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例の音楽の演奏者
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三人が暫く会話をしていると、それまで教会で流れていた演奏が終了しパイプオルガンが空く。人が離れ近づけるようになると、彼らは調査のため動き出す。
「すんません、ちょっと聞きたい事があるんですが・・・」
行動力のあるカルロスが、口下手なレオンやジルに代わりパイプオルガンに人を近づけないようにする為と、意識を逸らす為教会の者に話しかける。それを合図にレオンとジルが、他の教会を訪れた客らに怪しまれないように、一定の距離を保ちながら外見状の変化や異変を調べる。
直接触れに行けば怪しまれてしまうので、必要以上の調査はできない。調査とは言っても周囲から眺めるだけのものに過ぎないのだ。
「何か見つけたか?ジル」
「待って、そんなに直ぐに見つかるようなものなら、演奏者が気付いていないはずがないでしょ」
「それはそうだが・・・。カルロスの時間稼ぎも長くは続かない。早く何かしらの手掛かりを・・・」
パイプオルガンに近づき、その外装を眺める二人の元へカルロスが足止めする者とは別の人物がやって来る。
「これはこれは。音楽学校首席のジルさんではありませんか。そちらはレオンさんですかな?」
彼らの元へやって来たのは、音楽学校の教師だった。故にジルやレオンのことを知っていて声を掛けたのだろう。
「せっ先生は何しに教会へ?」
「演奏を頼まれたんだよ。私が丁度非番だったから、予定もなかったしその役目を買って出たって訳です」
「そうだったんですね。もうすぐ夕刻ですが、この後に演奏を?」
「そのようですね。ほら、この後の礼拝に備えてお越しになっている方々も入れ替わって来ましたよ」
教師が教会のフロアを見渡すように手を差し伸べると、そこには今までにいた街の人達とは打って変わり、まるで聖歌隊のような衣装に身を包み、目元を覆うマスクをつけた不気味な装いの者達が次々に教会の中へと入って来ていた。
「!?」
「ジル、そろそろ行こう」
レオンが何か危機感を感じたように、ジルと教師の会話に割って入り直ぐにこの場を立ち去ろうと手を引く。
「よかったら君達も・・・」
「いえ、結構です。失礼します」
無愛想に振り向きもせずジルの手を引き、パイプオルガンから離れていく二人。周りの様子の変化に気がついたカルロスも会話を切り上げ、二人と合流し一旦教会の入り口付近にある角の席にて様子を伺うことにした。
「なぁ!これって・・・」
「あぁ、間違いない。昨日俺達が忘れてしまった記憶の中で見た連中だ」
直ぐに客層は変わってしまい、ほとんどがその不気味な格好をした者達で埋め尽くされ、オルガンの方はすっかり見えなくなってしまっていた。
「おっおい、俺達ここにいても大丈夫なのか!?」
「分からん!だが、昨夜は寝てしまうだけで身体には異常はなかった」
「でも記憶を失ってたじゃない!」
「それもこの教会のことだけだ!ここまで来て引き下がれないだろ!?少しでも異変を感じたらこの場から逃げる。いいな?」
レオンは今回こそ徹底的に調べるつもりでいた。幸いにもまだ例の音楽は聞こえてこない。恐らく今からその演奏が始まるのだろう。もし演奏が始まるのなら、やはり演奏者は先程の音楽学校の教師が犯人になるのだろうか。
現場を抑える為にも気を引き締め、万が一昨夜のように眠気に見舞われたのなら、できるだけ教会から離れることで意識を失うまでの時間を稼げるかもしれない。
更には、記憶を思い出すのに必要な現地を訪れたり写真などで見るという行為が有効であることは、既に自身とカルロスの体験で確認済みだ。対策はできている。いつでも迎え撃つ準備は出来たと、その瞬間に身構える三人。
すると予想していた通り、グーゲル教会内にて連日アルバの街に流れていた音楽が流れ始める。
「演奏が始まったぞ!ここからじゃ演奏してんのが誰なのか見えねぇぞ!?」
「近づくしかない・・・」
「正気なの!?これだけ人の目がある中で変な動きを見せれば、それこそ目立ってしまうじゃない!」
「それは百も承知だ。だが単独行動はできない」
「どうして?」
「音楽による眠気には個人差がある。誰が最初に落ちるか分からない中で一人になるのは危険だ。もし三人の内、一人でも眠気に襲われたのなら直ぐに脱出を試みる」
「マジかよ・・・。バレても大丈夫だなんて保証はねぇんだぞ?」
「俺達だって昨夜、教会で寝てしまっていたが、次の日目を覚ましたら家にいただろ?誰かが運んだのか、あるいは何らかの方法で飛ばされたのか・・・。どちらにせよ俺達の身体は無事のままだ。殺すつもりなら昨夜の時点で死んでるだろ」
