31 / 239
第一章 高校一年生(一学期)
あいすくりーむ(美久里)
しおりを挟む
6月に入ってじめじめとした気候の中、美久里と美奈の姉妹はアイスを食べに街に出てきていた。
「ねぇ……なんでアイス屋に……?」
「だって蒸し暑いしさ、おやつにもぴったりじゃん?」
「だったら、コンビニとかで買って家で食べるのがよくない?」
そう、美久里は好きでここに来たわけではない。
美奈の意見に耳を傾けた結果なのだ。
何故OKしてしまったのかと、美久里は今更ながらに後悔していた。
「えー? こんないい天気の日に外で食べないなんてどうかしてるよ!」
「……もう既に私は疲れと人口密度でどうにかなりそうなんだけど……」
なぜか意気込んでふんっと鼻を鳴らした美奈を力なく見て、美久里はため息をつく。
太陽の光と湿気が皮膚を刺激してくる。
その刺激に涙を流す皮膚をタオルで拭い、街の喧騒から逃げるようにして美久里は日陰に隠れる。
「何してんの、おねえ」
「もう無理だよ……休憩しないとやってられない……」
美久里と同じ紫水晶色の瞳が、美久里の顔をのぞき込む。
美久里はその視線に耐えられず顔を逸らした。
「あ、でももうすぐだよ! ほら!」
そう言って美奈が指さした先には、『クリームパラダイス』と書かれたアイス屋さんがあった。
それは本当に近くて、歩いて一分もかからないほどの場所にあった。
しかし――
「も、もう歩けそうにないから……一人で行ってきて……」
汗はびっしょりと全身を覆い、脳は長時間外に置かれた氷のように溶けている。
こんなんじゃ、歩くどころか立てやしない。
「大丈夫! おねえならできる! ファイト!」
「……はい?」
美久里がそうやって諦めていると、なぜか美奈に応援された。
その目はやけに眩しくて、美久里はしぶしぶ立ち上がる。
そして、フラフラしながらも、アイス屋の目の前にたどり着いた。
「着いたね! おねえやるじゃん!」
「はぁ……やっと着いた……」
美久里は安寧の地に着いたと安堵した。
不思議と足に力が入っており、倒れ込むことはなかった。
「ねぇ、何頼む?」
「私は……なんでもいいや……」
「じゃあ、定番のバニラにしよっか!」
☆ ☆ ☆
その後に起きたことは想像がつくだろう。
美久里はバニラアイスの美味しさと冷たさに体力を回復し、美奈はとても楽しそうに……嬉しそうに顔をほころばせていた。
「また、来ようね!」
「次は……梅雨じゃない時にアイス屋に来たいな……」
美久里はそう言いつつ、笑顔でアイスを頬張った。
「ねぇ……なんでアイス屋に……?」
「だって蒸し暑いしさ、おやつにもぴったりじゃん?」
「だったら、コンビニとかで買って家で食べるのがよくない?」
そう、美久里は好きでここに来たわけではない。
美奈の意見に耳を傾けた結果なのだ。
何故OKしてしまったのかと、美久里は今更ながらに後悔していた。
「えー? こんないい天気の日に外で食べないなんてどうかしてるよ!」
「……もう既に私は疲れと人口密度でどうにかなりそうなんだけど……」
なぜか意気込んでふんっと鼻を鳴らした美奈を力なく見て、美久里はため息をつく。
太陽の光と湿気が皮膚を刺激してくる。
その刺激に涙を流す皮膚をタオルで拭い、街の喧騒から逃げるようにして美久里は日陰に隠れる。
「何してんの、おねえ」
「もう無理だよ……休憩しないとやってられない……」
美久里と同じ紫水晶色の瞳が、美久里の顔をのぞき込む。
美久里はその視線に耐えられず顔を逸らした。
「あ、でももうすぐだよ! ほら!」
そう言って美奈が指さした先には、『クリームパラダイス』と書かれたアイス屋さんがあった。
それは本当に近くて、歩いて一分もかからないほどの場所にあった。
