ノーストレスライフ!~魔王を倒した勇者、スライムに屈する!?~

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「お嬢様! 起きてください」

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「お嬢様! 起きてください」
「えっ何よ」
ジイが目の前にいる。
「実はひとつだけ畑に残っておりまして」
「えっ残ってたの? ナノカイモが!?」

「はい! それでできあがりました! ナノカイモのジャガバターです!」

ジイが満面な笑みを浮かべ、ジャガバターが大盛りに乗せられたお皿をラーナに渡した。

「ジイ、よくやった!」
「苦節4年、お嬢様、長い道のりでしたな!」
「ジイ、泣いてるの?」
「そういうお嬢様も涙をこぼしていらっしゃいますよ。」
「そう? ハハハー! ではさっそく」
「はい、どうぞ召し上がってください」
「いただきまーす!」

ラーナはいつのまにか手にしていたフォークでジャガバターひときれを刺し、大きく口を開いた。その時だった。
「ウーウーウーウーウーウー」
「ジイ? いきなりどうしたの?」
ジイが大きく口をあけ、いきなり変な低い音程で歌を歌い出した。

ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー

「ウーウーウーってうるさいわよ!」

ラーナはベットから起きあがった。

「はい、夢ですよね。途中から分かってました! だけどせめて夢の中でも良いから食べさせてよ!」

ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー

「って何よこの声、今も聞こえてるじゃない。気持ちワル!」

ベットから飛び降り、ラーナは窓のカーテンを開けてみた。

「何よ、これ……」

ラーナの視界に入ったのはあたり一面が覆われる程の数えきれない、緑に光るスライムの集団だった。

「どうゆうこと? これも夢ってこと?」

そう思ったラーナは目をこすり、ほっぺたをつねるがスライムはいっこうに消えない。

現実だと知ったラーナは一目散に部屋を出てジイの部屋の前に行き、

ノックした。

「どうかしましたか?」
ドアを開けたジイは大きなあくびをしていた。

「どうかしました、じゃないわよ、状況わかってるでしょ」
ラーナは両耳を指で押さえたまま、ジイをにらみつけた。

「状況? と言われましても」
「聞こえてるでしょ。鳴き声が!  うちの回りに、スライムがたくさんいるの!  何とかしてちょうだい!」
「はて、私は年を取りましたが、  耳は遠くはございません。何も聞こえませんよ、お嬢様」
「……え?」
「お嬢様、きっと、お疲れなのでしょう」
ジイはまたあくびをした。
「違う!  良いから外に出るわよ」

ラーナはジイには聞こえてないことに内心驚いていた。が、とにかく自分が幻覚でないことをジイに分からせるために、家のまわりにいるスライムを見せたら良いと考えた。

ジイの袖を引っ張り、ドアを開けて、外に出た。

「ジイこっち見て」
ラーナは自分の部屋の窓付近を指した。

「たっくさんいるでしょ」
ラーナは勝ち誇った顔をした。

「おや、まぁ」
どうやらジイにもスライムは見えているらしくラーナは少しほっとした。

「なんとかしてよ、早く」

「では朝に見張りの者に」

「朝じゃダメなの!   今すぐよ!  このままじゃ寝れないでしょ!」
「わっわたくしが、ですか?!  無理です!  」
「早く!」
「無理です!」
「早く!」
「無理です!」
「もう! こうなったら」

ラーナは再び屋敷の中に入り、寝室の隣の部屋――物置用の部屋に入った。

えっと、どこだっけ……あっあった!

ラーナはちらかった物の中からある物を見つけ、取り出した。

そして再び戻って来たとき、ラーナは探したものを掲げた。それはかつて魔王を倒した剣だった。

「ノーストレスライフ! だけど仕方ないわ、私が倒すわ!  魔王を倒した力を見せつけてやるわよ!」
 
  ラーナはジイに向かって自信たっぷりな笑みを見せた。

「よし、行くわよ!」

「お嬢様! それだけはお止めください!」

スライムのいる方に向かおうとするラーナのパジャマの袖を、ジイはつかんだ。

「放せ! 私はかつて魔王を倒した英雄ラーナよ!」

「危険すぎます!」

ジイの言いたいことは分かる。

私の力は強力すぎるからこの屋敷ごと吹っ飛ばすのではないかと思っているに違いないわ。



 ラーナはジイの必死な形相を見てそう思った。

「安心せよ、ジイ! 力の加減は分かってる!」
「あっ」
ジイの手を振りほどきラーナはスライムの集団に向かって走り出した。

(よく考えればこいつらがナノカイモを食ったんだよね? 許せない、ナノカイモの仇をうってやるわよ!)

そう心の中で誓ったラーナはスライムの集団に向かって

飛びかかった。

「さぁ覚悟! 」

月夜の光に照らされたラーナは宙に浮かびながら剣を大きくふりかぶった。

そして、次の瞬間。

ギコッ

「アンギャー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

静寂な夜にラーナの悲鳴が響きわたった。
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