4 / 53
第一章
唯一の頼れる友人は
しおりを挟む
「ねぇひどいと、ひっく……思わな、い? あんまりな仕打ちだって、えっく、ずるずる(……失礼)そう思わない? わたし、間違っでる? ……うっく」
勢いで屋敷を飛び出したものの、当然それまで一人で外に出たことのないエステル。一歩外へ出た途端、路頭に迷った。頑健な門から外の通りへ出ると、土ぼこりをあげて馬車が行き交い、外套を羽織った人達が道の端を歩いていた。こんな寒空の下、デコルテのあいたドレス姿のエステルは周囲から浮いていた。通り過ぎる人達は、眉をひそめてエステルの姿を見ていく。
でもその時のエステルは家から飛び出したところでまだ勢いがあって、後ろから追ってきたマリナにも「着いてこないで」と威勢よく返し、むんずとドレスの裾をつまみ歩き出そうとしたのだが……。
前夜の雨で地面はぬかるんでいた。一歩を踏み出したところで靴のヒール部分がずぼっと土にめり込んだ。体勢を崩し、慌てて踏ん張った二歩目も地面にめり込み、エステルはあわあわと両手を振り回した挙げ句、見事に前のめりに倒れた。なんとか両手をついたので、顔面衝突は免れたが、膝がかっくんとなり、両膝も地面にめりこんだものだから、四つん這いの無様な格好で往来の視線にさらされた。
「きゃー! お嬢様!」
マリナが真っ青な顔で駆け寄ってきて助け起こしてくれようとしたが、ちょうどその時側を通った馬車の車輪が水たまりの上を通過し、エステルはバシャンと頭から泥水を被った。
巻き添えを食ったマリナまで泥だらけだ。さすがに申し訳なくなった。
「……ごめんなさい、マリナ。大丈夫?」
「お嬢様こそせっかくのドレスと御髪が台無しですわ」
「……いいのよ。わたしにはもう必要ないんだから」
それにもともと、ひらひらした実用性のない動きにくいドレスは好きではなかった。頭から泥をかぶり、四つん這いの情けない姿のエステルは、なんとか体を起こそうと泥の中から両手を抜いた。
マリナはそんなエステルの両手を取ると、助け起こしてくれながら、
「どうしましょう、どうしましょう。私としたことがお嬢様のお着替えも持たずに後を追いかけてしまいましたわ」とおろおろしながら途方に暮れたようにエステルを見下ろす。
確かに、これはドレスが好きかどうかの問題ではなく、着るものがあるかないかの問題だ。何も持たずに家を飛び出したエステルには当然着替えもなく、頼りのマリナにも準備がないとなるとエステル達はこの泥だらけの服でこれから過ごさなければならないということになる。
さすがにそれはまずい。
さりとて今ここで、わからず屋のお父様のいる屋敷へ戻るのももっと嫌だ。
「お嬢様。ここは一旦アルモンテ公爵様に謝って屋敷へ帰りましょう」
マリナがもっともな提案をしてくる。でもエステルの決意は固かった。
「いや。だってわたしは悪くないもの。正しいわたしがどうして謝らなければいけないの?」
「お嬢様ががんばってこられたことは、このマリナがよっく存じております。ですからここは、表面的にだけでも旦那様に謝って、とりあえず家を出るのに必要な準備をしてからですね―――」
「―――いやよ。そんなことするくらいならわたし、一生このままでもよくってよ」
その時、側で拍手の音が聞こえ、エステルは顔を上げた。そこには七日前お別れをした出入り商人のクレトがいた。
そのクレトは、拍手しながら長い脚でこちらに歩いてくると、泥だらけのエステルの前にしゃがみ、手を差し出した。
「エステル様らしいお言葉が聞けてこのクレト、嬉しくなりました。なんとも真っ直ぐなエステル様らしいお言葉。感激いたしました。さぁ、お手をどうぞ」
「ありがと。クレト。七日ぶりね。もう会えないかと思っていたけれど、またこうして会えて嬉しいわ。泥だらけだけれどね」
「泥だらけでもエステルお嬢様はお嬢様です。またこうしてお顔を見ることができ、大変嬉しく思います。さぁお手をどうぞ」
「それはいいわ。だってクレトまで泥だらけになってしまうもの。お父様に商談に来たのでしょう?」
泥だらけの手では父の相手ができなくなる。
「ご心配は無用ですよ。今日は商談ではなくエステルお嬢様にお会いしにきたのですから。お聞きしましたよ。王太子妃選、残念なことでしたね。きっと落ち込んでおられるだろうとお慰めに来たのです」
「あら、そうなの?」
落選で落ち込んでいたエステルへかけられた初めての優しい言葉に、エステルはぐすんと鼻をすすった。そうだ。この優しさが欲しかったのだ。父が一言でも残念だったなと慰めの言葉をかけてくれたのなら、エステルはそれでよかったのだ。
エステルは差し出されたクレトの手をとった。クレトはためらいなくエステルの泥だらけの手を取ると助け起こした。意外に力が強い。別に偏見ではないけれど、商人なんて軍人に比べたら軟弱なのかしらと思っていたのに。
「失礼」
クレトは断ると身を屈め、ひょいとエステルを持ち上げた。え? きゃー。
「ちょ、ちょっとクレト……」
往来の真ん中でお姫様抱っこはさすがに恥ずかしい。なんなら泥だらけで四つん這いでいるより恥ずかしいかも。
エステルがわたわたと焦ると、クレトは
「大丈夫ですよ、エステル様はそこらへんの荷よりもずいぶんと軽い」
いや、そういうことではなくてですね……。焦るエステルに構わず、クレトはそのまま待たせていたと思われる馬車へと乗り込んだ。
「えっと……」
