個性派JK☆勢揃いっ!【完結済み】

M・A・J・O

文字の大きさ
218 / 239
第二章 高校二年生(二学期)

やんでれ(萌花)

しおりを挟む
「もえにゃん……瑠衣、もう我慢できないにゃ……」
「ちょ、ちょっと……待ってください! 待てはできますか?」
「……瑠衣は犬じゃないにゃよ?」

 知っている。気が動転しているだけで、普段の萌花ならこんなこと言わない。
 それでも瑠衣は徐々に距離を詰めてくる。
 こんな狭い空き教室では逃げ場がない。

 そもそも、なんでこんなことになったのだろうか。
 萌花は瑠衣の友人として、いつも通りに会話していただけだ。
 記憶をたどるも、瑠衣になにかした覚えはない。
 我慢できない……とは、一体どういうことなのだろう。

「もえにゃん……」

 まずい。なにも対策が浮かばないまま、距離が狭まっている。
 まずは瑠衣を落ち着かせなければ。

「どうして――瑠衣だけを見てくれないのにゃ!?」
「……んん?」

 この子はなにを言っているのやら。
 今、萌花の目にはしっかりと瑠衣だけしかうつっていないというのに。
 この状況でもまだ不満だというのか。

「瑠衣は、ずっともえにゃんのことばかり考えているというのに……もえにゃんは瑠衣のことなんて眼中にないんだよにゃ……」

 そうだったのか。初耳である。
 瑠衣が一番興味あるのは朔良だと思っていたから。

 前から薄々気づいてはいたが、瑠衣はかなりの浮気者のようだ。
 まだ付き合っていない自分に対してもこんな風に好意ダダ漏れで接してくるのだから。
 それでも、萌花は瑠衣のことを“そういう目”では見ていないのだが。

 でも、そうすると問題がある。
 それをハッキリと伝える勇気が、萌花にはなかったのだ。

「もういいにゃ。さよならにゃ」

 瑠衣の寂しげな言葉に、ハッとさせられる。
 ハッキリ言えないことは、自分も相手も幸せになれないことに気付かされた。
 きちんと伝えなくては。
 萌花は覚悟を決め、瑠衣の袖口を掴んだ。

「わ、私は……瑠衣ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいです。だけど、お気持ちには……私では応えられないといいますか……」
「……ふ、ふふっ。にゃははっ!」
「え、あ、あの、瑠衣ちゃん……?」
「ごめんにゃ。ちょっとやりすぎちゃったにゃ。冗談だからそこまで本気にしなくていいにゃよ?」

 冗談……よかったと安堵するような、ここまで振り回すなんてと怒りが込み上げてくるような。
 萌花の思考はショートし、目をぱちくりと見開くことしかできなかった。

「瑠衣の演技がどんなものか、自分で確認したかったのにゃ~」
「もう! そんなことに巻き込まないでくださいよ……!」

 少し仕返ししてやろうという気持ちが芽生え、萌花は秘密にすることにした。
 瑠衣に「我慢できない」と言われた時に、一瞬ときめいてしまったことを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼き改革者、皇孫降臨 〜三歳にして朝廷を震わせる〜

由香
キャラ文芸
瑞栄王朝の皇孫・凌曜は、わずか三歳。 泣かず、騒がず、ただ静かに周囲を見つめる幼子だった。 しかしその「無邪気な疑問」は、後宮の不正を暴き、腐敗した朝廷を揺るがしていく。 皇帝である祖父の絶対的な溺愛と後ろ盾のもと、血を流すことなく失脚者を生み、国の歪みを正していく凌曜。 やがて反改革派の最後の抵抗を越え、彼は“決める者”ではなく、“問い続ける存在”として朝廷に立つ。 これは、剣も権謀も持たぬ幼き改革者が、「なぜ?」という一言で国を変えていく物語。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

芙蓉は後宮で花開く

速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。 借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー カクヨムでも連載しております。

余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした

ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。 しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義! そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。 「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」

最強転生悪役令嬢は人生を謳歌したい!~今更SSクラスに戻れと言われても『もう遅い!』Cクラスで最強を目指します!~【改稿版】

てんてんどんどん
ファンタジー
 ベビーベッドの上からこんにちは。  私はセレスティア・ラル・シャンデール(0歳)。聖王国のお姫様。  私はなぜかRPGの裏ボス令嬢に転生したようです。  何故それを思い出したかというと、ごくごくとミルクを飲んでいるときに、兄(4歳)のアレスが、「僕も飲みたいー!」と哺乳瓶を取り上げてしまい、「何してくれるんじゃワレ!??」と怒った途端――私は闇の女神の力が覚醒しました。  闇の女神の力も、転生した記憶も。  本来なら、愛する家族が目の前で魔族に惨殺され、愛した国民たちが目の前で魔族に食われていく様に泣き崩れ見ながら、魔王に復讐を誓ったその途端目覚める力を、私はミルクを取られた途端に目覚めさせてしまったのです。  とりあえず、0歳は何も出来なくて暇なのでちょっと魔王を倒して来ようと思います。デコピンで。 --これは最強裏ボスに転生した脳筋主人公が最弱クラスで最強を目指す勘違いTueee物語-- ※最強裏ボス転生令嬢は友情を謳歌したい!の改稿版です(5万文字から10万文字にふえています) ※27話あたりからが新規です ※作中で主人公最強、たぶん神様も敵わない(でも陰キャ) ※超ご都合主義。深く考えたらきっと負け ※主人公はそこまで考えてないのに周囲が勝手に深読みして有能に祀り上げられる勘違いもの。 ※副題が完結した時点で物語は終了します。俺たちの戦いはこれからだ! ※他Webサイトにも投稿しております。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

処理中です...