しかし――
「も、もう歩けそうにないから……一人で行ってきて……」
汗はびっしょりと全身を覆い、脳は長時間外に置かれた氷のように溶けている。
こんなんじゃ、歩くどころか立てやしない。
「大丈夫! おねえならできる! ファイト!」
「……はい?」
美久里がそうやって諦めていると、なぜか美奈に応援された。
その目はやけに眩しくて、美久里はしぶしぶ立ち上がる。
そして、フラフラしながらも、アイス屋の目の前にたどり着いた。
「着いたね! おねえやるじゃん!」
「はぁ……やっと着いた……」
美久里は安寧の地に着いたと安堵した。
不思議と足に力が入っており、倒れ込むことはなかった。
「ねぇ、何頼む?」
「私は……なんでもいいや……」
「じゃあ、定番のバニラにしよっか!」
☆ ☆ ☆
その後に起きたことは想像がつくだろう。
美久里はバニラアイスの美味しさと冷たさに体力を回復し、美奈はとても楽しそうに……嬉しそうに顔をほころばせていた。
「また、来ようね!」
「次は……梅雨じゃない時にアイス屋に来たいな……」
美久里はそう言いつつ、笑顔でアイスを頬張った。
0
あなたにおすすめの小説
幼き改革者、皇孫降臨 〜三歳にして朝廷を震わせる〜
由香
キャラ文芸
瑞栄王朝の皇孫・凌曜は、わずか三歳。
泣かず、騒がず、ただ静かに周囲を見つめる幼子だった。
しかしその「無邪気な疑問」は、後宮の不正を暴き、腐敗した朝廷を揺るがしていく。
皇帝である祖父の絶対的な溺愛と後ろ盾のもと、血を流すことなく失脚者を生み、国の歪みを正していく凌曜。
やがて反改革派の最後の抵抗を越え、彼は“決める者”ではなく、“問い続ける存在”として朝廷に立つ。
これは、剣も権謀も持たぬ幼き改革者が、「なぜ?」という一言で国を変えていく物語。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
最強転生悪役令嬢は人生を謳歌したい!~今更SSクラスに戻れと言われても『もう遅い!』Cクラスで最強を目指します!~【改稿版】
てんてんどんどん
ファンタジー
ベビーベッドの上からこんにちは。
私はセレスティア・ラル・シャンデール(0歳)。聖王国のお姫様。
私はなぜかRPGの裏ボス令嬢に転生したようです。
何故それを思い出したかというと、ごくごくとミルクを飲んでいるときに、兄(4歳)のアレスが、「僕も飲みたいー!」と哺乳瓶を取り上げてしまい、「何してくれるんじゃワレ!??」と怒った途端――私は闇の女神の力が覚醒しました。
闇の女神の力も、転生した記憶も。
本来なら、愛する家族が目の前で魔族に惨殺され、愛した国民たちが目の前で魔族に食われていく様に泣き崩れ見ながら、魔王に復讐を誓ったその途端目覚める力を、私はミルクを取られた途端に目覚めさせてしまったのです。
とりあえず、0歳は何も出来なくて暇なのでちょっと魔王を倒して来ようと思います。デコピンで。
--これは最強裏ボスに転生した脳筋主人公が最弱クラスで最強を目指す勘違いTueee物語--
※最強裏ボス転生令嬢は友情を謳歌したい!の改稿版です(5万文字から10万文字にふえています)
※27話あたりからが新規です
※作中で主人公最強、たぶん神様も敵わない(でも陰キャ)
※超ご都合主義。深く考えたらきっと負け
※主人公はそこまで考えてないのに周囲が勝手に深読みして有能に祀り上げられる勘違いもの。
※副題が完結した時点で物語は終了します。俺たちの戦いはこれからだ!
※他Webサイトにも投稿しております。
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる