?』
初めからおかしかった。
そもそも遺跡を前にした時点で魔族の気配を濃密に感じ取っていた。それを伝えなかったのは、まあ良い。人間にアドバイスするなんてそのようなヌルい慈善事業は趣味なんかではないからだ。
肝心なのは、その後。
あそこに設置されていた魔喰石に与えられた役目を、魔王は正確に理解していた。
『アレに貯められた魔力とはいわば鍵だ。そして『魔王の爪』、奴らの目的を考えれば、答えは明白。――我輩の半身ともいえる力を封印した場所を探し当て、その封印へあの魔力をぶつける。それが奴らの考えた我輩の復活方法』
だが、可能性は五分五分。
何せ封印魔法を掛けたのは、『暁の四英雄』の一人であるエリエ・ルスボーン。魔王ヴァイフリングをして、脅威と認定して差し支えないその卓越した腕から施された封印魔法の総数――七十七。
その封印の一つ一つが、その道の天才達が年単位の時間をかけてようやく達することのできる完成度であり、素人は論外として上級魔族が数人がかりでも突破はまず不可能と断言できる。
『……チッ。奴らめ、封印するときにその質だけじゃなくて、封印場所までポロっと漏らせば良かったのにな』
やたら自慢げに語られ、その質を知っているだけにヴァイフリングは色々な言葉の代わりに、溜息しか漏れてこなかった。
この溜息にはもう一つ、大きな意味も含まれている。
『何故、我輩は――イーリスを助けた?』
これが最大の何故である。
精神逆転魔法『サイコ・シフト』。様々な事態を常に想定している魔王ヴァイフリングが編み出した秘術の一つである。術者と被術者の精神を文字通り逆転させ、尚且つ持ちうる技量までも再現する非常にシンプルな効果である。
しかし、この魔法はそう容易く使えるものではない。使用には魔力を多分に使い、尚且つ魂の所有権をどんどん術者にとって優位にしていくという、人間にとっては禁術中の禁術。
『そもそも、何故我輩は『サイコ・シフト』を今まで使っていなかったのだ? 使用するタイミングはいくらでもあったはずだ。なのに何故……?』
シャロウがイーリスを倒そうとしたあの瞬間だ。あの瞬間、魔王ヴァイフリングの名乗りをあげる。それだけで良かったのだ。そうすれば後は全てシャロウが取り計らってくれる。
それが、最もスマートなやり方だったはずなのだ。
『……分からん。あのイーリスという人間が。あいつのアホ面を見ていたらつい勢いで魔喰石も封印してしまったことについても分からん』
狂っている――口には出さなかったが、今のこの精神状態に対する回答としては十二分過ぎた。
『何なのだ。我輩は一体どうなってしまっているんだ。あの時を思い出せ。あの時の、力と勝利に固執していた我輩を』
魔王とは積み上げて来た同類の屍で形作られた王冠である。逆らう者は全て己が持つ極魔で屠って来た。それは同類だけではなく、健気にも向かってくる人間達もだ。一度戦いの舞台に立ったのならば、そこに貴賤はない。
ただ、強き者か弱き者か。それだけが魔王ヴァイフリングが持ちうるシンプルな価値観。
そのはず、だったのだ。
『あやつらは間違いなく弱き者だ。……あの四本剣の小童を除けば。だったら我輩はどうして蹂躙しない? この身体でもやりようによっては支配するのも容易いはずなのに、だ』
月見の肴とするには些か最低の疑問を浮かべ、悶々とする魔王は強烈な気配を感じ取った。
どこかで覚えのある、忌々しい気配であった。
「まさか、こんな所でお会い出来るとは思ってもいなかったよ。なあ――ヴァイフリング」
傑物を確信させる自信に満ち溢れた声。この声を、確かにヴァイフリングは知っていた。
『はっ! 貴様も月見か? アルテシア・カノンハートよ』
月光が、不敵に笑むアルテシアを照らし出す。その様はさながら一つの絵画のように。
月が綺麗な澄み切った夜。彼女の家の屋根をぷかぷかと浮かぶ存在がいた。上半身はあるが、下半身が無い。
そんな存在はたった一つ。何を隠そう魔王ヴァイフリングである。
『フハハハ。一人の夜は相変わらず良い』
イーリスひいては家族の者を起こさぬ程度の声量で一しきり笑った後、月見を楽しみ始めた。
時折ヴァイフリングはこうして月を眺めていた。もちろん現在、彼の本体とも言える部分は、イーリスの中にある。
浮いているのはそこから飛ばした意識を魔力で肉付けした仮初めの肉体なのだ。
『あまねく夜闇を切り裂く月光。そしてそれを眺める我輩は、七つの極魔を以て世界を切り裂く魔王ヴァイフリング。フフ、フハハハ。なんとも絶妙の組み合わせではないだろうか』
魔王ヴァイフリングにとって月とは、非常に特別な意味を持っていた。物心ついた時に見上げていた光景も、同類を屠り去り魔王の名乗りを上げたのも、そして――頭のおかしな四人組に敗北を喫したのも、月が綺麗な夜だったのだ。
『いつかは我輩が再び返り咲き世界に対して宣戦を布告する際は、またこのような月の綺麗な夜にでも……』
そこで、魔王は言葉を切る。
『…………なぁにをやってんだろうなぁ我輩』
何を、とはあの遺跡の一件である。正確には、遺跡の一件その全てに対してである。
『何故我輩は、あのシャロウとかいうド三流魔族が仕掛けた魔喰石を封印したのだ……?』
初めからおかしかった。