馬車の座席が汚れるのも構わず、クレトはエステルを降ろすと、「行ってくれ」と御者へ声をかける。マリナが慌てて乗り込んできた。
「どこへ行くの?」
エステルが当然の疑問を投げかけると、クレトはにこりと笑った。
「ご安心を。私の邸です。そのご様子では家を出られたのでしょう? アルモンテ公爵様のご気性も私は存じ上げておりますからね。きっとお怒りになられ、エステル様を勘当なされたのでしょう。このようなことになるのではと思いました」
なぜか見ていたかのようにここまでの顛末を言い当てる。どうしてと再度問えば、
「とりあえずこれからお一人で生きていかれるにしても、まずはその泥をなんとかしなければなりませんからね。エステル様が路頭に迷われる前に救出できて本当に良かったです。大丈夫ですよ。これからのことはこのクレトに全てお任せください」
「クレト……」
頼もしい言葉にエステルはたまらずわっと泣き出した。そこから王太子妃選でのあれこれを全部吐き出し、冒頭部分の泣き言へと発展した。
クレトは何度もそれは大変でしたね、お辛かったですねとエステルを慰め、話を最後まで聞いてくれた。
勢いで屋敷を飛び出したものの、当然それまで一人で外に出たことのないエステル。一歩外へ出た途端、路頭に迷った。頑健な門から外の通りへ出ると、土ぼこりをあげて馬車が行き交い、外套を羽織った人達が道の端を歩いていた。こんな寒空の下、デコルテのあいたドレス姿のエステルは周囲から浮いていた。通り過ぎる人達は、眉をひそめてエステルの姿を見ていく。
でもその時のエステルは家から飛び出したところでまだ勢いがあって、後ろから追ってきたマリナにも「着いてこないで」と威勢よく返し、むんずとドレスの裾をつまみ歩き出そうとしたのだが……。
前夜の雨で地面はぬかるんでいた。一歩を踏み出したところで靴のヒール部分がずぼっと土にめり込んだ。体勢を崩し、慌てて踏ん張った二歩目も地面にめり込み、エステルはあわあわと両手を振り回した挙げ句、見事に前のめりに倒れた。なんとか両手をついたので、顔面衝突は免れたが、膝がかっくんとなり、両膝も地面にめりこんだものだから、四つん這いの無様な格好で往来の視線にさらされた。
「きゃー! お嬢様!」
マリナが真っ青な顔で駆け寄ってきて助け起こしてくれようとしたが、ちょうどその時側を通った馬車の車輪が水たまりの上を通過し、エステルはバシャンと頭から泥水を被った。
巻き添えを食ったマリナまで泥だらけだ。さすがに申し訳なくなった。
「……ごめんなさい、マリナ。大丈夫?」
「お嬢様こそせっかくのドレスと御髪が台無しですわ」
「……いいのよ。わたしにはもう必要ないんだから」
それにもともと、ひらひらした実用性のない動きにくいドレスは好きではなかった。頭から泥をかぶり、四つん這いの情けない姿のエステルは、なんとか体を起こそうと泥の中から両手を抜いた。
マリナはそんなエステルの両手を取ると、助け起こしてくれながら、
「どうしましょう、どうしましょう。私としたことがお嬢様のお着替えも持たずに後を追いかけてしまいましたわ」とおろおろしながら途方に暮れたようにエステルを見下ろす。
確かに、これはドレスが好きかどうかの問題ではなく、着るものがあるかないかの問題だ。何も持たずに家を飛び出したエステルには当然着替えもなく、頼りのマリナにも準備がないとなるとエステル達はこの泥だらけの服でこれから過ごさなければならないということになる。
さすがにそれはまずい。
さりとて今ここで、わからず屋のお父様のいる屋敷へ戻るのももっと嫌だ。
「お嬢様。ここは一旦アルモンテ公爵様に謝って屋敷へ帰りましょう」
マリナがもっともな提案をしてくる。でもエステルの決意は固かった。
「いや。だってわたしは悪くないもの。正しいわたしがどうして謝らなければいけないの?」
「お嬢様ががんばってこられたことは、このマリナがよっく存じております。ですからここは、表面的にだけでも旦那様に謝って、とりあえず家を出るのに必要な準備をしてからですね―――」
「―――いやよ。そんなことするくらいならわたし、一生このままでもよくってよ」
その時、側で拍手の音が聞こえ、エステルは顔を上げた。そこには七日前お別れをした出入り商人のクレトがいた。
そのクレトは、拍手しながら長い脚でこちらに歩いてくると、泥だらけのエステルの前にしゃがみ、手を差し出した。
「エステル様らしいお言葉が聞けてこのクレト、嬉しくなりました。なんとも真っ直ぐなエステル様らしいお言葉。感激いたしました。さぁ、お手をどうぞ」
「ありがと。クレト。七日ぶりね。もう会えないかと思っていたけれど、またこうして会えて嬉しいわ。泥だらけだけれどね」
「泥だらけでもエステルお嬢様はお嬢様です。またこうしてお顔を見ることができ、大変嬉しく思います。さぁお手をどうぞ」
「それはいいわ。だってクレトまで泥だらけになってしまうもの。お父様に商談に来たのでしょう?」
泥だらけの手では父の相手ができなくなる。
「ご心配は無用ですよ。今日は商談ではなくエステルお嬢様にお会いしにきたのですから。お聞きしましたよ。王太子妃選、残念なことでしたね。きっと落ち込んでおられるだろうとお慰めに来たのです」
「あら、そうなの?」
落選で落ち込んでいたエステルへかけられた初めての優しい言葉に、エステルはぐすんと鼻をすすった。そうだ。この優しさが欲しかったのだ。父が一言でも残念だったなと慰めの言葉をかけてくれたのなら、エステルはそれでよかったのだ。
