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事情聴取
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暫くすると、扉をノックする音が聞こえてくる。顔を見合わせた後、ツクヨが扉を開けて来訪者と話を始める。どうやら事情聴取の順番がやって来たようだ。
聴取は別の部屋で行うそうで、全員部屋を出るよう指示される。大人しく指示された通り部屋を後にした一行は、会話も許されぬまま二階にある一室の前へと連れていかれる。
廊下には同じく聴取を受けに来ているのであろう者達が数人並んでいる。名前までは分からないが、シンはその人物達の何人かの顔に見覚えがあった。それは変装して三階のベルヘルムの部屋を見刺していた時に見た記憶。
彼らも連れてこられたシン達の方へ視線を向けるが、あの時の作業員がシンである事には気づいていないのか、すぐに一行へ向けられた嫌な視線は別のところへと向けられる。
彼らの並んでいる部屋の扉が開き、中から出てきた人物が先頭に並ぶ者に中で入るようにと呼んでいることを伝え、別の警備の者に連れられてその場を後にした。
何人もの警備の者達に見張られながら、重苦しい雰囲気が一行の全身を取り巻く。それほど長い感覚を置かずして、次々に部屋へ通されていく。そして遂にシン達の順番がやって来る。
最初に中へと通されたのは、一番前に並んでいたツクヨだった。中へ通される前に一度だけ振り返った彼は、開いた部屋の中を確認して、そこに見覚えのある顔があることを後続のシン達に伝えようとしていたようだ。
警備の者がツクヨの肩に手を置き、中へ入るよう促す。指示に従い部屋の中へと入っていくツクヨの姿を、扉が閉じられるまで見送るシン。彼が向けたあの表情から、一行にとって都合のいい人物が聴取する側にいる可能性を匂わせる。
いろんな人物の顔が浮かぶが、有力なものとしてシン達のことを知っているマティアスやルーカスといったアルバの司祭と、捜査に加わっているという探偵のケヴィンが可能性として最もありえるだろう。
先に行ったツクヨがどんなことを聞かれているのか、自分たちの行動に落ち度や疑われるようなところはなかっただろうかと、色々なことが脳裏を駆け巡る内に、いつの間にか順番は次に並んでいたシンの番となっていた。
扉が開き、中からツクヨが出てくる。彼の様子は事情聴取を受ける前と変化は無いようだ。寧ろ不安の種が取り除かれたかのような安堵さえ垣間見える。
「シン、中で呼んでる」
「あぁ・・・」
ツクヨは不安の表情を浮かべるシンに、安心させるような言葉をかけようとするが、警備の者がそれを許さなかった。速やかにその場を去るようにと促され仕方がなく彼は廊下を先へと進んでいった。
自分で扉を開けることも許されない彼らは、どこにも触れることなく奥へと通される。開いた扉の先に、先ほどのツクヨの表情の答えがあった。中にいたのは教団側の人間であるマティアス司祭とケヴィンだったのだ。
他にも何人か見覚えのある顔ぶれがいたが、シン達にとって有益な情報を持っているであろう者達の存在は、心を落ち着かせる要因の一つとなった。だが、その中にルーカス司祭の姿はなかった。
彼は元々ジークベルトの不穏な動きについて、秘密裏に調べようとしていた。恐らく事件が起きた際に真っ先に調べられたのは、ジークベルトの周りにいた人物達や関わりの深い者達だろう。
とりわけジークベルトの過去を知っているルーカスは、ジークベルトに対しあまり良い印象を持っていないという事が、一部の者達の間でも噂になっていた。
そして宮殿内では、ジークベルト自ら彼を近づけさせないようにと、護衛や警備の者達に指示していた。そこに起きたこの事件。彼を疑わないでいる方が難しいだろう。故に彼はこの場に呼ばれなかったのかも知れない。
「どうぞ、お掛けください」
無言のまま、警備の者がすすめる席へと座るシン。聴取を行うのは、様々な立場にある者達。教団の関係者と思われる人物から、アルバへ招待された要人の何人か、そしてアルバや教団とは関係のないところから、休暇としてこのアルバの街を訪れた第三者のケヴィンなどが顔を揃える。
「先程の方もそうでしたが、彼らについては私が聴取いたします。以前から面識もあり、昨夜行われたパーティーでは一緒に食事を交わした仲でもありますので」
「君がそう言うのであれば君に任せるが、会話ややり取りはこちらも確認させてもらうぞ?」
「勿論ですとも」
思っていた通り、ケヴィンはシン達の味方側にいるようだ。聴取は淡々と進み、アルバへやって来た経緯や式典への参加、そしてパーティーへ入れたのはルーカス司祭の推薦状があったからと言うことまで、すでに向こう側は把握していた。
どうやら彼らを聴取する前に、既にルーカス司祭にも事情聴取が行われていたようで、彼がシン達に依頼しジークベルトの調査を行なっていたことを、本人自ら明かしたそうだ。
犯行の動機のあるルーカス司祭は別室にて待機させられているようで、厳しい監視のもとにあるようだった。
話が進んでいくと、最後に聴取する側にいた人物として、それまでシンの前に姿を現さなかった人物が別室から姿を表す。
「最後に彼の顔を確認させて欲しい」