そもそも遺跡を前にした時点で魔族の気配を濃密に感じ取っていた。それを伝えなかったのは、まあ良い。人間にアドバイスするなんてそのようなヌルい慈善事業は趣味なんかではないからだ。
肝心なのは、その後。
あそこに設置されていた魔喰石に与えられた役目を、魔王は正確に理解していた。
『アレに貯められた魔力とはいわば鍵だ。そして『魔王の爪』、奴らの目的を考えれば、答えは明白。――我輩の半身ともいえる力を封印した場所を探し当て、その封印へあの魔力をぶつける。それが奴らの考えた我輩の復活方法』
だが、可能性は五分五分。
何せ封印魔法を掛けたのは、『暁の四英雄』の一人であるエリエ・ルスボーン。魔王ヴァイフリングをして、脅威と認定して差し支えないその卓越した腕から施された封印魔法の総数――七十七。
その封印の一つ一つが、その道の天才達が年単位の時間をかけてようやく達することのできる完成度であり、素人は論外として上級魔族が数人がかりでも突破はまず不可能と断言できる。
『……チッ。奴らめ、封印するときにその質だけじゃなくて、封印場所までポロっと漏らせば良かったのにな』
やたら自慢げに語られ、その質を知っているだけにヴァイフリングは色々な言葉の代わりに、溜息しか漏れてこなかった。
この溜息にはもう一つ、大きな意味も含まれている。
『何故、我輩は――イーリスを助けた?』
これが最大の何故である。
精神逆転魔法『サイコ・シフト』。様々な事態を常に想定している魔王ヴァイフリングが編み出した秘術の一つである。術者と被術者の精神を文字通り逆転させ、尚且つ持ちうる技量までも再現する非常にシンプルな効果である。
しかし、この魔法はそう容易く使えるものではない。使用には魔力を多分に使い、尚且つ魂の所有権をどんどん術者にとって優位にしていくという、人間にとっては禁術中の禁術。
『そもそも、何故我輩は『サイコ・シフト』を今まで使っていなかったのだ? 使用するタイミングはいくらでもあったはずだ。なのに何故……?』
シャロウがイーリスを倒そうとしたあの瞬間だ。あの瞬間、魔王ヴァイフリングの名乗りをあげる。それだけで良かったのだ。そうすれば後は全てシャロウが取り計らってくれる。
それが、最もスマートなやり方だったはずなのだ。
『……分からん。あのイーリスという人間が。あいつのアホ面を見ていたらつい勢いで魔喰石も封印してしまったことについても分からん』
狂っている――口には出さなかったが、今のこの精神状態に対する回答としては十二分過ぎた。
『何なのだ。我輩は一体どうなってしまっているんだ。あの時を思い出せ。あの時の、力と勝利に固執していた我輩を』
魔王とは積み上げて来た同類の屍で形作られた王冠である。逆らう者は全て己が持つ極魔で屠って来た。それは同類だけではなく、健気にも向かってくる人間達もだ。一度戦いの舞台に立ったのならば、そこに貴賤はない。
ただ、強き者か弱き者か。それだけが魔王ヴァイフリングが持ちうるシンプルな価値観。
そのはず、だったのだ。
『あやつらは間違いなく弱き者だ。……あの四本剣の小童を除けば。だったら我輩はどうして蹂躙しない? この身体でもやりようによっては支配するのも容易いはずなのに、だ』
月見の肴とするには些か最低の疑問を浮かべ、悶々とする魔王は強烈な気配を感じ取った。
どこかで覚えのある、忌々しい気配であった。
「まさか、こんな所でお会い出来るとは思ってもいなかったよ。なあ――ヴァイフリング」
傑物を確信させる自信に満ち溢れた声。この声を、確かにヴァイフリングは知っていた。
『はっ! 貴様も月見か? アルテシア・カノンハートよ』
月光が、不敵に笑むアルテシアを照らし出す。その様はさながら一つの絵画のように。
0
あなたにおすすめの小説
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います
リヒト
ファンタジー
不幸な事故の結果、死んでしまった少年、秋谷和人が転生したのは闇落ちし、ゲームの中ボスとして主人公の前に立ちふさがる貴族の子であるアレス・フォーエンス!?
「いや、本来あるべき未来のために死ぬとかごめんだから」
ゲームの中ボスであり、最終的には主人公によって殺されてしまうキャラに生まれ変わった彼であるが、ゲームのストーリーにおける闇落ちの運命を受け入れず、たとえ本来あるべき未来を捻じ曲げてても自身の未来を変えることを決意する。
何の対策もしなければ闇落ちし、主人公に殺されるという未来が待ち受けているようなキャラではあるが、それさえなければ生まれながらの勝ち組たる権力者にして金持ちたる貴族の子である。
生まれながらにして自分の人生が苦労なく楽しく暮らせることが確定している転生先である。なんとしてでも自身の闇落ちをフラグを折るしかないだろう。
果たしてアレスは自身の闇落ちフラグを折り、自身の未来を変えることが出来るのか!?
「欲張らず、謙虚に……だが、平穏で楽しい最高の暮らしを!」
そして、アレスは自身の望む平穏ライフを手にすることが出来るのか!?
自身の未来を変えようと奮起する少年の異世界転生譚が今始まる!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる