ノーストレスライフ!~魔王を倒した勇者、スライムに屈する!?~

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騒動後

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一連の騒動の後、研究所所長と研究者数名が、ラーナの屋敷を訪れた。
「所長、これはいったいどういうことなの!」
応接の間で所長らと会ってそうそう、ラーナは声を荒げて聞いた。
「申し訳ありません! ラーナ様」
研究所所長とその後ろに控える研究者数名がラーナに向けていっせいに頭を下げた。
「まさか人を襲うことなんて思ってもいませんでした。そんな事例は過去にはなかったので」

顔をあげ所長は額にたれた汗をハンカチで拭いた。
「でも実際襲ったじゃない! おかげで私は大恥をかいたのよ!どうしてスライムが人を襲ったの?」
「おそらく興奮状態になってたからだと考えます」
「興奮状態?」
「スライムにとってうれしいことがあったとしか今のところは分かりません……」
「はぁ……どういうことなのよ……」
「あのう、ラーナ様、お詫びにですが……」
「お詫び? そんなもの代わりにならないわよ、私の名誉は!」
バンバンバン!……ラーナはテーブルを何回も叩いた。

スライムパークの風評はあの日以降悪くなり、徐々に参加者は減っていき、ついに今日、入園者は0となってしまった。


「もう良いから、帰ってちょうだい」
「……分かりました。このスライムに関しては私どもの責任ですのでそれは町の人達に説明させてもらいます。」

所長はそう言い残し、研究者とともにラーナの屋敷を後にした。

けれど次の日もその次の日も、スライムパークに来る人は誰もいなかった。

そのため、夜にスライムが鳴く日々がまた始まってしまった。


これからどうしたら良いのか分からず、ラーナはユーリに相談したく、ユーリの家を訪れた。
ユーリは久しぶりに依頼がない一日となっていた。

「クロだ! 久しぶりね」

玄関に入ってそうそうラーナはユーリの飼い猫クロの頭をなでた。

「クロの頭をなでるために来たんじゃないんでしょ?」
「……うん」

二人はテーブルの椅子に座った。

「何かあったの?」

そう聞かれたラーナはテーブルの上にある紅茶のカップに映った自分の顔を少し見つめた後、顔を上げた。

「実は……」

ラーナはスライムパークのことをユーリにうち明かした。

「あんた、そんなものやってたの……」
「うん、皆に楽しんでもらおうと思ってね……でも研究所のせいで何もかもおしまいよ。ハハハ」

ラーナは苦笑いの顔をした。

「研究所って本当に良い加減よね。恥をかいたわよ。おまけにスライムもまた夜泣くようになったし」
「確かに研究者も悪いけど、ラーナ」
ユーリはカップをテーブルに置いた。

「あなたも悪いわ。」
「えっ、私が? なんで?」
ラーナは首をかしげた。

「まず、あなたは偽物の魔物を出して、みんなを騙した。私の魔法瓶をそんな使い方をするなんて」
「……そ、それは」
ラーナは少しうつむいた。

「スライムについては確かに、研究者に非はあるわ。でもね、ラーナ、冒険してたとき、研究結果とは違う現象が起きたこと何回かあったでしょ。」

「……うん」
「だからスライムが襲ってくることを想定しておかないといけなかった。」
「……」
「なのにあなたは、スライムは人に襲ってこないって信じ切った。それで英雄ラーナのパークだから安心だと思って、皆来てくれたのよ。それが何、駆除をやらせていた? 当然馬鹿にされるに決まってるでしょ」
「……」
「馬鹿にされるぐらいなら、まだましよ。今回は軽傷ですんだけど、もしもっとひどいことになってたら、あなたいったいどうするつもりだったの?」

ユーリはそこでまた紅茶の入ったカップを持ち、口をつけた。ラーナもその動きにつられて、カップを持つが、そのままテーブルの上に置いてしまった。

「そもそも最初から、ギルドに頼んでおけばこんなことにはならなかったのよ。」
「それは―」
「それは、『英雄ラーナ』だから?」
「え?」
「皆に楽しんで欲しかった、なんて表向きの理由でしょ? スライムパークなんてもの作ったのは、ギルドに頼むことが恥ずかしかったからでしょ」

ユーリはラーナの意図をお見通しだった。
けれど
「そ、そんなんじゃない!」

ラーナは必死に否定した。

「ふーん。なら、自分でやれば良かったのに」
「それは……」
「それは、ストレスなんでしょ?」
「……違う、違うよ!」
その叫び声は静かな室内に響き渡った。

それからしばらく二人の間に沈黙が続いた。



「でラーナ、これからどうするの?」
「……」
「ラーナ?」
「ユーリ、私もう帰る」
「ラーナ、まだ話は終わってないわ」
「うるさい! もう、帰る」

ユーリの家をとび出したラーナは森の中の道を歩く。

するとしばらくすると雨が降り出した。

だけど、ラーナの歩みのスピードは変わらなかった。
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