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第七章
焔将の演説
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「一体これはどういうことだ!」
一行は、多くの護衛を引き連れた祥文帝だった。
水牢にいるはずの時有、有明の姿を認め、膝をつき戦う気配のない緑香と奈生金をまなじりをあげて睨んだ。
「何をしておる! 下手人を早くひっとらえぬか!」
祥文帝の命でも緑香と奈生金は動かない。いや、動けないのだ。
時有に内側からダメージを与えられた体が、まだ言うことをきかないのだ。
祥文帝の命に、緑香と奈生金は膝をついたまま苦渋に満ちた表情で俯いた。
「何をしておる! 緑香! 奈生金! 余の命ぞ! 早く時有と有明を捕らえぬか!」
その様子に祥文帝の怒りはますます大きくなり、喚き散らす。
それでも二人は動かない。そのうち厳しい自身の命にも動かない緑香と奈生金を見限り、連れてきた術者の護衛たちへ命じだす。
「そなたたちで時有と有明を捕らえよ!」
「はっ」
命を受けた術者たちが一斉に宮殿の屋根の上へと飛び上がろうとする。
するとまた周囲の空気がはりつめ、時有と有明に飛びかかろうとしていた術者たちが次々に倒れだす。
「何をしておる! 役立たずどもめが! これだけの人数が揃っておって時有一人つかまえられぬのか!」
常人には時有の放つ波動がわからないらしい。
祥文帝も焔将も平気な様子で立っている。
未令はまた再び体の奥が熱せられはじめた。
自身で溜める熱とは違い、無理矢理熱せられる熱さはつらい。
頭がしめつけられるように痛くなり、焔将にしがみつくと、焔将は未令を抱いていないほうの片腕をさっと時有に向けてあげた。
「その辺でよい。時有よ。これ以上はお前の大切な者たちまで苦しめることになる」
「御意」
そのとたん、体の熱は一気になくなる。
ほうっと息をつくと、焔将は未令を抱いたまま祥文帝の元へと歩み寄った。
「兄上、恐れながら申し上げます」
「な、なんだ」
おびえた目をした祥文帝に対し、焔将は朗々たる声で言い放った。
「ご覧の通り時有の力は強く、炎を出すわけではないのにあらゆるものを焼き尽くすほどの力がございます。時有に対抗できるものは今の平安国には誰一人としておらず、全ての術者をもってしても彼を止めることは不可能。時有が本気になれば、この場にいる者ども全てかの者の餌食となりましょう。しかしながら兄上。時有には兄上に逆らう気など毛頭なく、この国にとどまりたいと願っております。そしてそのためには兄上のため力を奮うことを厭うものではない。これ相違ないな? 時有」
「はっ。帝のお許しさえいただければ今後もこの時有、帝の御為にこの力を遣ってお役にたってみせまする。鈴さまを連れ去ったこと、どうかお許しください」
「―――兄上。時有もかように申しております。兄上のため、力を厭わないと申している時有をこれ以上幽閉することはこの国にとって無益なこと。寛大なお心を示されよ。一時の過ちのみにいつまでも拘泥し、本質を見抜けぬは愚者の極み。賢明なる兄上ならば、よくわかっておいででしょう。兄上は時有にそれ相応の地位を与え重用し、同時に日本との行き来を許すべきにございます。いざとなれば必ず有明、康夜も参戦させることを約束させますし、時有も必ず兄上の力となりましょうぞ」
一行は、多くの護衛を引き連れた祥文帝だった。
水牢にいるはずの時有、有明の姿を認め、膝をつき戦う気配のない緑香と奈生金をまなじりをあげて睨んだ。
「何をしておる! 下手人を早くひっとらえぬか!」
祥文帝の命でも緑香と奈生金は動かない。いや、動けないのだ。
時有に内側からダメージを与えられた体が、まだ言うことをきかないのだ。
祥文帝の命に、緑香と奈生金は膝をついたまま苦渋に満ちた表情で俯いた。
「何をしておる! 緑香! 奈生金! 余の命ぞ! 早く時有と有明を捕らえぬか!」
その様子に祥文帝の怒りはますます大きくなり、喚き散らす。
それでも二人は動かない。そのうち厳しい自身の命にも動かない緑香と奈生金を見限り、連れてきた術者の護衛たちへ命じだす。
「そなたたちで時有と有明を捕らえよ!」
「はっ」
命を受けた術者たちが一斉に宮殿の屋根の上へと飛び上がろうとする。
するとまた周囲の空気がはりつめ、時有と有明に飛びかかろうとしていた術者たちが次々に倒れだす。
「何をしておる! 役立たずどもめが! これだけの人数が揃っておって時有一人つかまえられぬのか!」
常人には時有の放つ波動がわからないらしい。
祥文帝も焔将も平気な様子で立っている。
未令はまた再び体の奥が熱せられはじめた。
自身で溜める熱とは違い、無理矢理熱せられる熱さはつらい。
頭がしめつけられるように痛くなり、焔将にしがみつくと、焔将は未令を抱いていないほうの片腕をさっと時有に向けてあげた。
「その辺でよい。時有よ。これ以上はお前の大切な者たちまで苦しめることになる」
「御意」
そのとたん、体の熱は一気になくなる。
ほうっと息をつくと、焔将は未令を抱いたまま祥文帝の元へと歩み寄った。
「兄上、恐れながら申し上げます」
「な、なんだ」
おびえた目をした祥文帝に対し、焔将は朗々たる声で言い放った。
「ご覧の通り時有の力は強く、炎を出すわけではないのにあらゆるものを焼き尽くすほどの力がございます。時有に対抗できるものは今の平安国には誰一人としておらず、全ての術者をもってしても彼を止めることは不可能。時有が本気になれば、この場にいる者ども全てかの者の餌食となりましょう。しかしながら兄上。時有には兄上に逆らう気など毛頭なく、この国にとどまりたいと願っております。そしてそのためには兄上のため力を奮うことを厭うものではない。これ相違ないな? 時有」
「はっ。帝のお許しさえいただければ今後もこの時有、帝の御為にこの力を遣ってお役にたってみせまする。鈴さまを連れ去ったこと、どうかお許しください」
「―――兄上。時有もかように申しております。兄上のため、力を厭わないと申している時有をこれ以上幽閉することはこの国にとって無益なこと。寛大なお心を示されよ。一時の過ちのみにいつまでも拘泥し、本質を見抜けぬは愚者の極み。賢明なる兄上ならば、よくわかっておいででしょう。兄上は時有にそれ相応の地位を与え重用し、同時に日本との行き来を許すべきにございます。いざとなれば必ず有明、康夜も参戦させることを約束させますし、時有も必ず兄上の力となりましょうぞ」
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