何を言おうとレオンに留まる意思はない。それを悟ったカルロスは覚悟を決めてレオンの指示に従う。ジルもこれ以上の説得は無駄だと、大きな溜め息を吐いて諦めたように指示に従うことを承諾した。
「すんません、ちょっと聞きたい事があるんですが・・・」
行動力のあるカルロスが、口下手なレオンやジルに代わりパイプオルガンに人を近づけないようにする為と、意識を逸らす為教会の者に話しかける。それを合図にレオンとジルが、他の教会を訪れた客らに怪しまれないように、一定の距離を保ちながら外見状の変化や異変を調べる。
直接触れに行けば怪しまれてしまうので、必要以上の調査はできない。調査とは言っても周囲から眺めるだけのものに過ぎないのだ。
「何か見つけたか?ジル」
「待って、そんなに直ぐに見つかるようなものなら、演奏者が気付いていないはずがないでしょ」
「それはそうだが・・・。カルロスの時間稼ぎも長くは続かない。早く何かしらの手掛かりを・・・」
パイプオルガンに近づき、その外装を眺める二人の元へカルロスが足止めする者とは別の人物がやって来る。
「これはこれは。音楽学校首席のジルさんではありませんか。そちらはレオンさんですかな?」
彼らの元へやって来たのは、音楽学校の教師だった。故にジルやレオンのことを知っていて声を掛けたのだろう。
「せっ先生は何しに教会へ?」
「演奏を頼まれたんだよ。私が丁度非番だったから、予定もなかったしその役目を買って出たって訳です」
「そうだったんですね。もうすぐ夕刻ですが、この後に演奏を?」
「そのようですね。ほら、この後の礼拝に備えてお越しになっている方々も入れ替わって来ましたよ」
教師が教会のフロアを見渡すように手を差し伸べると、そこには今までにいた街の人達とは打って変わり、まるで聖歌隊のような衣装に身を包み、目元を覆うマスクをつけた不気味な装いの者達が次々に教会の中へと入って来ていた。
「!?」
「ジル、そろそろ行こう」
レオンが何か危機感を感じたように、ジルと教師の会話に割って入り直ぐにこの場を立ち去ろうと手を引く。
「よかったら君達も・・・」
「いえ、結構です。失礼します」
無愛想に振り向きもせずジルの手を引き、パイプオルガンから離れていく二人。周りの様子の変化に気がついたカルロスも会話を切り上げ、二人と合流し一旦教会の入り口付近にある角の席にて様子を伺うことにした。
「なぁ!これって・・・」
「あぁ、間違いない。昨日俺達が忘れてしまった記憶の中で見た連中だ」
直ぐに客層は変わってしまい、ほとんどがその不気味な格好をした者達で埋め尽くされ、オルガンの方はすっかり見えなくなってしまっていた。
「おっおい、俺達ここにいても大丈夫なのか!?」
「分からん!だが、昨夜は寝てしまうだけで身体には異常はなかった」
「でも記憶を失ってたじゃない!」
「それもこの教会のことだけだ!ここまで来て引き下がれないだろ!?少しでも異変を感じたらこの場から逃げる。いいな?」
レオンは今回こそ徹底的に調べるつもりでいた。幸いにもまだ例の音楽は聞こえてこない。恐らく今からその演奏が始まるのだろう。もし演奏が始まるのなら、やはり演奏者は先程の音楽学校の教師が犯人になるのだろうか。
現場を抑える為にも気を引き締め、万が一昨夜のように眠気に見舞われたのなら、できるだけ教会から離れることで意識を失うまでの時間を稼げるかもしれない。
更には、記憶を思い出すのに必要な現地を訪れたり写真などで見るという行為が有効であることは、既に自身とカルロスの体験で確認済みだ。対策はできている。いつでも迎え撃つ準備は出来たと、その瞬間に身構える三人。
すると予想していた通り、グーゲル教会内にて連日アルバの街に流れていた音楽が流れ始める。
「演奏が始まったぞ!ここからじゃ演奏してんのが誰なのか見えねぇぞ!?」
「近づくしかない・・・」
「正気なの!?これだけ人の目がある中で変な動きを見せれば、それこそ目立ってしまうじゃない!」
「それは百も承知だ。だが単独行動はできない」
「どうして?」
「音楽による眠気には個人差がある。誰が最初に落ちるか分からない中で一人になるのは危険だ。もし三人の内、一人でも眠気に襲われたのなら直ぐに脱出を試みる」
「マジかよ・・・。バレても大丈夫だなんて保証はねぇんだぞ?」
「俺達だって昨夜、教会で寝てしまっていたが、次の日目を覚ましたら家にいただろ?誰かが運んだのか、あるいは何らかの方法で飛ばされたのか・・・。どちらにせよ俺達の身体は無事のままだ。殺すつもりなら昨夜の時点で死んでるだろ」
何を言おうとレオンに留まる意思はない。それを悟ったカルロスは覚悟を決めてレオンの指示に従う。ジルもこれ以上の説得は無駄だと、大きな溜め息を吐いて諦めたように指示に従うことを承諾した。
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