ノーストレスライフ!~魔王を倒した勇者、スライムに屈する!?~

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骸骨仮面の女

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王様への挨拶から3日がたった。
あいかわらず、スライムパークに来園者は来ず、夜はスライムが泣き、ラーナの睡眠の邪魔をする。

音が鳴り止み、再び眠りにつこうとするたびに明日こそ、自分で退治しようかと思うが、実際朝になると、やはり蜃気楼箱への誘惑が強く、退治することはなかった。


今日は久々に対戦モードをしようかな

朝食を食べ終わり、部屋に戻りながらラーナはそう思った。

対戦モードはすぐに飽きるけど……まぁ良いか。

蜃気楼箱に入り、ランダム対戦のボタンを押した。

何戦かした。

こちらはあまり本気出さず、最後は本気で倒すことをしてラーナは爽快感を得た。

楽しいな、蜃気楼箱は。いやなこと全部忘れられる。

戦いながらラーナはそう思った。

だけどそれでもやがて飽きがきた。

今日はここでやめようかな


そう思った矢先、指名申し込みがあった。

誰だ? 

英雄の私に指名申し込みをするなんてやつは、またカマセイヌかぁ?

ちょっとわくわくしながらクリックした。

すると

「えっこの服装って……」

ラーナは思わず声をあげてしまった。

対戦相手の写真は黒装束で、骸骨仮面をかぶった女だった。

ショーウィンドーで見た奴じゃない。まさか買う人がいるなんて。


ラーナが腰痛でショップをうろちょろしていた時、安売りで置かれていたコスチュームを見かけた。それがこのコスチュームだった。

女性とは言ったが、見た目からは分からない。対戦相手の情報欄に性別が女性だったから性別が分かった。
その写真をラーナはしばし見続けた。
相手も私と同じ重力レベル2なのね。生意気ね。
フィールドはコロセウムね。良いでしょう、やってやりましょう!

コロセウムにワープした。
たくさんの観客がいた。

「ナーラ様!」
「がんばれ、ナーラ様」

この登場した瞬間の歓声はほんとうに最高だわ。
ラーナは心の中で微笑んだ。

対戦相手はすでにいた。骸骨仮面がラーナを見つめていた。


そして試合開始のゴングが鳴った。



その瞬間だった。

な、なんていう速さなの……

あっという間に骸骨仮面の女はラーナと距離を詰め、

ラーナの頭に向かって斧を振りかざした。

その一振りに対してラーナは後ろにすばやく下がってかろうじてよけたが、

続いて骸骨仮面の女はまた間髪入れず斧を振りかざしてくる

ラーナはその攻撃をひとつひとつ避けていくが

え? 嘘でしょ?

内心、かなり驚いていた。


通常、この斧の攻撃力は他の武器と比べて非常に高いが、プレイヤーの間では人気はなかった。というのもこの斧は非常に重たく、重力レベル1でやっと扱えるレベルであり、そう連続で振れるものではなかった。ラーナはそのことを知っており、だから攻撃をよけたあと、相手の懐の中に入って攻撃するつもりだった。

が、この華奢な骸骨仮面の女は、まるで短刀を振り回すかのようにこの斧を軽々と振り続けており、ラーナに攻撃するいとまを与えない。

結果、ラーナは後ずさりして、よけていくしかなかった。

しばらく攻撃をよけた後、

(逃げる感じに見えて恥ずかしいけど、こうなったら)

ラーナは後ろを振りかえった。

(いったん距離を取ろう)

全速力のスピードで駆け出した。

それからしばらくは前だけを向き走った。

「ナーら様が逃げてる?」
「ウソでしょ?」

観衆からのその言葉に耳が痛かったが、我慢した。

そして

(よしそろそろ良いかしら)

とラーナは服の内ポケットから短いナイフを数本取り出しながら、後ろを振り返った。

骸骨仮面の女から距離をとり、ナイフを投げ、攻撃する。それがラーナの作戦だった。

だが、その作戦も実行できなかった。

(あっありえない! なんなのこの子?)

骸骨仮面の女は大斧を持ったまま、ピタリとラーナの後ろについてきていたのだ。

(なんで? あんな大きな斧を持っているはずなのに、なんで?)


ラーナは動揺していた。こんなことは蜃気楼箱での対戦ではじめてのことだった。

(私のスピードに大斧をもった女がついてきている……)

そんな事実を飲み込む余裕もなくラーナはまた前方を見て、スピードをあげた。そして時折、後ろをチラッと見るが大斧女はやはりついてきていた。

ラーナは焦りに焦った。

それでも

(落ちつきなさい、私! 何か手はあるはず。)

ラーナはなんとかして冷静になろうとした。

(ならこの作戦は? 全然英雄ぽくないけど……けれど今はそんなこと言ってられない。仕方ないわ)

ラーナは拳をぎゅっと握りしめた。



さぁ届け! 

そう祈りラーナは前方に向かって大きくジャンプした。そのジャンプはまるで走り幅跳びのように足を前に出すものであった。

通常ならその足はいずれ地面に着地する。

だがその足は、空中でコンマ数秒の間、停まった。その時、足付近の空間はゆがみ、やがて反発して跳んだ方向とは逆の方向にラーナを跳ね返した。


「おお、透明な壁を使ったのか!」
「すげー、あのスピードで、壁を見分けられるなんて!」

歓声が聞こえる。

フィールドにある透明の壁をラーナは利用した。

そのラーナの動きに動揺したのか、骸骨仮面の女は勢い余って体ごと透明な壁にぶつかり、そのまま大きく跳ね返り、地面に倒れ込んだ。
激突とはいうもののトランポリンのような壁なのでダメージは少ない。だが攻撃する隙はできた。

さぁ今よ!

倒れた相手にラーナは飛びかかった。

この、英雄である私が負けるわけないでしょ!


空中で剣を両手に握りなおし、剣の先端を黒装束の女に照準を向け

そして
一刺し。

ラーナのその一撃で相手はノックダウンとなった。

「ナーラの勝ち!」



司会者のその声に反応し、


拍手喝采


ふぅなんとか、なんとか面目を保てた……

いつもならその拍手に答えるラーナであったが、

そんな余裕はなく息も絶え絶えでその場で立つのがやっとであった。

「やっぱり勝ったかぁ。最後は一撃かぁ」

「でもあの骸骨の女もすごいよな」

「ああ、そうだよな。あのナーラをあそこまで追い詰めるなんて、ただもんじゃないぜ!」

拍手に混じって観客通しの話し声がラーナの耳に入った。

(ふん、どれだけ善戦しても負ければ負け、どれだけ苦戦しても勝てば勝ち。私の世界一にかわりはないわよ!)

その声に対してラーナは心の中で反論した。




次の日
今日は冒険モードをしようと押そうとしたが、その前に通知がきた。

また、相手から対戦申し込みがあった。

またか、とメールボタン押すと
画面に申し込み相手のプロフィール画像が映った。

あっと声がもれた。

「この狐の仮面のアバターは確か……」

間違いないユーリだった。
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