エステルは差し出されたクレトの手をとった。クレトはためらいなくエステルの泥だらけの手を取ると助け起こした。意外に力が強い。別に偏見ではないけれど、商人なんて軍人に比べたら軟弱なのかしらと思っていたのに。
「失礼」
クレトは断ると身を屈め、ひょいとエステルを持ち上げた。え? きゃー。
「ちょ、ちょっとクレト……」
往来の真ん中でお姫様抱っこはさすがに恥ずかしい。なんなら泥だらけで四つん這いでいるより恥ずかしいかも。
エステルがわたわたと焦ると、クレトは
「大丈夫ですよ、エステル様はそこらへんの荷よりもずいぶんと軽い」
いや、そういうことではなくてですね……。焦るエステルに構わず、クレトはそのまま待たせていたと思われる馬車へと乗り込んだ。
「えっと……」
馬車の座席が汚れるのも構わず、クレトはエステルを降ろすと、「行ってくれ」と御者へ声をかける。マリナが慌てて乗り込んできた。
「どこへ行くの?」
エステルが当然の疑問を投げかけると、クレトはにこりと笑った。
「ご安心を。私の邸です。そのご様子では家を出られたのでしょう? アルモンテ公爵様のご気性も私は存じ上げておりますからね。きっとお怒りになられ、エステル様を勘当なされたのでしょう。このようなことになるのではと思いました」
なぜか見ていたかのようにここまでの顛末を言い当てる。どうしてと再度問えば、
「とりあえずこれからお一人で生きていかれるにしても、まずはその泥をなんとかしなければなりませんからね。エステル様が路頭に迷われる前に救出できて本当に良かったです。大丈夫ですよ。これからのことはこのクレトに全てお任せください」
「クレト……」
頼もしい言葉にエステルはたまらずわっと泣き出した。そこから王太子妃選でのあれこれを全部吐き出し、冒頭部分の泣き言へと発展した。
クレトは何度もそれは大変でしたね、お辛かったですねとエステルを慰め、話を最後まで聞いてくれた。
128
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう
楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。
目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。
「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」
さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。
アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。
「これは、焼却処分が妥当ですわね」
だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。
人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。
それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。
嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。
二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。
するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー
婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、
完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。
だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。
理由は簡単だった。
「君は役に立ちすぎた」から。
すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、
“静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。
そこで待っていたのは――
期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。
前に出なくていい。
誰かのために壊れなくていい。
何もしなくても、ここにいていい。
「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」
婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、
何者にもならなくていいヒロインの再生と、
放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。
これは、
“役に立たなくなった”令嬢が、
ようやく自分として生き始める物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる