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第2章 レカ
第3日目〜後半〜
しおりを挟むレカは、午後の授業が終わると、一目散にヴィーの家へ向かった。
今までみたいに不意打ちではなく、先に心の準備をしてからイナギに対面したい。それなら、きっと、レカが思っているように対応できるはずだから…。
昨日、ヴィーから渡された合鍵を使って、そっと家に入る。
今日のヴィーが何時に帰ってくるかはわからないが、いつもと同じなら、夕方になるはずだ。まだ2時間以上の時間がある。
せっかく合鍵があるのだから、早くお風呂に入って、ヴィーに会わずに帰ろうとも思っている。
だって、ここでイナギと会ったことをヴィーに話すのは嫌だ。
イナギとの話がどんなものになるかわからないし、ヴィーを心配させたくないのだ。
(あー。でも、これからイナギが来るのかと思うと…)
その先の感情を言葉にするのはやめておいた。
誰かを待っている時の、ソワソワする気持ちの中に、なんとも言えない柔らかな感情が見え隠れする。
(…あの時のあの子と、1対1で話しをするのか…)
それは、遠い昔に夢見ていた出来事で、ある意味これから叶うことになるのだ。
(いやいやいや…そんな優しい対面じゃ無さそうでしょ。)
彼は『気になることを明らかにする』と言っていた。それがレカに対することなのか、ヴィーとのやりとりの中のことなのか、よくわからない。
でも、変に期待することだけはやめておく。何かを期待して、裏切られるのは辛い。
たとえどんなやりとりになってしまっても、仕方がない。と覚悟だけはしておくつもりだ。罵られたり、言い合いになるなどの、厳しい言葉のやりとりになってしまったとしても、心を痛めないように、あらかじめ防御しておくのだ。
(それなら、最初から怒りを露わにしておいた方が良いかな。)
レカは心を完全防備してから、イナギが来るのを待つことにした。
※※※
少ししてから、ヴィーの家のインターホンが鳴った。
レカは跳び上がらんばかりにビクッとしたが、胸に手を当てて、深呼吸をする。
(落ち着いて…。そして、怒りを前面に…。)
レカは無表情と怒りの間くらいの表情で、ドアを開ける。
そこには、やっぱり普段学校で見ている通りの、キラキラしているイナギが立っていた。
イナギは、出てきたのがヴィーではなく、レカであることに明らかにホッとしているようだった。
(やっぱり、私に用事があったんだ!私に関して、『明らかにしたいこと』って一体…。)
レカは一気に戦闘モードに入る。
イナギは、部屋に入った後、ドアを後ろ手に閉めると、レカに向き直った。
それを見たレカは、威圧感を出す為に腕組みをし、精一杯怖い顔をしてイナギを見上げた。
「…ちょっと。どういうこと?」
レカの言葉に、イナギが少し嬉しそうな顔をした。
(今の私のどこに笑顔になる要因が?)
レカは少し戸惑うも、反撃の手を緩めるつもりはない。
「…すみません…。なんだかいろんなことが気になっちゃって…。」
イナギは困ったように答えた。
「何が気になるの?」
レカは、自分より大きいイナギに、負けてなるものかと、腕組みしたまま詰め寄る。
「…えっと…」
イナギが答えようとするよりも先に、レカはどんどん話し出す。
「学校で、宰相家の長男に話しかけられるなんて、私が目立つようなこと辞めてよね!!」
(ヴィーに迷惑がかかったら、どうしてくれるのよ!)
レカには、常に『ミツカ出身』という、出生の秘密がまとわりつく。目立ってしまったら、いつかそのことがバレてしまうのではないかと、必要以上に怯えて生きているのだ。
レカは勢いのまま、イナギに一歩詰め寄ってから続ける。
「私はね、平穏で静かな学校生活を送る予定なのよ!」
また一歩、前に出る。
「だいたいねぇ…」
まだまだ続けようと思っていたところで、いつの間にかとても近い距離にいるイナギが言葉を発した。
「ぼ…僕からの質問に答えなければ、また…また今日みたいに学校で話しかけるからねっっっ!」
ドアに背をくっつけて、できるだけレカから離れるような体勢をとっていたイナギは、精一杯、といった感じで、レカの言葉を封じてきた。
(…うっ……)
そんな様子や口調が、意外にも『可愛いじゃない…』なんて思ってしまった。
(いやいやいや、気持ちを引き締めないと!)
レカは、わざと自分の唇を噛んで、自分を鼓舞する。
(可愛いなんて、絆されちゃいけない!)
と、自らの失態を悔しく思う。
そして、恥ずかしさから赤くなった顔で、キッとイナギを下から睨みつける。それから、あまりに近付きすぎていたことに恐れをなして、詰め寄った分の2歩、後ろに下がった。
「…わかったわよ…。」
両手をぐっと太ももの横で握り締めながら、聞こえるか聞こえないかの小さな声でそう言った。
その声に対して、
「…質問して…良いの…?」
恐る恐るイナギが尋ねる。
すると、
「学校で聞かれるより、ここで聞かれた方がずっとずぅっとマシよ!」
『イーっ!』と歯を剥き出しにして、レカは答える。
それは、ユウサと喧嘩をするときに、もう言えることがなくなったレカが、悔し紛れにする動作だった。
そんなレカに、呆れたのだろうか、特に何も言わずに、イナギはさっそく質問し始めた。
「えっと…君の名前は…?」
「レカ。」
「学年は?」
「3年。」
「えっ!?」
レカが同学年だということに、イナギはとても驚いていた。
イナギのその反応は、あらかじめ予想できていた。だって、今まで一度だって目が合ったことがないのだ。レカの存在を知らなかったのだろう。
レカはふふんと笑うと、
「私が、どれだけ大人しく、地味に、目立たないように生きてきたか、わかったでしょ!」
と得意げに言った。
「…うん。ごめん、周りに興味が無いにもほどがあるね…。」
今度は予想に反して、シュンとして素直に謝罪するイナギに、レカの方が戸惑ってしまう。
(なんだか、私がいじめてるみたいじゃない…)
たしかに、こちらだけが一方的に知っているのは悔しいけれど、それはレカ自身が周りに目立たないように生きてきた結果だ。イナギのせいでは全くない。
(ちょっとトゲトゲしい言い方だったかな…)
レカは少しだけ反省すると、今度は優しい言い方を心がける。
「…こっちは、イナギ・サイファルって知ってるよ。」
レカの言葉に、イナギはパッと顔を上げる。
「宰相家の長男だし、見た目もすごく目立つ、有名人だから。」
「じゃあ、今から僕はレカのことをたくさん知るよ!」
その言葉に、今度はレカが驚かされる。
「…私のことを知ってどうするの?」
イナギは、その質問に少しだけ答えに詰まったが、すぐに続ける。
「どうするとかじゃないけど、同学年の人のことを知らないのは寂しいし…。とにかく、知りたいことを知るのは僕の自由じゃないか!」
そうして、レカが呆然としている間に、質問を続け出した。
「じゃあ、質問を続けるよ!」
ムキになっているイナギの勢いに押されたレカは小さく頷く。
「家族構成は?」
「…お姉ちゃんと、両親と、おばあちゃん。」
「好きな色は?」
「…白…。」
「誕生…」
どんどん聞かれる質問に、レカも勢いに押されて正直に答えていたが、突然ハッとする。
(誕生日の後、生まれた場所のことを聞かれたらどうしよう!)
このままでは、出生地の秘密まで聞かれてしまうかもしれない。
レカは今まで、誰からも興味を持たれたことがなかったため、こんなふうに、自分のことを聞かれたことなんて無かった。だから、どうして良いかわからない。
もちろん、もし、今、何か不都合なことを聞かれたら、うまく誤魔化したり、嘘をついたりすれば良いはずなのだが…
なんとなく、イナギに対してそういう対応をうまくできる気がしなかった。
(このままじゃあ、ミツカのことをうまく隠せない気がする…)
レカはそこまで考えると、急いでイナギの勢いを削ぐ。
「ねぇ!」
突然のレカの声にビックリしながらも、イナギは答える。
「な…なに?」
「答えたく無い質問はどうしたら良いの?」
とイナギを下から窺うように問うた。
「私、できる限り嘘はつきたくないの。もともと嘘をつかないことを信条としてるところもあるんだけど、私のことを知ろうとしてくれてる宰相家長男は、悪い人じゃ無いと思うし…。」
一旦言葉を切ってから、また腕組みをする。
「だからといって、レディには、言いたくないことだってあるのよ!それを答えないからって、学校でまた声をかけられるのは嫌だわ。」
言い切ったレカは、フンっと鼻息を付け足した。
(なかなかうまく、自分の気持ちを伝えられたわ!)
レカは満足して、イナギの返答を待つ。
対するイナギは、レカの言葉に怒ることもなく、真剣に考えてくれたようだ。
「…そっかぁ。それもそうだよね。嘘を付かずに、真摯に答えてくれてるのに、答えなかったからって、レカの嫌がることをするのは、フェアじゃない。」
そうして、自分でも頷きながら、真剣な顔で続ける。
「わかった。じゃあ、レカが嘘をつかないって約束してくれるなら、言いたくない質問は『言いたくない』って言ってくれたら良いよ。僕は、答えがなかったからって、学校で声をかけたりしない。」
イナギのその答えに、レカはホッとして少し肩の力を抜いた。
(イナギに話しかけられることが嫌なわけじゃ無いんだけど…でも、やっぱり学校では話したく無いな。)
レカは心の中でそう思う。
今は対等に話しているけれど、学校では『宰相家の長男』と庶民の『口なしちゃん』である。明らかな身分差を感じながら話すのは嫌だ。
それに…こうして2人だけで話す時間は、学校では作り出せない。
「うん。嘘を付かないって約束する。」
レカは、イナギの目を見て答えた。
「体重を聞かれたら、どうしようかと思ったわ!」
出身地だけでなく、体重だって言いたく無い。
するとイナギは、少し寂しそうな顔をしながら、
「…レカは…ここに住んでいるの?」
と聞いてきた。
「まさか!
私はちゃんと宿舎に住んでいるのよ。今は、宿舎のシャワーが壊れてしまっていて、直るまでヴィーに貸してもらっているの。」
レカは面倒臭そうに続ける。
「直すのに、1週間かかるって言ってたから、あともう2日かな。」
指折り数えながら、レカは顔を上げる。
「そう言えば、宰相家長男は、どうしてここに来ているの?」
自分が質問されるとは思っていなかったのだろう、イナギは少し考えた後に答えた。
「…商品祭のクラス発表について、今週末が生徒会への提出期限なんだ。その調べ物や打ち合わせが、ヴィンス先生の家であって…。」
「ふーん。そっかぁ。宰相家長男も大変だね。」
(思っていたより優しくて素直な人だから、きっとみんなに頼られているのね。)
レカは、彼の周りにいる人達の気持ちがわかる気がした。
そんなレカに対して、イナギは明らかに不満そうな顔をして聞いてくる。
「…ねぇ。その『宰相家長男』って呼び方、なに?」
イナギは自分を呼ぶ呼び名が気に入らないらしい。
「えぇっ?だってあなた、宰相家の長男でしょ?」
レカは、楽しくなって、ニンマリしながら言った。
(今まで、落ち着いた優等生って感じだったけど、こんな顔もするんだ。)
そんなささいなことが嬉しい。
「それはそうだけど…レカは僕の名前は知ってるって言ってたじゃないか。」
イナギが抗議すると
「知ってるけど…今ここで呼んで、つい学校でもそう呼んじゃったら、嫌だもの。」
と、レカはわざと唇を尖らせながら答える。
「どうしてそんなに、学校での僕を嫌がるの。」
はぁ、とため息を吐きながら、イナギが聞いた。
(…学校でのイナギが嫌いなわけじゃ無いけど…)
「…目立ちたくないの…。」
目立って、ヴィーやミツカに迷惑がかかることは極力避けたい。何より、そんな後ろめたい自分には、他人からの優しさがもったいない。
(だからこのまま、誰にも知られないようにひっそりとしていたい…)
レカの暗い声に、イナギも気をくじかれたのだろう。黙ってしまった。
お喋りが苦手なレカにも、嫌な雰囲気になってしまったことは、わかった。
「さてと!」
レカは大きな声を出して、雰囲気を変える。
「私はこれからお風呂に入ります。宰相家長男は、調べ物とやらをして下さい。でも、私が上がるまでには帰ってよね。」
レカは軽くイナギを睨むフリをすると、お風呂場の方へ歩き出した。
(このくらいのお喋りで充分だよね。)
思っていたよりも優しくて話しやすいイナギに、正直、嫌われたくは無いと思った。
そのためには、もう離れた方が良い。
(気を取り直して、お風呂に入ろう。大好きなお風呂に入れば、気分も上がるはず。)
気持ちを無理に切り替えて、イナギのことを忘れようとしたその時だった。
「レカ!」
イナギに力強く呼ばれて、驚きながらも振り返る。
すると、一度逡巡するも、イナギは覚悟を決めてから言葉を紡ぐ。
「明日も…僕の質問に答えてくれる?」
それは、とても真剣な声に聞こえた。
(私と…もっと話したいってこと…?)
ふざけた様子もなく、一心にレカを見つめる瞳に、レカは心が温かくなるのを感じた。
(それなら、私もイナギともっと話したい!)
レカは素直な笑顔になると、
「学校で質問しないなら、ここで答えてあげる!」
と答えた。
これ以上ここにいると、顔がニヤけてしまう気がするので、急いでお風呂場に逃げ込む。
お風呂場のドアを背にして、レカは胸の辺りを抑える。
(明日も…会える…)
そのことが、とてもとても嬉しくって、レカは今日1番の可愛い笑顔で笑っていた。
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