ノーストレスライフ!~魔王を倒した勇者、スライムに屈する!?~

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スライムパーク

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「スライムパーク、ですか?」
「町の人達にとって魔物退治はもはや非日常の体験なのよ。だから蜃気楼箱はとても人気。でも蜃気楼箱は多少、高価なものだから、持ってない人は持ってないわよ。」
ラーナは首を横に振った。
「そこがターゲット層よ。蜃気楼箱を手に入れられない人達が魔物退治の非日常を味わえ、かつ安心安全なのが、このスライムパークよ。別に冒険者に絞らなくても良かったのよ。このスライムぐらいなら、時間はかかると思うけど、素人でもできるはずよ。」
「なるほど! お嬢様。では道場は諦めたのですか」
「……うん、まぁやることは一緒よ。コンセプトを変えるだけだから」
「そうですか」
「さっそく看板の付け替えと後広告チラシの作成ね。前のは、修行だからちょっとかっこいいレイアウトにしたけど、今度はレジャー施設だからね、ポップな感じでお願い」
「承知いたしました。ではさっそく手配を」
「あっちょっと待って。広告は後で見せなさい。私が確認するから」

あいかわらず、ジイの文章は堅く、ラーナが大幅に変更した。

【あの魔王を倒した英雄ラーナがテーマパークを作った!?  あなたも勇者になれる!  魔物を倒そう! *魔物ですが人へは無害です。王立魔物研究所認定】

(まぁ私には無害じゃないんだけどね。精神的に)

ラーナはできあがったチラシを見て、鼻でフッと笑った。

こうしてスライムパークのチラシは町中にばら撒かれた。

そして開園初日、ひとは……まばらにやってきた。

「期待していたほどではないけど、まぁ初日はこんなものかしら。じゃあ、ジイ後はよろしく」
「はい、任せてください」

このスライムパークのために、事前にバイトを何人か雇い入れ、運営はジイにまかせることにした。

任せることにしたが、どんな感じになるか気になったので、初日の今日は、屋敷の中にあるモニタールームから見た。パークの中にはいくつか監視カメラがついている。


「皆さん、こーんーにーちわ!」

入場ゲートの前で待っている人達に向かって、ジイは大声で叫んだ。


ジイ、そんな声だせるのね……あの司会者ってもしかしてジイなの?

ラーナはカップの紅茶を一口飲みながら画面に映るジイの顔をまじまじと見た。

「さて、皆さん、素晴らしい時間――」

「ここのスライムは本当に安全なのか?」
ジイの声を遮ったのは子連れの父親だった。
「はい、もちろん、ここのスライムは王立魔物研究所で無害と認定されたものです。」
「ふーん、そうか」

そう、私以外の人間に対してはね。

「ではいよいよスタートです!」

合図とともに、人が入場ゲートからぞろぞろと入ってくる。

頼むわよ、皆

ラーナは部屋のモニターからそう願った。



だが、初日の倒されたスライムはあまりに少なかった。
「ジイ、なんでなの!」
「皆さん魔物を見るのが本当に久しぶりなんですよ。だから皆、慎重でして」
「無害っていってるのに。でもしばらく様子を見ましょう」

ラーナは不満を吐露して、ジイが作ったハンバーグを頬張った。

そして案の定、その日の夜もラーナはスライムの鳴き声にうなされた。



スライムパークを開園して一週間がたった。入園者は一日に20人いくか、いかないかくらいであり、ラーナが満足するほどの数ではなかった。

そしてその夜の夕食のとき、大好きなカレーライスの一口目を頬張ったラーナはスプーンをお皿の上に置いた。

「お嬢様、お口に合わなかったのでしょうか?」
「ジイ、そうじゃないの」
ラーナはふきんで、口をふいた。
「背に腹はかえられないわ。」
「ど、どういうことでしょうか?」
「スライムパークのことよ。スライムを倒した人に賞金か賞品をあげることにしたわ」
「そうですか、分かりました。そもそも、道場の件で、賞金を出すっておっしゃっていましたからね。」
「あっ……そうだったわね」

あの時は、払うつもり、なかったんだけどね……

ラーナは再びスプーンを持った。

こうして賞金と賞品をだすことにするとたちまち、人が集まるようになった。


金がかかり、ギルドに頼むよりも経費がかかったけど、まぁ良いわ。

これで私のメンツは保たれる! さあ今日もダンジョン進めようかしら!

モニター画面で人がたくさん来てることを確認したラーナは自室へと戻った。

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