34 / 58
リクエスト小説
シンデレラと王子~IF物語~(後日談:ガラスの靴)
しおりを挟む「きれー」
「きれいだねー」
「当然だろう、香帆・・・ゲフン、お前達の母様のものだぞ」
王子と王女が部屋の中央に飾ってあるガラスの靴をうっとりと眺めていることに気づいた八尋は、それが目のまえにいる子ども達の母のモノだと説明すると、王女が目を輝かせている。
王子も乗り気な声ではないものの、妹の王女のフォローのためにと、質問してきた。
「おしえてー」
「・・・母様とのお付き合いはいつからなの?」
急かしてくる王女に目を細めながら、八尋は誕生日パーティーが初めての出会いだと話し、まだ幼い2人には解りもしないのに、これでもかと香帆との出会いの素晴らしさを力説していた。
「・・・ということだ。そして、このガラスの靴は、母様にデートの約束の証としてもらったものなのだ。いわば、初めてのプレゼントというやつだな。それ以来大事にずっと飾っている」
「すてき!!」
「なんで、両方あるの?約束なら、普通は片方残すよね・・・ここに両方あるっていうkとは、母様は裸足で帰ったの?」
王子の鋭いツッコミに、八尋は一瞬固まるが、それも愛ゆえだよと誤魔化して微笑んだ。突っ込んだ王子は疑いの目で、八尋の方を見ているが、まだ幼い王女の方はうっとりと飽きることなく、ガラスの靴を眺めていた。とそこへ、ドアが開く音が聞こえる。全員が振り向いた時には香帆がお茶と共に、部屋の中へ入ってきていた。
「失礼します、陛下・・・あら、王子も王女もここにいらしたのですね。丁度よい時間ですし、みなさんでケーキを食べましょうね」
「お母様っ!」
「母様」
「香帆たんー!!!」
香帆は幼い王女と王子には微笑んだが、当の王様である八尋に対しては右腕でマテをするように待機させた。
「・・・あなた、子どもの前では何というのでしたか」
「・・・・・・うう、妃・・・です。でも、でもっ、名前を呼びたいよう」
「陛下、夜まで我慢なさいませ」
抱き着いてくる王女を微笑ましくあやしながら、ケーキの用意をしていた香帆はふと、ガラスの靴に目を向けた。
「あら・・・まだ処分されていなかったのですか?」
「妃、そ、それについては、その、後で説明するから・・・今はその、よしなさい」
「父様にプレゼントしたのではないの?」
「え、ああ。そういうことですか。・・・そうですね、そういうことにしておきましょう」
「やっぱりプレゼントされたのですね!わぁ、デートにガラスの靴・・・すてきだわ!!」
歯切れが悪い八尋を訝しく思っていると、王女のテンションが高いことで、八尋が過去を脚色して美化した内容を伝えたのだと悟った。八尋に微笑みながら、香帆はケーキを差し出した。
「さ、今日は陛下の大好物のチョコケーキですわ、どうぞお召し上がりくださいな」
「香帆・・・いや、妃よ・・・・その、あれだ、あれだよ・・・子ども達の前では・・な、解るだろう?」
「私への愛がまだおありなら、くだくだ言わずにととっと食べて下さいませ」
にこにこと微笑みながら「あーんしてくださいな」と、口を開かせようとしてくる香帆に逆らえるはずもなく。愛する香帆のために我慢とばかりに、八尋は心の中で泣き叫びながら、チョコケーキを頬張った。しかも、心優しい妃は、せっかくですからお代わりもと、差し出してきた。
香帆が内心で怒り狂っていることに気づいた八尋だが、拒否すればさらなる地獄が待っていることはわかりきっていた。心を無にし、何度も差し出されるスプーンを飲み込んだ。
「美味しいですわね?」
「ううっ・・・おい、しいです・・・」
そんなヘタレな王様としっかり者の王妃を見た王子と王女は顔を見合わせた。ただし、王女はうっとりとした笑顔で、王子は引きつった顔をみせていたが。
「わたしも母様のように、素敵な人にガラスの靴をプレゼントしたいなぁ」
「・・・なんとなく真相が解ったような気がするが・・・母様には聞かない方がいいな」
おわれ←
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
勝手にしろと言われたので、勝手にさせていただきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
子爵家の私は自分よりも身分の高い婚約者に、いつもいいように顎でこき使われていた。ある日、突然婚約者に呼び出されて一方的に婚約破棄を告げられてしまう。二人の婚約は家同士が決めたこと。当然受け入れられるはずもないので拒絶すると「婚約破棄は絶対する。後のことなどしるものか。お前の方で勝手にしろ」と言い切られてしまう。
いいでしょう……そこまで言うのなら、勝手にさせていただきます。
ただし、後のことはどうなっても知りませんよ?
* 他サイトでも投稿
* ショートショートです。あっさり終わります
怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~
美袋和仁
恋愛
ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。
しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。
怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。
なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。
今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる