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33)必要な存在
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べッドになだれ込んだとたん、額、頬、項、口といろんなところにキスされる。
熱い感触を受けながら、アリアは思い出していた。
性急に事を進められたのはあの時以来かもしれないと。
(そうだ・・・ザンが媚薬を盛られたあの時と同じなんだわ・・・これ。)
キスされている間、ザンは自分の服を次々と脱いでいる。布が擦れる音、床に放り投げられる音、いろんな音がやけにはっきりと耳に残るのは自分の体が火照っているせいだろうか。
気付けば、ザンが項に吸い付いてきていた。
「・・・んっ・・・」
「随分、余裕だな・・・俺以外にも経験があるのか?」
面白くなさそうな顔で私の服を脱がせながら、肌に触ったり吸い付いたりしている。あれ、もしかして、これ・・・拗ねてる?でも、やめようとしないんだね?
って、私ってば、いつの間にかザンの胡坐にすっぽり収まってるし。太ももを撫でまわしたり、胸を揉んだりと好き放題やってるけれど、その手つきが荒いのは拗ねてるせいもあるのかな?
(というか、これはわたしの名誉のためにも否定しておかないと。)
「・・・ううん、ザンが初めてです。」
なぜかうっかり敬語になってしまったけれど。
私の言葉を聞いて一瞬固まっていたザンだったが、すぐに脳内で整理ができたのだろう、珍しく子どもっぽい笑顔を見せてきた。思わず、手を伸ばして頬を撫でてしまったぐらい。その後、ザンの柔らかい前髪を触りながら、疑問に思ったことを聞いた。
「・・・そういえば、今のザンって何歳なの?」
「俺か?俺は・・・18歳だ。」
「・・・・もう18歳で初体験は済ませていたんだね。」
「ぶはっ!?」
「だって、手慣れているもの。」
物凄く納得してしまった。純粋に確認しただけだったのだが、ザンはそうは思わなかったらしい。荒々しく胸を揉んでいたのに、力が抜けたように優しくなっていた。言葉に迷っていたザンだったが、私の顔を見て何を思ったのか、名前を言うだけに留めたようだ。
「アリア・・・お前な。」
「あ、そうか、今のザンだと聖女って呼ばないんだね。」
どういうことだと聞いてくるザンに初対面の時のことを話すと、「ああ・・・」と納得した表情になった。ん、それはそうなりますわな。自分も懐かしいなぁと思いながらも、彼の為すがまま、服を脱がされ、下着を脱がされ、いつの間にか裸になっていた。
ここまで来たらもう終わりまで行くしかないですね、ハイ。まぁ、正直・・・ザンとの触れ合いが久しぶりすぎて・・・ドキドキしてるんですけれどね。
(でも、言わない。言ってたまるか。ここでデレたら負けな気がする。)
ザンの淫らな愛撫に身を任せていたら、布団に押し倒された。あれ?と思っていると、ザンが覆いかぶさってきた。私の膝を割って、硬くなったソレを割れ目に押し付ける動きに、どうしてていいかわからず顔を背ける。いくら肌を重ねていても、こういうあからさまなアピールにはいまだ慣れなくて直視できない。しかも、ザンがくつくつと笑いながら顎を掴んでくるもんだから自然に視線が絡まってしまう。
「真っ赤になってるぜ、やらしいな。」
「・・・そう、思うなら押し付けないでよ。」
「惜しいな。」
「え?」
「髪が長かったら、もっとエロかっただろうに。」
肩まで伸びた髪に触れながらそういうザンにアリアは一瞬、触れてはならない過去を思い出した。
(あ、髪フェチは顕在してるのね・・・これはとても言えない。前はもっと長かったなんて。)
顔を引きつらせていると、下半身に衝撃が走った。ザンが指を入れてきたからだ。身体をしならせて、布団をぎゅっと握っていると、ザンがその手を絡めてきた。見上げてどういう意味だと視線で問うと小さい声でぼそっと言われた。
「・・・握るなら、俺の体のどっかに触れてろって話だ。」
あれ、なんだか、ザンが素直過ぎない?あれ、もしかして精神年齢が18歳だから?
・・・・はてしなく、可愛く見えてくる不思議。
ふとひらめいた。
(そうだよ、今のザンならフェラチオの知識も入っていないはず・・・!!)
過去にやった時、新鮮な気分になったのは最初だけだった。ザンが悔しいから禁止だとかなんだとか言うせいで、なかなかこちらが優位に立てない。
これは・・・チャンスかも知れない・・・
なんていうことを考えていたからばちが当たったんだろうか。
ザンがにっこりと微笑んだ時、悪魔の降臨を垣間見た気がした。
「・・・随分余裕があるな、本当に。これは俺の全力を持って相手するしかないか。」
そういいながらかき回してた指を外し、今度は肉棒を深く花芯へと埋め込んできた。思わず漏れる吐息を堪えるのに必死になっているのに、ザンはお構いなしに私の足を持ち上げて動いてきた。
「あっ・・・・ん、んんんっ!!」
「はっ、すごいな・・・」
「はぁっ・・・・な、なにが・・・・あっああああっん!!」
「ムカつくから言ってやらない・・・ああ、イイな、やらしい顔。」
嬉しそうに目を細めてくる彼はどう見ても欲情しているのがわかる・・・いつものザンならこういうとき、ここぞとばかりに言葉責めしてくるけれど、彼は違うみたいだ。こういうちょっとした違いを発見すると嬉しくなるのと同時に、少し寂しくなる。
いつものように激しくやりあって欲しいと思う時がある。
だけれど、今の彼もまたザンなわけで。
(否定できない・・・でも、肯定もしたくない・・・なんだろう、このもどかしい気持ち。)
絡み合う中、アリアはそっとザンの背中にしがみついた。せめて、これ以上、変わらないでほしいという願いを込めて。ザンは私を見て思うことがあったみたいだけれど、絡み合うことを優先するようだ。それはある意味私にとってもありがたいことだけれど・・・腑に落ちない。ふ
「・・・まぁいい。」
「あっ・・・う、うう・・・んっ!ま、まっ・・・」
ようやく落ち着いたと思ったらまたリズムよく動きはじめた。足を広げられ、あられもない姿になっている私からすれば早く解放してという気分になる。
それでも、自分の気持ちを優先したい。
大切にしたい。
こんな時だからこそ、呼びたくなる。でも、今のザンの名を呼ぶことはできない。
『ザンファルティアール』
やっぱり、ザンは私にとって必要な存在だよ。
応援ありがとうございます!
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