そこに現れたのは、昨夜シンがケヴィンの依頼でカメラを仕掛けに向かった際に、シンの行く手を阻んだ教団の護衛隊長であるオイゲンだったのだ。シンの心臓は一気に鼓動を早める。
シンの唯一怪しい行動として、昨夜変装して立ち入りを禁止されていた宮殿の三階へ訪れたこと。そして顔を見られたオイゲンが、その日に宮殿内を訪れた作業員のリストを確認しながらシンの顔を覗き込む。
聴取は別の部屋で行うそうで、全員部屋を出るよう指示される。大人しく指示された通り部屋を後にした一行は、会話も許されぬまま二階にある一室の前へと連れていかれる。
廊下には同じく聴取を受けに来ているのであろう者達が数人並んでいる。名前までは分からないが、シンはその人物達の何人かの顔に見覚えがあった。それは変装して三階のベルヘルムの部屋を見刺していた時に見た記憶。
彼らも連れてこられたシン達の方へ視線を向けるが、あの時の作業員がシンである事には気づいていないのか、すぐに一行へ向けられた嫌な視線は別のところへと向けられる。
彼らの並んでいる部屋の扉が開き、中から出てきた人物が先頭に並ぶ者に中で入るようにと呼んでいることを伝え、別の警備の者に連れられてその場を後にした。
何人もの警備の者達に見張られながら、重苦しい雰囲気が一行の全身を取り巻く。それほど長い感覚を置かずして、次々に部屋へ通されていく。そして遂にシン達の順番がやって来る。
最初に中へと通されたのは、一番前に並んでいたツクヨだった。中へ通される前に一度だけ振り返った彼は、開いた部屋の中を確認して、そこに見覚えのある顔があることを後続のシン達に伝えようとしていたようだ。
警備の者がツクヨの肩に手を置き、中へ入るよう促す。指示に従い部屋の中へと入っていくツクヨの姿を、扉が閉じられるまで見送るシン。彼が向けたあの表情から、一行にとって都合のいい人物が聴取する側にいる可能性を匂わせる。
いろんな人物の顔が浮かぶが、有力なものとしてシン達のことを知っているマティアスやルーカスといったアルバの司祭と、捜査に加わっているという探偵のケヴィンが可能性として最もありえるだろう。
先に行ったツクヨがどんなことを聞かれているのか、自分たちの行動に落ち度や疑われるようなところはなかっただろうかと、色々なことが脳裏を駆け巡る内に、いつの間にか順番は次に並んでいたシンの番となっていた。
扉が開き、中からツクヨが出てくる。彼の様子は事情聴取を受ける前と変化は無いようだ。寧ろ不安の種が取り除かれたかのような安堵さえ垣間見える。
「シン、中で呼んでる」
「あぁ・・・」
ツクヨは不安の表情を浮かべるシンに、安心させるような言葉をかけようとするが、警備の者がそれを許さなかった。速やかにその場を去るようにと促され仕方がなく彼は廊下を先へと進んでいった。
自分で扉を開けることも許されない彼らは、どこにも触れることなく奥へと通される。開いた扉の先に、先ほどのツクヨの表情の答えがあった。中にいたのは教団側の人間であるマティアス司祭とケヴィンだったのだ。
他にも何人か見覚えのある顔ぶれがいたが、シン達にとって有益な情報を持っているであろう者達の存在は、心を落ち着かせる要因の一つとなった。だが、その中にルーカス司祭の姿はなかった。
彼は元々ジークベルトの不穏な動きについて、秘密裏に調べようとしていた。恐らく事件が起きた際に真っ先に調べられたのは、ジークベルトの周りにいた人物達や関わりの深い者達だろう。
とりわけジークベルトの過去を知っているルーカスは、ジークベルトに対しあまり良い印象を持っていないという事が、一部の者達の間でも噂になっていた。
そして宮殿内では、ジークベルト自ら彼を近づけさせないようにと、護衛や警備の者達に指示していた。そこに起きたこの事件。彼を疑わないでいる方が難しいだろう。故に彼はこの場に呼ばれなかったのかも知れない。
「どうぞ、お掛けください」
無言のまま、警備の者がすすめる席へと座るシン。聴取を行うのは、様々な立場にある者達。教団の関係者と思われる人物から、アルバへ招待された要人の何人か、そしてアルバや教団とは関係のないところから、休暇としてこのアルバの街を訪れた第三者のケヴィンなどが顔を揃える。
「先程の方もそうでしたが、彼らについては私が聴取いたします。以前から面識もあり、昨夜行われたパーティーでは一緒に食事を交わした仲でもありますので」
「君がそう言うのであれば君に任せるが、会話ややり取りはこちらも確認させてもらうぞ?」
「勿論ですとも」
思っていた通り、ケヴィンはシン達の味方側にいるようだ。聴取は淡々と進み、アルバへやって来た経緯や式典への参加、そしてパーティーへ入れたのはルーカス司祭の推薦状があったからと言うことまで、すでに向こう側は把握していた。
どうやら彼らを聴取する前に、既にルーカス司祭にも事情聴取が行われていたようで、彼がシン達に依頼しジークベルトの調査を行なっていたことを、本人自ら明かしたそうだ。
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話が進んでいくと、最後に聴取する側にいた人物として、それまでシンの前に姿を現さなかった人物が別室から姿を表す。
「最後に彼の顔を確認させて欲しい」
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